地質調査をすると言われても、どんな仕事をするのかよくわかりませんよね。
実は建築業界にとって大事な仕事なのです。
そこで今回は地質調査技士について触れていこうと思います。
Contents
適用する仕事
地質調査技士は、地盤の調査・ボーリングの調査等をして、地盤の強度・土質を測る技術者をさします。
地質調査技士の主要な仕事は、建設現場においての地盤の調査・地質の調査、地震・土砂災害についての調査、トンネル・道路のようなインフラの建造物を維持し管理すること、土壌についての状況を把握する調査となっています。
これらのように単純に調査を行うだけではなく、災害の危険性についてや危険性における対策の提示なども地質調査技士の仕事となっています。
地質調査技士は現場での調査だけが仕事ではないです。事前の調査・報告書などの事務作業も行います。
仕事内容は大きく分けて7つあります。
- 地質の調査を行う前に地形・地盤図の資料、周囲の範囲について資料を集め分析すること
- 収集した情報に基づいて現場を歩き、情報の整合性の確認をすること
- 物理探索を行い地質の調査をすること
- ボーリング工事を行う必要がある時は、調査の日程を決めて調査の計画を行うこと
- 実際にボーリング工事を行い、地盤に関するデータ・サンプルの採取をすること
- データに基づいて、災害の危険性・建築物を立てる時の設計に間違いがないかの確認をすること
- 分析を行なったデータを資料にして報告書を作ること
ここからは地盤調査とボーリング工事について見ていこうと思います。
まずは地盤調査です。地盤調査の内容は大きく分けて6つあります。
- 地盤が埋めたて地・切土などの人工的に作られたものなのかの確認をすること
- 地盤に関する強度の確認をすること
- 地盤に関する支持力の確認をすること
- 土質・土層について把握すること
- 地下の水位について把握すること
- 液状化の状態について確認をすること
ボーリング工事は、地面を掘っていき土を採取して地盤の強さ・土質・地盤の種類を調べる工事です。
地盤の強さ・土質・地盤の種類は目で見るだけでは確認できないので、地盤の調査において必須となっています。
おおよその年収とキャリアパス
地質調査技士が行う仕事の平均的な年収は約460万円で、日本のすべての仕事の平均年収と比べても高いと言えます。
月給で見ると約38万円、初任給は約21万円が相場です。
アルバイトの平均的な時給は約1,000円、派遣社員の平均的な時給は約1,500円となっています。
正社員の給料を詳しく見ていくと340万円から400万円が多い傾向で、さきほど述べた平均年収約460万円はこれらの傾向より高めの水準になっています。
認可団体
認可団体は全国地質調査業協会連合会です。
受験条件
地質調査技士の受験条件は各部門によって異なってきます。
現場調査部門
現場調査部門では、ボーリング実務経験が通算で5年以上の方、または協会が指定する指定学科を卒業した方は2年以上の実務経験が必要です。
現場技術管理部門
現場技術管理部門では、大学・工業高等専門学校の建築学科・土木工学科・地質学科等地質調査に関係している学科を卒業して実務経験が3年以上の方。
または、大学・工業高等専門学校の前に挙げた学科以外の理工学科を卒業したのち実務経験が5年以上の方。
または実務経験が8年以上の方。
土壌地下水汚染部門
土壌地下水汚染部門では、大学・工業高等専門学校の建築学科・土木工学科・地質学科等地質調査に関係している学科・化学等環境に関係している学科を卒業して実務経験が3年以上の方。
または大学・工業高等専門学校の前に挙げた学科以外の理工学科を卒業したのち実務経験が5年以上の方。
または実務経験が8年以上の方。
合格率
合格率は現場調査部門が約39パーセント、現場技術管理部門が約32パーセント、土壌地下水汚染部門が約32パーセントです。
1年当たりの試験実施回数
地質調査技士の1年当たりの試験実施回数は、7月の第2土曜日に年1回行われています。
試験科目
地質調査技士の資格は部門で3つに分かれていて、それぞれ範囲が違います。
なお、土壌・地下水汚染部門の試験は、令和3年度の実施をもって当分の間休止していますので、参考程度にご覧ください。
現場調査部門
1つ目は現場調査部門です。4つのうちから1つを選択する筆記試験が80問・記述の筆記試験が2問・口頭の試験が試験形式となっています。
80問の筆記試験は必須問題が60問・岩盤の分野を20問か土質の分野20問のどちらかを選んで試験を行います。
出題内容は
- 社会一般、入札、建設行政、契約制度
- 土木、測量、地質、建築一般
- 専門技術、現場
- 調査技術の理解
- 管理法
記述式の問題は安全管理、ボーリング作業管理、工程管理、品質管理の問題です。
口頭試験の問題は、地質調査のボーリングに必須の知識・経験、実務経歴・経験が聞かれています。
現場技術管理部門
2つ目は現場技術管理部門です。4つのうちから1つを選択する筆記試験が100問・記述の筆記試験が2問の問題となります。
出題内容は
- 建設行政、社会一般、入札、契約制度
- 測量、地質、建築一般、土木
- 専門技術、現場
- 調査技術理解
- 設計、解析手法、施工適用
- 管理技法
記述式の問題は倫理綱領で1問、地質調査技術は選択式で、土質と岩石試験技術1問、地質調査の全般2問、物理探査・検層技術1問の中から1つを選んで解答します。
土壌地下水汚染部門
3つ目は土壌地下水汚染部門です。4つのうちから1つを選択する筆記試験が100問・記述の筆記試験が2問の問題となります。
出題内容は
- 建設行政、社会一般、入札、契約制度
- 測量、地質、建築一般、土木
- 専門技術、現場
- 調査技術理解
- 管理技法
記述式の問題は倫理綱領で1問、土壌地下水汚染調査計画・修復のうちから3問が出題されて、そのうち1問を解答します。
採点方式と合格基準
合格基準は現場調査部門は60パーセント以上で、現場技術管理部門と土壌地下汚染部門で70パーセント以上で合格です。
取得に必要な勉強などの費用
過去問が全国地質調査業協会連合会のホームページで、公開されています。
受験料
受験料は18,480円です。
受験申込方法
まずは、受験願書を地質関連情報Webのサイトからダウンロードします。
受験申し込み手続きに必要な書類は6つあります。
- 受験願書
- 受験写真票
- 健康保険証全面の写し
- 地質調査技士資格認定書の写し
- 卒業証明書
- 受講修了証
ただし、これらのうち必要のない場合もあります。
- 地質調査技士資格認定の写しは、指定された学科を卒業した方のみ提出してください。
- 卒業証明書は現場調査部門を受験する者のなかで、地質調査が目的のボーリング機器等の操作をする実務に関して5年以上の経歴がある者、中央工学校土木建築科・中央工学校土木測量科を卒業した者、現場技術管理部門、土壌地下水汚染部門を受験する者のうち、実務経験が8年未満の者の方は提出します。
- 卒業証明書は受験資格に必要な実務経験年数を見極めるために使います。
- 受講修了証は富士教育訓練センターか、全国建設研修センターが主催する講習会を受講した者は提出が必要です。
- 講習会受講の修了証を提出した方は、受講加点制度に基づいて検定試験の採点の際に加点をします。
まとめ
地質の調査は建物を建築する際に、災害を防ぐ点でも重要な仕事となっています。
とても重要な仕事なのでやりがいも感じられると思います。
この地質調査技士に該当する仕事は、年収も高めなので建築現場などで働きたい方は取得に挑戦するのを検討してみてはいかかでしょうか。
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