精神保健福祉士とは、精神障害の治療を受けている者や彼らの社会復帰のための施設を利用している者、地域相談支援の利用に関する相談や社会復帰についての相談に応じ、アドバイスをするなどの、日常生活ができるように必要な訓練や援助を行うことを仕事としている者のことをいいます。
Contents
適用する仕事
精神保健福祉士の資格が活きる仕事は様々ありますが、大きくわけると以下の4種類とその他になります。
医療施設
医療施設には、精神病院や、精神科を有する総合病院、精神科クリニック、付随するデイケアセンターなどがあります。
医療関係の職場は、精神保健福祉士の働く場所として最も一般的です。
福祉施設
福祉施設は、就労継続支援事業所や、地域活動支援センターなどが代表的です。
精神障がい者に対する生活支援や、就労支援をする福祉サービス事業所が就職先となることが多いです。
行政施設
市役所や区役所、保健所などが行政施設にあたります。
地方公務員として、精神保健福祉士の資格を活かしながら地方公務員として仕事をされている方が居られます。
小学校や中学校
精神保健福祉士には、スクールソーシャルワーカーとして勤める方も居られます。
スクールソーシャルワーカーとは、児童、生徒の問題に対して、保護者や教員と協力しながら問題解決を図る専門職です。
スクールソーシャルワーカーになるためには、社会福祉士、精神保健福祉士、臨床心理士のいずれかの資格が必要です。
一般的には、精神保健福祉士や社会福祉士の有資格者のことを示します。
その他
グループホームやケアホームなどの高齢者施設であったり、保護観察所や少年院や刑務所などの司法施設、職業訓練施設などがあります。
おおよその年収とキャリアパス
一般的な精神保健福祉士の平均的な年収は350万円です。
月収にすると約23万円で、ボーナスが約70万円ほどが平均的な値です。
精神保健福祉士に合格した人は、医療機関などへの就職を目指す方が多いです。
日本精神保健福祉士協会の統計によると、病院などの医療機関に勤める人が全体の4割程度と最も多いです。
認可団体
精神保健福祉士国家試験は、財団法人社会福祉振興・試験センターが実施している国家試験です。
財団法人社会福祉振興・試験センターは、厚生労働省の外郭団体です。
受験条件
受験資格が認められるのは、次のいずれかの条件を満たす者です。
法第7条 | |
第1号 | 保険福祉系大学等4年:指定科目履修 |
第2号 | 福祉系大学等4年:基礎科目履修:短期養成施設等(6月以上) |
第3号 | 一般大学等4年:一般養成施設等(1年以上) |
第4号 | 保健福祉系短大等3年:指定科目履修:相談援助実務1年 |
第5号 | 福祉系短大等3年:基礎科目履修:相談援助実務1年:短期養成施設等(6月以上) |
第6号 | 一般短大等3年:相談援助実務1年:一般養成施設等(1年以上) |
第7号 | 保健福祉系短大等2年:指定科目履修:相談援助実務2年 |
第8号 | 福祉系短大等2年:基礎科目履修:相談援助実務2年:短期養成施設等(6月以上) |
第9号 | 一般短大等2年:相談援助実務2年:一般養成施設等(1年以上) |
第10号 | 相談援助実務4年:般養成施設等(1年以上) |
第11号 | 社会福祉士登録者:短期養成施設等(6月以上) |
短期養成施設や一般養成施設の入学に必要な学歴や相談援助実務等については、各「養成施設等」で審査・決定が行われますので、希望する各「養成施設等」にお問い合わせください。
また、「実習科目免除」の可否につきましてもご希望の各「養成施設等」にお問い合わせください。
試験は筆記ですが、障がいがある者等については、申請によって点字問題、拡大文字問題、チェック解答用紙等による試験を行うほか、試験時間の延長など必要な配慮が行われます。
合格率
令和3年:65.6%
令和2年:64.2%
令和元年:62.1%
平成30年:62.7%
平成29年:62.9%
令和3年度の合格者数を男女別にすると、男性1381人、女性2886人でした。
合格者を比率にすると、男性32.4%、女性67.6%です。
1年当たりの試験実施回数
精神保健福祉士国家試験は、1年に1回実施されています。
令和5年の試験は令和5年2月4日(土)、2月5日(日)が試験実施日です。
受験申込書の受付期間は、令和4年9月8日から10月7日まででした。
試験の会場は全国7ヶ所です。
北海道、宮城県、東京都、愛知県、大阪府、広島県、福岡県で試験を受けることが出来ます。
試験科目
試験はマークシートです。
出題形式は五肢択一を基本とする多肢選択形式で、出題数は163問、総試験時間数は275分間です。
配点は1問1点の163点満点です。275分間というのは長いように見えてしまいますが、この試験は時間が足りなくなる人が多いです。
1問にかけられる時間は平均して1分程度といわれています。
精神保健福祉士法施行規則第6条の規定によって試験科目の一部免除を受けた受験者は、配点は1問1点の80点満点です。
試験科目
- 精神疾患とその治療
- 精神保健の課題と支援
- 精神保健福祉相談援助の基盤
- 精神保健福祉の理論と相談援助の展開
- 精神保健福祉に関する制度とサービス、精神障害者の生活支援システム
- 人体の構造と機能及び疾病
- 心理学理論と心理的支援
- 社会理論と社会システム
- 現代社会と福祉
- 地域福祉の理論と方法
- 福祉行財政と福祉計画
- 社会保障
- 障害者に対する支援と障害者自立支援制度
- 低所得者に対する支援と生活保護制度
- 保健医療サービス
- 権利擁護と成年後見制度
免除される場合
社会福祉士の登録をしている方は、受験の申し込みをするときに指定の書類を提出すれば、社会福祉士試験と共通する11科目が免除されます。
免除される科目は、次の科目です。
- 人体の構造と機能及び疾病
- 心理学理論と心理的支援
- 社会理論と社会システム
- 現代社会と福祉
- 地域福祉の理論と方法
- 福祉行財政と福祉計画
- 社会保障
- 障害者に対する支援と障害者自立支援制度
- 低所得者に対する支援と生活保護制度
- 保健医療サービス
- 権利擁護と成年後見精度
つまり、社会福祉士の資格を持っていて、11科目が免除された場合、精神保健福祉士国家試験の受験は以下の5科目です。
- 精神疾患とその治療
- 精神保健の課題と支援
- 精神保健福祉相談援助の基盤
- 精神保健福祉の理論と相談援助の展開
- 精神保健福祉に関する制度とサービス、精神障害者の生活支援システム
採点方式と合格基準
出題形式は、五肢択一を基本とする多肢選択形式です。
合格するには、次の2つを満たさなければなりません。
- 問題の総得点の6割くらいを基準として、問題の難易度で補正した点数が基準点以上の者
- 得点を満たした者のうち、試験科目16科目群の全ての科目で得点があった者
配点は1問1点で、163点満点です。
1科目でも0点があると不合格になってしまうので、注意が必要です。
合格点は年によって違います。
基本的には、得点を6割ほど取っていれば合格できますが、毎年合格点が違うのと難易度での補正があることも考えると、7割ほどの得点を取れるようにしておくのがいいです。
規定によって試験科目の一部免除を受けた受験者は、配点は1問1点で80点満点です。
取得に必要な勉強などの費用
高卒の方は、福祉系4年制大学を通信課程で修了すると、費用をおさえて受験資格を満たせます。
仕事を続けながらでも、大学を修了できるのも通信制のメリットです。
ただ、通信課程といっても対面の授業は年に10日間程度出席する必要があります。
出来るだけ近場の大学がいいと思います。
多くの通信制の大学は入学試験がなく、書類選考なので入学するのは難しくないです。
通信制大学の学費は、通う大学よりも安く、4年間で約80万円くらいのところが多いです。
1年間の通う学校の場合は、精神保健福祉士学科で120万円ほどのところがあります。
受験料
第25回の受験料は以下の通りでした。
第25回試験の実施日:令和5年2月4日から令和5年2月5日
精神保健福祉士の受験料:24140円
精神保健福祉士と社会福祉士を同時に受験する場合:36,360円(精神保健福祉士19,520円+社会福祉士16,840円)
精神保健福祉士の共通科目免除により受験する場合:18,820円
受験申込方法
初めて試験を申し込む方は、期限までに受験の手引を請求して、郵送による受験申し込み手続きをします。
申込に必要な書類(例.第○○回精神保健福祉士国家試験『受験の手引』)を請求して、受験申込書及び必要な書類を完備して、受験申し込み受付期間内に郵送により提出する必要があります。
過去に試験を受けている方は、インターネットによる受験申込ができます。
公益財団法人・社会福振興・試験センターのホームページの、精神保健福祉士国家試験のページに、受験申し込み手続きのところがあります。初めて申し込む方は、インターネットによる手続きはできません。
まとめ
医療系の施設や学校などで精神障害の治療をしたり、精神障害者の社会復帰を促すことをしている人が持つ資格である精神保健福祉士についてと、それを取得するための試験についてでした。
精神保健福祉士国家試験は、その名の通り国家試験です。
高卒では受験資格が認められないので、この資格を取るためには4年制の大学や2年制の短大などに通っていないといけません。
合格率とは違いますが、合格者の数は男性より女性の方が多いです。
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