ITパスポート試験は「通称:iパス」とも言いますが、ITを活用するすべての社会人やこれから社会人となる学生が備えておくべき、ITに関する基礎的な知識が証明できる国家試験です。
今やITは私たちの社会の隅々まで浸透し、どんなビジネスにおいてもこれ無しでは成立しませんよね。
そんな国家資格ともなっている「ITパスポート試験」についてをご紹介させていただきます。
Contents
適用する仕事
冒頭でもお伝えしたように、ITパスポートは新たに社会に出る学生ばかりでなく、あらゆる社会人にとって役立つ資格です。
もし求人に応募する際にこの資格を持っていると、持っていないライバルとの差別化ができます。
そんなITパスポートを持っていると有利とされる職種は以下のとおりです。
事務職
ITパスポートを持っていると優遇される職種として、真っ先に挙げられるのは事務職です。
最近では事務職の求人は少ないので、差別化を図るためにITパスポートを持っている方が優遇されるケースがあります。
また、求人の中には「資格保有者優遇」と書かれているケースもありますね。
サポートスタッフ
テクニカルサポートのオペレーターなど、ITエンジニアほどのITスキルは必要ないものの、基本的なITの知識がないと務まらない職種には需要があります。
そうした職種の求人に応募する場合は、ITパスポート資格を持っている方が有利です。
自分はエンジニアには向いていないけれど、ITに関わる仕事がしたいならこうした職種を狙ってみてはいかがでしょうか。
IT企業の営業職
エンジニアだけがIT企業の求人ではありません。
営業職や総務や経理といった事務職も大事な職種です。
もし営業職が希望なら、ITパスポートを持っていると営業の現場で大きな差となってくるでしょう。
もちろん入社すればITに関する知識は学べますが、その下地といいますか背景となる知識を知っているのと知らないとでは、業務として差が生まれてくるでしょう。
おおよその年収とキャリアパス
就職活動のときにライバルとの差別化が図れる「ITパスポート」ですが、実際どのくらいの年収やキャリアパスに反映するのでしょうか。
年収は?
ITパスポートの資格を持って働く場合は、推定年収が380万~500万円ほどであるといわれています。
将来性としても国家資格であることもあり、よりスキルレベルの高い資格群を取得するためのステップアップのための資格と考えれば、将来的にも年収ではスキルレベルに応じて上がっていきます。
というのも、実践力を備えた「基本情報技術者試験」や高度なIT技術者を強く意識した「応用情報技術者試験」といった情報処理技術者試験は仕事に直結した試験です。
そうした資格は実務的なスキルが求められて成果がわかりやすいので、周囲から高い評価を受けられます。
このようにスキルアップで年収を変えることができますよ。
金額は企業によって異なりますが、ITパスポートが資格手当の対象となっている会社の場合は、だいたい数千円という金額の手当が付くでしょう。
ただし、この額はかなり良い場合です。
もちろん、資格手当がない会社もあります。
キャリアパスは?
ITエンジニアを目指す足がかり
未経験からITエンジニアやプログラマーを目指すための足掛かりとなります。
「ITエンジニアになりたいけれど何を勉強すれば良いかわからない」という悩みの基礎固めになります。
実務経験が無くても、専門用語や基本的な仕組みを理解しているという証明にもなりますね。
WebディレクターやWebデザイナーの転職に有利
ITパスポート試験に合格すると、IT系職種の中でもWebディレクターやWebデザイナーの転職に有利になるといわれています。
これはプログラマーやSEほどの専門知識は求められないものの、基本的なITスキルや情報処理の知識が必要になるからです。
事務系職種にとっては
事務系職種の人にとってもパソコンが操作できるだけでなく、セキュリティ対策やITの基礎知識があることの証明になります。
これによって、今までIT関係で分からないことが出てくると社内の詳しい人を頼っていたけれども、自力で調べて解決できるようになります。
ネットで検索して自力で解決できるようになれば、困りごとが短時間で解決できるようになり、業務効率も上がるでしょう。
認可団体
ITパスポート試験を主催している団体は「独立行政法人 情報処理推進機構」というところです。
英語名では「information-technology Promotion Agency,Japan」
略称は「IPA」です。
この機構は情報処理の促進に関する法律の一部を改正する法律(平成14年法律第144号)により、2004年1月5日に設立されました。
そして、同法附則第2条第1項の規定により解散した、特別認可法人である「情報処理振興事業協会」の業務などを継承した団体なのです。
このIPAは、絶え間なく進化するIT社会の潮流や技術動向を広い視野に捉え、社会課題の解決や産業の発展につながる指針を示していくことを掲げています。
それとともに、情報セキュリティ対策の強化や優れたIT人材を育成するための活動に取り組み、安全で利便性の高い「頼れるIT社会」の実現に貢献していきます。
IPAの事業紹介としては以下の3点です。
- 情報セキュリティ対策の実現
- IT人材の育成
- IT社会の動向調査・分析・基盤構築
受験条件
受験資格は特段ありません。
技術系の社会人や理系の学生だけでなく、事務系の社会人や文系の学生なども対象としています。
合格率
- 2017年 50.4%
- 2018年 51.7%
- 2019年 54.3%
1年当たりの試験実施回数
試験会場によって回数は変わりますが、概ね土・日曜日に開催されており、東京や大阪などの大都市ほど試験回数は多い傾向があります。
最大で年間60~65回、最小で年間20~25回を目安に行われています。
具体的な試験回数はIPA(情報処理推進機構)のホームページに試験会場とともに、3ヶ月先までの試験日と座席数・空席数を確認することができます。
試験科目
ストラテジ系 | 経営全般(35問程度) |
マネジメント系 | IT管理(20問程度) |
テクノロジ系 | IT技術(45問程度) |
採点方式と合格基準
採点方式と総合評価点について見てみます。
採点方式
IRT(Item Response Theory:項目応答理論)に基づいて解答結果から評価点を算出
合格基準は総合評価点が600点以上であり、かつ分野別評価点もそれぞれ300点以上であること
総合評価点
600点以上/1,000点(総合評価の満点)
分野別評価点 | |
ストラテジ系 | 300点以上/1,000点(分野別評価の満点) |
マネジメント系 | 300点以上/1,000点(分野別評価の満点) |
テクノロジ系 | 300点以上/1,000点(分野別評価の満点) |
取得に必要な勉強などの費用
ITパスポート試験は独学で十分合格できます。
基本教材となる参考書で基礎を固める
ITパスポートの資格には取得するための参考書があります。
参考書を使えば、後で簡単に振り返ることが出来ます。
よくわかるマスター 令和2-3年度版 ITパスポート試験 対策テキスト&過去問題集
- 出版社名:富士通エフ・オー・エム
- 書籍名:よくわかるマスター 令和2-3年度版 ITパスポート試験 対策テキスト&過去問題集
- 価格:¥2,420(税込)
こちらはITパスポート試験の合格を目的とした試験対策用のテキストで、必要な知識を習得する「教科書」と合格に必要な実力をつける「過去問題」を集約しています。
また、添付のCD-ROMの「過去問題プログラム」には、過去問題800問とそれに対応する詳細な解説を収録しています。
約2,500語という圧倒的な用語も解説しています。
令和03年イメージ&クレバー方式でよくわかる栢木先生のITパスポート教室
- 出版社名:技術評論社
- 書籍名:令和03年イメージ&クレバー方式でよくわかる栢木先生のITパスポート教室
- 価格:¥1,738(税込)
非IT系の社会人や学生の方からも絶大な支持がある、ITパスポート受験者のためのやさしいオールインワンタイプの参考書&問題集です。
収録問題数は令和の過去問含めてたっぷりの239問で、無駄なく効率よく短時間で合格レベルに到達できる1冊となっています。
アプリを使う
ITパスポート試験のためのアプリがありますから、それらを使うのも手です。
アプリなので通勤中や休憩時間などでも勉強できますね。
- 全問解説付き ITパスポート一問一答問題集
- ITパスポート全問解説2020
ITパスポートの過去問を使う
参考書で知識を固めて、アプリもこなしてきたら、次は過去問で試験に慣れましょう。
過去問は「ITパスポート試験ドットコム」などのWebサイトで入手できます。
解いてみて苦手なところがあれば、もう一度参考書に戻って知識の確認をしましょう。
受験料
5,700円(税込)
受験申込方法
この試験を受けるには「利用者ID」を取得しなければなりません。
取得したうえで申し込む手順は以下のとおりです。
① 利用者メニューへのログイン
受験申込みページから「すでに利用者IDをお持ちの方」を選択し、ログインしてください。
② 受験関連メニューから「受験申込」を選択
③ 地域を選択
④ 試験会場を選択
⑤ 試験日を選択
ただし、支払い方法や受験申込日の時間により、予約可能な試験日が異なる
クレジットカード、バウチャー | 0:00~11:59 | 申込日の翌日~3ヶ月後まで |
12:00~23:59 | 申込日の翌々日~3ヶ月後まで | |
コンビニ | 0:00~23:59 | 申込日の5日後~3ヶ月後まで |
⑥ 試験開始時間を選択
⑦ アンケートに回答
⑧ 申込内容の確認
⑨ 支払い方法の選択(クレジットカード、コンビニ、バウチャーの支払いが可能)
⑩ 支払い手続き
⑪ 受験申込完了
まとめ
今回は「ITパスポート試験」をご紹介した記事でした。
お仕事をする上でITは至る所に存在しています。
その基礎を学ぶのに最適なのがこの試験です。
就職活動に差を付けたい方、お仕事で自信を付けたい方必見です。
ただ受験申込や受験の臨み方などは、少々複雑に見えたので注意してくださいね。
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