調教師(日本中央競馬会)について

調教師(日本中央競馬会)について

皆さんは競馬はしますか?
条件戦から重賞まで、馬のドラマが観られます。
特に意識しなければ、観客が調教師を目にするのは表彰式くらいでしょうか。

競馬の面白さは表舞台だけでなく、馬が生まれ、育成され、関係者間のドラマといった舞台裏で競馬界を支えている人たちがいます。
今回はその舞台裏の主役ともいえる調教師について観てみましょう。

適用する仕事

仕事の概要、歴史・背景、具体的な仕事内容、おすすめポイントを観てみましょう。

仕事の概要

厩舎を運営し、中央競馬に出走する馬の管理・育成をするのが調教師の仕事になります。

歴史・背景

馬と人との歴史は深いです。
人間が家畜として馬と付き合うようになったのは、紀元前3500年頃と言われています。
その目的は耕作や運搬などの労役に使う役畜でした。
その後、牽引馬車が発明され、戦車となり、馬は人間にとってかけがえのない家畜になりました。

野生の馬

そして、時代は進み、16世紀のイギリスで近代競馬が始まったとされています。
アジアから輸入されたアラブ馬を牡馬とイギリス在来のハンターなどの牝馬を交配し、サラブレッドが生まれました。
そして、強い馬の血統が優先的に残され、そのような馬を王侯貴族が保有し、競馬は「スポーツ・オブ・キングス」と呼ばれました。

競馬が日本に入ってきたのは、江戸時代末期です。
横浜に設置された外国人居留地で開かれたのが初めです。
その後、明治の時代を経て、全国に広がっていきました。
もともと日本も馬との関わりは深く、馬を大切にしてきた民族なので、その国民性が近代の競馬の礎になったと言われています。

競馬界では「馬主」と「調教師」と「騎手」の関係が主にあります。
牧場で生まれた競走馬を所有する馬主と、その馬を預かり育成し、管理する調教師、そして、その競走馬に乗る騎手です。
2021年春の時点で中央競馬には約180名の調教師が在籍しています。定年は70歳と決められています。

具体的な仕事内容

調教師の1週間の一例を観てみましょう

月曜 調教の他に、管理馬の出走レースを決める、調整メニューを考える、出走させる馬の騎乗者を手配、など
火曜 月曜と同様
水曜 午前6時に馬場入りし、厩舎のスタッフは午前3時頃から馬の状態をチェックしたり、馬房を整備したり、馬の装備を整備します。
そして、強めの調教をします。これを「追いきり」と言います。
これで、週末に出走する馬の状態をチェックします。
木曜 木曜日になると、管理馬をチェックし、その後、牧場に預けている馬を見に行きます。
そして午後に出馬投票を行います。
金曜 トレセンや近郊の牧場で管理馬をチェック。午後には週末に管理馬を出走させる競馬場へ移動する。
土曜 出走させた管理馬のレースに立ち会う
日曜 出走させた管理馬のレースに立ち会う
合間 競馬専門紙やスポーツ紙などマスコミの取材を受けたりします。

この仕事のおすすめポイント

やはり何といっても、重賞を取った時の喜びは大きいです。
ダービーや有馬記念といった年間の大イベントを獲れば、その時、観客の歓声と賞金、そして、重賞で実績を上げれば、凱旋門賞に挑戦。
日本で、そして世界で活躍できます。

また、競走馬はもちろんですが、厩舎スタッフのマネージメントという仕事も魅力の1つです。
しかし、厩舎を経営するという重責も担います。

おおよその年収とキャリアパス

馬を預かる委託料と、レースで獲得した賞金とが厩舎の収入になります。
そこから、人件費、馬の飼育費獣医費、装備費、その他経費を引いて残った金額が調教師の収入になります。

委託料は1頭1か月70万円程度が相場です。
賞金面で言えば、有馬記念やジャパンカップの賞金は4億で、調教師はその10%を進上金として受け取ります。
そういった賞金と委託料から経費を除いて、残りが調教師の収入です。
調教師の平均年収は約600~1000万円と言われています。

実績を積み、その手腕が高く評価されれば、馬主からの信頼が高まり、より多くの馬を預かることになります。
その中には重賞を狙える馬も増えてくるでしょう。

認可団体

農林水産省

競馬法により、農林水産大臣の認可を受け調教師試験を施行し免許を交付しています。

受験条件

28歳以上

下記に該当する方は免許を取得できません。

  1. 受験日に28歳未満の方
  2. 成年被後見人、被保佐人および破産者で復権を得ない方
  3. 禁錮以上の刑に処せられた方
  4. 競馬法、日本中央競馬会法、自転車競技法、小型自動車競走法又またはモーターボート競走法の規定に違反して罰金の刑に処せられた方

ほか

合格率

10%以下

1年当たりの試験実施回数

例年、年1回です

【第一次試験】 9月中旬
【第二次試験】 11月下旬~12月上旬
※新規で受験の方

試験科目

【第一次試験】筆記試験+身体検査
【第二次試験】口頭試験+人物考査

第一次試験

①学力及び技術に関する筆記試験

  • 競馬関係法規に関する専門的知識及び労働関係基本法規に関する一般的知識
  • 調教に関する専門的知識
  • 馬学、衛生学、運動生理学、装蹄、飼養管理及び競馬に関する専門的知識

②身体検査(身体検査書の提出)

第二次試験

①学力及び技術に関する口頭試験

  • 競馬関係法規、厩舎の経営及び管理に関する専門的知識並びに一般常識
  • 衛生学、運動生理学、装蹄及び飼養管理に関する専門的知識
  • 馬学及び競馬に関する専門的知識
  • 調教に関する専門的知識

②人物考査

採点方式と合格基準

ボーダーを超える

【第一次試験】

  • 学力及び技術に関する筆記試験の成績が全項目300点満点で概ね180点以上であり、かつ、各項目の成績がそれぞれ100点満点で40点以上であること
  • 身体検査については、調教師としての業務を遂行するに当たり特に支障をきたすような障害がないこと

【第二次試験】

  • 学力及び技術に関する口頭試験の成績が全項目500点満点で概ね300点以上であり、かつ、各項目の成績がそれぞれ100点満点で40点(競馬関係法規、厩舎の経営及び管理に関する専門的知識並びに一般常識の項目にあっては、200点満点で80点)以上であること
  • 人物考査については、調教師としての業務を遂行するに当たり人格及び識見の面で特に支障がないこと。また、精神の機能の障害により馬の調教を適性に行うに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない方でないこと

取得に必要な勉強などの費用

前記の通り、厩務員か騎手を経て調教師になるコースが大半です。
ですので、調教師試験の前段階の日本中央競馬会競馬学校でかかる費用を参考に見てみましょう。

厩務員課程(6ヶ月)

入学金:3万9000円
訓練馬維持負担金(授業料):12万円
騎乗装具・制服など:約8万円
食事代:約21万円

合計:約45万円

騎手課程(3年間)

食事代:約120万円のみ
※学費や馬上装具・制服など無料

受験料

免許手数料:3,000円
※受験料はかかりません

3000円

受験申込方法

郵送

まとめ

いかがでしたでしょうか。
調教師は実力の世界に挑戦してみたい方におススメしたい資格です。

どのような理由で調教師になるのでしょうか。

  • もともと競馬界に縁がある
  • 賞金を稼ぎたい
  • 馬が好き
  • サラリーマンが性に合わない
  • 勝負事が好き
  • 経営、マネージメントがやってみたい

調教師になる方の多くは騎手か厩務員を経ます。
つまり、調教師になるには早い段階で目指すことを決める必要があります。

そこにはやはり強い動機がある人が多いでしょう。
そして、その動機は人それぞれだと思いますが、待っているのは完全実力の世界です。
休みもほとんどありません。

馬と調教師しかし、多くの方が挑戦されるという事はそこに大きな魅力があるからというのは自明です。
浪漫でしょうか、算盤でしょうか。
当たれば大きいです。

365日ほぼフル活動し、牧場に厩舎に、競馬場に駆け回ります。
そして、馬の育成だけでなく、経営やスタッフのマネージメント。合間合間にはメディア対応をしたり、馬主との交流など、やる事は多くあります。

収入は委託料と賞金で、大きいのは重賞の賞金です。
有馬記念やジャパンカップの賞金は4億で、調教師はその10%を進上金として受け取ります。
そういった委託料と、賞金から経費を除いて、残りが調教師の収入です。
調教師の平均年収は約600万円~1000万円、1000万以上稼いでいる調教師も3割程度いると言われます。

このように、調教師という仕事は存分に実力を試してみたい方におススメの仕事です。

 

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