こちらの作業主任者の資格は、化学設備以外の圧力容器を取り扱う現場において、安全面での監督や指導にあたる責任者のことです。
具体的には、内容量が0.2㎥の容器で容器内の圧力が気圧超えて、沸点以上の液体を保有する圧力容器をつり扱う現場で適用される資格です。
普通第1種圧力容器を設置・使用する事業所では、資格保有者を配置するよう法律で義務づけられています。
圧力容器と言えば、身近なものですと圧力鍋しか思いつきませんね。
具体的にどんな仕事で活かせる資格なのか、受験の仕方とともに紹介していきます。
Contents
適用する仕事
「普通第1種圧力容器取扱作業主任者」は、危険物を製造する工場や化学設備関係企業などで活躍できます。
資格名にもなっている「圧力容器」というのは、内外の圧力に耐えられる密閉容器として、法規で厳格に規定され、設計されているものです。
そのなかでも、内部の圧力が大気圧より高く、沸点以上の液体を保持し、内容量が0.2㎥の容器で容器内の圧力が気圧を超えて、沸点以上の液体を有する圧力容器を現場では扱います。
そうしたものを扱う際に、安全面での監督・指導にあたる責任者が必要なのです。
それを担う証明として「普通第1種圧力容器取扱作業主任者」の資格があります。
(※もちろん、皆さんが日頃お料理で使われる圧力鍋も「圧力容器」の1つです。)
この役目を担った者が作業の方法、従事者の安全の確保などの監視・指導などを行います。
- 最高使用圧力を超えて圧力を上昇させないこと
- 安全弁の機能を保持すること
- 圧力容器を初めて使用するときや、取り扱う内容物の種類を変えるときは作業を直接に指揮するよう決められていること
- 圧力容器や配管、容器内部の温度や圧力の点検、および異常の際には必要な措置を講ずることなど
そうした関係分野の事業所や施設の数の分だけ、求人需要があります。
おおよその年収とキャリアパス
第1種圧力容器取扱作業主任者としての年収はわかりませんが、第1種圧力容器取扱作業主任者を歓迎している企業の求人情報はいくつかあります。
そうした求人のなかでは、正社員枠で月給20万円のものが多いです。(ある求人では入社5年で年収400万円、10年で年収550万円などのモデルケースがある)
なかには月給20万円の契約社員や、時給990円からのアルバイト・パート雇用などもあります。
求人の仕事としては、病院内の手術室の道具などの掃除や学校給食センター内施設のボイラー技師、石油精製設備メンテナンスなどが挙げられます。
普通第1種圧力容器取扱作業主任者の資格の取得は、工場など危険を伴う施設の安全を守りたい人におすすめです。
有資格者のみが扱える業務もあるため、仕事につながりやすい資格です。
そうした現場は都市部だけでなく、地方にもあるため、全国的に求められる資格でしょう。
そのため、今後も安定した需要が続くとみえます。
認可団体
厚生労働省
受験条件
普通第1種圧力容器取扱作業主任者の資格は、講習を受けて取得します。
受講条件については制限がありません。
合格率
講習の最後に簡単な試験を行いますが、ほぼ全員(98%くらい)が合格できます。
講習をしっかり聞いていれば問題ないでしょう。
1年当たりの試験実施回数
受講する講習機関にもよりますが、年間3~4回はあるでしょう。
試験科目
こちらは講習科目です。
講習は2日間、計12時間行われます。
第一種圧力容器(化学設備に係るものを除く)の構造に関する知識
- 熱および蒸気
- 第一種圧力容器の種類
- 第一種圧力容器各部の構造および強さ
- 附属品および附属装置
- 第一種圧力容器用材料
第一種圧力容器(化学設備に係るものを除く)の取扱いに関する知識
- 第一種圧力容器を使い始める前の準備
- 使用開始時の取扱い
- 使用中の取扱い
- 使用休止時の取扱い
- 第一種圧力容器の安全
- 第一種圧力容器に生ずる事故および異常やその対策
関係法令
- 労働安全衛生法
- 労務安全衛生法施行令
- 労務安全衛生規則、ボイラー則および圧力容器構造規格中の関係条項
採点方式と合格基準
全講習の受講と修了試験の合格が条件です。
講習の終了後に修了試験(筆記試験)を行います。
試験は講師が講習中や講習の最後に、重要ポイントを繰り返し教えてくれるので、聞き逃さなければ合格できるでしょう。
合格者には修了証が交付されます。
ただし、この資格を取得するには、それなりの時間と労力がかかることを覚えておきましょう。
取得に必要な勉強などの費用
講習さえちゃんと聞いていれば合格できる資格なので、受講料以外の勉強の費用は無くても良いでしょう。
テキスト代も受講料の中に含まれています。
それでも、こちらでは関連書籍をいくつかご紹介します。
JISハンドブック JIS HB 17 圧力容器・ボイラ2023
- 発行元:日本規格協会
- 商品名:JISハンドブック JIS HB 17 圧力容器・ボイラ2023
- 価格:¥20,790(税込)
用語や構造、附属品・部品などを説明しているハンドブックです。
新版 圧力容器の構造と設計
- 発行元:日本規格協会
- 商品名:新版 圧力容器の構造と設計
- 価格:¥5,060(税込)
JIS規格の制定と改正に携わった専門家による、豊富な技術解説が載っています。
代表的な庄力容器の部位に関する計算例題を豊富に収録しているため、実務者には必須の一冊です。
受験料
こちらは受講料です。
受講料は都道府県ごとの講習機関によって、異なります。
関東地区の例ですが、受講料はこのような金額になっています。
埼玉県 | 合計17,380円(受講料14,300円、テキスト代合計2,530円、テキスト送付手数料550円) |
東京都 | 受講料12,300円、受講料の他にテキスト代が要る |
神奈川県 | 受講料14,300円、修了証送付手数料550円、この他テキスト代が要る |
千葉県 | 合計16,830円(受講料14,300円、テキスト代1,100円と1,430円) |
茨城県 | 受講料13,200円、テキスト代は別 |
栃木県 | 受講料13,200円、テキスト代合計2,310円 |
群馬県 | 実施日が10月12日~13日なので、現在のところ不明 |
その他の地域は「一般社団法人 日本ボイラ協会」でご確認ください。
受験申込方法
申込方法は受講する講習機関によって異なります。
ご自身が受講する地域の講習機関の情報を確認しましょう。
ダウンロードがページ上に貼ってある機関もあります。
提出する際は、郵送やFAX、現金書留などがあります。
なかには直接事務所に持参しても良いところもあります。
まとめ
いかがでしたか。
今回は化学設備以外の圧力容器を取り扱う現場において、安全面での監督や指導にあたる責任者に就くための資格である「普通第1種圧力容器取扱作業主任者」を取り上げました。
この資格は圧力容器を使用する工場や化学設備関係企業などで、活躍できます。
「普通第1種圧力容器取扱作業主任者」の資格保有者を選任して配置するよう、事業所側は課せられているからです。
つまり、圧力容器を扱う製造現場が無くならないかぎりは、都心部でも地方でも需要があります。
こちらの資格は国家資格ではあるものの、講習を受ければ取得できる類のものです。
講習機関は全国各地にあるので、ご自身がお住まいの地域の講習機関を調べてみて申し込んでみてくださいね。
受講条件は無いので取得すれば、重宝されますよ。
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