HSK(漢語水平考試)試験というのは「中国語検定」のことで、日本で一番受けられている中国語の検定らしいです。
つまり、日本の文部科学省にあたる中国の教育部が認定する「中国語を母国語としない人のための資格試験」です。
皆さんは中国語の検定を受けたことがありますか。
試験を受けた方も受けてない方も、漢字文化の日本と中国なら語学として共通点があるかと思います。
今回はこの中国語検定について見ていきましょう。
Contents
適用する仕事
まず、このHSKは中国の大学本科(日本でいう学部生)や大学院に留学する際に必須な資格です。
中国の大学入試でHSK資格の保有による優遇措置も増えています。
就職に関しても中国の企業を目指すなら必要ですし、中国に拠点のある日系企業でも評価の対象になります。
また、駐在員に対しては中国の外国人労働者に対するランク付けでHSK資格が就労ビザの発給にもプラスされます。
つまり、この資格を持っていると中国でビジネスをやるときに有利になるでしょう。
HSKには6つの級があり、数字が大きいほど難易度が高くなります。
記載するのは2級からですが、持っているとこのような技能があると見なされます。
筆記試験 | |
2級 | 電話取次など簡単な対応が出来る |
3級 | 貿易事務や営業事務など定型文でカバー出来るやりとりに対応出来る |
4級 | 秘書やアシスタントして働ける |
5級 | 海外営業で商談が出来、込み入った話も理解出来る |
6級 | 通訳や翻訳などの語学専門職に就ける |
口頭試験 | |
初級 | 中国語の基本的な日常会話が出来る |
中級 | 中国語を母国語とする人と流暢に会話が出来る |
高級 | 中国語全般にわたる高度な運用能力を有する |
おおよその年収とキャリアパス
先ほど「HSK(漢語水平考試)試験」に合格すると、中国の企業で活躍出来る旨をお伝えしました。
ここでは中国の労働環境についてお話します。
まず、企業にもよりますが、会社の中には中国語検定3級を資格手当の対象にするところがあります。
これにより、資格を持っていない人より収入が月額で5,000円~数万円の差が出るところもあります。
もし中国企業の管理職になった場合、日本の管理職より高所得になる可能性もありますが、それでも中国全土から見ると中国の平均月給・平均年収は日本の半分以下です。
およそ70万円ほどらしいです。
(地方都市を含めた中国全域においての統計)
中国で高収入を得るのは、意外と一握りだということを覚えておいた方が良いかもしれません。
それでも中国で活躍している日本人はけっこういます。
日本人向けの職種をいくつかご紹介します。
日系企業の駐在員
日系企業の駐在員として働く人がいます。
また中国勤務を希望する日本人も増えています。
これは中国駐在員になると、給料がアップすると云われているからだそうです。
中国系外資系企業
日本法人勤務から中国現地勤務になったときの職種ですね。
あるいは、いきなり中国系の外資系企業で勤務する場合もあるでしょう。
※前者の場合は、一般的に日本国内の福利厚生に準拠するようです。
IT業界
エンジニア、ウェブプログラマー、ウェブデザイナーといった職種ですね。
中国国内のIT業界の発展は目を見張るものがありますから、日本国内でエンジニア、ウェブプログラマー、ウェブデザイナーといったIT業界の経験があれば、中国での採用も難しくないらしいです。
和食料理人
中国の都市部には数多くの日本料理店があります。
そこには現地中国人はもちろん、在中日本人も利用します。
料理人で「HSK(漢語水平考試)試験」に合格して力をつければ、中国でも立派な和食料理人として働けるでしょう。
日本語教師
日本語教師としての専門的な知識があれば、中国で日本語教師として勤務することが出来ます。
この場合は中国国内の日本語教室や現地の大学・高校が、勤務場所となるでしょう。
認可団体
HSK(漢語水平考試)試験の認定団体は中華人民共和国教育部です。
中華人民共和国教育部は中華人民共和国国務院に属する行政部門で、教育、言語、文字事業を管轄しています。
日本の文部科学省にあたるところですね。
この組織の成り立ちとして、まず1949年10月に中央人民政府教育部として発足しました。
その後1954年に9月の国務院設置によって、中華人民共和国教育部に改組されます。
そして、1985年には国家教育委員会として改組されますが、1998年に今の中華人民共和国教育部に再設置されました。
受験条件
中国語が母国語でない者
合格率
非公開
1年当たりの試験実施回数
年9回実施されているらしいです。
試験科目
- 1級 中国語の非常に簡単な単語とフレーズを理解・使用出来る
(150語程度の基礎常用中国語及びそれに相応する文法知識) - 2級 中国語を用いた簡単な日常会話が出来る
(300語程度の基礎常用中国語及びそれに相応する文法知識) - 3級 生活・学習・仕事などの場面で基本的なコミュニケーションをとることが出来、中国旅行の際にも大部分のことに対応出来る
(600語程度の基礎常用中国語及びそれに相応する文法知識) - 4級 中国語を用いて広範囲の話題について会話出来、中国語を母国語とする相手と比較的流暢にコミュニケーションがとれる
(1200語程度の常用中国語単語) - 5級 中国語の新聞・雑誌を読み、テレビや映画鑑賞が出来、比較的に整ったスピーチを行うことが出来る
(2500語程度の常用中国語単語) - 6級 中国語の情報をスムーズに読み聞きが出来、会話や文章により自分の見解を流暢に表現出来る
(5000語以上の常用中国語単語)
- 初級 週に2,3時間を半年から1年の間、中国語の勉強をしてきた人に適した試験
(200語前後の日常生活語彙およびそれに相当する文法的知識) - 中級 週に2,3時間を2年程度、中国語の勉強をしてきた人に適した試験
(900語前後の一般常用語彙およびそれに相応する文法知識) - 高級 週に2,3時間を2年以上、中国語の勉強をしてきた人に適した試験
(3000語前後の一般常用語彙およびそれに相応する文法知識)
採点方式と合格基準
1級・2級 | 200満点中120点以上のスコアが合格基準となる |
3級・4級 | 300満点中180点以上のスコアが合格基準となる |
5級・6級 | 合否の概念がなく、獲得スコアのみ表記される |
初級・中級・高級 | 100点満点中60点以上のスコアが合格基準となる |
取得に必要な勉強などの費用
まず、HSKというのは英語でいうと「TOEIC」や「TOEFL」にあたります。
このHSK試験は筆記でいうと、初級レベルの1級から上級レベルまでの全6段階に分かれていますが、初受験は中国語を始めて間もないときには2級から受験してください。
なぜかというと、HSKは中国語を学ぶ外国人向けの試験だからです。
つまり1級というのは、漢字を全く学んだことのない人向けのレベルなので、漢字を知っている人たちはまず2級からの受験をおすすめします。
HSK試験2級のレベルとポイント
実際、どのくらいのレベルなのかというと
- ピンイン(中国語の発音システム)を区別して自分なりに読める
- 中国語の勉強を少なくとも3ヶ月はやっている
試験の説明は中国語の音声で流れてきますし、問題冊子のあちこちにピンインが散りばめられています。
なので、自分なりに中国語の文を音読出来たり、ピンインや音の声調が出来ていることが必要になります。
基礎的な中国語の文法理解とボキャブラリー力が必要なのです。
HSK試験2級の勉強法とは
じつは HSK試験2級には公式なテキストがあります。
それをやることが対策で、他のことは何もしなくてもいいぐらいです。
- 出版社名:スプリックス
- 書籍名:中国語検定HSK公認テキスト2級 改訂版
- 価格:¥2,838(税込)
出題される単語・文法だけを網羅したテキストです。
出題頻度がわかる単語表を掲載し、毎回の出題ポイントを重点的に解説しています。
すべての例文に文型をビジュアルで記載し、テキストの全例文を音声収録しました。
見ても聞いてもわかりやすい内容となっています。
他の級の場合のポイント
他の級も2級と同じように単語と文法をコツコツ覚えて、過去問を解いていってください。
①正しい発音を身に付けてリスニング問題をクリアする
中国語の学習において最も重要なのが発音です。
なので、中国語独特の「発音」と「声調(四声)」をクリア出来るようにしましょう。
日本人の中国語学習は、まさにこの中国語の発音が最も難しい壁となるでしょう。
②出題される単語数を徹底的に覚える
例えば、HSK3級の合格目安の語彙数は600語です。
つまり、この範囲の単語を確実に覚えておけば試験で通用します。
- 出版社名:白帝社
- 書籍名:品詞別・例文で覚える HSK基本語彙1級~4級
- 価格:¥2,200(税込)
この本には新HSK1級から4級の基本語彙1200語を級別に品詞分類し、すべての語句に短くてわかりやすい例文(ピンイン付け)を付けています。
- 1級 150語
- 2級 150語
- 3級 300語
- 4級 600語
③解答時間を短縮する「スピード力」を養う
HSKの試験問題全般に言えることですが、問題量に対して解答時間が短めなのです。
HSKの設問は中国語表記なものの、出題形式は毎回同じなのであらかじめ過去問を解いて学習しておきましょう。
④中国語を書く練習をしておく
HSKには作文パートもあります。
それはマークシートではなく、自筆する必要があります。
(パソコン受験の場合はピンイン入力)
なので、普段から中国語を手で書く練習をしておきましょう。
中国語は日本語漢字と少し違う漢字に要注意です。
漢字の点の数が異なる、ハネの向きが違う・ないなどがあります。
あとはとにかく過去問を解いて力を付けましょう。
受験料
- 1級 3,740円
- 2級 4,950円
- 3級 6,160円
- 4級 7,370円
- 5級 8,580円
- 6級 9,790円
※番号が大きくなるほど上級
- 初級 5,610円
- 中級 6,710円
- 高級 7,810円
受験申込方法
個人受験の場合はインターネットと郵送の2種類のお申し込みが出来ます。
インターネットの場合
①個人受験お申込みフォームに記入
個人受験お申込みフォームより、希望する受験級や個人情報などを画面に沿って入力します。
②支払い方法の選択
申込をしたら、受験料を払いに行きます。
クレジットカードの場合は、カード番号などの入力時にエラーが出なければ受付完了となります。
コンビニエンスストアの場合は、申込時に画面に表示される決済番号を使ってコンビニ端末にて入金手続きを行なってください。
それで初めて受付完了となります。
※コンビニでの入金期限は、インターネット上で申し込みをして3日以内となっていますので注意しましょう。
③受付完了の確認
入金が完了したら、完了したかを確認するために申込時に記入されたメールアドレスにメールが届きます。
それに記載されているURLにアクセスし、必要情報を入力の上、入金が完了しているかを確認しましょう。
なるべくメールを確実に受信させるため、入力するメールアドレスが携帯メールではなく、PCメールアドレスの方をお勧めしています。
そして、受験票が試験日の1週間前までに、入力してもらった指定住所に届くことになります。
郵送の場合
①願書の入手
書店にて願書を購入しましょう。
願書は¥550(税込)で「株式会社アスク出版」から発売中です。
全国の主要書店で購入出来ます。
②入金
指定銀行がありますので、銀行振り込みにて受験料を振り込み、振り込み明細のコピーを用意してください。
(振り込み明細のコピーは書類送付に必要です。)
③書類の送付
- 記入済の願書
- 振込の証明が出来る書類(振り込み明細のコピーなど)
この2つを同封し、郵送してください。
そして、インターネット申込と同じように、受験票が試験日の1週間前までに入力してもらった指定住所に届くことになります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
HSK(漢語水平考試)試験は英語でいうTOEICやTOEFLのような試験です。
それも中国語を母国語としない方たち向けの試験ですので、日本では大変利用されている試験です。
番号が大きくなるほど級のグレードが高くなっていきますから、公式テキストや用語集でコツコツと中国語を勉強していきましょう。
皆さんの中国語の語彙力が仕事やその他の場面で役に立てばいいですね。
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じつに200万人を突破していると思われます。
中国との関係は緊密ですが、中国語を話せる人材の必要性はますます高まってきます。
よって、中国語の学習者は今後も増加するでしょう。