情報デザイン試験は、文部科学省が後援する民間の検定試験、通称「J検」の一つです。
J検は累計出願者数140万人を超える人気資格です。
その中の情報デザイン試験は情報を「受け取り」、「伝える」能力を総合的に評価し、情報の収集、分析力、論理力、表現力、提案力などのコミュニケーション能力を測ります。
以前は「共通科目」と、「ビジュアルデザイン分野」「インタラクティブメディアデザイン分野」、「プレゼンテーションデザイン分野」の3種の中から選択する形式でしたが、2009年より「初級」と「上級」の2種類になりました。
ではこの試験がどういったものなのか、概要を見ていきましょう。
Contents
適用する仕事
この試験に合格すれば就職が決まるということではありません。
とはいえ、この資格は思考法やコミュニケーションなどを総合的に評価するので、高校生や大学生にとっては将来の就職への選択肢が広がることがわかります。
このことからどういった職種にも対応していますが、強いていえばマーケティング部門で有利になることが考えられます。
というのも、マーケティング職に必要とされるスキルと情報デザイン試験で測られる能力は、「情報収集力」や「分析力」、「想像力」、「思考力」、「コミュニケーション力・プレゼンテーション能力」など共通する点が多いです。
また動画配信やSNSなどを通じて仕事をしていきたい方は、情報をわかりやすく伝えることができるようになるということも考えられます。
コミュニケーション能力に関しては、職種問わず「企業が欲しい人材」ランキングで常に上位にランクされています。
これはどの企業のアンケートサイトにおいても同様です。
何よりこの検定に挙げられる基礎的な能力を持つことで、情報を伝えるための知恵や工夫が身に付き、伝え方に幅が広がるそうです。
ビジネスのあらゆる面において豊富なアイディアがあれば、大きな武器となりえます。
このことは情報デザイン試験上級を取得したら尚更です。
これから就職や転職をされる方や新たにマーケティング・広報担当に就いた方、オンラインで情報発信や自己表現をしたい方などはこの資格に最適です。
おおよその年収とキャリアパス
ここでは、スキル面において比較的共通点の多いマーケティング職を一例として挙げていきます。
地域により異なりますが、正社員であれば年収380~440万円、派遣社員であれば時給1,200円~1,400円がおおよその目安です。
正社員の初任給では平均22万円が相場のようです。
キャリアパスとしては、マーケティング担当者として実務経験を積み、リーダー→マネージャー→ディレクター→CEOになる管理職への道筋があります。
管理職以外では、マーケティングの専門家として活躍していくこともできます。
その際、スキルアップとして実践的または専門的な資格を取得することが望まれます。
実践的な資格では「Webアナリスト検定」やIMA検定(Internet Marketing Analyst)、B to Cマーケティングにおいて実践的な「販売士検定」などが挙げられます。
専門性の高い資格では「GAIQ(Google Analytics Individual Qualification)」や「Google広告の認定資格」、「ウェブ解析士」といった資格が注目されています。
とくにWebマーケティングの需要は年々高まっている傾向なので、マーケティング担当者になったら少なくとも1つは取得しておくと良いでしょう。
認可団体
認可団体は一般財団法人 職業教育・キャリア教育財団 検定試験センター (旧 専修学校教育振興会)です。
〒102-0073 東京都千代田区九段北4-2-25 私学会館別館11階
TEL:03-5275-6336 FAX:03-5275-6969
受験条件
年齢、国籍問わず受験可能です。
合格率
試験がCBT方式に変更されてからは、試験結果が非公開になっています。
1年当たりの試験実施回数
通年実施のCBT方式を採用しており、受験者の希望で日程を決めることができます。
CBT方式は以前よりカンニングや問題漏えいといったセキュリティ面からも推奨され始めていましたが、新型コロナウィルスが蔓延するようになって以来、受験者を分散させるという観点から採用する資格試験が増えています。
試験日を自由に決められるというのは受験者にとって便利ですね。
試験科目
- 情報デザインの考え方:(1)情報デザインとは (2)情報とモラル
- 情報の収集と整理:(1)調査の考え方 (2)調査手法 (3)分析と整理
- 問題解決と発想:(1)問題解決の考え方 (2)問題解決手法
- 情報の構造化と表現:(1)情報構造の考え方 (2)情報表現の手法
- 情報の伝達と評価:(1)情報の伝達 (2)評価とフィードバック
出題範囲は初級・上級ともに同じです。
初級では情報社会で問題解決を行ううえでの基礎的能力が、上級では初級の知識・技術を前提とした実践応用力が評価されます。
採点方式と合格基準
初級、上級ともに100点満点中60点以上で合格です。
合否の判定はその場でわかり、合格者にはデジタル合格証が無料で交付されます。
取得に必要な勉強などの費用
日本能率協会マネジメントセンター出版の「改訂版 J検情報デザイン完全対策公式テキスト」が、2,420円で販売されています。
テキストの構成が講義から演習の順に掲載されているので、初級・上級ともに役立つ内容となっています。
初級はほぼテキストの内容から出題されますが、上級は初級の応用となるため、テキストに載っていない内容が出題されるそうです。
とはいえ、テキストをよく読み込んでおけば、対応は十分に可能だと言われています。
上級を受験するならば、単なる暗記ではなく深い理解が必要ということのようです。
初級であれば過去問もあります。
過去問は公式サイトからダウンロードできます。
受験料
初級:4,000円、上級:4,500円です
受験申込方法
J検(一般財団法人 職業教育・キャリア教育財団 検定試験センター)のWebサイト内、「J検の検定実施要項」のページから案内に従ってお申込みください。
初・上級併願受験も可能です。
まとめ
情報デザイン試験と聞いて、Webデザインやグラフィックデザインに関する資格試験を思い浮かべる方も多いと思います。
もちろんこれらの要素も入っていますが、試験内容などを調べていくうちに、ビジネスパーソンに必要な思考法やコミュニケーションなどについても総合的に判定する試験だということがわかりました。
テレビCMなど、マスメディアで一斉に商品やサービスを宣伝するといった過去の販売方式から、WebサービスやSNSがビジネスの中心に移りかわりつつある現代は、消費者一人ひとりに合った有益情報や商品・サービスを提供し、評価や宣伝を拡散してもらうという手法にシフトしています。
こうした時代背景が、この資格が生まれた要因となっているのかもしれません。
この資格は初心者に向けたものなので、テキストを用いて独学で十分対応できます。
何かしら基本ソフトを扱えることに加え、「いかに必要な情報をピックアップし、相手に理解してもらえるように表現するか」というように情報を上手く伝えることが求められています。
就職や転職を希望される方は、基礎知識を身に着けるうえでも年代問わず、まずは取得を考えてみてはいかがでしょうか。
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