今日は調理に関係のある「食品衛生管理者」という資格について、ご紹介します。
食品衛生管理者とは、食品や添加物を製造・加工する施設で、食品の衛生を管理する国家資格のことです。
指定の食品を加工したり、製造したりするにあたって配置を義務付けている資格です。
この資格があれば、食品業界に就職する際に有利になりますよ。
どのように取得するのか、みていきましょう。
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適用する仕事
食品衛生管理者は食品を製造する工場などで加工や製造をする過程で、特に衛生状態に気をつけなければならない場合に選任される資格です。
この資格保有者を配置する工場は、いろいろあります。
- 全粉乳(容量が1,400g以下である缶に収められるもの)
- 加糖粉乳
- 調整粉乳
- 食品製品(ハム、ソーセージ、ベーコンなど)
- 魚肉ハム
- 魚肉ソーセージ
- 放射線照射食品
- 食欲油脂(脱色または脱臭の過程を経て製造されるものに限定)
- マーガリン
- ショートニング
- 添加物(食品衛生法第13条第1項の規定により規格が定められたもの)
また、工場以外にも飲食店や食堂、食品販売店(スーパーやコンビニなど)や食品に関する営業を行う企業などにも、食品衛生管理者を配置する場合があります。
食品衛生管理者が主に行う業務は、食中毒の防止と食品衛生法の順守です。
食中毒は一度発生してしまうと、すぐ工場全体に広がってしまいます。
ですので、職場の衛生管理を徹底し、従業員に対しても衛生教育を適切に行わなければなりません。
施設内の従業員教育や巡回指導などの他にも、例えば新製品を開発する際の製造ラインの設備や、作業オペレーションの作成における安全衛生面からの確認や指導なども該当します。
食品衛生管理者を配置した際や変更したときは、製造業者や加工業者は15日以内に営業所所在地の保健所に届け出なければなりません。
また、似たような資格名に「食品衛生責任者」というものがあります。
食品衛生責任者とは、飲食店や販売店などの食品製造施設といった職人に携わる業務を行なっている施設につき、必ず一人は選任しなくてはならない役職です。
開業を目指していても、食品衛生責任者を配置できなければ、開業できないことになっています。
厚生労働省が管轄する食品衛生管理者に対して、食品衛生責任者は自治体が管轄する公的資格です。
営業許可が下りた施設一つにつき一人の選任が必要なため、営業許可の更新時に実務講習の受講が必須となります。
食品衛生管理者よりも取得するのが易しいといわれています。
おおよその年収とキャリアパス
食品衛生管理者というのは、役職に近い資格です。
任用されて活かされる資格ですので、勤務する工場によって年収も異なってきます。
食品工場の正社員の平均年収は370万~390万円ほどです。
日本全体の平均年収が445万円ほどなので、だいぶ低い数値です。
工場長や製造責任者ともなると、もう少し収入が多いようです。
とはいえ、食品衛生管理者も製造責任者の1人には違いないと思いますので、資格手当が加わるかもしれません。
前項目でも挙げたように、食品衛生管理者の資格を保有していれば、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの小売店で取り扱っている食品加工工場や調理を行う飲食店でも責任者として働くことができます。
助言や指導も行える資格なので、食品メーカーの開発部門などへの転職にも有利に働くことがあります。
ただし、施設内で必要な役職となる資格ですので独立はできません。
認可団体
厚生労働省
問い合わせ先
厚生労働省 医薬食品局 食品安全部企画情報課
〒100-8916
東京都千代田区霞が関1-2-2
TEL:03-5253-1111
講習会の開催団体
登録講習会を開催しているのは「公益社団法人 日本食品衛生協会」あるいは「公益社団法人 全国食肉学校」です。
日本食品衛生協会
〒150-0001
東京都渋谷区神宮前2-6-1
公益事業部
TEL:03-3403-2112
1948年11月1日に社団法人日本食品衛生協会が設立しました。
そして、2013年4月1日より公益社団法人として、内閣総理大臣より認定を受けてスタートしています。
全国食肉学校
〒370–1103
群馬県佐波郡玉村町大字樋越1794
TEL:0270–65–2571
FAX:0270–65–9274
受験条件
次のいずれかに該当する者です。
- 医師、歯科医師、薬剤師、獣医師
- 学校教育法に基づく大学において、医学、歯学、薬学、獣医学、畜産学、水産学、農芸化学の課程を修めて卒業した者
- 都道府県知事の登録を受けた食品衛生管理者の養成施設において、所定の課程を修了した者
- 学校教育法に基づく高等学校や中等教育学校、厚生労働省令の定めるところによりこれらの者と同等以上の学力があると認められる者で、食品衛生管理者を置かなければならない製造業や加工業において、食品や添加物の製造、または加工の衛生管理の業務に3年以上従事して、かつ都道府県知事の登録を受けた講習会の課程を修了した者
つまり、食品衛生管理者養成施設として登録を受けた大学などにて所定の課程を修了した方は、食品衛生管理者になることができます。
合格率
この資格は試験ではなく、講習を受けて取得するので合格率はありません。
講習を受けた後の修了試験はあるらしいです。
1年当たりの試験実施回数
不定期です。
開催地により異なります。
ただし、受講期間は1~2ヶ月間です。
試験科目
一般科目と専門科目があります。
一般科目
公衆衛生概論
食品衛生法および関係法令
食品、添加物等の基準規格
化学概説
細菌学序論
毒物学
食中毒学
食品学(栄養学)
施設における衛生管理
専門科目
食肉製品関係科目
細菌学実習
食肉製品検査法
食肉製品検査実習
施設見学および臨地訓練
添加物関係科目
分析法概論
添加物鑑定法
添加物鑑定実習
施設見学および臨地訓練
乳製品関係科目
細菌学実習
乳製品検査法
乳製品検査実習
施設見学および臨地訓練
採点方式と合格基準
一般科目で132時間以上、専門科目で50~70時間以上講座を受けます。
規定の講習を受講し、修了すれば資格取得となります。
ただ、受講期間がありますので、働きながら取得を目指す人は、スキマ時間を利用した学習方法が取れるようにしておきましょう。
取得に必要な勉強などの費用
勉強の費用は受講料だけで十分です。
受講料は次の項目でご説明します。
または、食品衛生管理者養成施設として登録を受けた大学などにて、食品衛生管理者の資格を取りたいと思っている方は、その学費が要ります。
受験料
こちらは受講料でして、283,800円(税込・教材やテキスト代を含む)かかります。
ただし、インターネット使用料や通信料、開催会場までの交通費、宿泊費、食事代などの個人の費用は含まれていません。
受験申込方法
厚生労働省のサイトを検索していただき、食品衛生管理者の登録講習会の情報を探しましょう。
あとは【認可団体】の欄で明記したように、「公益社団法人 日本食品衛生協会」あるいは「公益社団法人 全国食肉学校」のどちらかの団体にお尋ねになってください。
まとめ
今回は「食品衛生管理者」についてみてきました。
この資格は主に、食肉や添加物を製造する食品工場での衛生管理を担うのに配置が義務付けられている役職です。
選任された方は食中毒を防止し、食品衛生法を順守します。
この資格を取得するには、講習を受ける必要があります。
講習では多くの科目を学びます。
受講期間も1~2ヶ月と長めにとってあります。
もし、この記事をお読みになっている方が高校生なら、食品衛生管理者の資格が取れる学校があるので、そちらに進学しながら取得しましょう。
受講資格の中で特定の職業や出身学科にあてはまらない方は、働きながら講座を受けるだろうと思います。
多くの時間を講座に費やさなければならないので、スキマ時間を使って勉強していってください。
食品業界に勤めている方はこの資格を持っていると重宝します。
該当する業務を3年以上続けていただければ受講資格に適するので、該当する人は講座を受けてみてくださいね。
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