特定高圧ガス取扱主任者について

特定高圧ガス取扱主任者について

今回ご紹介するこちらの資格は、7種類の特定高圧ガスの保安業務に関する知識を測る国家試験です。
ガスというと、都市ガスやプロパンガスなどのガス燃料を思い浮かぶ人もいるでしょう。
ですが、こちらの資格では特定高圧ガスを取り扱います。
特定高圧ガスを取り扱う事業所は、「特定高圧ガス取扱主任者」という資格を持った人を管理者として選ぶことが法律で決まっています。
上記に述べた7種類の特定高圧ガスのことも取り上げながら、「特定高圧ガス取扱主任者」の概要や取得の仕方を説明していきます。

適用する仕事

冒頭でも触れたように「特定高圧ガス取扱主任者」は、7種類の特定高圧ガスの保安業務に関する知識を測る国家試験です。

工場関係者

7種類のガス

7種類のガスとは以下のとおりです。

種類 選任が必要な貯蔵数量
圧縮水素 容積300㎥以上
圧縮天然ガス 容積300㎥以上
液化酸素 質量3,000㎏以上
液化アンモニア 質量3,000㎏以上
LPガス 質量3,000㎏以上(LP法施行令第2条に掲げる業務用消費者は10,000kg以上)
液化塩素 質量1,000㎏以上
特殊高圧ガス 貯蔵する数量に関係なく必要(モノシラン、ジシラン、アルシン、ホスフィン、ジボラン、モノゲルマン、セレン化水素の7種類のガスを指す)

このように、取り扱う高圧ガスの種類だけでなく「特定高圧ガス消費届」の対象となるその容量も設定されています。

この量の特定高圧ガスを貯蔵・消費する事業者は、「特定高圧ガス取扱主任者」を選んで、事業所が所在する各都道府県知事に届出を提出することが義務付けられています。

特定高圧ガス取扱主任者の選任要件

ただし、特定高圧ガス取扱主任者として選ばれるには、以下のいずれかの条件を満たさなければなりません。

  • 特定高圧ガスの製造または消費(特定高圧ガスの消費者の消費に限る)に関して1年以上の経験を有する者
  • 学校教育法による大学などにおいて、理学もしくは工学に関する課程を修めて卒業した者
  • 高圧ガス保安協会が行う講習の課程を修了した者
  • 学校教育法による高等学校などにおいて、工業に関する課程を修めて卒業して、かつ特定高圧ガスの製造または消費に関して6ヶ月以上の経験を有する者
  • 甲種化学責任者免状、乙種化学責任者免状、丙種化学責任者免状、甲種化学責任者免状、乙種化学責任者免状の交付を受けている者
  • 高圧ガス保安法に基づく、第一種販売主任者免状の交付を受けている者

特定高圧ガス取扱主任者の仕事内容

「特定高圧ガス取扱主任者」は、特定高圧ガスの知識をもって安全管理や維持などを行う専門家です。
仕事内容も安全に高圧ガスを扱うための指導を行うことです。

この資格を保有していると、特定高圧ガスからの事故を防いだり、事故のリスクを減らしてインフラを支えたりといったことに貢献できます。

「特定高圧ガス取扱主任者」の主な活躍場所はガス会社です。
他にも火力発電所や自動車関連工場などが挙げられます。

おおよその年収とキャリアパス

給料アップ

「特定高圧ガス取扱主任者」は特定高圧ガスの知識をもって、安全管理や維持などを行う専門家ですので、資格を取得している人は好待遇で扱われるでしょう。
給与やボーナスで優遇されるだけでなく、特別手当をもらえるケースもあります。
実際の求人でも、年収が500~600万円、もっと頑張れば800万円と明記しているものもあります。

学生でも会社員でも、「特定高圧ガス取扱主任者」の資格は特定高圧ガスを取り扱う会社への就職や転職に役立ちます。
そして「特定高圧ガス取扱主任者」に選任されます。

一定の数量の特定高圧ガスを扱う場合は、事業所ごとに「特定高圧ガス取扱主任者」を選任しなければならないので、これからも一定の需要が見込まれます。
よって「特定高圧ガス取扱主任者」は今後も必要とされる資格でしょう。

認可団体

経済産業省

認可団体は経済産業省です。
講習や交付は「高圧ガス保安協会」で行われています。

高圧ガス保安協会
〒105-8447
東京都港区虎ノ門4-3-13 ヒューリック神谷町ビル
電話:03-3436-6100(代表)

受験条件

この資格は2日間の講習と修了試験を受けて取得できます。
受講条件は制限ありませんが、「高圧ガス保安協会」によると“特定高圧ガス取扱主任者に選任される方で、講習によりその資格を得たい方”と表記されています。

合格率

合格率は77~90%といわれています。
修了試験はありますが、落とすような試験ではありません。

1年当たりの試験実施回数

数字の3

年3回開催です。
会場は全国10ヶ所程度(北海道、宮城県、東京都、岐阜県、愛知県、大阪府、広島県、香川県、福岡県)で開催予定です。

試験科目

こちらは講習内容です。
まず、受講を希望する高圧ガスの種類を選びます。
高圧ガスは【適用する仕事】でもご説明した、7種類から選びます。

講習は2日間にわたり、行われます。
「法令」が3時間、「学識と保安管理技術」が8時間の講義となっています。

そこから修了試験も実施されます。

採点方式と合格基準

満点の60%以上が合格基準点です。

取得に必要な勉強などの費用

【合格率】の欄でもお伝えしたように、こちらの修了試験は覚えてもらうためのものですから、講習中の教官の重要事項をちゃんと聞いていれば合格できます。

講習にはテキストが指定されています。
「高圧ガス保安法令(抄)」と「高圧ガス取扱ガイドブック」です。
受講代にはテキスト代金が含まれておりませんので、別途支払います。

高圧ガス保安法令(抄)

高圧ガス保安法令(抄)

発行元:高圧ガス保安協会
商品名:高圧ガス保安法令(抄)第10次改訂版
価格:¥710(税込)

こちらは、高圧ガス保安法のうち、移動監視者や特定高圧ガス取扱主任者の資格を目指す方向けに特化した内容となっています。

高圧ガス取扱ガイドブック

こちらのガイドブックは、受講する高圧ガスの種類によってテキストが異なります。
いずれにしても、価格は2,100円(税込)です。
詳しくは「高圧ガス保安協会」の公式サイトの「出版物・情報提供」のページをご覧ください。

  • 高圧ガス取扱ガイドブック(液化酸素編)第3次改訂版
  • 高圧ガス取扱ガイドブック(液化塩素編)第3次改訂版
  • 高圧ガス取扱ガイドブック(圧縮水素編)第3次改訂版
  • 高圧ガス取扱ガイドブック(液化アンモニア編)第3次改訂版
  • 高圧ガス取扱ガイドブック(液化石油ガス編)第3次改訂版
  • 高圧ガス取扱ガイドブック(特殊高圧ガス編)第3次改訂版

受験料

受講料は14,600円です。
高圧ガスの種類にかかわらず、この料金です。

受験申込方法

申し込む際は、講習を実施するKHK本支部、一般高圧ガス関係団体、液化石油ガス教育事務所(LPガスのみ)へお問い合わせください。
こちらの連絡先も「高圧ガス保安協会」の公式サイトに掲載しています。

まとめ

工場の写真

こちらはガスの中でも「特定の高圧ガス」を取り扱う資格をご紹介しました。
「特定の高圧ガス」は7種類あります。

記事の前半でも明記しましたが、選任が必要な貯蔵数量の特定高圧ガスを扱う事業者は「特定高圧ガス取扱主任者」を選んで、事業所が所在する各都道府県知事に届出を提出することが義務付けられています。

こちらの資格は、ガス会社や火力発電所、自動車関連工場などで活かすことができます。
資格の取得方法は「高圧ガス保安協会」が実施する講習を受けて、修了試験に合格することです。
修了試験は易しいといわれています。

特定高圧ガス取扱主任者」の資格を取得すれば、資格手当がもらえたり、給与やボーナスの面でも優遇されたりする可能性があります。
上記のような企業で働いている人は、ぜひ講習を受けて資格を手に入れてみてくださいね!

 

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