読書アドバイザーとは、読書についての講習を受講して得る資格です。
本と読書の魅力を伝える講習になっています。
Contents
適用する仕事
読書アドバイザーの仕事内容は、子供の読書推進について研修をする団体からの仕事を受けて、研修や講演会などを行うことです。
1回の研修や講演の指導時間は基本的に90分以内です。
子供の読書推進について研修をする団体には、保育園や幼稚園、小学校の保護者研修会などがあります。
研修や講演会での内容には、次のことが含まれることが多いです。
- 子供の読書や読み聞かせの意義
- 本が持つ力について
- 読み聞かせの良さ
- 読み聞かせの実施方法(選書や読み聞かせの仕方などを具体的に説明します)
読書アドバイザーは、本と読者をつなぐ人です。
読書について助言をして、読書環境の向上を担います。
また、読書アドバイザー自身も、本や読書に関心をもって、読書を続けます。
基本的には、本に関して困っている人の手助けをしたり、読書の楽しさを伝えたりするのが役割です。
おおよその年収とキャリアパス
研修や講演会をすると、謝礼金や交通費などが支給されます。
ですが、これらは収入とみなせるほどの支給額なのかは不明です。
読書アドバイザーを受講される人には、自己の教養を高めることと、地域のサークル活動や企業での社員教育の一環であったり、子育てなどで読書推進活動を実施されたりすることが期待されています。
認可団体
認可団体は「一般社団法人の出版文化産業振興財団(通称JPIC)」です。
読書アドバイザーの資格を認定するには、こちらが運営する読書アドバイザー養成講座を受講する必要があります。
受験条件
募集対象は、「読書」「読書推進活動」に興味があり、全8回の講義に受講ができる方です。
合格率
詳細は実施団体に問い合わせが必要です。
1年当たりの試験実施回数
講義は全8回、1年を通して行われます。全講義日程の出席が必要です。
試験科目
講義は土日の2日間が4回あります。計8日間行われます。
2022年、第29期の講義は、6日間がオンラインで行われ、最後の2日間が東京千代田区の出版クラブホールで行われました。講義の科目は次の通りでした。
オンラインでの講義内容
テキストについて
読書アドバイザーのテキストは3冊あります。
それぞれ内容は次の通りです。
第1巻:本が手に届くまで
1章:本のはじまり:執筆者-津野海太郎(評論家、和光大学 名誉教授)
2章:読書アドバイザーとは何か:執筆者-永江 朗(フリーライター)
3章:編集 書籍の現場から:執筆者-安藤 聡(晶文社 編集部執行役員)
4章:雑誌の歴史と編集:執筆者-木俣正剛(文藝春秋 常務取締役)
5章:マンガ史と編集:執筆者-夏目房之介(マンガコラムニスト)
6章:デジタル時代の編集術:執筆者-佐渡島庸平(コルク 代表取締役社長)
7章:現場から語る「校閲」:執筆者-井上孝夫(校閲者、新潮社 校閲部前部長)
8章:本はどのようにして作られるか-印刷:執筆者-中西秀彦(中西印刷 代表取締役社長)
9章:西洋の製本の歴史:執筆者-岡本幸治(製本家、書籍修復家)
第2巻:本を取り巻く状況
1章:なぜ海外の書店を知る必要があるのか:執筆者-星野 渉(文化通信社 専務取締役編集長)
2章:これからの書店のあり方:執筆者-内沼晋太郎(numabooks 代表、ブック・コーディネーター)
3章:座談会 小さな出版社の立ち上げ方:執筆者-永江 朗、木瀬貴吉(ころから 代表)、木瀬貴吉(ころから 代表)、安永則子(小さい書房)
4章:書店開業:執筆者-辻山良雄(書店「Title」店主)、堀部篤史(誠光社 店主)、堀部篤史(誠光社 店主)
5章:店頭から生まれるブーム:執筆者-丸島基和(新文化通信社 代表取締役)
6章:電子書籍による「本との出合い」:執筆者-植村八潮(専修大学 教授、博士)
7章:図書館の過去、現在、未来:執筆者-大串夏身(昭和女子大学 名誉教授)
8章:本の流通と分類:執筆者-永江 朗
9章:ざっくり整理する「さまざまな読書活動と著作権」:執筆者-福井健策(弁護士)
第3巻:読む、書く、知る、伝える
1章:本を届けるということ:執筆者-幅 允孝(BACH 代表、ブックディレクター)
2章:地方から始まる読書運動:執筆者-南陀楼綾繁(フリーライター、編集者)
3章:読み手の育てかた:執筆者-山本多津也(猫町倶楽部 代表)、東えりか(書評家、HONZ 副代表)
4章:書評の書き方:執筆者-豊﨑由美(フリーライター、書評家)
5章:古書の世界・古書店にもいろいろある:執筆者-八木壮一(八木書店HDS、日本古書通信社 社長)
6章:「古本屋」の棚から見た読書術:執筆者-岡崎武志(ライター、書評家)
7章:生涯にわたる読書 本はなんの役にたつのか?:執筆者-佐々木宏子(鳴門教育大学 名誉教授)
8章:読書の魅力と効用:執筆者-長田 弘(詩人)
9章:児童文学とは?:執筆者-今江祥智(児童文学作家)
10章:「ポスト真実」時代の読解術:執筆者-徳山嘉雄(ジャーナリスト、立正大学 教授)
11章:出版界にまつわるお金の話:執筆者-永江 朗
12章:読書推進の過去未来:執筆者-肥田美代子(出版文化産業振興財団 理事長)
※肩書は執筆当時、敬称略
採点方式と合格基準
読書アドバイザー講座を受講して、課題レポートを提出することで取得できる資格です。
講義8回への出席と、レポートを3回提出することが修了条件となります。
取得に必要な勉強などの費用
テキスト3編などの料金は、受講料に含まれています。
配信や交通費、宿泊や食事代などは各自で手配し、負担となります。
受験料
こちらは受講料です。
一般受講料:50,000円
JPIC賛助会員受講料:45,000円
読書アドバイザーは、JPICが運営している講座です。JPIC賛助会員は受講料が一般より安くなります。
受講料には、テキスト3編、レポート3回、添削、その他各種資料費等が含まれます。
受講料の納入方法は、受講決定通知でのご案内です。納入後の受講料返金は不可です。
受験申込方法
一般社団法人 出版文化産業振興財団のホームページの「講座に申し込む」ボタンから申し込むことができます。
または、「JPIC読書アドバイザー養成講座」 受講申込書に記入をして、郵送やファックスで申し込むことができます。
「JPIC読書アドバイザー養成講座」 受講申込書の場合、次の内容を記入します。
- 氏名
- 生年月日
- 性別
- 書類送付の連絡先
- 自宅住所
- 所属先
- 法人申込み(個人申込の場合は記入不要)
- 職業
- 講座を知った媒体
- これまで参加したことのある当財団関連事業
- 読書活動経験(100~150字)
- 受講理由
- 受講後の活用方法
まとめ
読書アドバイザーは、自己の教養を高めることが期待されている資格です。
子育てなどでの、読書推進活動も期待されています。
この資格を得るには、8日間の講義への出席とレポートを3回提出することが条件になります。
本について困っていることのある人の手助けをしたり、読書をする楽しさを伝えたりするのも読書アドバイザーの役割です。
ですが、必ずしも外へ行って働きかけをしなければいけないというわけではありません。
無理のない範囲で、読書を楽しむ資格です。
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