船橋当直3級海技士(航海)について

船橋当直3級海技士(航海)について

こちらは運航士とも呼ばれる船舶職員の資格です。
船橋というのは、千葉県の地名ではありません。
船橋は「せんきょう」と読み、船舶の前部の甲板に設けたブリッジと呼ばれる場所のことです。
そこから気象状況や障害物の有無などを監視して、24時間体制で船舶の安全運航を確保する職務を行う仕事です。
海技士には細かく資格が分かれていますが、この海技士はどんな特徴があるのでしょうか。
詳しくみていきましょう。

適用する仕事

船橋当直3級海技士(航海)は国家資格です。
もともと海技士の中の1つの立場と考えられています。
主に大型船舶の船舶職員が有さねばならない国家資格の総称が、海技士と呼ばれる資格です。

海技士には航海機関通信、電子通信の4分野に分かれています。
そのうちの“航海”の中に「船橋当直3級海技士(航海)」が存在しています。
運航士とも呼ばれる甲板部員を指します。

仕事内容は冒頭でも説明したように、ブリッジから気象や霧からの視界状況、運航状況を確認して、情報を収集しすることです。
当直勤務により船の安全を監視するのに従事します。

海図と置かれた双眼鏡のサイズ縮小画像船橋当直3級海技士(航海)は航海士の一員ですので、コンテナの積み下ろしをしたり、機関とお客様の周り以外の部分を整備したりもします。
ただし、乗船できるのは、総トン数5,000t以上の近代化船のみです。

こうした職務を行うことで安全な運航をサポートできたり、船舶機器を操作するため他の船や障害物との衝突事故を防いだりできます。

おおよその年収とキャリアパス

500万円ある札束平均年収は500万円といわれているそうです。
これは航海士として仕事をした場合の年収と思って良いでしょう。
とはいえ、所属する組織の規模にも左右されます。
経験やスキルに応じて、年収が上がる可能性もあります。

キャリアパスは

船橋当直3級海技士(航海)の資格を取得すると、次のような就職先や職業を目指すことができます。

・運航士(自動化された船において、航海系業務と機関系業務を併せて指揮する船舶職員)

・海上保安庁(巡視船艇で勤務する)

・水産庁の行政職員(水産資源の適切な保存や管理、水産物の安定供給の確保、水産業の発展や漁業者の福祉の増進を図るなどをする組織)

これらに加えて、3級の海技士は比較的大型の船を職場としますので、海運企業、商船会社、船舶管理会社などの企業で勤務する人が多いでしょう。

航海士の実態と将来

じつは今や船員は人手不足なのです。

真ん中に重しとなって乗っている「人手不足」の積み木日本の商船は全世界の海上輸送の15%を占めていますが、日本の外国航路船員は毎年減少しています。
国際貨物を運ぶ「外航」では、外国人船員を採用することができますが、国内輸送を担当する「内航」の場合はそうはいきません。

内航の場合は、自国船籍に限るという「カボタージュ制度」が世界各国で採用されているため、こちらも人手不足です。
これは若手のなり手が少なく、年々船員が高齢化していくからです。
その方たちが引退となれば人手は減っていきます。
つまり、航海士の需要は高いです。

こうしたことから日本人航海士の求人が無くなることは考えられませんが、近年多くの海運会社が税金も安く、規制も少ない外国に船籍を移している側面もあります。
つまり、外国人航海士と一緒に働くこともあります。
もっと言うなら、近い将来には外国人航海士と採用枠を競うこともあるかもしれません。

認可団体

国土交通省船橋当直3級海技士(航海)の資格を管理しているのは国土交通省です。
そして、国家試験を実施しているのは各地方運輸局です。

受験条件

国土交通省の【海技資格・免許】の欄によると、こう書かれてありました。

・受験するのに年齢制限はないが、海技免許は18歳に達してなければ付与されないので、海技試験の合格発表日時点で17歳になっていなければならない

・試験開始期日の前日までに所定の乗船履歴が必要
ただし、乗船履歴を記入するにはルールがある

乗船履歴のルール
  • 15歳以降の履歴であること
  • 試験開始期日前15年以内の履歴であること
  • 主として船舶の運航に関わる履歴であること
  • 上記の乗船履歴のうち、試験開始期日から5年以内の履歴が1日以上あること

合格率

一般的に30%~40%といわれていますが、2021年では受験者数が0人だったので合格率も0%となっています。

1年当たりの試験実施回数

年4回(4月、7月、10月、翌2月)ほど実施されます。
試験日程や試験会場などは、お住まいのエリアの地方運輸局のホームページを検索しましょう。

試験科目

筆記試験と口述試験、それに身体検査もあります。

筆記試験も口述試験も同じ試験科目で実施されます。

試験内容
  1. 航海に関する科目(航海計器、航路標識、潮汐および海流など)
  2. 運用に関する科目(船舶の構造・設備および復原性、当直、気象および海象など)
  3. 法規に関する科目
  4. 英語

そして、身体検査では視力、色覚、聴力、疾病および身体機能の障害の有無を検査します。

採点方式と合格基準

口述試験は、筆記試験の合格者のみ実施されます。

身体検査では、視力で矯正視力で0.6以上と、弁色力(色を正しく認識する力)があるかが条件です。
検査は口述試験の開始時間前に実施されます。

合格基準

全科目を受験した場合は、満点の60%以上の得点率で合格です。
また、1科目の基準点は満点の50%以上です。(60%以下、50%以上の科目は1科目に限る)
どれか1科目でも0点であると不合格です。

免除科目について

免除にあてはまるのは、国土交通大臣により登録した船舶職員養成施設の課程を修了した者です。
その場合は、登録を受けた養成施設の種類に応じた筆記試験が免除になります。

取得に必要な勉強などの費用

勉強におすすめな書籍をご紹介します。

三級海技士(航海)800題 問題と解答【2023年版】

三級海技士(航海)800題 問題と解答【2023年版】
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出版社名:成山堂書店
商品名:三級海技士(航海)800題 問題と解答【2023年版】
価格:¥3,520(税込)

過去3年の定期試験を免状別で分冊で編集した問題解答集で、経済的かつ能率的に学習できるような構成となっています。
解答も簡潔で、応用力養成も考慮されています。

航海訓練所シリーズ 読んでわかる三級航海 航海編(改訂版)

航海訓練所シリーズ 読んでわかる三級航海 航海編(改訂版)
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出版社名:成山堂書店
商品名:航海訓練所シリーズ 読んでわかる三級航海 航海編(改訂版)
価格:¥4,400(税込)

航海学の入門書といわれ、現役の航海士の方が解説しています。
三級海技士の習得に必要な航海当直、航法、気象・海象などといった、航海全体を網羅している1冊です。
360ページもの厚さです。

基本 航海法規(新訂18版)

基本 航海法規(新訂18版)
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出版社名:海文堂出版
商品名:基本 航海法規(新訂18版)
価格:¥4,180(税込)

3級~6級の海技士を目指す人を対象とした解説書です。
海上衝突予防法、海上交通安全法、港則法の必要事項をわかりやすく簡潔に書かれています。
海技士試験問題にヒントもつけて、収録されています。

受験料

筆記試験:5,400円
口述試験:5,500円
身体検査手数料:870円

受験申込方法

試験は全国11ヶ所、各運輸局庁舎で行われます。
筆記試験は試験開始期日の35日前(2月試験については40日前)~15日前までに、必要書類を添えて申請します。

必要書類については、北陸信越運輸局のページを参考にしました。
受験料とともに、該当するものを提出してください。
なお、申請書用紙のなかには、国土交通省のホームページの【海技資格・免許】の欄から印刷できるものもあります。

  • 海技士国家試験申請書(一)OCRシート
  • 海技士国家試験申請書(二)
  • 写真2枚(30×30ミリ、申請日前6ヶ月以内の撮影、帽子無し、正面上半身)
  • 戸籍抄本、もしくは戸籍記載事項証明書または本籍の記載のある住民票の写し
  • 海技士にあっては、海技免状の写し
  • 学校卒業者は卒業証書の写し、卒業証明書または修了証明書の写し、修了証明書及び当該学校における修得単位証明書のどれか1つ
  • 乗船履歴の証明書(船員手帳または船員手帳記載事項証明書、乗船履歴証明書)
  • 海技士身体検査証明書(試験開始期日前6ヶ月以内のもの)
  • 筆記試験の免除を受ける場合は、筆記試験合格証明書
  • 船舶職員養成施設の課程を修了した者で学科試験の免除を受ける場合は、修了証明書

口述試験のみ申請する場合は、試験前日までに申請してください。

なお、船橋当直3級海技士(航海)は、次の試験と同時申請することができます。

まとめ

晴天の中に写る甲板のレーダー無線今回は海技士のなかでも「船橋(せんきょう)当直3級海技士(航海)」という資格を取り上げました。
こちらの資格は、甲板に設けたブリッジと呼ばれる場所から、気象状況や障害物の有無などを監視して、24時間体制で船舶の安全運航を確保するのが任務となります。

こちらのみの資格にだけ焦点を当ててみると、比較的マイナーな資格のようなので、おすすめの書籍では海技士(航海)全体に通じる類のものを紹介しました。

他の海技士の資格と同時申請もできるそうですが、近年では受験者数が0人という情報も出ていて、絶滅危惧種の資格ともいわれています。
受験者数も資格保持者も少なそうですが、船舶の安全運航を確保する重要な資格には変わりありません。

近年、船員の人員が不足している中、海に関わる仕事に就きたいと思う人には、こうした資格も知っていただき、目指してみてはいかがでしょうか。

 

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