空気調和・衛生工学会設備士の資格を得るためには、空気調和・衛生工学会が実施している設備士資格検定試験に合格する必要があります。
この資格は、建築設備に関する資格です。
温度や湿度の調節であったり、換気、空気清浄などの室内の空気調和を行なったりするのに必要な知識や技能を持つ人に与えられます。
この試験の合格者は、設備士の資格を得てから実務経験を積むと建築設備士試験の受験資格を得られます。
Contents
適用する仕事
設備士の資格を持つ人の仕事の1つに、ビルメンテナンス系の仕事があります。
大きめの企業の管理部門の人が、スキルアップの為に設備士の資格を取得している場合もあります。
他に空調設備士としての仕事には、建設設備会社の空調設備の施工図作成や設計、施工管理などがあります。
空気調和設備工事と呼ばれる工事です。
冷暖房や換気に関する空調設備を、しっかりと設計・施工することは室内の温度や湿度を快適に保つのに必要です。
また、給気や排気を適正に行えるように空気の流れをつくることも、空調設備士の大事な仕事です。
空調設備の設置に伴う配管工事や、ダクト工事の設計・施工も行います。
空調設備は教育機関や病院、オフィスビルなどのあらゆる建物に設置されているので、空調設備士が必要な場所は多いです。
この資格を持っていると、空調設備以外にも次のような設備工事に携わることが出来ます。
給排水衛生設備工事 | 給水、給湯、排水、ガス、厨房などの水に関わる設備の工事 |
環境衛生設備工事 | 汚水処理、し尿浄化槽、塵芥(じんかい)処理、公害防除設備など汚水処理設備の工事 |
消火設備工事 | 消火栓、スプリンクラー、水噴霧(みずふんむ)、粉末消火、火災報知器、避難はしごなどの消火に関する設備工事 |
特殊管設備工事 | 冷蔵や冷凍、輸送管、産業設備などの工場内の設備工事 |
おおよその年収とキャリアパス
おおよその年収は、300万円から850万円です。経験や能力が考慮されます。
平均としては、350万円前後のところが多いです。
設備士の資格を持っている人材は、空気調和設備工事という工事に必要です。
認可団体
空気調和・衛生工学会設備士は、「公益社団法人 空気調和・衛生工学会」が実施している設備士資格検定試験に合格すれば得られる資格です。
この試験の合格者は、2年の実務経験の後、国家資格の建築設備士の受験資格を得ることが出来ます。
受験条件
学歴によって、必要な実務経験が変わります。それぞれ学歴ごとの、必要な実務経験は以下の通りです。
- 大学理科系課程は卒業後実務経験なし
- 短期大学・高等専門学校理科系課程:卒業後の実務経験1年以上
- 高等学校理科・工業系課程:卒業後の実務経験4年以上
- 高等学校建築設備系:卒業後の実務経験満3年以上
- 建築系専門学校などの認定校:卒業後の実務経験満1年以上
- 学歴を使わない場合は、満18歳以上で実務経験7年以上
実務経験には、アルバイトは含まれません。正社員での実務経験が必要です。
また、大学の理科系課程とは、主に次のような学部です。
合格率
空調部門と衛生部門で試験が分かれています。それぞれの近年の合格率は以下の通りです。
空調部門
2021年:受験者1227人:合格者534人:合格率43.5%
2020年:受験者1190人:合格者489人:合格率41.1%
2019年:受験者1043人:合格者398人:合格率38.2%
衛生部門
2021年:受験者1149人:合格者489人:合格率42.6%
2020年:受験者1070人:合格者444人:合格率41.5%
2019年:受験者890人:合格者376人:合格率42.2%
1年当たりの試験実施回数
昭和31年の初回の試験から、年に1回実施されています。
試験科目
Ⅰ:1時間20分
Ⅱ:1時間20分
Ⅲ:40分
問題数は50問で、試験時間は合計3時間20分です。
試験内容は以下の通りです。
給水、給湯、消火、排水、衛生器具、し尿浄化槽その他の計画、設計・施工に関する基本知識。
暖房、冷房、換気その他の計画、設計・施工に関する基本的知識。
全てマークシート方式です。記述式問題はありません。
問題数と試験時間を考えると、余裕があるように思われるかもしれませんが、1問あたり4分で解くには手早くやらないと終わりません。
合格率があまり高くない理由の1つと思われます。
採点方式と合格基準
試験はマークシート方式となっています。
合計点が合格基準点以上で合格となります。
合格基準は、試験の結果に基づいて設備士資格検定委員会で決定されます。
概ね合格基準は、60%前後の得点となることが多いです。
取得に必要な勉強などの費用
参考書の金額を何点か載せさせて頂きます。
第14版 空気調和・衛生工学便覧 1.基礎編
発行元:公益社団法人 空気調和・衛生工学会
商品名:第14版 空気調和・衛生工学便覧 1.基礎編
価格:¥20,240(税込)
空気調和・衛生設備の知識(改定4版)
出版社名:オーム社
商品名:空気調和・衛生設備の知識(改定4版)
価格:¥3,960(税込)
公益社団法人 空気調和・衛生工学会 設備士試験問題解答例集 平成27年度~令和元年度
発行元:公益社団法人 空気調和・衛生工学会
商品名:公益社団法人 空気調和・衛生工学会 設備士試験問題解答例集 平成27年度~令和元年度
価格:¥4,400(税込)
受験料
設備士の受験料は、空調部門と衛生部門のどちらも税込みで9,900円です。
支払いは、コンビニ決済とクレジット決済、ペイジー決済の中から選ぶことが出来ます。
受験申込方法
設備士の、申込サイトによる手続きの流れは次の通りです。
①申込案内書のPDFを確認します。
➁申込サイトで、下記情報を入力します。
・申込者情報登録
・受験資格区分、実務経歴登録
③受験部門、試験地を選択し、受験料の支払いをします。
支払い方法は、クレジット、コンビニ、ペイジーのいずれかです。
④提出書類出力よりPDFを印刷します。
a.受験申込書
b.実務経歴書
c.宛名ラベル
⑤印刷した書類と必要書類を郵便局窓口から郵送します。
a.写真
b.卒業証明書(コピー不可)
まとめ
空気調和・衛生工学会が実施の設備士の資格についてでした。
建築設備士の受験資格を得るためには、この資格が必要です。
この資格が必要な仕事には、ビルメンテナンスや、建設設備会社の施工図作成や設計、施工管理があります。
年収には幅があり、経験や能力といったものが考慮されます。
理科系課程の大学卒業の場合は実務経験は必要ありませんが、それ以外の場合は、最終学歴によって必要な実務経験の年数が変わります。
学歴を使わない場合は、実務経験が7年以上必要です。
実務経験も、正社員としての経験しか認められないのでご注意ください。
問題数は50問で試験時間は全部で3時間20分ありますが、手早く解かないと時間内に問題を解き終わりません。
合格率は、空調部門も衛生部門もどちらも40%前後であることが多いです。
年に1回の試験なので、受験するのであれば対策をしっかりとしたいものです。
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