調理の資格では、調理師が思い浮かびますよね。
たしかに調理師は調理の資格の中で、とても身近でそして最も基礎的な資格です。
ですが、それより上位資格があることをご存知でしょうか。
それが今回お伝えする「調理技術技能評価試験」なのです。
調理師とどんな違いがあるのか、詳しく解説していきます。
Contents
適用する仕事
まず、調理技術技能評価試験とは、より高い専門技術・技能と知識をもっている調理師であることを国が認める調理師の上位資格のことです。
以前は専門調理師を目指す「調理技術審査試験」と調理技能士を目指す「調理技能検定制度」と、2種類の試験に臨まなくてはいけませんでした。
それが一本化されて「調理技術技能評価試験」になりました。
この試験を受けて合格すると、専門調理師や調理技能士の称号や調理師専門学校での教員資格が取得できます。
適用する仕事には、下記のようなものがあてはまります。
- 飲食店の責任者(レストランや日本料理店、中華料理店、イタリアンなど)
- 旅館やホテルの料理長
- 料理教室や調理学校の教職員
調理の仕事といえば、調理師が思い浮かびますが、調理師は調理に関する資格の中で最も基礎的な資格なのです。
もちろん調理師だけでも立派な資格です。
しかし、調理技術技能評価試験に合格すると、調理師よりも職業の選択の幅が広がり、より多くのキャリアプランを描くことができるでしょう。
おおよその年収とキャリアパス
前項目の【適用する仕事】で上記3つの職業を挙げましたので、こちらでもそれら3つの年収を調べました。
飲食店の責任者 | 310万~多いと600万円以上 |
旅館やホテルの料理長 | 400万~600万円、有名なところだと1,000万円以上も |
料理教室や調理学校の教職員 | 375万~450万円 |
調理技術技能評価試験は調理師の上位資格として位置づけられているため、まずは調理師の資格取得を目指すのがスタートとなります。
【受験条件】の項目でお伝えしますが、受験するには実務経験が必要なので、受験できる状態になるまで調理の仕事を継続しましょう。
そして、合格すれば、上記のような職業を目指すことができます。
その後のキャリアパスとしては、上に立つ者として店を経営して継続させたり、調理部門で働く人の仕事の質や効率が上がるように人材育成に励んだりします。
なかには、マネジメントの経験を積んで独立する人もいるかもしれません。
認可団体
こちらは国家試験で、認可団体は厚生労働省です。
試験の実施は、厚生労働省大臣指定機関である「公益社団法人 調理技術技能センター」で行われています。
調理技術技能センターは昭和57年8月23日に、設立されました。
受験条件
受験条件は細かく設定されています。
受験条件
次のうち、いずれかに該当する者です。
ただし、実務経験の年数のうち、調理師免許を有していた期間が3年以上必要です。
- 実務経験8年以上
- 厚生労働大臣の指定する調理師養成施設において、1年以上調理に関する学科を修めた卒業者は、実務経験6年以上
- 職業能力開発促進法の基で、調理に関し専門課程の高度職業訓練(調理技術系調理技術科)、または普通課程の普通職業訓練(調理系日本料理科、調理系中国料理科、または調理系西洋料理科)修了者は、実務経験7年
実務経験とは
実務経験に含まれる事柄
正規職員以外のパートやアルバイトなどは、1日6時間以上の実働時間で週4日以上の勤務を原則とします。
次の施設で調理業務に従事している、または従事していたことが条件となります。
- 寄宿舎、学校、病院などの給食施設
※継続して1回20食以上、あるいは1日50食以上調理している施設が条件 - 飲食店営業(旅館や簡易宿泊所も含む)
ただし、喫茶店営業は除く - 魚介類販売業
ただし、販売のみは除く - 惣菜製造業や複合型惣菜製造業
煮物(佃煮を含む)、焼き物(炒め物を含む)、揚げ物、蒸し物、酢の物または和え物、およびこれらの食品に米飯やパンを組み合わせた食品を製造する営業
また、調理師養成施設勤務の場合は、調理師養成科に所属し、調理実習に従事していることが実務経験の条件です。
ただし、調理師養成施設に付設する製菓科、栄養士科などに所属している場合の調理実習は認められません。
実務経験として認められないもの
- 会計やホールスタッフなどの接客業務、運搬や配達業務、食器洗浄など直接調理業務に従事していない場合
- 栄養士、保育士、看護師、ホームヘルパーなどの職種として採用されている場合(通常の勤務体系において、専業で調理業務に従事している場合は除く)
- 料理学校などで調理実習指導などに従事している場合
- 会社や研究所などで食品開発業務の一環として、従事している場合
- 菓子製造や喫茶店営業の許可のみを受けた店で従事している場合
- 飲食店営業の許可を受けた営業施設であっても、主にケーキやデザート類、パン製造の業務に従事している場合(ただし、調理パンのうち専業で料理の部分を担当している場合は除く)
- 外国の飲食店で従事している場合
合格率
平均で約60%程度の合格率です。
- 2020年:53.9%
- 2019年:67.8%
- 2018年:65.6%
1年当たりの試験実施回数
年2回実施されています。(7~8月、翌1~2月)
令和4年では、前期がすし料理・中国料理・給食用特殊料理、後期が日本料理・西洋料理・麺料理でした。
前期、後期それぞれいずれか1料理を選んで、受験できます。
試験科目
こちらの試験では実技試験、学科試験の順番で実施されます。
実技試験
実技試験はすし料理、中国料理、給食用特殊料理、日本料理、西洋料理、麺料理から選択して、それぞれ課された調理作業をやります。
試験の範囲は献立の作成、材料の選定、それぞれの料理の調理、積算や見積もりも採点されます。
学科試験
- 各料理区分共通問題(40問)
食品衛生と公衆衛生、食品と栄養、関係法規、安全衛生 - 料理区分別専門問題(20問)
調理一般、調理法、材料
採点方式と合格基準
実技試験では、減点法で採点されます。満点の60%以上で合格です。
ただし、過去の「調理技術審査・技能検定試験」において、合格した料理区分があれば、その部分の実技試験は免除されます。
学科試験では、真偽法により出題されます。
解答数から誤答数を差し引き、残った数が問題数の50%以上ですと合格です。
取得に必要な勉強などの費用
調理技術技能センターの公式サイトには、過去の試験問題を見ることができます。
その他にもおすすめの1冊を見つけました。
- 出版社名:主婦の友社
- 商品名:調理師・専門調理師・調理技能士になるための完全ガイド
- 価格:1,650円(税込)
調理師のみならず、「調理技術技能評価試験」につながる専門調理師や調理技能士についても解説している1冊です。
受験料
- 実技試験のみ:28,900円
- 学科試験のみ:8,900円
- 実技試験と学科試験:37,800円
受験申込方法
受験を申し込むには、受験申請書が要ります。
受験案内および受験申請書の請求方法には、郵送、窓口、ホームページの3通りがあります。
郵送の場合
郵送配布期間に、下記の方法で請求します。
- 住所、氏名、郵便番号を記した返信用封筒(角形2号・A4版の用紙が入る大きさ)を用意して、140円分(受験申請書1部の料金)の郵便切手を貼ります。
- 1の返信用封筒を折りたたみ、別の封筒に入れて「公益社団法人調理技術技能センター 調理技術技能評価試験担当宛に郵送します。
窓口の場合
配布期間の平日に、公益社団法人調理技術技能センターへ取りに行きます。
(午前10時~午後5時・最終日は午後3時まで)
ホームページの場合
ホームページの配布期間(最終日は午後3時まで)に、公益社団法人調理技術技能センターより印刷します。
まとめ
今回は調理師よりも上位資格である「調理技術技能評価試験」について、お伝えしました。
以前は専門調理師と調理技能士に分かれていましたが、それが一本化されて上記の試験名になりました。
この資格では、飲食店の責任者や旅館・ホテルの料理長などが目指せます。
受験するには、実務経験が必要なので長年調理の現場で働いている人は、さらなるステップアップのために挑んでみてはいかがでしょうか。
自分のお店を持ちたい人には、夢が広がる資格ですよ!
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