造園施工管理技士とは、屋上緑化や公園、庭園、道路緑化工事など造園工事における適正な施工のための資格です。
営業所ごとに配置しなければならない専任の技術者や、工事現場ごとに配置しなければならない主任技術者や監理技術者を目指せる資格です。
資格を持てば、公園工事や緑地化工事などの造園工事の施工計画を作成できたり、現場の工程管理や安全管理を行えたりできます。
建築関係に就きたい方は、こちらの方面の資格も目指してみてはいかがでしょうか。
ぜひご覧ください。
Contents
適用する仕事
造園施工管理技士とは、国家資格である「施工管理技士」の1つで造園工事の施工管理を行うのが仕事です。
ちなみに、認可団体である国土交通省の告示によると、造園工事とは「整地、樹木の植栽、景石(けいせき)のすえ付けなどにより庭園、公園、緑地などの苑地を築造し、道路、建築物の屋上などを緑化したり、植生を復元したりする」工事らしいです。
おもな業務として、施工計画を作成したり、工程管理や品質管理、および安全管理を行なったりするなどといった、造園工事に関する監督業務をします。
具体的には、公園や学校の校庭、大型マンションや道路の緑化など、緑に関わる幅広い分野での工事を手掛けます。
勤務先によっては、ゴルフ場のような広大な土地を扱ったり、公共施設の緑化事業に携わったりすることもあります。
おおよその年収とキャリアパス
造園施工管理技士の平均年収は、2022年1月時点の求人情報によると300万~650万円ほどのようです。
造園施工管理技士の資格は実務経験を積まないと取得できないため、一般の職人と比較するとやや高めの年収です。
この仕事は技術職であるため、経験やスキルがある人ほど多くの収入を得やすい傾向のようです。
また、造園施工管理技士には1級と2級の資格がありますので、それらの資格を持っていることで資格手当を支給する会社も多いです。
具体的には、2級で月に3千円~5千円程度、1級では月に1万円~2万円も手当が出るそうです。
この他にも試験を合格したときには、報奨金が別途支払われる場合もあります。
造園施工管理技士は施工管理技士の中の1つです。
そのキャリアパスは2級取得からスタートし、1級の資格取得、そしてその先へとキャリアアップの道が続いています。
1級を取得すると、現場のスペシャリストになれます。
2級施工管理技士がなれるのは主任技術者や管理技士どまりですが、1級を取得すれば業務範囲が広がります。
そして、その先のキャリアアップですが、そのままキャリアを積んでいくことも可能ですし、ベテランになれば独立も可能です。
独立する際は営業力も必要になりますが、社長になれるという道も開かれます。
この資格は1級取得と現場での実務経験があれば、60代でも重宝されるといわれています。
認可団体
国土交通省
受験条件
1級・2級とも、第一次検定と第二次検定があり、それぞれ受験条件が設けられています。
2級
第一次検定
17歳以上の者(在学中も受験可能)
※第一次検定のみを合格した人は「2級造園施工管理技士補」が与えられます。
第二次検定
【職歴など】
・2級造園施工管理技術検定 第一次検定の合格者で下記の実務経験がある者
・前年度2級造園施工管理技術検定・学科試験に合格したものの、実地試験で不合格または欠席をした者
・技術士法による第二次試験のうち、技術部門を建設部門、農業部門(選択科目を「農業土木」とするものに限る)、林業部門及び森林部門(選択科目を「林業」または「森林土木」とするものに限る)あるいは総合技術監理部門(選択科目を建設部門に係わるもの、「農業土木」「林業」または「森林土木」とするものに限る)の合格者で、2級造園施工管理技術検定・第一次検定の受検資格を有する者
【学歴】
学歴 | 実務経験年数 | |
指定学科 | 指定学科以外 | |
・大学 ・専門学校を卒業し「高度専門士」と称する者 |
1年以上 | 1年6ヶ月以上 |
・短期大学や高等専門学校 ・専門学校を卒業し「専門士」と称する者 |
2年以上 | 3年以上 |
・高等学校 ・専門学校 |
3年以上 | 4年6ヶ月以上 |
その他 | 8年以上 |
1級
第一次検定
1.学歴
学歴 | 実務経験年数 | |
指定学科 | 指定学科以外 | |
・大学 ・専門学校を卒業し「高度専門士」と称する者 |
3年以上 | 4年6ヶ月以上 |
・短期大学や高等専門学校 ・専門学校を卒業し「専門士」と称する者 |
5年以上 | 7年6ヶ月以上 |
・高等学校 ・専門学校 |
10年以上 | 11年6ヶ月以上 |
その他 | 15年以上 |
2.2級造園施工管理技士合格者
3.職業能力開発促進法第44条による1級「造園」の技能検定合格者
4.第一次検定のみ受験者
詳しい条件は「建設管理センター」のホームページをご覧ください。
※第一次検定のみを合格した人は「1級造園施工管理技士補」が与えられます。
第二次検定
・1級造園施工管理技術検定 第一次検定の合格者で下記の実務経験がある者
・前年度1級造園施工管理技術検定・学科試験に合格したものの、実地試験で不合格または欠席をした者
・技術士法による第二次試験のうち、技術部門を建設部門、農業部門(選択科目を「農業土木」とするものに限る)、林業部門及び森林部門(選択科目を「林業」または「森林土木」とするものに限る)あるいは総合技術監理部門(選択科目を建設部門に係わるもの、「農業土木」「林業」または「森林土木」とするものに限る)の合格者で、1級造園施工管理技術検定・第一次検定の受検資格を有する者
合格率
2級造園施工管理技士
年度 | 第一次検定 | 第二次検定 |
令和3年度 | 51.7% | 42.6% |
令和2年度 | 58.3% | 32.5% |
令和元年度 | 50.9% | 37.6% |
1級造園施工管理技士
年度 | 第一次検定 | 第二次検定 |
令和3年度 | 35.9% | 40.0% |
令和2年度 | 39.6% | 41.0% |
令和元年度 | 37.0% | 39.6% |
1年当たりの試験実施回数
1級は年1回です。
2級は年2回ですが、1回目は第一次検定のみ実施されます。
試験科目
1級・2級、第一次検定・第二次検定、それぞれ試験内容が異なります。
2級
第一次検定は土木工学等、施工管理法、法規です。
第二次検定は施工管理法(記述式)です。
1級
第一次検定は造園原論、造園材料、植栽、造園施設、土木工学、関連工事、測量・設計図書、施工管理、法規など幅広い分野から出題されます。
第二次検定は経験記述問題が1問、その他記述問題(造園工事、施工管理)が2問出されます。
採点方式と合格基準
第一次検定は、1級・2級どちらとも四肢択一式です。
第二次検定は記述式です。
1級の記述式の採点基準は「具体性」です。
施工管理(工程・安全・品質管理)について指定されたテーマに基づき、実際に担当した現場概要や発生した問題点、そしてその対処策を記載するルールのなかで、どのような知識を使って現場を推進したかを数字や用語などを織り交ぜながら記述するのがポイントです。
合格基準は1級・2級、第一次検定・第二次検定とも満点中、60%以上の得点率で合格です。
取得に必要な勉強などの費用
勉強方法としては、まずは参考書に目を通して、あとはひたすら過去問を解くことだそうです。
おすすめテキスト
例題で学ぶ!!2級造園施工管理技術検定 第1次検定
出版社名:弘文社
商品名:例題で学ぶ!!2級造園施工管理技術検定 第1次検定
価格:¥2,970(税込)
こちらは2級造園施工管理技士(第1次検定)受検のための問題集です。
2級造園施工管理技士 第2次検定対策
出版社名:弘文社
商品名:2級造園施工管理技士 第2次検定対策
価格:¥2,970(税込)
こちらは2級造園施工管理技士試験に向けての、施工経験記述対策用のテキストです。
記述例を豊富に収録しています。
独学サポート事務局を利用する
第二次検定で記述式の問題が出されるため、何度も不合格になってしまっている方や、作文や長い文章を書くのが苦手な人は苦労されると思います。
そんなときは、施工管理技士試験向けの経験記述問題の添削・代行サービスが使えます。
作成した解答をしっかりと添削してもらうことで、指摘と修正を繰り返す中で磨きがかかって高得点を狙えるようになります。
作文作成代行サービスの料金は、1級コースが7,800円、2級コースが6,800円です。
いずれも税込です。
受験料
2級は第一次検定・第二次検定両方だと14,400円、それぞれ単独ですと7,200円ずつです。
1級は第一次検定、第二次検定それぞれ14,400円ずつです。
受験申込方法
申込は簡易書留郵便による個人別申込で行います。
締切日の消印のあるものまで有効です。
受験者本人が記入のうえ、申込を行なってください。
申し込むには、願書を入手します。
申込用紙は「第一次検定・第二次検定」「第一次検定のみ(前期)」「第一次検定のみ(後期)」「第二次検定のみ」の4種類があります。
いずれも1部600円で販売されています。
販売場所は「一般財団法人 全国建設研修センター」のホームページ(申込販売はこちら)に掲載されています。
なお、受検区分「第一次検定・第二次検定」と「第二次検定のみ」の再受験者は、インターネット申込が可能となりましたので、そちらをご活用ください。
まとめ
今回は施工管理技士の1つである「造園施工管理技士」について紹介しました。
名前のとおり、こちらは屋上緑化や公園、庭園、道路緑化工事など造園工事に関する資格です。
受験するためには、掲載されている受験条件を満たさなければなりません。
試験も第一次検定と第二次検定の2つがあり、記述式の問題も出されます。
勉強する方法として参考書の他に、記述式用の文章を添削してくれるサポート事務局も見つけましたのでそちらも利用してみてください。
造園施工管理技士の資格を取得すると、造園工事に関する監督業務を任され、仕事の幅が広がります。
造園方面を目指したい方は、こちらの資格も検討してみてはいかがでしょうか。
もし1級取得と現場での実務経験があれば、キャリアとして長く重宝されますよ。
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