新Linux認定技術者試験「LinuC(リナック)」についてです。
この資格はLPIC(Linux技術者認定試験)が現在、日本では廃止されたので、2021年に日本国内でLinux技術者認定資格として唯一実施されているものです。
LinuxとはパソコンのOSの1つです。
オープンソースのOSなので、無料で使えて中身もいじることができるソフトウェアです。
Contents
適用する仕事
Linuxはコンピューターを動かす為のオペレーティングシステム(OS)の1つです。
OSにはWindowsやMacがありますが、これらは有料のものです。
Linuxは無料で使える上に、ウイルスの影響を受けにくいです。
Linuxで何が出来るかという話に入ります。
まずは、Linuxは普通のパソコンとして使えます。
WindowsやMacと同じように、日常で使うパソコンとしての機能が備わっています。
最近(2021年現在)のLinuxは使いやすく作られています。
初期の頃のLinuxでしたら普通に使うのが難しく、パソコンに長けている人向けのものでしたが、今では汎用のOSと変わらないレベルになっています。
Webの閲覧やメールのやり取り、オフィスワークなど、パソコンでやりたいことは大概できるといっても過言ではないです。
また、Linuxはサーバとしても機能します。
Linuxというものは安定性も高いです。
先述したように無料なので、大量のサーバを用意する時にはLinuxはよく使われています。
さらに、絵の仕事、写真加工、ポスターの作成、文章作成など、こういった仕事にもLinuxは使われています。
おおよその年収とキャリアパス
まず、この資格を取った人というわけではないですが、おおよその年収を挙げさせていただきます。
正社員での募集をしているところは、年収で400万円からという形で提示しているところが多いです。
Linuxエンジニアの平均年収は450万円から650万円と云われています。
Linuxの知識が必要な仕事に、インフラエンジニア、DBA、バックエンド、フロントエンド、ネットワークエンジニアなどがあります。
インフラエンジニアがキャリアアップを目指すならば、道としてあるのが「マネージャー」「スペシャリスト」「ITコンサルタント」の3つが代表的です。
これらの仕事内容にはどういったものがあるのかを示します。
マネージャー
プロジェクトの成功を目指してチームを率いるのがマネージャーです。
リーダーシップを発揮したい人には合っているポジションと思います。
インフラエンジニアの仕事は作業量が多く、仕事内容も多岐にわたります。
マネージャーはチームのまとめ役となって、ITインフラの管理をする役割を担います。
ITインフラとは、IT分野の基盤となる設備や施設のことです。
スペシャリスト
知識とスキルを極めたい人はスペシャリストが良いと思います。
この仕事に求められるのは仮想化の技術など、一般のエンジニアにはできないようなハイレベルな技術を身に着けることが重要です。
そうすれば自分の成長を感じ、将来的には自身が顧客に貢献できるようになります。
さらに知識を深めて、システムの改善や課題の解決策なども提案できれば、仕事の幅も広がります。
ITコンサルタント
IT分野の豊富な知識を活かして、多様な分野の人と仕事がしたい人におすすめなのがITコンサルタントです。
この仕事は顧客の課題やニーズに合わせて、経営戦略やITインフラのアドバイスをします。
経営戦略を提案するためには、日ごろから経済情勢や経営術といった、ビジネスとしての知識も学ぶ必要もあります。
常に幅広く勉強する必要がありますが、顧客に頼りにされるITコンサルタントとして、ビジネスに貢献できる大きな喜びを感じることができる職種です。
認可団体
特定非営利活動法人エルピーアイジャパン
LPI-Japanは、Linux技術力認定試験の普及、及びITプロフェッショナルの育成のために2000年7月に設立されました。
認定試験を実施するNPO法人です。
LPI-Japanは下記のようなことをOSS/Linuxなどの技術力を公正中立な立場で、認定する活動を通して行っています。
- 日本のITプロフェッショナル技術力を向上させる。
- 日本のITプロフェッショナルをオープンソースの世界に導き、積極的な貢献を前提として世界で活躍できるようにする。
- 日本の経営者のオープンソースムーブメントに対する理解を深める。
受験条件
LinuCレベル1の受験の前提条件 | 受験のための実務経験や前提資格保有条件はありません。 |
LinuCレベル2の受験の前提条件 | 「有意なLinuCレベル1」を保有している必要があります。 |
ただし、受験するだけであればレベル2を先に受験することも可能です。
そうした場合は、レベル1認定を取得するまでレベル2認定は取得できません。
合格率
合格率は非公開です。
公表されている日本国内の受験者数の累計は、2017年3月時点で290,000人です。
レベル別の合格者数累計は、「レベル1:69,000人」「レベル2:21,000人」「レベル3:13,000人」となっています。
合格者数の総計は103,000人になります。
総計から計算すると、全体での合格率は35%になります。
ただ、高難度のレベル3が合格率を下げていると考えられるので、レベル1の合格率は50%を超えていると予想されます。
1年当たりの試験実施回数
まず、Linux技術者認定試験(LPIC)には、試験日や試験会場の指定はありません。
自分にとって「都合のいい日」に「都合のいい場所」で、いつでも受験することができます。
LinuCですが、1年当たりの実施回数というものは云えませんが、不合格時のみ、受験日の翌日から起算して7日目以降(土日含む)よりLinuCの同一試験の再受験が可能となります。
やりたい人は居らっしゃらないとは思いますが、前述のとおりの計算をすると、不合格で受け続けた場合には、1年間で60回受ける事が出来ます。60回受けると、99万円かかります。
試験科目
それぞれのレベルの試験科目について、見ていきたいと思います。
LPICレベル1
Linuxの基本操作とシステム管理ができることを証明する資格です。
101試験
- システムアーキテクチャー
- Linuxのインストールとパッケージ管理
- GNUとLinuxコマンド
- デバイス、Linuxファイルシステム、ファイルシステム階層標準
102試験
- シェル、スクリプト、およびデータ管理
- ユーザーインターフェイスとデスクトップ
- 管理業務
- 重要なシステムサービス
- ネットワークの基礎
- セキュリティ
LPICレベル2
Linuxのシステムデザイン、ネットワーク構築において、企画、導入、維持、トラブルシューティング、キャパシティプランニングができるエンジニアであることを証明できる資格です。
201試験
- キャパシティプランニング
- Linuxカーネル
- システムの起動
- ファイルシステムとデバイス
- 高度なストレージ管理
- ネットワーク構成
- システムの保守
202試験
- ドメインネームサーバ
- Webサービス
- ファイル共有
- ネットワーククライアントの管理
- 電子メールサービス
- システムのセキュリティ
LPICレベル3
300試験(Mixed Environment)
Linux、Unix、Windowsが混在するシステムの設計、構築、運用・保守ができるエキスパートエンジニアであることを証明できます。
- OpenLDAP の設定
- OpenLDAPの認証バックエンドとしての利用
- Sambaの基礎
- Sambaの共有の設定
- Sambaのユーザとグループの管理
- Sambaのドメイン統合
- Sambaのネームサービス
- LinuxおよびWindowsクライアントの操作
303試験(Security)
セキュリティレベルの高いコンピュータシステムの設計、構築、運用・保守ができるエキスパートエンジニアであることを証明できます。
- 暗号化
- ホストセキュリティ
- アクセス制御
- ネットワークセキュリティ
304試験(Virtualization & High Availability)
クラウドコンピューティングシステム(クラウド)の設計、構築、運用・保守ができるエキスパートエンジニアであることを証明できます。
- 仮想化
- 高可用クラスタ管理
- 高可用クラスタストレージ
採点方式と合格基準
LPICは選択式の問題と記述式の問題があります。
選択式でも「2つ選べ」や「3つ選べ」という問題もあります。
勘だけで正答するのは難しくなっています。
選択式の問題は、正しく選択できているかで採点されるでしょうが、記述式の問題は採点方式がはっきりわからない現状です。
LinuCの合格ラインは、65〜75%くらいの得点と言われています。
少し変わったシステムのように思いますが、得点は必ず200〜800点におさまるように採点されます。
なので、全問不正解でも200点になります。全問正解なら800点です。
取得に必要な勉強などの費用
参考書と、その価格を幾つか挙げさせて頂きます。
最短突破 LinuCレベル1 バージョン10.0 合格教本[101試験, 102試験対応]
- 出版社名:技術評論社
- 書籍名:最短突破 LinuCレベル1 バージョン10.0 合格教本[101試験, 102試験対応]
- 価格:4,158円(税込)
実績ある講師による、わかりやすい解説が載っています。
資格の取得に必要な確かな力を身につけることができる本と云われています。
1週間でLPICの基礎が学べる本 第3版 徹底攻略シリーズ
- 出版社名:インプレス ブックス
- 書籍名:1週間でLPICの基礎が学べる本 第3版 徹底攻略シリーズ
- 価格:2,640円(税込)
試験対策書は試験範囲についてのみ解説している物が多く、初心者が理解するのは困難です。
この本は初心者がスムーズに試験対策を行えるよう、事前に基礎固めを行うためのLinux入門書です。
LinuCにも対応しています。
Linux教科書 LinuCレベル1 Version 10.0対応
- 出版社名:翔泳社
- 書籍名:Linux教科書 LinuCレベル1 Version 10.0対応
- 価格:4180円(税込)
対応科目は、101試験(LinuC Level1 Exam 101)、102試験(LinuC Level1 Exam 102)です。
寺子屋ITライセンス[ビジネススクール]
こちらは資格の取得に繋がる講習です。
- LinuCレベル1取得+サーバー・ネットワーク構築実践コース
- ¥107,800(税込)
LinuCレベル1を学ぶことによって、Linuxサーバー環境の構築・運用・保守をするための操作が行えるようになります。
この講座では資格の取得だけでなく、サーバー環境の構築、ネットワークの構築を実践してもらうことにより、就職に活かせるようなコースとなっています。
受験料
LinuCの受験料金 | |
101、102試験 | 各16,500円(税込) |
201、202試験 | 各16,500円(税込) |
300、303、304試験 | 各33,000円(税込) |
Level1の場合、認定取得に必要な金額は最低でも101と102の2試験分の合わせて33,000円(税込)が必要になるということです。
Level2も同様に、2試験分の合計33,000円(税込)が必要です。
Level3は1科目の受験で認定されます。
ですが、金額は33,000円(税込)になるので、全て合格できた場合のLevel1やLevel2と費用は変わりません。
受験申込方法
試験予約には「EDUCO-ID」が必要です。
EDUCO-IDの取得
LinuC(リナック)用 EDUCO ID 取得ページより、EDUCO IDを取得して予約を行う必要があります。
EDUCO-IDとは、LinuCを含むLPI-Japanが提供する全ての認定試験を受験する際に必要となる12桁のEIDまたはLPIで始まる英数字です。
1度、取得いただければ2回目以降受験するときの取得は不要となります。
受験場所の選択
LinuCの受験は、試験センターでの受験に加えて、自宅や職場などでオンライン試験で受験することができます。
試験センターも全国各地にあるのですが、職場で受験をする事も出来ますし、自宅で受ける事もできます。
試験予約
試験予約にはweb予約と電話予約の2つの方法があります。
web予約
web経由で予約する場合は「ピアソンVUE」の受験予約の画面で、受験チケットの文字コードを入力します。
受験チケットの購入は、LPI-JapanのチケットストアやピアソンVUE、Ping-tなどでできます。
ピアソンVUEを今まで使った事がない方は、ピアソンVUEのアカウントを作成することが必要です。
電話予約
電話で予約する場合は、試験の番号を伝えなくてはいけないため、LPI-Japanの受験申込ページで詳細を確認したほうが良いです。
テストセンターで予約する際には秘密保持契約に同意する必要があります。
同意できない方は予約ができません。
つまり、同意できない方は受験ができません。
まとめ
新Linux認定技術者試験「LinuC(リナック)」についてでした。
OSの中でもLinuxは近年普及してきています。大企業でもLinuxを採用するところは多くなっています。
「LinuC」を全新入社員が取得する会社もあります。
PCを使う仕事を考えている方、今居る会社でLinuxを扱う様になってきた方は、LinuCについての情報を得てみてはいかがでしょうか。
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