「造園技能士」と聞くと、植物関連の仕事だとは想像がつきますが、実際にはどのようなことをしているのかわからない方が多いのではないでしょうか。
そこで今回は「造園技能士」について触れていこうと思います。
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適用する仕事
造園業の資格はいろいろありますが、その中で有名なもののうちの1つが造園技能士です。
造園技能士は、庭に関連するいろいろな知識だけではなく、高度な技能も持っていると認定された方が持てる国家資格です。
全国規模でみると、約12万人の方が造園技能士で働いています。
造園技能士の方は、造園の企業に入って働く方が多いです。
造園技能士の資格は造園の仕事をする際に必ず必要というわけではないですが、造園技能士の資格を持っていると、造園に関係する最低限の知識・技術を習得していることとみなされ、お客さんや企業の信頼も増すことになります。
造園技能士の仕事内容は、一軒家・マンションの庭を造ったり、手入れをしたり、商業施設での緑化整備を行うなど様々な造園に関する仕事をしています。
それだけではなく、公共の事業を任せられるような規模の大きい企業で働いている造園技能士であれば、造園の工事にかかわる機会も出てきます。
需要という点で見てみると、造園技能士の主な仕事は公園・庭の手入れですから、植物がどのように成長するかや、周りとのバランスを確認しながら手入れをするのみならず、5年・10年先のことも考えて仕事をします。
造園技能士の技術力・豊富な知識はとても貴重で、お客さんに気に入られると付き合いが長くなります。
日本はマンションやアパートが増加していて、庭がついている一軒家を持っている方が少なくなっています。
庭がついている一軒家でも人気があるのは洋風の庭で、日本の伝統的なものは需要が減ってきています。
しかし、外国で日本の庭園が人気になってきているので、これからは海外で活躍できる機会も出てくるでしょう。
おおよその年収とキャリアパス
造園技能士の平均年収は約300万円で、日本の平均的な年収と比べるとあまり高い方ではありません。
ただし、稼いでる方と稼げない方の差があり、個人差が大きいです。
20代の平均的な月収は約15万円から約20万円、30代は約20万円から約25万円、40代は約25万円から約30万円となっています。
年収を上げる方法
造園業で平均年収を超えて年収を上げる方法は、規模が大きい造園企業に転職して働くことです。
経験を増やしていき、資格を取得すると年収が上がるので期待できます。
また、資格についての手当を支給してくれる企業もありますから、手当によっても平均年収に違いが出てきます。
実務経験・スキル・実績などで年収は異なりますので、経験豊富な方で良い仕事ぶりを発揮すれば評価につながって収入も上がります。
転職するほかに独立する方も多いですが、なかなか難しいです。
独立する場合は、造園技能士としてのスキルだけではなく、雑務なども自分で行わなければならないので、事務の知識・コミュニケーション力・営業力などが必要になります。
造園技能士の将来
昨今は、AIによって仕事がなくなっていくと言われています。
その点でいうと、造園業は緑化の工事が増えているだけではなく、工事現場などでは複雑な判断はまだAIにはできません。
そのため、造園業には将来性があると言えます。
しかし、現在では、造園業へ就く人数は減ってきています。
若手の人材が不足しているので、20代・30代などの作業員は喜ばれるでしょう。
造園企業側も若手の人材を得るために、企業そのものの印象を上げたり、労働環境の改善や待遇を良くしようと行なっているため、造園企業の労働環境は改善されてきています。
ただし、造園企業ならどれでも良いわけではありません。
最近は個人宅への造園の依頼は減少しているので、メインの顧客が個人企業の場合は将来性が少々危険です。
将来性を期待するなら公共事業などにかかわっている企業・ホテル・旅館などが顧客で、それらを多くこなしている大手の企業に入社するのが良いでしょう。
認可団体
認可団体は厚生労働省です。
受験条件
- 3級は実務経験不問となっていますので、誰でも受験が可能です。
- 2級は、3級合格者は実務経験なく受験できますが、それ以外の方は2年の実務経験が必要です。
- 1級にはたくさんの条件があります。
1級の受験資格 | ||||
学歴等 | 必要な実務経験年数 | |||
通常 | 2級合格後 | 3級合格後 | ||
実務経験のみ | 7年 | 2年 | 4年 | |
専門高校卒業 | 6年 | 2年 | 4年 | |
専修学校(大学入学資格付与課程)卒業 | 6年 | 2年 | 4年 | |
短期大学卒業 | 5年 | 2年 | 4年 | |
高等専門学校卒業 | 5年 | 2年 | 4年 | |
高校専攻科卒業 | 5年 | 2年 | 4年 | |
専修学校(大学編入資格付与課程)卒業 | 5年 | 2年 | 4年 | |
大学卒業 | 4年 | 2年 | 4年 | |
専修学校(大学院入学資格付与課程)卒業 | 4年 | 2年 | 4年 | |
専修学校または各種学校卒業 | 800時間以上 | 6年 | 2年 | 4年 |
1600時間以上 | 5年 | 2年 | 4年 | |
3200時間以上 | 4年 | 2年 | 4年 | |
短期課程の普通職業訓練修了 | 700時間以上 | 6年 | 2年 | 4年 |
普通課程の普通職業訓練修了 | 2800時間未満 | 5年 | 2年 | 4年 |
2800時間以上 | 4年 | 2年 | 4年 | |
専門課程または特定専門課程の高度職業訓練修了 | 3年 | 1年 | 2年 | |
応用課程または特定応用課程の高度職業訓練修了 | 1年 | 1年 | 1年 | |
長期課程または短期養成課程の指導員訓練修了 | 1年 | 1年 | 1年 | |
職業訓練指導員免許取得 | 1年 | 1年 | 1年 |
合格率
造園技能士の合格率は、3級で70パーセント・2級で40パーセント・1級で25パーセントとなっています。
1年当たりの試験実施回数
試験は前期、後期の年に2回行われています。
前期の実務試験は6月から9月ごろ、学科試験が7月から9月ごろです。
後期の実務試験は12月から2月ごろ、学科試験が1月から2月ごろです。
試験科目
試験科目は、1級と2級の学科試験は庭園と公園・材料・施工法・設計図書・関係法規・測量・安全衛生で、実技試験は造園工事作業となっています。
3級の学科試験は、庭園と公園・材料・施工法・設計図書・関係法規・安全衛生で、実技試験は造園工事作業となっています。
採点方式と合格基準
採点方式は、学科試験がマークシートで行われます。
合格基準は実技と学科の両方が100点中60点以上です。
ただし、1級・2級の学科試験は65点以上となっています。
取得に必要な勉強などの費用
独学にどんなテキストを購入するのが良いか迷われると思います。
このようなテキストがおすすめです。
平成29・30・31年度 試験問題集63造園[造園工事作業]
発行元:雇用問題研究会
商品名:平成29・30・31年度 試験問題集63造園[造園工事作業]
価格:¥1,650(税込)
1、2級造園技能検定対策 造園実技の基本
出版社名:理工図書
商品名:1、2級造園技能検定対策 造園実技の基本
価格:¥3,300(税込)
受験料
受験料は学科試験が3,100円、実技試験が18,200円となっています。
都道府県によって、異なる場合があるので注意してください。
受験申込方法
受験を希望する都道府県の職業能力開発協会で、受験申請書などを取り寄せます。
必要な項目に記入をし、都道府県職業能力開発協会に直接持参するか、郵便で申請をするかしてください。
まとめ
造園技能士は、もし今造園業にかかわっている方であれば取るべき資格だと思われます。
手当てがついたり、転職の際に有利になったりなど、いろいろなところで活用できるからです。
ぜひとも、1級を目指して頑張っていただきたいです。
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