測量士試験について

測量士試験について

皆さんは測量士という職業を知っていますか?
名前ぐらいは聞いたことあるという人もいるかもしれません。

測量士は、道路や会社、家などの建てる前に土地を計測する職業です。
カメラのような機械を使って、土地の距離や角度、高低差などを計測し、地形図を作ります。
測量士が携わる工事には、道路やトンネル、橋などの大型事業も含まれていますので、その成果を目で確認できるのが測量士のやりがいの1つです。

測量士になるには、国土交通省国土地理院が管轄している試験を受けなければなりません。
取得が難しい国家資格だといわれています。
どんな試験内容なのか、どれほど難しいのかを調べましたのでご覧ください。

適用する仕事

測量士の仕事は、土木・建築工事を始める際に土地の位置や形状を正確に測量することです。
測量計画を立て、現地に出向いて、専門の機器や技術を使って地形や位置を測量します。
そして、結果を計算して、工事に必要な基準点を正確に設定します。

測量が終わらないと工事計画が立てられないので、工事現場において重要な役割のある職業なのです。

測量士の他に、「測量士補」という資格もありますが、測量士補の場合は測量計画を立てることができません。
測量士補は測量士が作成した計画に基づいて測量を行うのが仕事です。

測量士.vlog1

測量士の仕事には、屋外で行う「外業」と事務所内で行う「内業」の2つに分けられます。

外業

外業はチームで建築土木の現場に行って、計画書どおりに測量を行うことです。
測量するには、GPS(グローバル・ポジショニング・システム)や関数電卓、トランシット(角度を測る器械)、レベル(高低差を測る器械)、光波測距儀(光を使って距離を測る器械)などの専門機器を駆使して行われます。
測量を行う場所は、町中だけではなく、山の中や湖畔、海峡なども含まれます。
現場によっては、測量するのは測量士補が行い、測量士は全体を統括する側に回ることもあります。

いずれにしても、この作業はミスが許されないので、何回も確認しながら厳密にチェックします。
移動時間も合わせると、拘束時間が長くなるときもあります。

内業

内業とは、外業以外の事務所で行う業務のことです。
予算管理・機器調達・測量計画・製図・測量のデータ分析など、デスクワーク全般が含まれます。
測量士の権限である、測量前の計画書を作成するのも内業のうちの1つです。

外業で観測してきたら、そのデータを基にさまざまな計算を行なった後、測量ソフトを利用して図面作成を行います。
データ量も多く、細かな計算も必要になってくるため、負担も大きい作業ではあります。
しかし、近年ではパソコンに土地測量ソフトウェアを入れて使用している企業もありますから、効率化は進んでいるようです。

おおよその年収とキャリアパス

測量士の平均年収は476万円です。
平均年齢は男性が43.3歳、女性41.3歳のようです。

測量士の賃金の詳細

年齢によって賃金は上昇します。
20代は300万円台ですが、30代~40代にかけては400万~500万円台へと上昇していきます。
ピークは55歳~59歳の599万5,300円でしょう。

そうした中で専門的な測量を担当した場合は、さらに収入が上がります。
専門的とは、ドローンを使う測量や海の深さの測量などがあてはまります。
特に海の測量は全体的に経験者が少ないため、希少価値があります。

また、測量士は残業が多い職種でもあります。
測量する対象地域が広大で、測量作業にも時間がかかるためです。
場所によっては往復の移動時間も長くなりがちです。

内業の場面でも、近年は扱うデータ量が膨大になっているため、ある程度の残業が存在します。
となると、月々に占める残業代の割合もかなりあるようです。
特に年度末の繁忙期には、残業代の支給額がボーナス並みに達することもあるそうです。

測量士のキャリアパス

測量士試験に合格したら、資格登録をします。
そして、まずは会社員として働きます。
ほとんどが測量士事務所に勤めて、測量士として働きます。

その後は同じ組織に勤め続ける人もいれば、独立開業をする人もいます。
もし独立開業を考えている場合は、土地家屋調査士や行政書士など他の資格を併せ持っていると強みになるでしょう。
しかし、事業として安定させるまでには、苦労も多いでしょう。

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認可団体

国土交通省 国土地理院

受験条件

年齢、性別、学歴、実務経験などに関係なく受験できます。

合格率

令和4年度は14.4%
令和3年度は17.9%

例年合格率は10%前後となっており、難関資格といわれています。

1年当たりの試験実施回数

試験は年1回実施されます。

試験科目

  1. 測量に関する法規およびこれに関連する国際条約
  2. 多角測量
  3. 汎地球測位システム測量
  4. 水準測量
  5. 地形測量
  6. 写真測量
  7. 地図編集
  8. 応用測量
  9. 地理情報システム

採点方式と合格基準

午前の試験は択一式で、1問あたり25点の700点満点です。
午後の試験は記述式で、必須問題1題は300点、選択問題4題は各200点で700点満点です。

合格基準は午前の択一式の点数が400点以上で、なおかつ午前の点数と午後の点数の合計が910点以上の人です。

取得に必要な勉強などの費用

測量士になるには試験を受けなくても、学校で測量科目を修了して実務経験を積みながら取得したり、測量士補の資格を取得した後に養成施設や学校での研修を受けて取得したりする方法もあります。

こちらではいきなり「測量士試験」を目指す方にも対策できるよう、紹介していきます

おすすめテキスト

結論から言って、独学でも合格は目指せます。
測量士試験に向けての市販テキストは少ないといわれていますが、そのなかでも「公益社団法人日本測量協会」というところは、測量士のテキストを販売しています。

国家試験問題模範解説集 2,410円(税込)
科目別模範解答集(平成29年~令和3年) 2,724円(税込)

上記以外にも受験テキストも販売されていますが、中身が高度すぎるようなので省きました。

通信講座の場合

独学が難しい人は通信講座で勉強することもできます。

さきほどご紹介した「公益社団法人日本測量協会」では、測量士の通信添削講座も行なっています。
受講料は59,000円(税込)です。

また、アガルートアカデミーの講座もおすすめです。

合格総合カリキュラム+定期カウンセンリング 327,800円(税込)
合格総合カリキュラム 272,800円(税込)
合格総合講義 217,800円(税込)

受験料

4,250円
書面受付(収入印紙による)

受験申込方法

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受験の手続きには、まず受験願書用紙を手に入れなければなりません。
その他にも提出するものがあります。

受験願書用紙などの交付

受験願書用紙や受験案内は、下記の場所で直接受け取ってください。

  • 国土地理院本院や各地方測量部、沖縄支所
  • 各都道府県の土木関係部局の主務課
  • 公益社団法人日本測量協会本部および各支部

また、郵送による請求も可能です。
郵便で交付場所に申請してください。ただし、各都道府県の土木関係部局では、郵送による請求は取り扱っていません。

封筒の表に「願書請求○部」と朱書きし、宛先(郵便番号・住所・氏名・電話番号)を明記した返信用封筒[角形2号(A4判サイズが入る大きさ)に必ず所要の切手を貼ったもの]を同封してください。

必要なもの

  • 受験願書1部
  • 写真票1部(①試験手数料分の収入印紙、➁縦4.5cm×横3.5cmの写真1枚、3.63円の切手)
  • 申込用封筒(国土地理院指定で受験案内に添付。必ず封筒表側の項目を記入すること)

まとめ

今回は測量を行う専門職である、測量士の試験を取り上げました。
測量士になるには、国家試験を受ける他に、学校で測量科目を修了して実務経験を積みながら取得したり、測量士補の資格を取得した後に養成施設や学校での研修を受けて取得したりする方法もあります。
ただ、試験を受ける場合は受験条件はありませんから、そのところは長所だと思います。

残念ながら、測量士のみに的を絞ったテキストはあまり販売されていません。
こちらでご紹介した日本測量協会のホームページから、受験対策をしましょう。

測量士は正確な測量をし、工事計画の基礎を作ることで、自分が行なってきた仕事が目に分かるのが良いところです。
数学が得意な方や足腰の強い方がこの仕事に向いているそうです。
建築関係に進みたい人は、測量士への道も検討してみてはいかがでしょうか。

 

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