診療報酬請求事務能力認定試験は医療事務の民間資格です。
医療系で必要とされる資格で、難関試験に合格する必要があります。
Contents
適用する仕事
この資格は、病院や歯医者などの医療機関で受付業務や会計処理など、診療報酬請求を正しく行えることを認定するものです。
医療事務の仕事をするのに有用な資格です。
この資格を使って働く場所は、病院や診療所でです。
それに、これからの時代、病院や診療所以外でも次のような仕事場でこの資格は必要になってくるでしょう。
おおよその年収とキャリアパス
医療事務の平均年収は、約440万円です。平均年齢は42.9歳です。
全体の平均を取ると、年収は約440万円くらいになりますが、年収200万円台の人も少なくないです。
診療報酬請求事務能力認定試験に合格した場合の給与の上昇は、正社員の場合は月給に5,000円から10,000円の上昇が最近の相場です。
パートの場合は、時給が30円上がるのがここのところの相場です。
この資格を取得した方には、次のような処遇改善が見られます。
- ポストが改善された
- 昇給や手当がつく
- パートから正社員になる
など
認可団体
診療報酬請求事務能力認定試験という検定を実施しているのは、公益財団法人である日本医療保険事務協会です。
厚生労働省後援の検定試験です。
受験条件
受験条件は特にありません。どなたでも受験することが出来ます。
試験地は次の通りです。例年試験会場は全国で17ヶ所あります。
札幌市、仙台市、さいたま市、千葉市、東京都、横浜市、新潟市、金沢市、静岡市、名古屋市、大阪府、岡山市、広島市、高松市、福岡市、熊本市、那覇市
合格率
医科と歯科で分けられます。
医科
第56回(2022年7月):受験者数2,313人:合格者数655人:合格率28.3%
第55回(2021年12月):受験者数4,913人:合格者数1,934人:合格率39.4%
第54回(2021年7月):受験者数3,138人:合格者数1,177人:合格率37.5%
歯科
第56回(2022年7月):受験者数48人:合格者数18人:合格率37.5%
第55回(2021年12月):受験者数76人:合格者数27人:合格率35.5%
第54回(2021年7月):受験者数62人:合格者数22人:合格率35.5%
1年当たりの試験実施回数
年に2回です。
7月と12月に試験が行われています。
試験科目
学科試験と実技試験があります。医科と歯科は同じ試験科目です。
2022年12月11日の第57回診療報酬請求事務能力認定試験の、出題範囲は以下の通りです。
学科試験
学科試験は五者択一式です。
1.医療保険制度等・公費負担医療制度の概要
2.保険医療機関等・療養担当規則等の基礎知識
3.診療報酬等・薬価基準・材料価格基準の基礎知識
4.医療用語及び医学・薬学の基礎知識
5.医療関係法規の基礎知識
6.介護保険制度の概要
学科試験では次に掲げる事項についての試験が、診療報酬請求事務のために必要な能力が備わっていることを認定する為に行われます。
試験科目の概要を解説していきます。
医療保険制度等
1.被用者保険や国民健康保険、退職者医療及び後期高齢者医療等について、それぞれの保険者や加入者、給付、給付率等制度の概要についての知識
2.給付の内容、つまり現物給付及び療養費についての知識と給付の対象外となるもの、給付が制限されるものについての知識
公費負担医療制度
生活保護法、精神保健福祉法、障害者総合支援法、感染症法等の法律に基づく公費負担医療制度及び特定疾患治療研究事業等によって患者の医療費負担が軽減となる制度に関する知識
保健医療機関等
1.保健医療機関(保険薬局)の指定及び保険医(保険薬剤師)の登録についての知識
2.特定機能病院、地域医療支援病院、療養病床等の規定と保健医療の取扱いについての知識
療養担当規則等
「保険医療機関(保険薬局)及び保険医(保険薬剤師)療養担当規則」及び「高齢者の医療の確保に関する法律の規定による療養の給付等の取扱い及び担当に関する基準」は保険医療もしくは後期高齢者医療を担当するときに守るべきルールを規定しているが、その内容についての知識
注:療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等(令和2年5月厚生労働省告示第215号)
診療報酬等
診療報酬点数表(医科、歯科、調剤)は保険医療の際の医療行為の料金表で、診療報酬の算定にあたり様々な取決めがあるが、その算定方法についての知識
入院時食事療養及び入院時生活療養の費用の額を算定するための知識
薬価基準、材料価格基準
保健医療で使用される医薬品、医療材料の価格とその請求方法についての知識
診療報酬請求事務
診療報酬請求書や診療報酬明細書を作成するにあたり必要な知識、作成の実技
医療用語
診療報酬請求事務を行うために必要な病名や検査法、衣料品等の用語及びその略語の主なものの知識
医学の基礎知識
主要な身体の部位、臓器等の位置及び名称(解剖)、それぞれの機能(生理)、病的状態(病理)及び治療方法についての基礎知識
薬学の基礎知識
医薬品の種類、名称、規格、剤形、単位等についての基礎知識
医療関係法規
医療法による医療施設(病院、診療所等)の規定及び医師法、歯科医師法等の医療関係者に関する法律に基づく医療機関の従事者の種類とその業務についての基礎知識
介護保険制度
保険者及び被保険者、給付の内容等制度の概要についての知識
実技試験
診療報酬請求事務の実技を行います。
点数票を含む法令等は、令和4年10月1日に施行されているものです。
診療録、つまりカルテから、手書き方式で診療報酬明細書(レセプト)を作成する試験です。
外来から1問と、入院から1問の計2問です。
実技試験は難関です。
現在の医療現場で、手書きで診療報酬明細書を作成することはありませんが、この試験では手書きでのレセプト作成が必要です。
採点方式と合格基準
学科試験は五者択一式なので正誤判定の採点です。
合格ラインは、実施される試験ごとに異なります。
2022年7月の合格ラインは次の通りでした。
医科
第56回:2022年7月:学科試験70点以上(100点満点):平均点数(参考)68.8点│実技試験80点以上(100点満点):平均点数(参考)70.7点
歯科
第56回:2022年7月:学科試験80点以上(100点満点):平均点数(参考)80.4点│実技試験85点以上(100点満点):平均点数(参考)79.3点
取得に必要な勉強などの費用
試験対策に使える参考書を、何点か紹介させていただきます。
『診療報酬請求事務能力認定』試験受験対策と予想問題集 2022年【後期版】-その他各種医療事務試験にも役立つ-
出版社名:医学通信社
商品名:『診療報酬請求事務能力認定』試験受験対策と予想問題集 2022年【後期版】-その他各種医療事務試験にも役立つ-
価格:¥2,420(税込)
2022年10月時点の診療報酬点数・最新法制度に準拠しています。
2022年7月実施の第56回試験の問題、解説と解答も収録されています。
受験対策の重要点、実践知識の重要点、第51回~第56回試験問題(学科100問、実技10問)、オリジナル予想問題(学科50問、実技4問)から構成されている参考書です。
算定とレセプト作成の大事なところがまとめられている、試験持ち込み資料として便利な「別冊付録・レセプト作成マニュアル2022」も収録されています。
2022年版 ひとりで学べる診療報酬請求事務能力認定試験テキスト&問題集
出版社名:ナツメ社
商品名:2022年版 ひとりで学べる診療報酬請求事務能力認定試験テキスト&問題集
価格:¥2,530(税込)
最新の診療報酬がていねいに解説されています。
試験の出題範囲について図や表を使って整理され、わかりやすく解説されています。
さらに、いくつかの場合ごとに医科診療録(カルテ)から診療報酬明細書(レセプト)を作成する方法も、1章分使って解説されています。
試験会場に持ち込める「レセプト作成早見表」がついています。
他にも、最新の試験問題とその解答解説も別冊でついています。
受験料
受験料は税込みで9,000円です。
受験申込方法
第55回試験から、出願方法はインターネットのみになりました。
推奨ブラウザは次の通りです。
受験申込方法ですが、まず日本医療保険事務協会ホームページの試験実施の案内を確認します。
その案内に従って、期日までにインターネットで受験申し込みをして、受験料を納入します。
学校等で団体扱いを希望する場合、前もってその旨を申し出る必要があります。
受験申し込みから合否の通知までの流れは次の通りです。
1.インターネットで申込み
2.受験料納入
3.受験票の発行(受け取り)
4.試験会場で受験
5.合否の通知(受け取り)
6.合格者に認定証交付
まとめ
病院や歯医者などで診療報酬請求が正しく行えることを認定する資格についてでした。
医療系では、パートタイマーとして働いている方もおられますが、時給アップにもつながります。
また、資格を取ったことでパートタイマーから正社員になった方も居られるようです。
診療報酬請求事務能力認定試験は学科試験と実技試験があり、合格率は30%から40%くらいのことが多いです。
診療報酬明細書を作成する実技試験が難関です。
試験は年に2回行われています。
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