今回は「車両系建設機械運転技能者」という少し長めの名前の資格について、ご紹介します。
「車両系建設機械運転技能者」とは、建設や解体工事の現場で使われるブルドーザーやショベルカーといった重機を運転したり、操作したりする国家資格です。
一般的なトラックと違って、特殊な作業を行うため、専用の免許が必要です。
工事現場で働く人にとってはなくてはならない資格でしょう。
では、そうした重機の免許の取り方をご紹介していきましょう。
Contents
適用する仕事
車両系建設機械運転技能者は、主に3トン以上の車両系建設機械の運転を行うことができる資格を指します。
この対象となる範囲の機械は多いです。
ブルドーザー、トラクターショベルなどの整地・運搬・積み込み用、パワーショベル、ドラグショベルなどの掘削用機械など10以上の重機があてはまります。
それらの免許が車両系建設機械運転技能者のみで、適用できます。
もちろん、これらの重機にも種類分けはされています。
作業の目的と使用する機械やアタッチメントによって、「整地・運搬・積み込み用や掘削用」「解体用」「基礎工事用」「コンクリート打設用」の4種類に分類されます。
この種類分けは講習の実施機関によって、若干変わるかもしれません。
重機の中にはローラーといって「締固め用機械」という種類もあります。
車両系建設機械運転技能者の免許をもって、工事現場で資材を搬入や搬出、あるいは道路や建物を建設したり解体したりします。
そうした作業をするため、操作するには高度な技術と安全性が問われます。
重機をコントロールしますから、非常に集中力が必要になる繊細な仕事なのです。
普通乗用車やトラックなどの自動車とは異なった運転になるので、重機は重機専用の免許を取らなくてはいけないのです。
この資格を持っていないと、重機の運転ができないことはおろか、現場としても成り立たないこともあり得ます。
そのため、車両系建設機械運転技能者はどの重機であっても、建設業界や土木業界においては必要不可欠な資格なのです。
おおよその年収とキャリアパス
年収は会社や取得免許の種別によって異なります。
平均年収は400万円前後だと思われます。
この仕事を重機オペレーターと分類すれば、300万円台の年収と出ている統計もあります。
車両系建設機械運転技能者の資格を取得すると、主に土木・建築関連企業での就職が見込めます。
独立を目指すというよりは、勤務している会社で活躍するのが一般的です。
資格を取得するには講習を受ける必要がありますから、合格すれば仕事の幅は確実に広がります。
現在、建設や土木業界では人手不足が叫ばれています。
そのため、これからも車両系建設機械運転技能者の免許を持っている人は、そうした業界で需要があるでしょう。
認可団体
厚生労働省
受験条件
満18歳以上の方なら講習を受講できます。
あえていえば、健康な方ならなお良いでしょう。
なお、この中で6時間・10時間・14時間・18時間・34時間・38時間とコースが設定されています。
これは特定の資格や業務経験の有無によって講習時間を区分けしており、その中での条件はあります。
コース | 条件 |
6時間 | 車両系建設機械(解体用)運転技能講習の修了者 |
10時間 | 建設機械施工技士1級、または2級の第4種~第6種の合格者 |
14時間 | ・大型特殊免許所有者、または不整地運搬車運転技能講習の修了者
・普通、準中型、中型、大型免許を有し、小型車両系建設機械(整地等)特別教育修了した後、機体質量が3t未満の車両系建設機械の業務経験が3ヶ月以上ある人 |
18時間 | 小型車両系建設機械(整地など)特別教育修了後、機体質量が3t未満の車両系建設機械の業務経験が6ヶ月以上ある人 |
34時間 | 車両系建設機械(基礎工事用)運転技能講習の修了者 |
38時間 | 上記のいずれにも該当しない方 |
合格率
車両系建設機械運転技能者は講習を受けるだけで取得することができます。
講習では、学科修了試験と実技修了試験を実施します。
公式での合格率は発表されていませんが、ほぼ100%といわれています。
1年当たりの試験実施回数
講習回数は実施する機関によって異なります。
試験科目
試験は学科と実技があります。
学科試験
- 走行装置の構造・取扱い
- 作業装置構造・取扱い・作業方法
- 運転知識
- 法令
実技試験
- 走行操作
- 作業装置の操作・合図
採点方式と合格基準
講習後の修了試験に合格すれば取得できます。
技能講習は受からせるための試験ですので、難易度についてはほぼゼロといっても良いでしょう。
講義では、講師の方が重要なポイント覚えるべきところや語句などを指摘してくれます。
講師の方が指摘する箇所のいくつかは、ほぼ修了試験に出ると思って下さい。
学科試験はマークシート方式です。
- 講義の内容を真剣に聞き、ポイントをメモする
- 講義中に居眠りしない
- マークシートの記入ミスに注意
この3点に気を付ければ学科試験は突破できます。
実技試験では、安全確認や掘削作業などの課題があります。
気を付けなければいけないのが、アームの操作方式がJIS規格になっていることです。
日立小松式のレバー操作に慣れてしまっている人は注意しましょう。
取得に必要な勉強などの費用
車両系建設機械運転技能者は講習を真剣に聞くだけで十分合格できます。
市販のテキストも販売されていますが、あえて購入する必要はありません。
よって、勉強の費用は受講料だけで良いと思います。
受講料については、次の項目でお伝えします。
受験料
こちらでは受講料をお伝えします。
しかし、その金額は受講するコースや運転車両の種別によって異なります。
おそらく費用は4~10万円かかるでしょう。
例えば、車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)運転技能講習の38時間コースならば105,000円かかりますが、同じ講習の14時間コースならば44,000円といった設定をしています。
受験申込方法
講習の実施機関は全国各地に複数あります。
自分が受講したい実施機関を調べて、それにしたがって申し込みましょう。
実施機関によっては、申込書がダウンロードできるところもあるようです。
まとめ
今回はブルドーザーやショベルカーといった重機を運転したり、操作したりする国家資格である「車両系建設機械運転技能者」を取り上げました。
この資格は建設や土木の現場で使われるブルドーザー、トラクターショベルなどの整地・運搬・積み込み用、パワーショベル、ドラグショベルなどの掘削用機械などといった重機を扱う免許のことです。
この免許を持っていないと重機を運転してはいけないし、万が一無資格の方が操作してしまったら、運転者だけでなく事業者側も違反になります。(事業主には6ヶ月以下の懲役、または50万円以下の罰金・作業者には50万円以下の罰金)
つまり、「車両系建設機械運転技能者」を取得している人は工事現場では貴重な人材となります。
近年では工事の規模も大きく精密化しており、重機を使用する機会が大変多くなっています。
また、作業の精度も正確性が大変重要視され、資格を有することでそのような現場で作業できる人材になれるのです。
取得の仕方は講習を受けることです。
しかし、難易度は低めで、きちんと講習を聞いていれば合格できるレベルです。
勉強の費用も受講料のみで済みますので、重機の免許を取りたい方や建設現場で働きたい方は講習実施機関を探して受講してみて下さいね。
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