Webクリエイター能力認定試験はWWWで利用される技術の世界的な標準化を図るW3Cに完全準拠した、セマンティックな(「情報についての情報」を一定の規則に従って付加し、コンピューターシステムによる自律的な情報の収集や加工を可能にする構想)マークアップスキルを測定する認定試験です。
要はWebサイトを制作するために必要なスキルレベルを判定する試験です。
では、その詳細を見ていきましょう。
Contents
適用する仕事
「Webクリエイター能力認定試験」に合格すれば、実際の仕事に生かせる場はWebクリエイターやWebデザイナーなどです。
Webクリエイターとは
Webクリエイターとは、Webサイトやコンテンツ制作作業全般を行う職種を指します。
クライアントの希望や目的を叶えるために、どのようなWebサイトやWebコンテンツが必要なのか考えるお仕事です。
例えば、集客を目的とする場合は、SEO(検索エンジン最適化)や宣伝広告などを考えるときもあります。
Webデザイナーとは
Webクリエイターに対して、WebデザイナーというのはWebサイトのコンセプトに合わせてWEBページをデザインする職業です。
ただ単にWebページをデザインするのではなく、クライアントの意図をきちんと汲み取ったうえでデザインしなければなりません。
その他にもコーディングやWebページ用の画像や写真、イラストなどの選定や制作を行うこともあります。
この他にも、Web制作会社などのIT系の企業から需要がある見込みです。
おおよその年収とキャリアパス
先ほど、WebクリエイターやWebデザイナーの仕事内容をお伝えしましたが、ここではそれらの職業の年収はどのくらい、またどんなキャリアで進めばいいのかなどをご紹介していきましょう。
Webクリエイターでは
Webクリエイターは企業に勤めるか、フリーランスで働くかによって年収は異なります。
もちろんフリーランスの場合は、本人のスキルなどによる年収の差は大きいですね。
2020年の情報によりますと、Webクリエイターの年収は330万円ほどだと言われています。
月収にすると20万~25万円ほどになるでしょう。
しかし、Webプロデューサーのスキルがある場合は、平均年収400~500万円、知識や能力によっては年収1,000万円を超える場合もあります。
これだけの差が生まれるわけですから、日頃からスキルアップが必要になりますね。
Webデザイナーでは
具体的な年収
はじめに、2019年9月~2020年8月の1年間の統計で、Webデザイナーの平均年収は363万円らしいです。
意外と低いと思ったかもしれませんが、この収入のレベルはデザイン(Illustrator、Photoshop)はもちろん、コーディングやSEO対策ができるくらいのレベルです。
スキルアップして、スマホ対応やWordPressを使って様々な機能をアドオンできたり、JavaScriptやPHPもできるとなってくると年収は変わり、400~500万円以上の給料が望めます。
要はマルチな能力を持っていることが年収アップの決め手だそうです。
それに、Webデザイナーというのは、他の職業などと比較して男女での年収差が少ないといわれています。
具体的に言えば男性が338万円、女性が322万円と統計が出ています。
男性の方が多いじゃないかと思われるかもしれませんが、これは就業者の年齢が関係していると推測されます。
この職種は年齢とともに平均年収が上昇する傾向ですよ。
具体的なキャリアパス
Webデザイナーとして長く活躍するためには、以下の2つの選択肢があります。
これはWebデザイナーとしての経験を活かして、組織の中でキャリアアップを続ける働き方です。
Webデザイナーの仕事が一通りできるようになると、今度はWebディレクターとしてディレクションを担当したり、より高度なコーディング技術やサーバーの知識が求められるフロントエンドエンジニアなどの職種へ転換するといった、仕事の幅を広げられるようになります。
しかし、独立の場合はWeb制作関係の知識のみならず、自分を売り込むための営業スキルやコミュニケーションスキル、また自身のマネジメント能力も問われることでしょう。
Webスキル以外では、人脈が活きるとも言われています。
認可団体
Webクリエイター能力認定試験は「サーティファイ Web利用・技術認定委員会」が主催しています。
この委員会はIT、プログラミング、Web、コミュニケーション、著作権、コンプライアンスなど、高度化・専門家の知識や技術を資格化し、全56級種のレベル別に到達知識と技能を設定しています。
この協会の歴史を見てみると、いかにいろいろな資格を生み出し、広げていったのかが分かります。
時期 | 始めた資格名 |
1983年 | 情報処理技術者能力認定試験 |
1988年 | ワードプロセッサ技能認定試験 |
1992年 | C言語プログラミング能力認定試験 ホテル実務技能認定試験スタート |
1994年 | Visual Basic®プログラミング能力認定試験 |
1995年 | Excel®表計算処理技能認定試験 Illustrator®クリエイター能力認定試験 Photoshop®クリエイター能力認定試験 |
1996年 | Word文書処理技能認定試験 Access®ビジネスデータベース技能認定試験 |
2000年 | Java™プログラミング能力認定試験 |
2001年 | Webクリエイター能力認定試験 PowerPoint®プレゼンテーション技能認定試験 Flash®クリエイター能力認定試験 |
2003年 | コミュニケーション検定 |
2004年 | ビジネス著作権検定® |
2005年 | ホームページ制作能力認定試験 ビジネスコンプライアンス®検定 |
2008年 | ケア・コミュニケーション検定 ケア・コミュニケーション アセスメント試験 |
2011年 | 営業力強化検定®・営業力強化検定®「Webテスト」 |
2012年 | ネットマーケティング検定 |
2013年 | 実践日本語コミュニケーション検定(PJC) |
2016年 | ジュニア・プログラミング検定 |
2017年 | 実践Java™技術者試験 |
2018年 | 教育著作権検定 |
受験条件
どなたでも受験ができます。
合格率
88.4%(2019年)
1年当たりの試験実施回数
公開試験は9月中旬・3月上旬 随時試験
各試験会場が設定した日程となっています。
試験科目
試験はスタンダードとエキスパートで内容が違います。
スタンダード
スタンダードは実技問題のみ行われます。
- HTML5の変換
- HTMLの作成
- CSSの読込と作成
- 画像の表示
配布された問題データおよび、素材データに基づき、設問文の指示に従って編集を行い、解答データを提出する形式です。
エキスパート
知識問題
Webサイトに関する知識が問われます。
4択の多肢選択形式です。
実技問題
- HTMLの作成
- CSSの読込と作成
- 画像の表示
- JavaScriptの読込
こちらも配布された問題データおよび、素材データに基づき、設問文の指示に従って編集を行い、解答データを提出する形式です。
採点方式と合格基準
採点基準としては、HTML5、CSSの文法を正しく使用していて、設問の指示に従ったコーディングが行われていれば、原則として減点されることはありません。
- スタンダード:実技問題の得点において得点率65%以上
- エキスパート:知識問題と実技問題の合計得点において得点率65%以上
取得に必要な勉強などの費用
「Webクリエイター能力認定試験」に向けての勉強法は主に「独学」と「プログラミングスクール」の2通りでしょう。
ただ合格者の中には、プログラミングの独学者でも合格が可能な難易度とまで言われています。
十分独学でも合格できると思われます。
独学の場合は、とにかく「暗記と実践」が大切になってきます。
公式テキストがありますから
- まず公式テキストを読む
- 公式問題集を使って解いてみる
- 間違った問題を公式テキストと見比べて理解する
- もう1度公式テキストを読み返す
- 公式問題集を繰り返し行う
ぜひ頑張ってみて下さい。
Webクリエイター能力認定試験 HTML5 対応スタンダード公式テキスト
- 出版社名:富士通エフ・オー・エム
- 書籍名:Webクリエイター能力認定試験 HTML5 対応スタンダード公式テキスト
- 価格:¥2,750(税込)+税
試験主催元のサーティファイが認定している公式テキストです。
「Webクリエイター能力認定試験」のスタンダードの出題範囲をすべて網羅しています。
採点基準も掲載しています。
Webクリエイター能力認定試験 HTML5 対応エキスパート公式テキスト
- 出版社名:富士通エフ・オー・エム
- 書籍名:Webクリエイター能力認定試験 HTML5 対応エキスパート公式テキスト
- 価格:¥3,080(税込)
こちらも試験主催元のサーティファイが認定している公式テキストで、「Webクリエイター能力認定試験」のエキスパートの出題範囲をすべて網羅しています。
出題範囲に沿って、HTMLタグとCSSプロパティを学習できます。
こちらも採点基準を掲載しています。
一例になりますが、Webクリエイター能力認定試験の「スタンダードの講座」で合計約7万~9万円の費用が掛かります。
1対1の個別授業ができたり、W3C(World Wide Web Consortium)メンバーが企業としてバックについていたり、スクールならではの後ろ盾はありますね。
受験料
- スタンダード(初級):5,900円
- エキスパート(上給):7,500円
受験申込方法
試験は全国主要都市で実施されています。
なので、各試験会場に直接お申込みください。
まとめ
今回は「Webクリエイター認定試験」についての話を進めてきました。
「Webクリエイター認定試験」の合格はあくまで“通過点”という人もいて、合格証明書を手に入れても就職が保証されているかといえばまた別の話になりますね。
しかし、試験に合格すると認定証が発行されるので、就職活動の際には履歴書に取得資格として書くことができます。
それにWeb制作の実務スキルの証明として対外的にアピールできます。
WebクリエイターやWebデザイナーという仕事は要求する納期の中で最大のパフォーマンスを発揮しつつ、計画通りに制作を進められる効率性が求められるため、体系的なオーサリング方法を身に付けることによって、作業を短縮にかつ効率的に進められます。
将来、Web関係の仕事に就きたい方は挑戦してみてはいかがでしょうか。
Webクリエイターになるためには、いくつかのパターンがあります。
いずれにしても、最初はロゴやバナーのデザインといったWebデザイナーのアシスタント的な仕事をしながら経験を重ね、徐々にWeb業界の動向などについてWebデザイナーやWebディレクターを目指すといったキャリアパスが一般的だそうです。