日商簿記検定は簿記検定の中でも最も有名な検定です。
年間52万人の受験者数を突破するなど、知名度も受験者数も高いです。
「その検定持っているよ」という人も多くいるでしょう。
こちらの記事では、検定の案内のほかにどんな仕事に適するのかも具体的に解説していきます。
働き方を選ぶ参考にしていただければと思います。
Contents
適用する仕事
日商簿記検定とは、企業の経営活動を記録・計算・整理をして、経営成績や財政状態を明らかにする技能を身に付けることを目的にした検定試験です。
企業やお店では、さまざまな経理業務が発生します。
経理に携わる人は、企業内のお金の流れを正確に把握して、無駄な出費やずさんな資産管理を防ぐ役目を担っています。
経理に携わる職業を目指せるのが、日商簿記検定の強みです。
企業の経理や財務
まず、活かせる仕事として、真っ先に思い浮かぶのは企業の経理や財務でしょう。
どのような企業でも設置していなくてはいけない機能なので、企業規模を問わずにニーズのある仕事です。
企業の経理部門では、主に収支を正確に記録し、規定の書類に記載するのがメインの業務です。
具体的には、会計ソフトを使った経理業務や決算書の書類作成などを担当します。
財務部門は簿記の知識に加えて、ファイナンスの知識が要求されるのが特徴です。
ですが、直接財務諸表の作成を行うわけではないので、簿記の知識はそんなに高くは求められていません。
会計事務所
会計とは、お金の出入りを記録・管理することで、「収入と支出によって、お金がどう増減したか」を正確に記録するのが会計作業です。
会計事務所ではクライアントの経理業務を代行し、記帳代行や決算処理、税務申告などのサポートを行います。
そして、クライアントからの疑問や相談に受け答えしたり、経理上においてより有利になる提案を行なったりします。
会計事務所では、特に税金についての知識が必要になります。
税理士事務所
個人・企業からの依頼で、以下の仕事を担当します。
- 税務処理
- 節税アドバイス
特に年度末は繁忙期にあたるため、確定申告も発生します。
そのため、決算書作成も頻繁にやらなければなりません。
日商簿記(特に2級)のスキルは、税務に関する計算処理の場面で必要とされます。
その他、営業(自社の製品の購入を薦める際の話術として)や企業の経営サポートを担うコンサルタント業などが、日商簿記検定を活かせる仕事として挙げられます。
おおよその年収とキャリアパス
日商簿記検定は3級・2級・1級の他に、簿記初級や原価計算初級のレベルもあります。
ですが、こちらでは、3級~1級のレベルにあてはめて年収やキャリアパスを説明していきます。
年収
級によって収入が変わります。
3級
日商簿記検定3級の場合の年収は、200~300万円です。
実務経験の有無や年齢によっても変わりますが、決して高い数値とは言えません。
それは保有者が多いため、希少性も低いためです。
ただし、日商簿記検定3級でも会社の会計に関する幅広い知識は得ることができます。
仕事に役立つことも多いので、専門職を目指さなくても持っておいて良い資格でしょう。
2級
日商簿記検定2級は、実務経験の有無や長さによって年収が変わりますが、実務未経験者で250~350万円程度、1年以上の経験がある方だと300~480万円の年収といわれています。
企業の規模としては、中規模クラスの経理部で働くケースが多いです。
1級
日商簿記検定1級の年収は、大手企業の経理になった場合で約616万円ということが分かっています。(国税庁の「令和3年分民間給料実態統計調査」による)
上場企業やその子会社では、日商簿記1級を持っていると書類選考の段階から評価も高いです。
スキルの高さをアピールできるでしょう。
キャリアパス
ここまで読んでお分かりかと思いますが、級が上がるごとに年収や求められる企業の幅も広がります。
3級よりも、2級→1級へとステップアップしていきましょう。
そして、1級に合格したら、税理士試験の受験資格も得られます。
日商簿記検定の先にも資格取得の意欲があるなら、税理士試験を受験して税理士を目指すこともできるでしょう。
認可団体
日本商工会議所および各地の商工会議所
受験条件
受験条件はないため、誰でも受験できます。
3級から順番に受験する必要もないため、2級・1級からの受験もできます。
また、連続する級(1級と2級、2級と3級)の併願受験も認められています。
合格率
3級・2級・1級の他に、簿記初級や原価計算初級の合格率もあります。
3級
【統一試験】
162回(2022年11月20日):30.2%
161回(2022年6月12日):45.8%
160回(2022年2月27日):50.9%
【ネット試験】
2022年4月~2022年12月:41.5%
2021年4月~2022年3月:41.0%
2級
【統一試験】
162回(2022年11月20日):20.9%
161回(2022年6月12日):26.9%
160回(2022年2月27日):17.5%
【ネット試験】
2022年4月~2022年12月:37.7%
2021年4月~2022年3月:38.1%
1級
【統一試験のみ】
162回(2022年11月20日):10.4%
161回(2022年6月12日):10.1%
簿記初級
2021年4月1日~2022年3月31日:64.2%
2020年4月1日~2021年3月31日:63.1%
原価計算初級(2018年4月から施行)
2021年4月1日~2022年3月31日:89.5%
2020年4月1日~2021年3月31日:91.2%
1年当たりの試験実施回数
2級・3級は年3回、1級は年2回実施します。
簿記初級と原価計算初級は、試験施行機関が日時を決定します。
試験科目
3級:商業簿記を3題以内
2級:商業簿記、工業簿記(原価計算を含む)5題以内
1級:商業簿記、会計学、工業簿記、原価計算
簿記初級:簿記の基本原理、期中取引の処理、月次の集計
原価計算初級:原価計算の基礎概念、利益の計画と統制、製品別(サービス別)期間損益計算
採点方式と合格基準
合格基準を記載します。
3級:70%以上
2級:70%以上
1級:70%以上。ただし、1科目ごとの得点は40%以上
簿記初級:70%以上
原価計算初級:70%以上
取得に必要な勉強などの費用
勉強におすすめなテキストがたくさん販売されています。
よくわかる簿記シリーズ 合格するための本試験問題集 日商簿記3級 2023年SS対策
出版社名:TAC出版
商品名:よくわかる簿記シリーズ 合格するための本試験問題集 日商簿記3級 2023年SS対策
価格:¥1,870(税込)
同じシリーズで2級版も販売されています。
よくわかる簿記シリーズ ’23年6月検定対策 合格するための過去問題集 日商簿記1級
出版社名:TAC出版
商品名:よくわかる簿記シリーズ ’23年6月検定対策 合格するための過去問題集 日商簿記1級
価格:¥2,860(税込)
こちらは同じ出版社の1級版です。
土日で合格る日商簿記初級〈第2版〉
出版社名:中央経済社
商品名:土日で合格る日商簿記初級〈第2版〉
価格:3,030円(税込)
初学者でもらくらく合格を目指したテキストです。
受験料
料金はすべて税込価格です。
3級:2,850円
2級:4,720円
1級:7,850円
簿記初級:2,200円
原価計算初級:2,200円
受験申込方法
【合格率】の欄をご覧いただくと分かるとおり、試験形態として「統一試験」と「ネット試験」があります。
統一試験の場合
まず、試験日と施行する商工会議所を確認します。
商工会議所の検定試験ホームページで確認できます。
次に、試験日の2ヶ月前を目安に、受験希望地の商工会議所に受験申込方法、受験申込書の入手方法、受験料の支払方法などを確認して、受験希望地の商工会議所で受験申込みを行なってください。
そして、試験当日は受験者本人であることが分かる身分証明書を持参してください。
ネット試験の場合
まず、「商工会議所ネット試験施行機関リスト」から受験を希望するネット試験会場を決めて、申し込みます。
試験実施日時は各ネット試験会場が設定する任意の日です。
受験料の支払い方法についても、受験するネット試験会場にご確認ください。
受験当日は本人確認を行いますので、必ず身分証明書を携帯しましょう。
まとめ
今回は簿記の検定の中でも、最も有名である「日商簿記検定」を取り上げました。
この検定をどうお仕事に活かせるか、道筋も分かったかと思います。
経理はどこの会社でも必要な部署です。
ですので、日商簿記検定を取得していると、何かと仕事の役に立ちます。
しかし、合格率が抜群に高いわけでもないですから、ご自身に合ったテキストを探して勉強してみてください。
受験条件がないですから、どなたでもどの級からもチャレンジできますよ!
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