JTA公認翻訳専門職資格試験について

JTA公認翻訳専門職資格試験について

「JTA公認翻訳専門職資格試験」とは、従来の翻訳技能認定試験をバージョンアップした資格試験制度です。

これまでより、さらに高度で、かつ時代に即した翻訳技術を有する人を「翻訳専門職」として、広く社会にその優秀な技能を紹介していこうという熱意から2008年よりスタートしました。

この試験の対象言語は英語または中国語です。
そして、各言語の4科目のテスト全てに合格する必要があります。

この資格を取得するのは難しく見えますね。
4科目も受験するとは、どのような試験なのかを詳しくお伝えしましょう。

適用する仕事

「JTA公認翻訳専門職資格試験」は、4科目全てに合格(2級以上取得)することが必要とされております。

さらに、その後翻訳経験2年以上の実績をつければ、2次審査が受けられ、それに合格すると「JTA公認翻訳専門職」に認定されます。

そのため、実務に即した資格試験となっています。

こちらの資格に合格した人は、各界で翻訳家として活躍しています。

請け負える翻訳の仕事内容としては、3つに大別することができます。

こんな仕事ですよと指し示す

文芸翻訳

絵本や小説に携わる翻訳形態です。
これら以外にも詩集、雑誌、歌詞なども文芸翻訳に含まれます。

翻訳会社と契約して仕事を受注したり、個人で出版社から受注したりします。
フリーランスで働いている方が多いです。

実務翻訳

契約書や取扱説明書を対象に翻訳する形態です。
ビジネス上の各種文書や学術書、マニュアルなど、実務的な文書を扱います。

主に海外取引のある企業や研究機関で活躍します。
扱うものによっては企業の秘密に関わることもあるので、正社員として雇用されることが多いです。

映像翻訳

こちらは映像作品やニュースゲームなどを対象に翻訳する形態です。
主に、海外の映画やドラマなどの映像作品に字幕をつけるのが仕事です。

配給会社や制作会社に所属している人が多いです。
もちろん、フリーランスで働いている人もいます。

おおよその年収とキャリアパス

年収

翻訳家はフリーランスとして個人で活動する人の方が多いといわれています。
その場合は翻訳会社や派遣会社、クラウドソーシングなどに登録して、翻訳の仕事を請け負います。

つまり、仕事量の個人差が大きいため、収入もピンからキリまでといった状態でしょう。
年収200万円に満たない人もいる一方、1,000万円以上を稼ぐ人もいます。

キャリアが長くても、副業で細々と翻訳の仕事を続けている人もいます。
副業に留まるとなると、本業(英語の講師通訳など)を持っていた方が良いです。

個人で翻訳業をやっていると、その請負料(金額)が気になりますよね。
翻訳の単価は、通常「翻訳をする文字数」を基準に決められていきます。

単価は「1ワードあたり」もしくは「400字詰原稿用紙の1枚あたり」の設定となります。
英文和訳の場合は1語あたり6~20円程度が標準とされています。

医学・金融・産業技術などは専門性が高い分野なので、単価が高い傾向です。
専門性を高めることが収入を上げるポイントの1つでしょう。

翻訳家の全体としての平均年収は、400~500万円前後です。
それは実務翻訳分野の方が企業勤めをしているのが多いからです。

そこでなら、各企業に所属する専属翻訳者として正社員を目指せます。
しかし、企業勤務の翻訳者の求人数はあまり多くありませんからハードルが高い道ではあります。

認可団体

日本翻訳協会

認可団体は「一般社団法人 日本翻訳協会」というところです。

〒180-0003
東京都武蔵野市吉祥寺南町 2-13-18 1F
TEL :0422-24-6825(代表)

活動内容

  1. 翻訳技能向上推進活動(翻訳試験の実施、セミナーの実施)
  2. JTAサポート(メンバーの方の試験やセミナーをJTAメンバーズ特別優待価格にて提供すること)
  3. 海外交流・調査研究事業

受験条件

受験条件はありません。
国籍、性別、年齢を問わずに誰でも受験できます。

合格率

全体受験者数に対する合格率は公開されていません。

しかし、翻訳スキルそのものだけでなく、ITツールやマネジメントといった幅広い分野をカバーする4科目にすべて合格しなければならないため、試験自体の難易度はやや高めといえます。

1年当たりの試験実施回数

数字の4

年4回(3月、6月、9月、12月)実施されます。

試験科目

JTA公認翻訳専門職資格試験は英語部門中国語部門とがあります。

英語部門

  1. 翻訳文法技能試験
  2. 翻訳IT技能試験(英・中共通)
  3. 翻訳マネジメント技能試験(英・中共通)
  4. 翻訳専門技能試験(「JTA公認 出版翻訳能力検定試験」あるいは「JTA公認 ビジネス翻訳能力検定試験」の1分野の受験)

中国語部門

  1. ①中日翻訳文法技能試験、➁日中翻訳文法技能試験
  2. 翻訳IT技能試験(英・中共通)
  3. 翻訳マネジメント技能試験(英・中共通)
  4. 翻訳専門技能試験(「JTA公認 中国語翻訳能力検定試験」の1分野の試験)

採点方式と合格基準

科目ごとに合否判定、ならびにグレードが示されます。
科目合格の有効期間はそれぞれ5年間です。

合格基準は全問中「80%以上の正答率」と書かれている情報もありますが、詳しくは不明です。

完全に資格を取得したいとなると、次の2点が条件です。

  1. 4科目全てに合格(2級以上取得)
  2. 2次審査(翻訳経験2年以上の実績審査)に合格

数字の80

取得に必要な勉強などの費用

公式サイトから、JTA公認翻訳専門職資格試験の受験対策テキスト(PDF版)が販売されています。

  1. 【英語】翻訳文法技能試験 受験対策テキスト(PDF版)
  2. 翻訳IT技能試験 受験対策テキスト(PDF版)
  3. 翻訳マネジメント技能試験 受験対策テキスト(PDF版)

テキストの料金は各1部ずつで、一般の方は2,900円(税込)です。
JTAメンバーズ、JTAパートナーズ、学生の方は2,300円(税込)です。

  • JTAメンバーズとは、翻訳者や翻訳技能の向上を目指す方々のために、翻訳関連の様々な情報提供および「JTA公認 翻訳専門職」認定者となるためのサポートを行うインターネットメンバーシップです。(日本翻訳協会が主宰)
  • JTAパートナーズとは、日本翻訳協会のミッションに賛同していただいた、翻訳会社や翻訳学校など法人の方を対象とした会員制度です。
  • 学生割引は大学院生、大学生、専門学校生、高校生などを指します。

受験料

内 容  一般受験料(消費税込)  JTAメンバーズと学生割引の受験料
(消費税込)
1科目受験 5,500円 4,400円
*1科目受験
中国語部門
第1科目
2,750円 2,200円
2科目受験  11,000円 8,800円
*2科目受験
中国語部門
第1科目を含む場合
8,250円 6,600円
3科目受験 16,500円 13,200円
*3科目受験
中国語部門
第1科目を含む場合
13,500円 11,000円

*は中国語部門、第1科目「中日翻訳文法技能試験」または「日中翻訳文法技能試験」のどちらか1つを選んだ場合の受験料です。
両方一度に受験する場合や英語部門の受験者の方は、通常の受験料です。

受験申込方法

受験を希望する人は受験申請書を提出します。
「JTA公認翻訳専門職資格試験」の受験案内ページの「受験申請書」ボタンからダウンロードして、必要事項を記入しましょう。

このとき受験する言語を選びます。英語・中国語いずれかにチェックを入れてください 。
また、受験料を銀行の指定口座に振り込みます。

そして、ご自身の写真をデジタルカメラで撮影して、「受験申請書」の所定の位置にデータを貼り付けます。
写真を貼り付けたら、「受験申請書」を添付してe-mailを送信します。

宛先は「cpt0812@jta-net.or.jp」です。

申請書が受理されたら、「受験申請書」の記載事項を確認のうえ、以下をe-mailで送信しましょう。

  • 受験番号
  • 受験心得
  • 宣誓供述書

まとめ

翻訳

今回は翻訳関係の資格の1つである「JTA公認翻訳専門職資格試験」をご紹介しました。
前身は翻訳技能認定試験という名でした。

この資格試験の特徴は、英語あるいは中国語の言語で各4科目を受験することです。
4科目すべてに合格しなければいけないので、難易度は高めです。

それに、認定されるには「筆記試験に合格」するだけではなく「2年以上の実務経験」も必要です。
ですので、この資格試験は実務経験3年以上のプロ向けの資格とも言えるでしょう。

この試験は下記の5つの能力を図ります。

  1. 言語運用能力と翻訳表現技術
  2. 文化背景知識と異文化理解力
  3. 専門知識と実務能力
  4. IT運用力とサーチ力
  5. マネジメント能力と職業倫理

もし、他の翻訳者に差をつけたい方は挑戦してみてはいかがでしょうか?
けれども、受験料も高めなので費用面も考えながらやりましょう。

 

関連する記事はこちら
ITソフトウェア翻訳士について

HSK(漢語水平考試)試験について

英単語検定について