赤十字救急法救急員とは、日本赤十字社がさだめる技術認定の1つです。
2日間の日程で事故や急病、災害時などを想定した救急手当や応急手当を受講します。
最終日に行われる筆記試験と実技試験に合格すれば、救急法救急員として認定されるそうです。
わりと短い期間で取得できるのですね。
ちなみに、赤十字救急法救急員試験は民間資格です。
この資格はお仕事や日々の生活において、どのように役立つのでしょうか。
資格の内容と意義をみていきましょう。
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適用する仕事
赤十字救急法救急員を受講すると、救急手当や応急手当の知識と技術が得られます。
よって、旅客機の客室乗務員や介護関係、教育関係の仕事に就く人が、事故や急病で倒れた人に出くわしたときのために取得するケースが多いです。
これらの職業は人と関わる仕事です。
そうした職場で勤めているならば、お客様や生徒さんなどといった相手がいます。
人間ですから、いつ事故や急病が起こってくるかわかりません。
それにすぐ119番をしたとしても、救急車はすぐには来ません。
救急車のおおよその到着時間は平均で8分ともいわれています。
もし人間の呼吸が停止していたら、早く蘇生を試みないと助からない可能性があります。
- 呼吸停止後2分→90%
- 呼吸停止後3分→75%
- 呼吸停止後4分→50%
- 呼吸停止後5分→25%
- 呼吸停止後10分→0%
ご覧いただくとおり、救急車だけに頼っていたのでは到着8分という数字は、助かる見込みがとても小さいです。
だから、医療従事者以外にも応急手当を知っていた方が良いでしょう。
応急手当は「誰がやるのか?」ではなく、その場に居合わせた者が行うことがとても重要になります。
けれども、いざ応急手当を実践しようとするととまどってしまいますよね。
こうした予期せぬ事態に備えるためにも、赤十字救急法救急員の受講を受けておくのは良いと思います。
おおよその年収とキャリアパス
この資格だけで収入がアップしたり、キャリアパスにつながったりすることはありません。
この資格メインでの独立もないでしょう。
どちらかというとボランティア活動に適した資格と言えます。
年収は得られませんが、災害時や事故の現場に遭遇した際に、率先してケガ人の手当や現状整理に努めることができる能力が身に付きます。
前項目でも触れたように、災害や事故など緊急の事態が起きたときに、専門の医師や救助隊、消防隊などがすべての事態に対応するのは難しい場合があります。
そうしたときに、赤十字救急法を学んだ人が、ケガ人や急病人などに適切な応急手当をすることで命が助かる例もあります。
この資格を持っていることで、キャリアパスとして特別な任務や重い責任に就けるわけではないですが、予期せぬ事故や災害に出くわしたときに対処方法を積極的に行うことによって、人手不足の解消や専門機関へ移送の際の手助けとなります。
災害や事故はこれからも起こり得ることです。
年収やキャリアパスにこだわらなくても、ボランティア精神のもとで周りに気を配り対応していくことで役に立つことでしょう。
認可団体
認可団体は日本赤十字社です。
1877年5月1日に設立しました。
本部所在地:〒105-8521 東京都港区芝大門1丁目1番3号
- 災害救護
- 社会活動(講習など)
- 青少年赤十字
- 国際活動
- 運動基盤強化の取り組み(赤十字の目的に賛同し、運営に参画する会員の拡充など)
- 社会福祉事業
- 医療事業
- 看護師などの養成
- 血液事業(献血など)
受験条件
赤十字救急法救急員の資格を得るには、あらかじめ「赤十字救急法基礎講習」を修了していることが条件です。
赤十字救急法基礎講習は満15歳以上の者なら、受講できます。
受講人員は30人を標準としています。
合格率
近年の合格率は95%ほどです。
講習を受ければほぼ取得できるといえます。
講習をしっかりと受け、テキストを読み込みながら知識と技術を身に付ければ、それほど難しくはないでしょう。
1年当たりの試験実施回数
全国各地の赤十字社支部や施設で、随時行われていると思われます。
試験科目
講習は赤十字救急法基礎講習と赤十字救急法救急員養成講習の、2段階があります。
基礎講習
基礎講習の内容は、傷病者の観察の仕方や一次救命処置(心肺蘇生、AEDを用いた除細動、気道異物除法)など救急法の基礎を学びます。
手当の基本や人工呼吸、心臓マッサージの方法なども習得できます。
講習時間は約5時間です。
救急員養成講習
救急員養成講習の内容は、急病の手当、ケガの手当(止血、包帯、骨折などの場合の固定)、搬送や救護を学びます。
日常生活における事故防止や、災害時の心得などについての知識と技術も習得できます。
講習時間は2日間の約16時間です。
採点方式と合格基準
基礎講習の場合は、講習の後に実技試験とペーパーテストを受けて、80点以上が合格とされます。
全課程修了者には受講証、検定合格者には赤十字ベーシックライフサポーター認定証が授与されます。
救急員養成講習では、講習の後に総合実技試験とペーパーテストを受けて、こちらも80点以上で合格できます。
全課程修了者には受講証、検定合格者には赤十字救急法救急員(赤十字ファーストエイドプロバイダー)認定証が授与されます。
赤十字の使命を理解し、事故の防止やケガ人・急病人の発生に伴う救護などに効果があると認められると、赤十字救急法救急員の資格に認定されます。
取得に必要な勉強などの費用
赤十字救急法救急員の資格は講習形式です。
基礎講習と救急員養成講習では、テキストが配布されますので受講料以外の勉強の費用はいらないと思われます。
テキストを基に、救急法指導員などの専門家が丁寧に指導してくれますので、その説明や模範実技をしっかりと頭に入れましょう。
最後に行われる修了試験も、基本的な問題が出されますのでテキストや実技の内容を復習しておけば合格できるでしょう。
受講料は次の項目で、お伝えします。
受験料
こちらは受講費です。
基礎講習は1,500円(教材費、保険料などの実費)です。
救急員養成講習は1,800円(教材費、保険料などの実費)です。
受験申込方法
講習の開催、お申し込みや受付などに関しては、赤十字社各都道府県支部が実施しています。
受講を希望される支部のウェブサイトから、受講可能な場所や日程を確認したうえで、該当支部に直接申込みましょう。
講習を開催している支部については、日本赤十字社のホームページを検索していただき、「講習について」→「よくあるご質問」の箇所をクリックすれば探せます。
ぜひ試してみてくださいね。
まとめ
今回は日本赤十字社が認可団体である「赤十字救急法救急員試験」について、みてきました。
こちらの資格は、赤十字の使命を理解し、事故の防止に努めるとともに、ケガ人や急病人に対して赤十字救急法を実践する知識と技術を有していることを認定しています。
【適用する仕事】の欄では、受講している人の職業例を挙げさせていただきましたが該当する人はまだいます。
- 運転する人。特にバイクツーリング仲間がいる人
- スポーツジムに勤務している人
- スポーツ選手やスポーツ指導員
- サーフィンなど水に関わる人
- 登山やスキーなどの山に関わる人
- 介護職にいる人
- 駅や公民館、役所など公共の場所で働いている人
- 船舶の乗組員
- 客室乗務員
- 被災地へボランティア活動をしている人
ご覧いただくとおり、いろいろな方があてはまっていますね。
講習を受けておくと、いざというときに動揺せずに済みますよ。
講習期間は短いですから、時間が空いているときに受講してみてはいかがでしょうか。
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