「キネマの神様」は映画制作に青春を捧げた主人公の過去と現在の コントラストに感動する良作です 

「キネマの神様」は映画制作に青春を捧げた主人公の過去と現在の コントラストに感動する良作です 

「キネマの神様」は、『男はつらいよ』シリーズなどの名匠・山田洋次監督が、作家・原田マハの小説を映画化。松竹映画100周年を記念して製作されました。

家族から白い目で見られるダメ親父の物語を描いています。

主演を務めるのは沢田研二と『アルキメデスの大戦』などの菅田将暉。『君は月夜に光り輝く』などの永野芽郁。

また、バンド「RADWIMPS」のヴォーカルで『泣き虫しょったんの奇跡』などの野田洋次郎のほか、北川景子、寺島しのぶ、小林稔侍、宮本信子らが共演しています。

ギャンブル狂いのゴウ(沢田研二)は、妻の淑子(宮本信子)や家族にもすでに見捨てられていました。

そんな彼が唯一愛してやまないのが映画で、なじみの名画座の館主テラシン(小林稔侍)とゴウはかつて共に映画の撮影所で同じ釜の飯を食った仲でした。

若き日のゴウ(菅田将暉)とテラシン(野田洋次郎)は、名監督やスター俳優を身近に見ながら青春を送っていました。

主演する予定だった志村けんさんが新型コロナウイルスで亡くなり、沢田研二さんが代演したこと、劇中で新型コロナウイルスへの言及があることも大きな話題となりました。

今回は「キネマの神様」のあらすじ、キャスト、見どころ、レビューなどをご紹介します。

あらすじ(ネタバレあり)

ラグビーワールドカップ2019が開かれていたころ、円山歩は勤務先の会社で父の借金返済を迫る電話を受けます。

その父、円山郷直(ゴウ)は、競馬と酒に溺れる毎日で歩や母の円山淑子も知らないところで借金を重ねていました。

歩は自分の持ち金で借金取りを追い払いますが、その後は失職してしまいます。

歩と淑子はギャンブル依存症の相談会に赴き、その教えに従ってゴウのキャッシュカードを取り上げ、競馬を禁止します。

行く当てのないゴウは、淑子がパートで勤める映画館「テアトル銀幕」に出かけ、顔なじみの館主・寺林新太郎(テラシン)から今度リバイバル上映する映画のフィルムチェック試写に誘われます。

映画のヒロイン・桂園子の目元がアップになる場面で、あの瞳には自分が映っているとゴウは話します。

若き日のゴウは映画監督になることを夢見て松竹撮影所の門を叩いた映画青年でした。

ゴウは映写技師だった若き日のテラシンと酒を酌み交わし、いつか自分にしか撮れない映画を作ると息巻いていました。テラシンもまた自らの映画館を持つという夢を抱いていました。

この頃のゴウは映画界の巨匠と名高い出水宏監督のもとで助監督として働き、当時の大スターだった園子に可愛がってもらっていました。

ゴウが当時の映画人たちと共によく入り浸っていたのは撮影所近くの食堂「ふな喜」でした。

園子もまた「ふな喜」の常連であり、出水監督は園子を前に自分が撮りたい映画の構想を自ら実演してみせ、ゴウはそれを紙に書き留めていきました。

「ふな喜」の看板娘は若かりし頃の淑子でした。淑子はいつしかゴウに想いを寄せるようになっていたのですが、仕事と趣味のギャンブルに明け暮れるゴウはなかなか淑子の気持ちに気付くことはありませんでした。

そんなある日、伊豆半島でロケをすることになりました。ゴウはテラシンと淑子も伊豆に誘い、オフの日は園子の運転する車でドライブを楽しみました。そしてテラシンは思わず淑子に一目惚れしてしまいました。

ドライブ

テラシンから相談を受けたゴウはラブレターを書くことを勧めましたが、テラシンからラブレターを受け取った淑子は困惑してしまいました。この頃からゴウは自ら撮りたい映画の構想を練り始めていました。

ある雨の夜。淑子はゴウに想いを打ち明け、テラシンへの断りの返事をゴウから伝えてほしいと頼んできました。ゴウもまた淑子に想いを寄せており、二人は初めてキスを交わしました。

そしてそんなある日、ゴウの努力が遂に実を結ぼうとしていました。ゴウが書き上げた脚本「キネマの神様」がゴウ自身の初監督作品として製作が決定したのです。

キャスト

円山郷直(沢田研二)

主人公のゴウは映画を愛してやまないが、無類のギャンブル好きで家族からも見放されてしまうダメ親父です。

かつては映画監督をしていたものの、初監督作品を作り始めた直後に事故で大けがを負ってしまい、作品完成を断念した過去を持ちます。

演:沢田研二
67年バンド「ザ・タイガース」ヴォーカルとしてメジャーデビュー。“ジュリー”の愛称で人気を博し、グループサウンズ・ブームの中心的存在として活躍します。

映画には「ドリフターズですよ!・前進前進また前進」へゲスト出演したのを皮切りに、68年からは「ザ・タイガース/世界は僕らを待っている」など3本の主演映画が作られました。

その後ソロ歌手としてデビュー。『追憶』、『勝手にしやがれ』77で日本レコード大賞日本歌謡大賞を受賞するなど、人気・実力ともに70年代の歌謡界をリードするトップアーティストになります。

俳優としては、藤田敏八・加藤彰共同監督の「炎の肖像」74で初の本格主演。人気歌手・沢田の実像と虚像を交錯させた異色の青春映画として注目を集めます。

以降は、『唐版・滝の白糸』75で舞台初主演、「太陽を盗んだ男」では報知映画賞主演男優賞、ゴールデンアロー賞映画賞を受賞。

その後も数々のヒット曲を飛ばす歌手活動と並行して、深作欣二監督「魔界転生」(81)、山田洋次監督「男はつらいよ・花も嵐も寅次郎」(82)、「リボルバー」(88)91に主演し、映画界でも確固たる地位を築いています。

若き日のゴウ(菅田将暉)

若い頃のゴウは松竹撮影所で監督を目指す映画マンでした。出水宏監督の撮影したその映画でゴウは助監督を務めていました。

スター女優・桂園子、また同年代の映写技師・テラシン、撮影所近くの飲食店の娘・淑子たちに囲まれ充実した生活を送っていました。

 

演:菅田将暉
2009年仮面ライダーシリーズ第11作『仮面ライダーW』のフィリップ役で連続TVドラマ初出演・初主演します。

2013年主演した『共喰い』で第37回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。

2016年には、『ディストラクション・ベイビーズ』でヨコハマ映画祭助演男優賞、『セトウツミ』『溺れるナイフ』で日本映画プロフェッショナル大賞最優秀主演男優賞を受賞しています。

「共喰い」以降は単館系映画で評価されてきましたが、テレビドラマ「地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子」等でお茶の間にも顔が知られるようになります。

オリコンによる調査で2016年度のブレイク俳優1位を獲得しています。

また、2017年には「見たこともない景色」でソロ歌手としてデビュー。米津玄師のアルバム『BOOTLEG』の収録曲「灰色と青(+菅田将暉)」に参加しています。

若き日の淑子(永野芽郁)

映画制作に関わる仕事をしていたゴウと結婚して娘・歩を授かりましたが、無類のギャンブル好きで家庭を顧みないゴウに愛想を尽かしてしまいます。

淑子

演:永野芽郁
2016年の連続ドラマ『こえ恋』で、ドラマ初主演。同年のNHK大河ドラマ『真田丸』で豊臣秀頼の正室・千姫役を演じます。

2017年3月公開の『ひるなかの流星』で主人公・与謝野すずめ役を演じて映画初主演。2018年にはNHK連続テレビ小説『半分、青い。』でオーディション初参加ながらヒロインに選出されます。

主人公・楡野鈴愛は、幼少時に病気により一瞬にして左耳を失聴してしまうという設定の難役で、永野は後遺症が残らない程度で左耳に耳栓をつけたり、実際に失聴した人から話を聞くなど入念な役作りをして撮影に臨んだそうです。

2022年、戸田恵梨香とW主演を務めた日本テレビ系連続ドラマ『ハコヅメ~たたかう!交番女子~』が、『第48回放送文化基金賞』のテレビドラマ番組最優秀賞に輝き、永野自身も演技賞を受賞しました。

若き日のテラシン(野田洋次郎)

ゴウの仕事仲間の映写技師です。
ゴウとともに映画制作の現場で働いていて、ゴウと同じように淑子に想いを寄せています。

演:野田洋次郎
2001年に結成された4人組ロックバンド「RADWIMPS」のヴォーカル、ギターを担当し、ほぼすべての楽曲の作詞・作曲も務めています。また、ソロプロジェクト「illion」としての活動も行っています。

2008年にはCHARAに「ラブラドール」、以降もハナレグミに「おあいこ」(15)、Aimerに「蝶々結び」(16)、さユりに「フラレガイガール」などを楽曲提供しています。

2015年6月、映画『トイレのピエタ』俳優デビューを果たし、第39回日本アカデミー賞新人賞、第70回毎日映画コンクール・スポニチグランプリ新人賞を受賞しています。

その後も『100万円の女たち』(17)で、ドラマ初出演にして主演。NHK連続テレビ小説『エール』(20)に、作曲家・木枯正人役で出演しています。

出水宏(リリー・フランキー)

出水宏はゴウが師匠と仰ぐ映画監督です。
仕事の先輩として、人生の先輩としてゴウたちを温かく見守っている存在です。

演:リリー・フランキー
2003年、福田和也、柳美里、坪内祐三との共同編集で、季刊の文芸誌『en-taxi』を創刊します。

同誌の創刊号から4年の歳月をかけて母親との半生を綴った、自身初の長編小説『東京タワー 〜オカンとボクと、時々、オトン〜』を連載。

2005年に単行本が扶桑社から発売されると、200万部を突破する大ベストセラーとなり、「本屋大賞2006」の大賞も受賞します。

2001年の『盲獣vs一寸法師』(石井輝男監督)にて、俳優デビューと同時に主演デビュー。映画『ぐるりのこと。』の演技が高く評価され、2009年に第51回ブルーリボン賞・新人賞を最高齢(45歳)で受賞。

是枝裕和に重用されており、『そして父になる』以降の監督映画のほとんどに起用されています。

円山勇太(前田旺志郎)

祖父ゴウの初監督作品になる予定だった「キネマの神様」の脚本を見つけ、その面白さに感動します。
そして、現代版に書き換えて脚本賞に応募しようと提案したことがきっかけで、ゴウは忘れかけていた夢を取り戻していきます。

演:前田旺志郎
兄は同じ事務所所属の前田航基。兄・航基とはお笑いコンビ「まえだまえだ」を結成し、コンビとしては松竹芸能に所属していました。「M-1グランプリ2007」の準決勝に史上最年少で進出しています。

映画では、是枝裕和監督の「奇跡」で兄弟で主演男優を務めており、若干10歳という若い年齢で国内外から高い評価を受け、最優秀新人男優賞を受賞しています。

さらに、17歳の頃には「レミングスの夏」に出演し、こちらの映画でも主演としての高い演技力を評価されました。

また、NHKの大河ドラマ「いだてん」や連続テレビ小説「おちょやん」にも出演しています。

水川(志尊淳)

テアトル銀幕でアルバイトをする青年。一見調子の良いイマドキの青年ですが、温かい一面も持っています。

演:志尊淳
2011年にワタナベエンターテイメントスクールを卒業。同年7月にD2に加入、ミュージカル『テニスの王子様』2ndシーズン向日岳人役で俳優デビューします。

2014年、『烈車戦隊トッキュウジャー』の主演・ライト / トッキュウ1号役を務め、バンダイ『トッキュウジャー変身シリーズ』でCM初出演。2017年には『春のめざめ』で舞台初主演します。

2018年1月にトランスジェンダーの役で主演を務めた『女子的生活』は、第73回文化庁芸術祭賞テレビ・ドラマ部門で放送個人賞を受賞するなど高い評価を受けました。

基本情報

基本情報

監督      山田洋次
脚本     山田洋次 朝原雄三
原作      原田マハ

出演者    沢田研二 菅田将暉 永野芽郁 野田洋次郎 リリー・フランキー

音楽      岩代太郎
主題歌      RADWIMPS feat.菅田将暉「うたかた歌」
撮影      近森眞史
編集      石島一秀

製作会社  「キネマの神様」製作委員会
配給       松竹
公開 2021年8月6日
上映時間   125分

製作国 日本
言語       日本語
興行収入   5億4500万円

小説「キネマの神様」

『キネマの神様』(キネマのかみさま)は、原田マハの長編小説です。2008年12月12日に文藝春秋から単行本が刊行され、2011年5月10日に文庫化されました。

2021年には、映画化に際し山田洋次が脚色した『キネマの神様』のシナリオを基に生まれた新たな物語である、『キネマの神様 ディレクターズ・カット』(文藝春秋刊、単行本)が発売されています。

2018年には舞台化され、2021年には映画版が公開されます。

ゴウ
作者の原田は「本作は限りなく私小説に近いというか、物語の3割ほどは実体験に基づいたもの」、

「残りの7割はファンタジー風になっているが、自分の人生がこんな感じになればいいなという願望を込めた部分もある」からこそ「父の人生にこんな温かな奇跡みたいなものが起きてほしい」と思って小説を書いたと語っています。

さらに原田は「父は無類の読書家だが、若い頃は大変なギャンブル好きでいつも借金を重ねていた。しかし、幸いなことに兄が小説家として父のことを書くようになって、自分も作家になってから父のことをあからさまに曝け出すことができるようになった」

「そのため、父が兄と私にとって創作という作業には欠かせない力となっているのは事実かもしれない」と述懐しています

監督・山田洋次

1961年、『二階の他人』で監督としてデビュー。大島渚、篠田正浩といった気鋭の新人が松竹ヌーヴェルヴァーグとして活躍していた時代にあって、山田は地味な存在でした。

ヌーヴェルヴァーグ派が松竹から独立して行く中、松竹大船調路線の後継者として『下町の太陽』、『馬鹿まるだし』等のコメディを中心とした作品で企業内監督の道を歩むようになります。

1961年頃から『遺族』、『泣いてたまるか』などテレビドラマの脚本を担当するようになり、一部の作品では「山田よしお」のペンネームを使っています。

次第に喜劇作家としての評価が高まり、何本かの作品がキネマ旬報ベストテン入りしますが、ヒットには恵まれない状態が続きます。

1968年、連続テレビドラマ『男はつらいよ』の原案・脚本を担当。テレビドラマのヒットにより同作は1969年、松竹で映画化されることになります。

当初は観客動員も地味でしたが高い評判を呼び、輪番であった監督が山田単独となる頃から尻上がりに観客も増えはじめます。

その後、50年間に50作が製作される大ヒットシリーズとなり、毎年お盆と暮れの興行は日本人の風物詩、国民的映画とまでいわれました。

しかし、車寅次郎役である渥美清の体調が優れなくなってからは、年2回作られていた『男はつらいよ』シリーズを年1回に減らし、後に甥の満男の出番を増やして寅次郎の出番を減らす決断をします。

第47作と第48作は、ドクターストップがあったものの無理に出演してもらったものです。

1996年、第49作『寅次郎花へんろ』を準備中、渥美が死去し、シリーズは終了(打ち切り)を余儀なくされ、さらに4年後には大船撮影所が閉鎖されました。

その後、1988年から2009年にかけては、『男はつらいよ』シリーズに代わり松竹を支える看板喜劇映画シリーズとなった『釣りバカ日誌』シリーズ全22作の脚本を手がけています。

「キネマの神様」の見どころ

原作小説は、挫折した娘と父が映画によって再生する物語です。ゴウとテラシンの過去の経緯は出てこないので、過去の物語は映画オリジナルのエピソードです。

元々、山田洋次監督の大ファンだった原田マハさんが、山田洋次監督との対談の機会を得た時に「キネマの神様」という小説を書いたので映画化してもらえないかと永年の妄想を口にしようとしました。

すると、すでにその本を読んだという山田洋次監督が、こういうエンディングで映画にしてみたいとおっしゃって映画化が実現することになったそうです。

若き日のゴウとテラシンはかつて山田洋次監督が身を置いた撮影所のエピソード、そして映画好きでギャンブル依存症の父のエピソードは原田マハさんの実体験。

2人

映画黄金期の古き良き時代と歴史、そして家族の再生物語を一緒に描く壮大な作品になったという訳です。

家族を描くことが多い山田監督が、自身とは切っても切れない「映画」をテーマに、「家族」にもたらす奇跡を描くのはある意味必然なのかもしれません。

最高の代役

主役のゴウを演じることを楽しみにしておられた志村けんさんが亡くなられたのは、まだ記憶に新しい衝撃的な出来事でした 。

その遺志を引き継いで、ゴウを演じることになったのは14年ぶりの映画出演を果たす沢田研二。

沢田が志村けんさん(享年70)の代わりに映画「キネマの神様」で主演を務めると発表された。ネットでは「最高の代役」と喜ぶ声が上がりました。

もともと同じ事務所の先輩後輩という間柄だった沢田と志村さん。テレビやラジオ、そして舞台で何度も共演しています。

ブレイクの時期が重なる2人は当時、風貌も似ていると話題でした。それを活かし、沢田さんが志村さんの鏡に写された姿を演じるというコントもありました。

沢田さんはアイドルにもかかわらず、志村さんの無茶振りにきちんと対応。そのことが、沢田さん人気をさらに押し上げたのです。

何より志村さんも晩年に『すごかった』と沢田さんのコントスキルを讃えていました。

そのため今回の代役にもネットでは
・志村さんからジュリーへ! このバトンの引き継ぎはグッとくるものがあるな
・二人のこれまでの縁、信頼があってこその配役で、志村さんもきっと安心しているんじゃないかなぁ
・志村からジュリーへ!こんな最高な代役ないだろ。ジュリーは男だなあ
と喜ぶ声が上がっています。

まとめ

今回は「キネマの神様」をご紹介しました。
いかがでしたでしょうか?

山田洋次監督が「家族」をテーマに制作したこの作品ですが、志村さんが亡くなったことや緊急事態宣言の影響で撮影が中断しました。

メディアによると、そんななかで制作陣は「作品を完成させることが志村さんへの供養になる」と考え沢田にオファー。受けた沢田はこうコメントしたといいます。
「志村さんのお気持ちを抱き締め、やり遂げる覚悟です」

かつてトップスターだった沢田が志村さんの作るコントへ出演する理由は、志村さんの“笑いの才能”を尊敬していたから。

第一線で活躍する沢田をリスペクトしていた志村さんと、志村さんの才能を信じる沢田の関係性は、劇中のゴウとテラシンに重なります。

誰よりも映画への情熱を持ち、映画監督になる夢を追いかけて助監督として働くゴウに対して、テラシンは「誰よりも映画に詳しい」と一目置きます。

ゴウも、自分の名画座を持つ夢を抱き、今は映写技師として働くテラシンの映画への愛情、そして夢の実現を信じています。

お互いを認め合い、お互いの才能を確信しあう盟友関係にある2人は、ゴウの人生を通して紡がれる愛と友情を描いた物語のなかに奇跡を生みました。

全編、映画愛に包み込まれた心温まる気持ちになる、観客に夢を与えてくれる作品です。