内燃機関海技士について

内燃機関海技士について

内燃機関海技士とは、海技士(機関)のうちの1つです。
ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの内燃機関を搭載した船舶での操作や保守などを担当します。
海技士の資格は何種類かありますよね。
今回取り扱う内燃機関海技士はどのように取得していくのかを、解説していきます。

適用する仕事

繰り返しますが、内燃機関海技士の資格は海技士(機関)のうちの1つです。
ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの、内燃機関を搭載した船舶の操作や保守などを担います。

船舶エンジン

【内燃機関海技士の仕事内容】

  • メインエンジン、発電機、ボイラーなど機関の運転
  • 燃料油や潤滑油の管理
  • 機器の点検
  • 故障の修理
  • 燃節運転
  • 船舶監督

など

船の大型化や高性能化につれて、船内の仕組みも複雑化しています。
現在では、内燃機関(エンジン)を動力源とする船舶が多いです。
このため、専門知識を持ったエンジニアの需要が増えているので、資格の需要もあります。

現段階での船は、ディーゼル機関と蒸気タービン機関の2種類のうち、熱効率(燃費)が優れたディーゼル機関を採用しているものがほとんどです。
ですので、内燃機関海技士の資格を取得すると、多くの船舶で機関の運転ができるようになるでしょう。

乗船する船舶としては、貨物船客船タンカー、作業船、漁船などが挙げられます。

おおよその年収とキャリアパス

内燃機関海技士の就職先は、海洋関連会社、商船会社、船舶管理会社、貿易会社、漁業会社などです。

年収

年収

内燃機関海技士の年収ですが、一般的に機関士の年収は平均で500~800万円といわれています。
ですが、海運会社や乗船する船舶によって異なります。
乗船する船舶とそれによる年収は下記のように異なります。

  • 外航客船 860万~1,200万円
  • 内航客船 620万~950万円
  • 一般貨物船 640万~830万円
  • タンカー船 720万~870万円

内燃機関海技士の収入も、一般的に海技士の収入に該当するので高額です。
その理由は、海技士の仕事はつねに危険を伴うハードな仕事だからです。
このため、高収入ですし、待遇も手厚くなっています。

将来性

内燃機関海技士の資格を持っていると、もしかしたら船を所有すれば独立できるかもしれません。
しかし、3級海技士の資格からは、比較的大型の船で操作することが多いですから、やはり海運企業、商船会社、船舶管理会社など、企業で勤務することがほとんどです。

日本は海に囲まれている国ですから、船舶は必要不可欠です。
今後はAIを使った作業も予想されますが、最終的な確認や緊急時の対処はやはり人間が判断しなければなりません。

今は船員の高齢化や海技士不足が課題となっていますので、今後も内燃機関海技士の需要は見込まれます。
しかし、漁船の老朽化(居住環境の悪化)が進んでいるのも現状です。
海技士の仕事は危険を伴う部分もありますから、居住環境が良くないのも志望者が増えない一因と考えられます。

以上のことから、そうした問題点も改善しなければなりませんね。

認可団体

国土交通省

国土交通省の各地方運輸局

受験条件

内燃機関海技士の資格は何歳からでも受験できますが、免許が交付されるのは18歳以上です。
そして、級ごとに定められた乗船履歴があることが条件です。

内燃機関6級海技士

総トン数5トン以上の船舶で、機関の運転を2年以上

内燃機関5級海技士

  • 総トン数10トン以上の船舶で、機関の運転3年以上
  • 総トン数20トン以上の船舶で、 機関長または機関士を1年以上。ただし、6級海技士(機関)を保有していること

内燃機関4級海技士

出力750kw以上の推進機関を有する平水区域を航行区域とする船舶、総トン数20トン以上の沿海区域、近海区域あるいは遠洋区域を航行区域とする船舶または総トン数20トン以上の漁船

  • 機関の運転を3年以上の職歴
  • 機関長または機関士を1年以上の職歴。ただし、5級海技士(機関)を保有していること

内燃機関3級海技士

4つの乗船履歴の条件があります。

1つ目

出力3000kw以上の推進機関を有する沿海区域を航行区域とする船舶、総トン数20トン以上の近海区域あるいは遠洋区域を航行区域とする船舶など
そのような船で3年以上の「機関の運転」の職歴

2つ目

出力1500kw以上の推進機関を有する沿海区域を航行区域とする船舶、総トン数20トン以上の近海区域

そのような船で2年以上、機関士の職歴があること(一等機関士を除く)
ただし、4級海技士(機関)の資格を保有していること

3つ目

出力750kw以上の推進機関を有する沿海区域を航行区域とする船舶、総トン数20トン以上の近海区域、あるいは遠洋区域を航行区域とする船舶

そのような船で1年以上、機関長または一等機関士の職歴があること
ただし、4級海技士(機関)の資格を保有していること

4つ目

第1種近代化船、第2種近代化船または第3種近代化船で、6ヶ月以上運航士の職歴があること
ただし、機関当直3級海技士(機関)の資格を保有していること

船員教育発祥の地

内燃機関2級海技士

こちらも2つの乗船履歴の条件があります。

1つ目

出力3000kw以上の推進機関を有する沿海区域を航行区域とする船舶、出力1000kw以上の推進機関を有する近海区域、あるいは遠洋区域を航行区域とする船舶または出力1500kw以上の推進機関を有する乙区域、あるいは甲区域内において従業する漁船

そのような船で1年以上、船舶職員の職歴があること
ただし、3級海技士(機関)の資格を保有していること

2つ目

出力750kw以上1500kw未満の推進機関を有する近海区域、あるいは遠洋区域を航行区域とする船舶または出力750kw以上・1500kw未満の推進機関を有する乙区域、あるいは甲区域内において従業する漁船

そのような船で2年以上、機関長または機関士の職歴があること
ただし、3級海技士(機関)の資格を保有していること

※内燃機関海技士は、蒸気タービンなどの外燃機関は扱わないため、1級はありません。

合格率

2021年の合格率です。

内燃機関2級海技士:筆記13%、身体検査・口述試験100%
内燃機関3級海技士:筆記35%、身体検査・口述試験50%
内燃機関4級海技士:筆記13%、身体検査・口述試験81%
内燃機関5級海技士:筆記50%、身体検査・口述試験95%
内燃機関6級海技士:筆記77%、身体検査・口述試験93%

1年当たりの試験実施回数

試験は年4回、4月、7月、10月、翌2月にあります。
また、臨時試験が実施される場合もあります。

数字の4

試験科目

機関に関する科目その1 出力装置、プロペラ装置
機関に関する科目その2 補機、電気工学および電気設備(2級~5級は電気工学を含む)、自動制御、甲板機械など
機関に関する科目その3(2級~5級) 燃料および潤滑剤の特性、熱力学、材料工学、製図(2級、3級のみ)など
執務に関する科目 船内作業の安全、英語(2級~5級受験の場合)など

上記は筆記試験の内容ですが、口述試験も筆記試験と同様の範囲から出題されます。
口述試験は筆記合格者に実施されます。

それから身体検査も行われます。
視力、聴力、疾患の有無などを検査します。

採点方式と合格基準

筆記試験は多肢選択式です。

合格基準は筆記試験の場合と口述試験の場合とが、設定されています。

筆記試験

1.全科目を受験した場合 各試験科目について、それぞれ配点総計の50%に達すること。かつ全科目の得点総計が65%に達していること。
2.科目免除により、一部の科目を受験した場合 受験した各試験科目について、それぞれが65%に達していること。1科目でも65%に達していないものがあるなら不合格。
3.科目合格 上記1や2で不合格となった場合でも、得点が65%に達していればその科目は「科目合格」となる。

口述試験

得点の総計が、配点総計の65%に達していること。

取得に必要な勉強などの費用

勉強方法は海技士(機関)のテキストを使います。

四級海技士(機関)800題 問題と解答【2023年版】最近3か年シリーズ

四級海技士(機関)800題 問題と解答
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出版社名:成山堂書店
商品名:四級海技士(機関)800題 問題と解答【2023年版】最近3か年シリーズ
価格:¥2,530(税込)

2019年7月~2022年4月の問題が収録されています。
同様に3級や2級向けのテキストも販売されています。

海技士2・3・4E解説でわかる口述問題集

海技士2・3・4E解説でわかる口述問題集
created by Rinker

出版社名:海文堂書店
商品名:海技士2・3・4E解説でわかる口述問題集
価格:¥3,960(税込)

口述試験において、共通して出題されることの多い問題をまとめた問題解答集です。

受験料

それぞれ見てみましょう。

筆記試験

2級7,200円、3級5,400円、4級3,500円、5級3,500円、6級2,400円

口述試験

2級7,500円、3級5,500円、4級3,700円、5級3,700円、6級3,000円

身体検査

全級とも870円

いずれも収入印紙で支払います。

受験申込方法

次の書類を添えて受験する各地方運輸局へ申請してください。

  • 海技従事者国家試験申請書に写真
  • 戸籍抄本または住民票(本籍地記載のものに限る)
  • 海技免状の写し(持っている人)
  • 海技士身体検査証明書(試験開始期日前6ヶ月以内に船員法の指定医師が証明したもの)
  • 受験料(相当する収入印紙)

など

書類のいくつかは、国土交通省のホームページに書式が用意されています。

まとめ

船員

今回は海技士の中でも、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの内燃機関を搭載した船舶での操作や保守などを担当する「内燃機関海技士」の資格をご紹介しました。

現在の船は、内燃機関(エンジン)を動力源とする船舶が多いので、この資格はこれからも需要があります。
勉強の方法は海技士(機関)のテキストで対応できます。

受験するにあたり、乗船履歴が要ります。
まずは海洋関連会社、商船会社、船舶管理会社、貿易会社、漁業会社などに就職して機関の仕事を経験してから、資格取得を目指しましょう。

 

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