森林インストラクターについて

森林インストラクターについて

森林などの自然に癒される人も多いと思います。
近年はアウトドアブームで、里山の森林を訪れる人の数も増えています。
しかし、森林ではちょっとした油断で怪我をしたり病気に繋がる可能性もあります。
そういったリスクを回避するために、森林に関する知識を持つことは必要で、少し調べただけではわからない知識を森林インストラクターなどの指導により得ることが大切です。
その森林インストラクターの資格の取り方についてまとめさせていただきました。

適用する仕事

森林インストラクターは、森林を利用する一般の人にとっての森の案内人です。
自然と森林の仕組みや、森林づくりと林業、野外での活動や教育の方針、安全対策などの森林や林業に関しての知識と野外活動の指導を行います。

業務内容について

森林インストラクターの業務内容には、次のようなものがあります。

森林

森林ガイド

森林散策をしながら、動植物の解説をしたり、森林の仕組みについて教えることが森林インストラクターの仕事の1つです。
森林ガイドは、森林での活動をしたい人が、安全に楽しくやれるように様々な指導をします。
森林インストラクターの指導を受けることによって、森林の知識をつけることができます。

森林での活動の指導

森林インストラクターの仕事には、森林に関する知識だけでなくて、森林内で安全に活動する仕方を教えることも含まれます。

森林には自然資源がたくさんあります。
山菜採りやキノコ狩りをしたり、バードウォッチングして楽しむこともできます。
しかし、森林では毒草や毒キノコなどとの接触や、熊や害虫などとの遭遇といった非常に危険なところもあります。
そういった危険を回避する方法を教えることも、森林インストラクターの役目です。

子どもを対象とした自然教室

子どもを中心としたグループの相手をすることも、森林インストラクターの仕事の一つです。
自然教室や林間学校などのイベントにおいて、森林活動の楽しさだけでなくて危険性も指導し、子どもたちが安全に森林での活動を楽しむための手助けをします。

木材に関する活動

森林インストラクターは、森林づくりの大事さを人々に伝えるために「木材」に関する活動を行うことがあります。
植林や間伐をして林業教室であったり木工教室、炭焼き教室などの木材関連の産業に関する教室を開くことで、より身近な例に触れながら森林づくりの重要性を伝えます。
こういった活動によって、人々と森林の距離を近づけ、都市部と里山をつなぐための重要な役割を担うことにもつながります。

勤務先について

森林インストラクターの勤務先には、次のようなものがあります。

森林センター

公の機関

森林インストラクターの就職先としては、都道府県の農業課や林業課といった森林に関する部署があります。
その他に、国立公園などのビジターセンターなどで森林インストラクターを募集していることもあります。
募集の一例は次のようなものです。

  • 都市地域等に居住していて、採用後に住所を移し、住民票を移動できる方。
  • パソコンの基本操作ができて、情報発信ができる方。
  • 普通自動車免許を取得している方。任期終了後に定住する意欲のある方。

民間企業

正社員としての募集は、アウトドアショップやツアー会社のように森林やアウトドアに関わりのある企業であれば、森林インストラクターの需要はありますが少ないです。
全国でも10件に満たないことが多いです。多くの人はボランティアで活動しています。

NPO

NPOに所属して活動するという選択肢もあります。
ボランティアとしての活動となるため、収入はほとんど得られない可能性がありますが、幅広く活動できる方法です。
ボランティアとして活動を続けるためには、アルバイトを掛け持ちするなどで収入を確保する必要がある場合がほとんどです。

おおよその年収とキャリアパス

森林インストラクターは、ボランティアで活動する人も多いので、あまり収入が見込めるものではありません。
地方自治体へ就職すると、地方公務員としての収入は得られますが、部署が限られるので募集はわずかです。
アルバイトとしての求人が稀にありますが、平均時給は1000~1200円ほどです。
募集がある時期も、多くの利用客が訪れるゴールデンウィークや夏季といった季節限定のアルバイトとなります。

森林インストラクターが活躍する場所としては、自治体や国立公園などの公的機関、アウトドアショップ、ツアー会社などが挙げられます。

認可団体

全国森林レクリエーション協会

森林インストラクターは、一般社団法人「全国森林レクリエーション協会」が認定する民間資格です。
全国森林レクリエーション協会は、森林のレクリエーション利用に力を入れて活動している団体です。

受験条件

受験資格としては、年齢は20歳以上でなければなりません。
また、以下のいずれかに該当する者は、試験の応募資格がありません。

  • 成年被後見人又は被保佐人
  • 公務員で懲戒免職の処分を受けていて、その処分を受けた日から起算して2年を経過していない者
  • 禁固以上の刑に処せられ、その執行を終わった日又は執行を受けることがなくなった日から起算して2年を経過していない者
  • 森林インストラクターの登録を取り消されて、その取り消しの日から起算して2年を経過していない者
  • 破産者で復権を得ない者

合格率

2018年:35.2%
2017年:26.4%
2016年:21.2%

1年当たりの試験実施回数

試験は1年に1回行われています。
令和3年度では、札幌市、仙台市、東京都、名古屋市、大阪市、高知市、福岡市で、9月下旬に筆記試験である一次試験があり、11月下旬に実技試験と面接である二次試験が東京都文京区の林野会館で実施されています。

数字の1

試験科目

試験には、一次試験と二次試験があります。

一次試験

一次試験は4科目です。記述式が中心の筆記試験です。

森林

  • 森林の仕組み
  • 植生の遷移/樹木
  • 森林の動植物/森林の地質
  • 土壌と水文/その他森林に関すること

林業

  • 山村と農林業
  • 森林の効用
  • 森林の施業
  • 木材及び特用林産物(きのこを含む)の利用
  • その他林業に関すること

森林内の野外活動

  • 森林レクリエーション
  • キャンピング
  • ネイチャークラフト
  • その他森林内の野外活動に関すること

安全及び教育

  • 安全の知識(気象を含む)、救急処置法
  • 環境教育、自然保護
  • 指導技術、企画の立て方
  • その他安全及び教育に関すること

二次試験

  • 実技試験 森林インストラクターとしての模擬演技
  • 面接

二次試験の実技では、前もって提示される素材の一つを使って、森林インストラクターとしての模擬演技をします。

全国森林レクリエーション協会が実施している森林インストラクター養成講習、並びに全国森林レクリエーション協会が認定する国や地方公共団体等が実施する森林インストラクターに関する講習の修了者は、申請すると実技試験が免除されます。

採点方式と合格基準

合格/不合格

一次試験では、記述内容の採点がされて、科目別に合否が判定されます。
合格基準は、各科目とも正解率6割以上ほどとなっています。

二次試験の合格基準は、面接と実技の際の態度と動作、説明の要領について項目ごとの評価「良」以上を取った者が合格となります。

取得に必要な勉強などの費用

全国森林レクリエーション協会に参考図書が用意されています。

森林インストラクター養成講習テキスト選集(改訂 7 版)

森林インストラクター養成講習テキスト選集(改訂 7 版)

書籍名:1回で合格!第二種免許完全攻略問題集 赤シート対応 〔2022〕
価格 :3660円 (税込、送料込)

森林インストラクター養成講習で使用するテキストが、科目別に整理されています。
受験のための基本となる参考書です。

「森林・林業体験の基礎」―森林・山の危険と対処―

「森林・林業体験の基礎」―森林・山の危険と対処―

書籍名:「森林・林業体験の基礎」―森林・山の危険と対処―
価格 :500円(税込)

森林・林業体験を実践するときに必要となる、基礎的技術と危険への対処がまとめられています。

「森林環境教育の手引き」

森林環境教育の手引き

書籍名:「森林環境教育の手引き」
価格 :800円(税込)

森林環境教育や自然体験活動を行う際に必要な基礎知識や技術、事例、注意事項等が取りまとめられています。

受験料

受験料:18,000円
注:資格登録料は5,000円です。

受験申込方法

一般社団法人である全国森林レクリエーション協会のホームページから、受験申込書をダウンロードして使用することが出来ます。
申込書には、次の項目を記入します。

  • 試験地(選択できる試験地は用紙に記入されています)
  • 氏名
  • 生年月日
  • 現住所
  • 勤務先又は学校名
  • 最終学歴
  • 受験科目
  • 一般社団法人全国森林レクリエーション協会主催森林インストラクター養成講習の修了年度(該当者のみ)
  • 写真:サイズは縦5~6cm・横4~5cm、本人単身(胸から上正面向のもの、最近6ヶ月以内のもの)

受験申込書などをダウンロードできない場合などは、下記の申込先にご請求が必要です。

申込先
〒112-0004 東京都文京区後楽1-7-12 林友ビル6階
一般社団法人全国森林レクリエーション協会 森林インストラクター係

そうしたら受験申込書、講習申込書などを掲載した冊子「森林インストラクター資格試験のご案内」が送付されます。

請求した場合は、郵便番号、あて先を明記して、140円分の切手を貼った返信用封筒(角2型:長さ33.2cm・幅24.0cm)を同封する必要があります。
封筒の表面に「ご案内請求」と朱書きする必要があります。

まとめ

森林でくつろぐ親子

アウトドアブームの近年、森林に興味を持つ人の数も増えているようです。
森林を訪れる人を案内するのには、森林インストラクターの資格を持つ人に任せると安心です。

動植物の解説や森林の仕組み、山菜採りやキノコ狩り、バードウォッチングの案内なども森林インストラクターに任せられます。
毒草や毒キノコ、猛獣対策などをするには森林インストラクターに任せるとより安心できます。

森林インストラクターはボランティアで活動する人も多く、収入が見込めないことがあります。
地方自治体などへ就職して資格を活かすこともできますが、大きな募集はありません。
アルバイトとしての求人も稀にあります。
森林インストラクターの試験には、筆記試験と実技試験、面接があります。

 

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