日本語教師は、日本語を母国語としない人々に日本語を教える教師のことです。
外国人労働者が増える昨今、日本に居住する外国人は増えており、日本語教師は年々注目度も上がっている職業の一つです。
2023年現在、日本語教師になる方法は3種類存在します。
- 大卒または大学院卒で、文化庁に認定された日本語教師養成研修(420時間の養成講座を)修了する
- 日本語教育能力検定試験に合格する
- 大学・大学院で日本語教育を専攻する
ここでは、日本語教師という職業や目指し方についてを、メインに触れていきたいと思います。
尚、日本語教育能力検定試験については、詳しく記載しているページがありますのでそちらをご覧ください。
Contents
適用する仕事
適用する仕事は、日本語教師です。「日本語講師」や「日本語教員」とも呼ばれます。
活躍場所について
国内であれば
- 日本語学校
- 企業の出張レッスン
- 専門学校や大学の留学生別科
- 日本語教室(ボランティア)
海外であれば
- 海外にある日本語学校
- 青年海外協力隊などの公的派遣プログラム
など、多岐にわたります。また、近年はオンラインで日本語を教える人も増えています。
仕事内容について
仕事内容は、日本語を教えるだけではなく、日本の文化で暮らすためのマナー、習慣なども伝えます。
また、日本語学校であれば、行事の企画・準備、教材の作成なども業務の一環です。
日本に滞在する外国人は、滞在理由や日本語習熟度、今後の目標が一人ひとり違います。
その人に合ったコース設計を立てていくことが望まれます。
日本語教師の魅力について
日本語教師の魅力といえば
- 非常勤講師であれば、フルタイムで出勤する必要もない。
- 中高年の方も現役で活躍している。
- 様々な国の人と触れ合える。
今後、制度がどうなるか分かりませんが、少なくとも現在は中高年の方も多く活躍されています。
また、やりがいもたくさんあります。
- 学習者たちの日本語の上達を感じ取ることができる。
- 学習者たちが日本に馴染んでいく姿を感じることができる。
- 学習者たちから感謝されることがある。
- 多様な学習者とつながりを持つことで、異文化を知ることができる。
- 教えることで、自分自身の勉強にもなる。
など
学習者と接することで、自分自身も喜びを感じ、成長できる点が魅力です。
日本語教師に向いている人
以下の方が向いていると言われている一例です。
- 日本と世界各国、両方の文化に興味がある方
- 日本語に対する専門知識のある方
- コミュニケーション能力に長けている方
などが挙げられますが
- 日本語や日本の文化を伝えたいという熱意
- 学習者たちとコミュニケーションを図りたいという好奇心
- 異文化や異なる価値観を受け入れることのできる心
こうした想いが技術面と同じくらい重要となります。
コラム
文化庁のウェブサイトによると、冒頭の3つの条件を満たしていると、登録日本語教員試験の筆記試験が免除されるそうです。
そのため、どのような形で働くにしても、いずれかの方法で日本語教師としての認定条件を満たしておいた方が良いでしょう。
今後制定される国家資格について
今までは民間資格でしたが、2024年に「登録日本語教員」という名称で、国家資格化される予定です。
日本に暮らす外国人が増えるにつれ、日本語教師の質と量を上げるためということを目的としているようです。
現在のところ、文化庁が認定する日本語学校で働く場合のみ、登録日本語教員の資格が必要となります。
つまり、個人で教える場合や、海外の教育機関で働く場合は必須ではありません。
とはいえ、今後は方針も変わっていく可能性があるため、国家資格を所得しておくと有利に働くでしょう。
おおよその年収とキャリアパス
日本国内での日本語教師の年収は平均で380万円です。これは専任講師の収入と考えられます。
非常勤講師では1コマに対する時給制で給与が支払われ、1コマおおよそ1,500~2,000円の範囲です。
一方、海外では年収が国により異なります。
キャリアパスは、経験を積んだ上で、以下のようなプランがあります。
- 日本語学校内で非常勤講師から専任講師に出世する
- 日本語学校から大学で教える
- 海外で日本語を教える
- 日本語教師養成コースの教員になる
他にもたくさんあります。
ご自身でセミナー等に参加し、それぞれのプランを組み立てていくと良いでしょう。
ただし、キャリアによっては、外国語や他の資格など、プラスαを要求されることもあります。
認可団体
日本語教育能力検定試験の主催は「公益財団法人 日本国際教育支援協会(JEES)」です。
受験条件
日本語教育能力検定試験の条件は特にありません。
年齢制限もありません。40代以上で受験者する方もたくさんいます。
合格率
以前は20%程度でしたが、2016年度では25%を超え、2022年度には30%を超えました。
受験者数は、2017年度以降急激に増加し、2019年度にピークを迎え、その後は微減しています。
それでも2022年度で2,000人を超えています。
1年当たりの試験実施回数
日本語教育能力検定試験は毎年1回、10月に実施されています。
試験科目
以下の区分から出題されます。
社会・文化・地域
世界と日本
異文化接触
日本語教育の歴史と現状
言語と社会
言語と社会の関係
言語使用と社会
異文化コミュニケーションと社会
言語と心理
言語理解の過程
言語習得・発達
異文化理解と心理
言語と教育
言語教育法・実習
異文化間教育とコミュニケーション教育
言語教育と情報
言語
言語の構造一般
日本語の構造
言語研究
コミュニケーション能力
採点方式と合格基準
試験Ⅰ、試験Ⅱ、試験Ⅲというように区分が分かれています。
試験Ⅰ 時間:90分、配点:100点
基礎的な知識を問います。
全問マークシート方式です。
試験Ⅱ 時間:30分、配点:40点
音声に関する知識を問います。
全問マークシート方式です。
試験Ⅲ 時間:120分、配点:100点
日本語教師としての総合的な実践能力を問います。
マークシート方式と一部記述式があります。
合格点は公表されていません。
取得に必要な勉強などの費用
冒頭でご紹介した3種類の方法別でご紹介します。
文化庁指定420時間カリキュラムの場合
受講費用は50~70万円が相場といわれています。
受講料については、教育訓練給付制度の対象となる場合や、学費ローン制度が適用される方もいます。
受講期間は、最短で3か月ですが、6ヶ月~1年かける方が多く、その間に理論や実技、実習を学びます。
通学では週5日コースや平日の夜コース、土日にコースなど、養成校により様々です。
最近では、eラーニングやオンラインと通学を組み合わせるところも増えてきました。
eラーニングを始めとした通信制は、近くに養成校のない方や、通学時間を確保できない方でも取得しやすくなります。
養成校によっては、日本語教育能力検定試験対策も料金に含まれています。
また、大卒・大学院卒でなくても、日本語教育能力検定試験に合格すれば日本語教師になることができます。
ご自分に合ったプランのある養成校を選ぶことは、日本語教師への第一歩です。
日本語教育能力検定試験の場合
お金をかけたくないという方は、独学で勉強し、日本語教育能力検定試験に合格するという方法があります。
試験対策用に、おすすめの書籍をご紹介します。
日本語教育教科書 日本語教育能力検定試験 完全攻略ガイド 第5版
出版社名:翔泳社
商品名:日本語教育教科書 日本語教育能力検定試験 完全攻略ガイド 第5版
価格:¥3,520(税込)
図表でスッキリわかる 日本語教育能力検定試験 合格キーワード1400
出版社名:晶文社
商品名:図表でスッキリわかる 日本語教育能力検定試験 合格キーワード1400
価格:¥3,520(税込)
令和4年度 日本語教育能力検定試験 試験問題
出版社名:凡人社
商品名:令和4年度 日本語教育能力検定試験 試験問題
価格:¥1,540(税込)
大学・大学院で日本語教育専攻の場合
主専攻で45単位以上、副専攻で26単位以上必要となります。
費用は国公立が私立かによって大きく異なりますが、4年間でおよそ220万~400万程度です。
受験料
令和5年度の日本語教育能力検定試験は17,000円(税込)です。
受験申込方法
公式サイトによると、2023(令和5)年度以降の日本語教育能力検定試験の出願は、オンライン出願となります。
出願期間は2023年7月3日(月)~7月31日で、支払はオンライン決済(クレジットカード、オンラインストア、Pay-easy)を予定しているとのことです。
まとめ
日本に滞在する外国人が増えると同時に、日本語教師の需要も増えることが予測されています。
非常勤講師であれば、比較的時間の制限が少ないため、定年退職後に目指す方も多いようです。
ただ、今後国家資格が制定されるため、この状況が変わる可能性もあります。
いずれにせよ、今後は仕事として従事するのであれば、冒頭で触れたように、日本語教師としての条件を満たしておくことが求められるでしょう。
大学卒以上でなくても、日本語教育能力検定試験に合格すれば、条件は満たせます。
以上、日本語教師について簡単にご説明いたしました。
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