認定コンプライアンス・オフィサー試験について

認定コンプライアンス・オフィサー試験について

こちらの資格は、コンプライアンス(法令遵守)の専門家として、幅広い知識や経験を有する者であることを証明するための民間資格です。

似たような資格名に、コンプライアンス・オフィサー協会主催の「コンプライアンス・オフィサー認定試験」がありますが、そちらは金融系の資格です。
こちらの資格は「一般社団法人コンプライアンス推進機構」が運営しています。
本記事では、一般の企業倫理、企業法務に関する総合的なコンプライアンスを扱いますので、くれぐれもお間違いのないようにしてください。

では、どんな資格なのか見ていきましょう。

適用する仕事

認定コンプライアンス・オフィサー試験は、認可団体である「一般社団法人コンプライアンス推進機構」が資格試験や通信講座などを通じて、幅広い知識・判断力を有する者であることを認定する資格です。
具体的には、企業倫理・職業倫理の徹底・浸透などを図ることを中核としたコンプライアンス概念に精通しており、かつ、コンプライアンスの実現に必要となる内部統制や企業法務などに関する知識や能力を測ります。

ちなみに、資格名にもなっている「コンプライアンス・オフィサー」とは、企業や団体などにおいて、コンプライアンスの仕組みを整備し、コンプライアンスを啓蒙・推進するため、主導的な役割を担う実務家のことです。

資格を取得すれば、組織内外でのコンプライアンス専門能力がある証明になります。
そして、さまざまな業界や職種で役立ちます。

【想定される職位や職業など】

コンプライアンス・オフィサー

おおよその年収とキャリアパス

こちらの資格は給料アップに直結しないと述べている意見もあります。
ですが、実際に「コンプライアンス・オフィサー」を募集している求人によると、想定年収がはるかに高いです。

【求人例】

  • インターネットサービス/管理職/チーフコンプライアンスオフィサー 年収3,000万~3,500万円
  • 不動産ファンド/リーガル・コンプライアンス/コンプライアンスオフィサー 年収800万~1,500万円
  • デベロッパー/法務・コンプライアンス 年収800万~1,000万円

認定コンプライアンス・オフィサーの資格取得で得た知識は、特に企業の人事・総務・経営企画や金融業界で役立ちます。
活躍する企業で法務部やコンプライアンス担当部門があれば、そうしたところで活躍できます。

これからの時代、企業や団体などの行動に対して、顧客や消費者からの目は厳しいです。
ですので、社会や顧客からの信頼を受けて中長期的に勝ち残っていくためには、経営手法としてちゃんとしたコンプライアンス態勢を高度化したり、充実したりするよう求められています。

そのため、「認定コンプライアンス・オフィサー」の資格は、企業にとって不可欠なコンプライアンスについての知識を客観的に測る資格として活用されます。
将来的にも今以上に必要とされるでしょう。

ただし、この資格は独立を前提としたものではないため、この資格のみで独立することは一般的ではありません。

認可団体

一般社団法人コンプライアンス推進機構

認定コンプライアンス・オフィサー試験を運営・実施している団体は「一般社団法人コンプライアンス推進機構」というところです。
2004年5月に設立されました。

こちらの機構は、コンプライアンス専門家や実務家の育成、資格認定やコンプライアンスに関する様々なサポート事業を通じて、消費者・社会からの信頼に応えつつ、また、高い水準の倫理規範を実践するコンプライアンス経営が普及されるのを目的に活動しています。

【所在地】
〒105-0003 東京都港区西新橋2-22-1 西新橋2丁目森ビル
電話:03-5776-5097
FAX:03-5776-5099

受験条件

受験条件はありませんが、資格認定には3年以上の社会人としての実務経験が必要です。

数字の3

合格率

過去3回分の合格率を見てみましょう。

第36回(2022年12月4日)

Part1:64.6%
Part2:72.7%
Part3:70.1%

第35回(2022年6月)

Part1:67.1%
Part2:66.6%
Part3:63.6%

第34回(2021年12月)

Part1:66.7%
Part2:64.0%
Part3:59.7%

1年当たりの試験実施回数

年2回(6月と12月)に実施しています。

数字の2

試験科目

試験科目は3つあります。

Part1:企業経営と企業倫理

  • コンプライアンス概論
  • コンプライアンス体制
  • 企業の社会的責任と社会的責任投資
  • 経営管理論
  • 企業経営および企業倫理

Part2:コーポレート・ガバナンスと内部統制

  • コーポレート・ガバナンス論
  • 内部統制論
  • 内部監査論
  • リスクマネジメント論

Part3:企業法務・コンプライアンスの基礎

  • 法学概論
  • 民事法、会社法、行政法
  • 消費者関連法
  • 経済法、労働法、環境法、ディスクロージャー制度
  • その他、企業活動およびコンプライアンスに関連する法令全般

採点方式と合格基準

数字の70

試験の形式は択一式(約7割)と記述式(約3割)です。
合格基準は70%前後の正答率です。
3科目合格しなくてはいけません。

ただし、科目合格を認めています。
合格後2年間は当該科目受験が免除されます。

試験科目3つをすべて合格した方は、資格認定申請を行うことができます。

取得に必要な勉強などの費用

公式サイトから、試験対策用のテキストや問題集が販売されています。

基本テキスト 第6版

基本テキスト 第6版

タイトル 販売価格(税込)
基本テキスト1 「企業経営と企業倫理」 3,600円
基本テキスト2 「コーポレート・ガバナンスと内部統制」 3,600円
基本テキスト3 「企業法務・コンプライアンスの基礎」  4,250円
3冊1セット(一括申込) 11,000円

入門テキスト 第3版

入門テキスト 第3版

こちらは初学者を想定した平易な内容のテキストです。
3冊セットで5,940円です。

公式問題集 第3版

公式問題集 第3版

タイトル 販売価格(税込)
公式問題集1 「企業経営と企業倫理」 3,300円
公式問題集2 「コーポレート・ガバナンスと内部統制」 3,300円
公式問題集3 「企業法務・コンプライアンスの基礎」 3,300円
3冊1セット(一括申込) 9,000円

受験料

3科目一括受験:19,250円(税込) ※一括割引適用
2科目受験:15,400円(税込)
1科目受験:7,700円(税込)

1科目や2科目受験の料金があるのは、科目合格の他に「試験免除」の制度があるからです。

  • Part2免除対象者:公認会計士、公認不正検査士、公認内部監査人
  • Part3免除対象者:司法試験、司法書士試験、行政書士試験、ビジネス実務法務検定1級または2級、法学検定アドバンストコース

受験申込方法

認定コンプライアンス・オフィサー試験の「受験案内」のページを開いていただき、「資格試験に申し込む」ボタンをクリックしてフォームに進みます。
そして、必要事項を入力して送信します。

受験料の支払いは、カード(オンライン決済)または銀行振込の2通りです。
銀行振込の場合は受付確認メール受領後に、指定の銀行口座に振り込みます。
その際、振込手数料が掛かります。

まとめ

コンプライアンス・オフィサーたち

今回は企業のコンプライアンスに精通する資格試験をご紹介しました。
認定コンプライアンス・オフィサー試験では、コンプライアンスに関する法令などの知識や判断力が問われます。

民間資格であるものの、この資格で得た知識は企業の人事・総務・経営企画や金融業界などで役立ちます。
コンプライアンス統括部門、内部監査部門、それに法務、総務、CSR(企業の社会的責任)部門の責任者やスタッフなどが受験しています。

試験は3科目あります。
2年間は当該科目受験が免除される「科目合格」の制度をとっています。
3科目合格しないと資格認定されないので、公式サイトに紹介してあるテキストを使って受験対策しましょう。

将来的にも企業や社会に必要な資格ですよ。

 

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