世界各国の凄腕エージェントによるドリームチームの活躍を描いたスパイアクション「355」  

世界各国の凄腕エージェントによるドリームチームの活躍を描いたスパイアクション「355」  

今回ご紹介する映画は、ジェシカ・チャスティン、ペネロペ・クルス、ファン・ビンビン、ダイアン・クルーガー、ルピタ・ニョンゴら豪華キャストが集結し、世界各国の凄腕エージェントによるドリームチームの活躍を描いたスパイアクションです。

格闘術を得意とするCIAのメイス、トラウマを抱えるドイツ連邦情報局のマリー、コンピューターのスペシャリストであるMI6のハディージャ、優秀な心理学者であるコロンビア諜報組織のグラシー、中国政府で働くリン・ミーシェン。

秘密兵器を求めて各国から集まった彼女たちは、ライバル同士だったが互いの手を取り、コードネーム「355(スリー・ファイブ・ファイブ)」と呼ばれるチームを結成。

世界を混乱に陥れるテクノロジーデバイスの利用を画策する国際テロ組織を阻止するべく立ち上がる。「X-MEN:ダーク・フェニックス」のサイモン・キンバーグ監督がメガホンをとっています

今回は「355」のあらすじ、キャスト、見どころなどをご紹介します。

あらすじ(ネタバレあり)

麻薬カルテルのボスであるサンディアゴと、国際テロ組織のボスの右腕イライジャが、何やら取引を始めています。

しかし、こじれてしまい銃撃戦が開始されました。イライジャ側の部下ルイスは実はコロンビアの特殊工作員で、特殊部隊の攻撃の合図を送り、さらに戦況は激化していきます。

ルイスはその戦いに紛れて、取引商品だったデバイスを持ち去っていきました。結局、テロ組織も麻薬カルテルも共倒れとなります。

その後、ルイスはCIAに300万ドルで取引を吹っかけました。メイスはCIAの女性諜報員で、ルイスのデバイス回収を命じられ任務に取り掛かります。男性諜報員のニックと一緒にパリへ飛びました。

夫婦を装いルイスに近づくメイスたち、ルイスの身柄とバッグを回収するつもりでしたが、ウェイトレスに扮したドイツの女性諜報員マリーにバッグを盗まれてしまいます。

メイスはマリーを追い、ニックはルイスを追いますが、二人とも逃してしまいます。

逃げ切ったルイスは心理学者のグラシーに会いに来ました。結局、マリーもデバイスを奪えずにいました。メイスは一旦状況を確認するために戻ると、ニックが殺された事を知ります。

マークス長官から単独で動くよう指令を受けたメイスはイギリスに向かい、親友のコンピューター専門家のディジに会いに行きました。

ジェシカ

引退して恋人もいるディジを巻き込むわけにはいかないと考えたメイスでしたが、デバイスが世に出回った危険性を知ったディジは、メイスに協力してくれる事になりました。

早速ディジは、マリーとルイスの情報を手に入れます。滞在するホテルの場所を掴み、グラシーといるルイスに接近しました。マリーも同様にルイスに接近します。しかし、ルイスは何者かに銃撃されます。

死を悟ったルイスは携帯をグラシーに使えるようにし「誰も信じるな」と告げました。ディジは狙撃した男を追いますが、取り逃がしてしまいます。

メイスとマリー、ディジとグラシーでデバイスの行方を追います。そして見事な手口で、奪われたデバイスを取り返す事が出来たのです。その後、祝杯を上げた4人は親睦を深めることになります。

その頃、マークス長官がアジア系の女性に射殺され、デバイスを奪われてしまいました。4人が解散したあと、2つの都市で停電があり、6機もの飛行機が墜落したことをニュースで知ります。

CIAではマークスが殺された事で、メイスたちに追っ手を送る事になります。

キャスト

メイソン・“メイス”・ブラウン(ジェシカ・チャスティン)

アメリカCIAのエージェント。高い近接格闘の能力を持っています。

演:ジェシカ・チャスティン
「ER 緊急救命室」「ヴェロニカ・マーズ」などの人気TVシリーズにゲスト出演したのち、08年の「Jolene(原題)」でスクリーン・デビュー。

2011年には、カンヌ国際映画祭でパルム・ドールに輝いた「ツリー・オブ・ライフ」、アカデミー賞助演女優賞にノミネートされています。

また、「ヘルプ ~心がつなぐストーリー~」、「テイク・シェルター」など話題の出演作が立て続けに公開され、名実共に若手実力派女優として一気に花開きました。

今後もテレンス・マリック監督と再タッグを組むなど、期待の作品が続々と控えています。

グラシエラ・リベラ(ペネロペ・クルス)

コロンビアDNIに所属する心理学者。同機関のセラピストで戦闘の経験はありません。夫と息子がおり、グラシーと呼ばれています。

演:ペネロペ・クルス
映画デビューは92年の「ハモンハモン」。この作品で妊娠した身で他の男に走る娼婦の娘を熱演し、スペインの映画賞であるゴヤ賞の主演賞候補になりました。

以降「ベルエポック」、「オープン・ユア・アイズ」とスペインを代表する監督の作品に出演。

「ライブ・フレッシュ」に続き出演したアルモドバル作品「オール・アバウト・マイ・マザー」をきっかけに一躍ハリウッドでも注目の若手女優となります。

以降はイギリスやアメリカの映画にも出演するようになり、マット・デイモンやニコラス・ケイジ、ジョニー・デップらと共演。近年スペインで最も人気のある新進気鋭の女優と成長しました。

リン・ミーシェン(ファン・ビンビン)

中国MINISTRYのエージェント。メイスたちの動きを追っています。父親もエージェント。
メイスたちの動きを追っています。父親もエージェントです。

演:ファン・ビンビン
テレビドラマ『還珠姫〜プリンセスのつくりかた〜』への出演を機に一躍有名となります。

日中合作映画『墨攻』に出演、2007年の日本公開時にはプロモーションで来日し、日本でも知名度が上昇。同年、『心中有鬼』で金馬奨最優秀助演女優賞を受賞しています。

2008年には、初製作ドラマ『臙脂雪』、続く『少女武則天』も放映されています。

また、ジャッキー・チェンの映画会社であるJCEムービーズなど3社が共同出資したタレント事務所「博納英龍演芸経紀有限公司」との業務提携を発表しました。

2016年、『わたしは潘金蓮じゃない(中国語版)』で、第64回サンセバスチャン国際映画祭・シルバー・シェル賞(最優秀女優賞)を受賞。

マリー・シュミット(ダイアン・クルーガー)

ドイツBNDのエージェント。近接格闘戦の能力が高く、爆破工作にも長けています。過去に諜報部員の父親Bに売っていたため、二重スパイとして逮捕されています。

演:ダイアン・クルーガー
2004年公開の『トロイ』でハリウッドに進出し、『トロイ』と同年公開された『ナショナル・トレジャー』で国際的に知られるようになります。

2005年には『マキシム』誌の「ホットな女性」50位に選出。以後、ハリウッドとヨーロッパの両方で活躍しています。

2007年の第60回カンヌ国際映画祭の開会式及び閉会式の司会と、2008年の第59回ベルリン国際映画祭の審査員を務めた経験もあります。

2009年公開の『イングロリアス・バスターズ』で全米映画俳優組合賞助演女優賞にノミネート。

2017年、ファティ・アキン監督の『女は二度決断する』で第70回カンヌ国際映画祭の女優賞を受賞しました。

ハディージャ・アデイェミ(ルピタ・ニョンゴ)

イギリスMI6の元エージェントでコンピューターの専門家。現場仕事から退いているが接近戦の心得はある。自宅ではパートナーと同棲しています。

演:ルピタ・ニョンゴ
2004年頃から業界での活動を始め、「ナイロビの蜂」や「その名にちなんで」に製作スタッフで参加。

08年、短編「East River(原題)」で本格的に女優デビューしています。

その後ケニアへ戻り、TVシリーズ「Shuga(原題)」に出演のほか、ドキュメンタリー「In My Genes(原題)」では初メガホンを務めるなど多才ぶりを発揮。

そして、女優として長編デビューとなった「それでも夜は明ける」(13)ではその迫真の演技が話題を呼び、アカデミー賞助演女優賞に輝きました。

ニック・ファウラー(セバスチャン・スタン)

CIAのエージェントでメイスの同僚です。

演:セバスチャン・スタン
『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』と『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』のヒーロー、バッキー・バーンズ / ウィンター・ソルジャーを演じたことで知られます。

その他、ABCのファンタジー・ドラマ、『ワンス・アポン・ア・タイム』でジェファーソン / マッド・ハッター役、『Kings』で王子ジャック・ベンジャミン役、『ゴシップガール』でカーター・ベイゼン役を演じています。

イライジャ・クラーク(ジェイソン・フレミング)

国際テロ組織の資金運用を任されている有力者。デバイスの奪取を企てています。

演:ジェイソン・フレミング
ロンドン出身。父親はスコットランドの映画監督ゴードン・フレミング(Gordon Flemyng)。

子供の頃から役者を志し、London Academy of Music and Dramatic Artで演技を学んだ後、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーに参加しています。

1992年に『インディ・ジョーンズ/若き日の大冒険』シリーズに出演。その後イギリス・ハリウッド両方の作品で活躍しています。フランス語に堪能なため、いくつかのフランス映画にも出演しています。

基本情報

基本情報
監督     サイモン・キンバーグ
脚本     テレサ・レベック サイモン・キンバーグ
原案     テレサ・レベック
製作     ジェシカ・チャスティン ケリー・カーマイケル サイモン・キンバーグ
出演者    ジェシカ・チャスティン ルピタ・ニョンゴ ペネロペ・クルスダイアン・クルーガー
音楽     トム・ホーケンバーグ
撮影     ティム・モーリス=ジョーンズ
編集     ジョン・ギルバート製作会社 パーフェクト・ワールド・ピクチャーズ
配給      〔アメリカ〕ユニバーサル・ピクチャーズ 〔日本〕 キノフィルムズ
公開      〔アメリカ〕 2022年1月7日 〔日本〕 2022年2月4日
上映時間          122分
製作国       イギリス アメリカ合衆国
言語           英語
製作費          $75,000,000
興行収入       〔アメリカ・カナダ〕 $14,561,830 〔世界〕 $26,700,499

タイトル「335」の意味は?

作品のタイトルである「355」は、18世紀のアメリカ独立戦争時代に実在した女性スパイの暗号名から取られています。

その謎のスパイの正体は、アメリカ独立戦争未解決のミステリーと言われているそうです。

355は初代アメリカ合衆国大統領ジョージ・ワシントンの諜報機関で中枢的役割を果たした実在の女性で、イギリス軍の動向についての機密情報をアメリカ将校たちに伝えた人物。

彼女が使った数字の暗号は入念なシステムで、全てのエージェントの名前と居場所を秘匿化することに成功していたといいます。

それから何百年が経っても彼女の革新的な成果は風化しておらず、現在でもスパイの女性たちは互いを355と言及することがあるそうです。

プロデューサー兼主演のジェシカ・チャスティンも「355というタイトルの映画は、認識されていない女性たちに対する敬意なのです。彼女たちのパワー、強さ、達成したことを詳しく説明し、『ありがとう』と言っているのです」

と、そのタイトルの重要性について語っています。

『355』は過去に活躍した女性にも多大な敬意を払い、やはり女性たちのアクション映画としての意義をとことん追求した映画にということでしょうか。

インターナショナルな女優陣が集結

「355」は、世界に脅威と混乱を招く兵器を手に入れた国際組織の陰謀を阻止するため、5人の女性エージェントたちが集結し、持てる能力すべてを使って戦っていく様子を描きます。

戦いを通して育っていく彼女たちの絆にもフォーカスし、コードネーム「355」という組織を作り上げていきますが、なんといっても1番の見どころは、名実と共に素晴らしい美しき女優陣の共演です。

ジェシカ・チャスティン、マリオン・コティヤール、ペネロペ・クルス、ルピタ・ニョンゴ、ファン・ビンビン。

『オーシャンズ11』の女性版『オーシャンズ8』のキャストも豪華で驚きましたが、こちらも負けていません。

ジェシカ・チャスティンがメインの役どころになりそうですが、『ゼロ・ダーク・サーティ』でCIA分析官を演じた経験を活かしてくれそうです。

アメリカ、フランス、スペイン、アフリカ、中国と出身やバックグランドもさまざまな女優が集まり、その知識と経験を合わせるとどんな化学反応が起きるのか注目です。

彼女たちのスパイアクションも気になるところですが、女性スパイというと『ソルト』や『ニキータ』、『レッド・スパロー』のように孤独に一人で戦うイメージがあります。

もし『355』のような女性グループのスパイ組織が立ち上がり、成功を収めるとしたらかなり魅力的ではないでしょうか?

主役5人の役割は?

  • ジェシカ・チャスティン
    情熱的で衝動的、乱暴になる傾向があるメイスは、ベテラン兵士であると同時に熟練したCIA諜報員。
    目的を達成し、全ての任務を完結するまで何も彼女を止められません。ダイアン・クルーガー演じるマリーに明らかにライバル要素を感じています。
  • ペネロペ・クルス
    鋭い知性と、感情を読み取る能力を持つ心理学者。危険な状況を好まず、治療とサポートが本来の役割。
    グラシエラの役は、ペネロペ・クルス自身のアイデアに基づいています。彼女は戦いに巻き込まれたくないのにも関わらず、“355”に不可欠な存在になっていきます。
  • ファン・ビンビン
    中国政府で働く謎多き女。並外れたコンピュータースキルを持っています。さらに、中国医学にも精通し、高い運動能力を持ったエージェントです。チームの一挙一動を監視し、敵か味方かさえも謎に満ちています。
  • ダイアン・クルーガー
    大胆不敵なマリーはドイツ版CIA であるドイツ連邦情報局(BND)で長年働く諜報員です。一匹狼であるマリーは、誰も信用しない。どんな任務でも、できれば武器を自由に使って単独で働きたいと考えています。
  • ルピタ・ニョンゴ
    極めて有能なハッカーで徹底した天才として、ハディージャはMI6 諜報員の勤務を終えたばかり。スパイの世界に精通しています。しかし、彼女はIT 会社を設立するため、諜報の世界をあとにします。

ジェシカ・チャスティンのインタビュー

映画を完成させる苦労を実感

ジェシカが演じたのは、最強の格闘スキルを誇るCIA女性エージェント・メイス。

突入

「彼女は一匹狼でいかにもスパイという感じね。ちょっと陰気で独りで仕事をしたがるタイプ。でもメイスは問題を解決するため、他人と協力することを学ぶのよ。彼女にとって大事な学びだった」
と、役柄を分析しています。

また、メイス同様、本作のプロデューサー業を通してジェシカ自信にとっても多くの学びがあったといいます。

「今回最も苦労したのは映画を完成させることよ。想像していたよりもずっと大変なことだった。キャストを決めて、脚本を書いてもらい、そして予算を確保する。

脚本を詰めるにもお金が発生するわ。さまざまな手配を進めて、たくさんの契約をまとめたわ。とにかく必死になって準備を進めたの。学ぶことも多かった作品よ」

と新たな経験による自身の成長を実感したようです。

最高のキャストで毎日幸せ

自らもコミットしたキャスティングについては「これ以上のキャストはいないわ」と断言。

「まず私が共演したい人を挙げたの。ペネロペ・クルスとルピタ・ニョンゴとファン・ビンビンとダイアン・クルーガー、とね。全部私のアイデアだから100%大満足よ。最高のキャストで毎日幸せだったわ」
と理想的座組の実現に満足げな笑顔を見せていました。

「355」レビュー

タフに戦うスパイ映画
全員主役級のキャスティングで、5人揃う場面は圧倒的なオーラと華やかさ。続編かスピンオフで過去編か、ぜひこの世界観をもう一度味わいたい。撮影が2019年で数カ国に渡りロケを行っていたようで、パリ・モロッコなど街の風景も見どころ。
比較的年齢高め
女性達のスパイというよりアクション映画。ジェシカもダイアンもアクション頑張っているし、ペネロペも。ただし比較的年齢高めなキャストなので若者を取り込むのは無理かも。自分は楽しめたが。ストーリーはよくある感じでした。観て損はない映画です。
『355』の意味も終盤で判明
アメリカ、イギリス、ドイツ、コロンビア、中国の女性スパイが、世界で1つの最強デバイスを奪還するため、互いに協力して敵に向かっていく。テンポも良く、飽きる事なく観賞できた。この5人が共闘するのか?という疑問を持ったが、ストーリーとして無理矢理な点もなく、共闘体制をとる事になっていた。
みんなかっこいい
男勝りの役をやらせたらこの人ジェシカ・チャスティン。敵だと厄介だが味方なら心強いダイアン・クルーガー。このチームで意外にも一番お姉さんベネロペ・クルス。敵が味方に味方が敵に単純に楽しいアクション映画です。

まとめ

いかがでしたでしょうか?今回は「355」をご紹介しました。

「ミッション:インポッシブル」「ワイルド・スピード」「エクスペンダブルズ」シリーズなどなど、切れ者たちがチームを組み、困難なミッションに挑むアクション映画は少なくありません。

しかし、それらのほとんどは男性主体、もしくは男性オンリーのチームでした。それはそれで面白いのですが、女性のみのチームを描いた作品は極端に少ない気がします。

この作品は「女性活躍映画」です。ネットでの情報にもありましたが、『チャーリーズ・エンジェル』、『ジェイソン・ボーン』シリーズ、『オーシャンズ8』、『ブラック・ウィドウ』などを詰め込んだような映画です。

ストーリーについては既視感があるものが多く、それほど目新しさはありませんが、美女たちの華麗なアクションシーンは十分見応えがあります。

また、彼女らがウィッグで髪型&髪色を変えたり、この手のスパイムービーならお決まりのドレスアップシーンが挟み込まれたり、見ていて楽しいです。

『355』は肝心の5人のチームができるのが終盤なので、1番見たかった5人揃っての華麗な活躍が少ないというのは、ちょっと惜しい部分でした。