統計が注目されています。
これから学びたい人向けに、ビジネスに社会解決に役に立つ統計検定について、どういう仕事があるのかや求人例、試験情報をご紹介します。
そして、記事の最後に統計の歴史にも触れていきます。
Contents
適用する仕事
データサイエンティスト、マーケター、コンサルタント、開発者などが統計を活かせる仕事になります。
データサイエンティスト
データの収集、加工、分析を行うことで、企業の抱える課題解決に貢献します。
また、以前は、コンサルティングファームや企画部門が行っていた、課題の洗い出しと優先順位付け、ターゲットにすべき課題と達成目標の明確化、仮説立案といった件も、データサイエンティストが担うケースも増えてきています。
マーケター
マーケターとは、マーケティング業務をする職種のことです。
データ分析をする際に、統計の知識が必要になってきます。
コンサルタント
顧客企業の課題や問題に対して解決案を出す仕事です。
コンサルタントは業界や経営に関する深い知識が求められ、その分析に統計手法が使われることがあります。
開発者
新技術や未知な事象を扱う仕事です。
身近な例で言えば、自動運転にはビッグデータと統計が活用されます。
例えば、自動運転システムのトレーニングです。
統計的手法でビックデータを分析して、道路状況や交通規則に対応する適切な動作を学習させます。
おおよその年収とキャリアパス
職種別の年収例とキャリアパスを見てみましょう。
年収
マーケティングの基本のキに3Cがあります。
それは「お客様・市場、競合他社、自社」の3つです。
例えばお客様や市場を観察する時に、固定観念があると正しく観察することが出来ません。
その時に、統計分析が役に立つのです。
客観的観察と言えるでしょう。
そこに主観はありません。
そのスキルは高く評価され、前記のマーケターや、また、開発の場で評価されます。
例として、マーケターと開発職の求人例をみてみましょう。
マーケター
【経験者採用】Webマーケティング|データ分析|インハウス支援|20代活躍中
給与 月給 37.5~83.0万円
雇用形態 正社員
募集職種
Webマーケティングコンサルティング(経験者)
※経験領域を広げたい方、リーダー、事業責任者等のマネジメント経験をしたい方など、ご自身のスキルアップをしたい方におすすめです!
募集内容
STEP①
✦WEBマーケティングの設計・運用(Google、Yahoo等)
✦SNSの運用をはじめとしたコンテンツマーケティング(Instagram、Facebook等)
STEP②
✦市場調査を通じた顧客ニーズの調査(データ解析)
✦顧客のマーケティング業務内製化支援
✦ビッグデータを活用したデータビジュアライゼーション
STEP③
✦マーケティングの戦略設計
✦各種クリエイティブの制作進行
✦お客様の経営課題に沿ったソリューションの提供
※エンドクライアント様とのお取引も多数ございます。
開発職
データサイエンスを活用した人状態の分析・推定
給与 年収 600~900万円
雇用形態 正社員
仕事内容
研究テーマは、実際の案件で生じた課題に関係しているため、どれも奥が深くて取り組みがいがあります。共に〇〇〇の創出を進めてくださる方をお待ちしています。
配属先となる行動情報科学研究所 では、行動情報科学に基づいたビッグデータ解析技術およびテキスト解析に特化した自社開発の人工知能エンジン「〇〇〇」の研究開発を行っています。
人の思考や行動を解き明かすという意識のもと、自然言語処理、機械学習、データマイニングを始めとする研究やソフトウェア開発などを推進し、また、事業部やユーザーからの体験フィードバックを受け、実際に社会に働きかけながら、研究開発と事業の一体サイクルを加速しています。
(1)自然言語処理、機械学習、数理情報科学等を用いたテキスト解析特化型人工知能 (AI) エンジン「〇〇〇」の性能向上や自社製品の新機能に繋がる調査・研究
(2)業務アプリケーション開発(ライブラリ管理、ドキュメントの作成、コーディング、ソースコードレビュー、テスト他)
使用言語 PythonまたはC言語
キャリアパス
サラリーマンとしての求人を見ましたので、キャリアアップとしては高い職位が上がることで、さらに高い収入を目指すことになります。
また、今回は求人例を見なかったですが、コンサルタントといった職は独立もあり得ます。
認可団体
一般財団法人 統計質保証推進協会
受験条件
受験条件はなく、誰でも受験できます。
合格率
2021年度の例を見てみましょう。
検定種別 | 申込者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
統計検定1級「統計数理」 | 1,185 | 872 | 225 | 25.8% |
統計検定1級「統計応用」 | 1,113 | 789 | 189 | 24.0% |
統計検定準1級 | 1,061 | 704 | 166 | 23.6% |
統計検定2級 | 979 | 731 | 249 | 34.1% |
統計検定3級 | 380 | 320 | 242 | 75.6% |
統計検定4級 | 172 | 147 | 107 | 72.8% |
公式サイトに統計調査士、専門統計調査士のデータはありませんが、それぞれ50%前後、30%前後と言われています。
1年当たりの試験実施回数
年1回
試験科目
各級やレベルによって、科目が設定されています。
統計検定1級「統計数理」
- 確率と確率変数
- 種々の確率分布
- 統計的推測(推定)
- 統計的推測(検定)
- データ解析法の考え方と各種分析手法
統計検定1級「統計応用」
- 共通した事項+下記の4分野から申込時に1分野を選択
- 社会科学
- 人文科学
- 理工学
- 医薬生物学
統計検定準1級
- 確率と確率変数
- 種々の確率分布
- 統計的推測(推測)
- 統計的推測(検定)
- マルコフ連鎖と確立過程の基礎
- 回帰分析
- 分散分析と実験計画法
- 標本調査法
- 多変量解析
- 時系列解析
- 分割表
- 欠測値
- モデル選択
- ベイズ法
- シミュレーション、計算多用手法
統計検定2級
3級の内容にプラスして
- 1変数データ
- 2変数以上のデータ
- 推測のためのデータ収集法確率確率分布
- 標本分布
- 推定
- 仮説検定
- カイ二乗検定
- 線形モデル
統計検定3級
4級の内容のプラスして
- データの種類
- 標本調査と実験
- 統計グラフとデータの集計
- 時系列データ・データの散らばりの指標
- データの散らばりのグラフ表現
- 相関と回帰
- 確率
- 確率分布
- 統計的な推測
統計検定4級
- 統計的問題解決の方法
- データの収集統計グラフ
- データの集計データの代表値
- 分布の散らばりの尺度とグラフ表現
- クロス集計表
- 時系列データの基本的な見方
- 確率の基礎
統計調査士
- 統計の基本
- 統計調査の実際
- 公的統計の見方と利用
専門統計調査士
- 調査の企画・運営
- 調査の実施と指導
- 調査データの利活用の手法
採点方式と合格基準
1級 論述式
準1級 60点以上
2級 60点以上
3級 65点以上
4級 70点以上
統計調査士 70点以上程度
統計調査士 正解率7割程度以上
※その時の試験難易度によって変動の可能性あり
取得に必要な勉強などの費用
講座と書籍による独学があります。
講座
実際の業務に役に立つのは、2級からと言われています。
2級の通信講座の費用は口座にもよりますが、5~8万程度です。
書籍
日本統計学会が公式に出している問題集をご紹介します。
日本統計学会公式認定 統計検定 3級・4級 公式問題集[2018~2021年]
出版社名:実務教育出版
商品名:日本統計学会公式認定 統計検定 3級・4級 公式問題集[2018~2021年]
価格:¥1,980(税込)
日本統計学会公式認定 統計検定 2級 公式問題集[CBT対応版]
出版社名:実務教育出版
商品名:日本統計学会公式認定 統計検定 2級 公式問題集[CBT対応版]
価格:¥2,200(税込)
日本統計学会公式認定 統計検定 準1級 公式問題集
出版社名:実務教育出版
商品名:日本統計学会公式認定 統計検定 準1級 公式問題集
価格:¥3,300(税込)
日本統計学会公式認定 統計検定 1級・準1級 公式問題集[2018~2019年]
出版社名:実務教育出版
商品名:日本統計学会公式認定 統計検定 1級・準1級 公式問題集[2018~2019年]
価格:¥3,300(税込)
受験料
1級 | 税込10,000円 一方のみ受験の場合は 税込6,000円 |
準1級 | 税込8,000円(一般) 税込6,000円(学割) |
2級 | 税込7,000円(一般) 税込5,000円(学割) |
3級 | 税込6,000円(一般) 税込4,000円(学割) |
4級 | 税込5,000円(一般) 税込3,500円(学割) |
統計調査士 | 税込7,000円(一般) 税込み5,000円(学割) |
専門統計調査士 | 税込10,000円(一般) 税込み8,000円(学割) |
受験申込方法
WEBから申し込みます。
団体の場合は、所定の用紙に記入しメールにて申し込みます。
まとめ
統計検定は将来が見込まれる資格で、マーケティング、コンサルタント、研究といった仕事で適用されます。
統計の始まりは古代ローマと言われています。
人口統計や徴税の為に統計が取られていたそうです。
つまり、統計という学問のニーズは古代から重視されていたと言えます。
統計学は、国が持つデータを分析することで、国家の構造や経済などの変化を把握することができ、国は自分たちの政策に反映させます。
このように、統計学は国にとって重要な役割を果たします。
そして現在、コンピューターやAIの発展で注目度が上がっています。
ハイプサイクルによると、統計学と関係の深いビッグデータやAIが幻滅期や啓発期に位置しているとされています。
そしてその期間を過ぎれば、生産活動に寄与する安定期に入るでしょう。
つまり、今後、ビジネスや社会課題の解決に統計が重視されてくると予想されます。
ハイクラス求人には、一千万以上が提示されることもあります。
このように、古代からその存在感を発揮し、また、現代に置いてコンピューターの発達でますます存在感が増すと推測され、統計のニーズは今後深まっていくでしょう。
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