この検定は、土地区画整理事業の施行が問題なく進むように国土交通大臣が行う技術検定です。
土地の区画整理は、その地域の暮らしやすさに繋がります。
その区画整理に必要なのが、土地区画整理士技術検定の有資格者です。
Contents
適用する仕事
まず、土地区画整理士とは、土地区画整理法という法律に沿って土地区画整理事業が問題なく進むように、土地提供者の間の利害を公平に調整する専門家です。
道路や公園、宅地などの区画整理事業が円滑に進むように図ります。
駅周辺の開発であったり、高度経済成長期に作られた宅地などの再開発、または防災性を高めるために街を再構築するといったプロジェクトなどを進める際に土地区画整理士が必要です。
土地区画整理士の就職先には、不動産開発の企業などが挙げられます。
不動産・建設系の企業への就職・転職の際には、土地区画整理士技術検定の資格は評価のポイントになります。
不動産会社の業務は、賃貸や管理だけではありません。
利益追求の方法として、不動産会社で不動産開発業務を行う場合があります。
不動産開発とは、買い取った土地に家、マンション、オフィスビル、商業施設などを建設して販売する事業です。
買い手は法人のケースが多いですが、個人の場合もあります。
おおよその年収とキャリアパス
350万円から600万円ほどの年収が見込まれます。
経験や他の資格をお持ちの場合、年収が1,000万円ほどになることもあります。
国家資格である土地区画整理士技術検定は、不動産開発業務には欠かせないものです。
この資格を持っているだけで、土地区画整理の知識に長けていることを示せます。
土地区画整理事業はもちろんですが、建設コンサルタント会社などへの転職も見込めます。
認可団体
土地区画整理士技術検定は「一般財団法人全国建設研修センター」が実施している試験です。
国土交通大臣の指定の検定機関です。
ですので、正式には認可団体は国土交通省です。
受験条件
受験するには実務経験が必要です。学歴によって実務経験の必要年数が違います。
学歴ごとの必要実務経験年数は次の通りです。
学歴 | 必要実務経験年数 |
大学卒業者 | 指定学科の場合:卒業後1年以上 |
指定学科以外の場合:卒業後3年以上 | |
短期大学卒業者または高等専門学校卒業者 | 指定学科の場合:卒業後2年以上 |
指定学科以外の場合:卒業後4年以上 | |
高等学校卒業者 | 指定学科の場合:卒業後3年以上 |
指定学科以外の場合:卒業後5年以上 | |
不動産鑑定士、または不動産鑑定士補の有資格者 | 2年以上 |
その他の者 | 8年以上 |
ここでの指定学科とは、土木(工学)、農業土木、鉱山土木、森林土木、砂防、治山、緑地、造園、都市工学、衛生工学、交通工学、建築、法律、経済、商学、経営、地理学です。
合格率
・学科試験
2022年:受験者248人:合格者123人:合格率49.6%
2021年:受験者229人:合格者118人:合格率51.5%
2020年:受験者220人:合格者132人:合格率60.0%
・実地試験
2022年:受験者202人:合格者88人:合格率43.6%
2021年:受験者205人:合格者68人:合格率33.2%
2020年:受験者220人:合格者58人:合格率26.4%
1年当たりの試験実施回数
試験は1年に1回です。
試験の申込みの受付は毎年5月に行われます。
試験日の目安は9月上旬で、合格発表は12月上旬に行われることが多いです。
試験科目
試験では電卓の使用が許可されています。
電卓使用の場合は、会場で準備されたものを使用します。持ち込んで使うことはできません。
学科試験
四肢択一式の試験です。試験時間は2時間30分です。
試験内容は次のようになっています。
1.土地区画整理事業総論
土地区画整理事業の基本が問われます。
2.換地計画
換地計画の作成についての基本的な知識を問われます。
3.土地評価
土地区画整理事業の施行に必要な土地評価の基礎的知識が問われます。
4.法規
土地区画整理事業の施行に必要な法令についての基礎的知識が問われます。
実地試験
記述式の試験です。必須問題が2問です。選択問題は3問のうち1問選びます。試験時間は3時間です。
1.事業計画
2.移転補償
3.法規
採点方式と合格基準
採点方式ですが、学科試験は四肢択一式のマークシート方式の試験なので、そのまま採点されます。
実地試験は記述式の筆記試験です。
学科試験では基礎的な知識を問う内容ですが、実地試験では実践的な問題になっています。
令和4年度の試験の合格基準は次の通りでした。
学科試験
1.全科目受検者(一般受験者)
全4科目です。合格には次を満たす必要があります。
土地区画整理事業総論:5問以上正解
換地計画:3問以上正解
土地評価:4問以上正解
法規:4問以上正解
さらに、必修問題40問中24問以上正解
合格基準を満たすには各科目の必要正解数を満たし、さらに8問以上正解して、全問題中で24問以上正解しなければなりません。
2.一部免除者(不動産鑑定士・不動産鑑定士補合格者)
全2科目です。合格には次を満たす必要があります。
土地区画整理事業総論:5問以上正解
換地計画:3問以上正解
さらに、必須問題:20問中12問以上正解
合格基準を満たすには各科目の必要正解数を満たし、さらに4問以上正解して、全問題中で12問以上正解しなければなりません。
実地試験
合格には次を満たす必要があります。
換地設計:満点45点中13点以上
実務経験:満点25点中8点以上
事業計画:満点30点中9点以上
移転補償:満点30点中15点以上
法規:満点30点中9点以上
以上を満たして総得点が60点以上
換地設計と実務経験は必須の試験です。
事業計画、移転補償、法規は、このうちのどれか1つを選択します。
取得に必要な勉強などの費用
参考書の価格を2点紹介させて頂きます。
改訂7版・土地区画整理の手引 -事業と実務の要点-
発行元:一般社団法人土地区画整理士会
商品名:改訂7版・土地区画整理の手引 -事業と実務の要点-
価格:¥5,400(税込)
一般社団法人土地区画整理士会より出版されています。
改定7版は令和4年6月から発行されています。
土地区画整理士試験問題の傾向(令和4年版)
発行元:一般社団法人土地区画整理士会
商品名:土地区画整理士試験問題の傾向(令和4年版)
価格:¥3,000(税込)
学科試験と実地試験の平成31年、令和2年、令和3年の3年分の全問題と解答例、解説が記載されています。
受験料
学科試験と実地試験で合わせて18,000円の受験料です。実地試験のみの場合は、9,000円の受験料です。
また、受験料とは別に、申込用紙代600円がかかります。
受験申込方法
受験の申込方法は郵送申込のみです。それも簡易書留郵便でなければいけません。
土地区画整理士技術検定試験の申込用紙を購入する必要があります。
申込用紙の購入方法
購入方法は3通りあります。
- 注文専用電話で代金引換で購入
- 全国建設研修センターのホームページにて購入。その際コンビニ支払いか、代金引換か、クレジットカード払い
- 全国建設研修センターで直接購入、または郵送(現金書留)にて購入
実地試験申込用紙のみの場合は
全国建設研修センターのみの取扱いで、郵送請求か窓口販売です。
技術士法による第二次試験の該当部門合格者は、「土地区画整理士 実地試験のみ申込用紙希望」と封筒の表の左側に朱書きします。
現金書留での請求になります。その際切手は不可です。
郵送請求の場合は申込み受付締切日の関係で、直接提出するより早い終了となります。
まとめ
土地区画整理事業の国家資格、土地区画整理士技術検定についてでした。
土地区画整理事業の専門家になります。
必要な実務経験は、学歴によって変わってきます。
例えば、指定学科を修めた大学卒業者なら、実務経験は1年、学歴を使わない場合は、実務経験は8年以上と異なります。
試験は学科試験と実地試験があります。
学科試験は四肢択一式で、試験時間は2時間30分です。
実地試験は記述式です。実地試験は3時間となっていて、どちらも試験時間が長くなっています。
関連する記事はこちら
土地改良換地士試験について
2.実務経験