非破壊試験技術者資格試験について

非破壊試験技術者資格試験について

多くの方が工業製品や橋、トンネルを利用しています。
それらは安心して利用できるように、非破壊検査が行われています。
その為の試験を非破壊試験と言います。
今回はその品質や性能、特性に不具合がないかを調べる非破壊試験の資格について、ご紹介します。

適用する仕事

どのような仕事かについてと、資格の需要を見てみましょう。

どのような仕事か

非破壊検査が何故あるのかと言えば、それは環境保全を目的として、少しでも廃棄物を少なくしようという活動の一環だからです。

地球はすでに限界を迎えていると言われています。
なぜなら、日本人と同じ生活スタイルを世界中の人がした時に、必要な地球の数は2.8個と言われているからです。

このような中、自然環境を維持、つまり資源を節約するために廃棄物の削減努力が成されています。
1つの製品を長期にわたって使用できれば、それだけ資源を節約した事になります。

素材からの加工工程や完成品、設備の検査などに非破壊検査を実地することで、破損等を確認したり(品質評価)、製品や設備の信頼性を高めたりして、製品寿命を長くしようと努めることができます(寿命評価)。

Goodサインをあげている青い作業員

この非破壊検査員になるには、民間資格であるこの非破壊試験技術者が必要になります。

コラム・略語の説明
非破壊試験のことを英語ではNDTと言い、NDI は非破壊検査のことです。
つまり、非破壊的に試験をする場合にはNDTを用い、合否判定の検査にはNDIを用います。

今後の需要

昨今話題のSDGsや再生可能エネルギーの取り組みなど、環境への意識は高まっています。

そして、これから東南アジア、インド、アフリカ、南米と言ったパートナーの経済発展が見込まれます。
世界では、今まで以上に資源が求められるでしょう。

そのような中、長期的に見れば、この資格の需要は堅調または高まっていくと予想されます。

おおよその年収とキャリアパス

取得に必要な勉強などの費用非破壊技術者や非破壊検査の仕事の年収は、300万~400万円台が平均です。
就職するには、建設会社工場、機械メーカーが多いです。

非破壊試験技術者としてのキャリアアップには、いくつかの方法があります。
一つは、関連する資格を取得することです。
例えば、一般社団法人 日本非破壊検査協会が実施する「JIS Z 2305 非破壊試験技術者」資格があります 。

また、検査会社や試験機関のほか、自社内に非破壊検査部門をもっているメーカーや建設業、鉱業の会社などで実務経験を積むことも、キャリアアップにつながります。

他には、独立という選択肢も考えられます。
日本には、非破壊検査の仕事を専門にしている会社が約400社、そして非破壊検査員は3万3,000人と言われています。
大手では理化学機械や工業用・医療用の放射線機器の取り扱いから、スタートしている会社が多いです。
そういった経緯の中から、非破壊試験の仕事をするようになったようです。

認可団体

一般社団法人 日本非破壊検査協会のロゴマーク一般社団法人 日本非破壊検査協会
〒136-0071 東京都江東区亀戸2丁目25–14 立花アネックスビル10
TEL(総務部総務課):03-5609-4011

受験条件

新規に受験するためには

  1. 満足する視力検査(近方視力、色覚)の証明
  2. 訓練(シラバスに基づく訓練内容で最小限の訓練時間を満足する)

を修了したことの証明が必要になります。

満足する視力検査(近方視力、色覚)の証明

視力の要求(近方視力、色覚)

  1. 近方視力要求(30cm以上離れて単眼又は両眼で判読できること。視力矯正可)
  2. 色覚要求(申請するNDT方法で使われる色彩、またはグレイスケール[灰色の濃淡]間のコントラストを識別できること)

訓練

レベル3にいくにつれて、高度になっていきます。

レベル1:過去5年間に最小限の訓練時間(8~40時間)を満たしていること

レベル2:過去5年間に最小限の訓練時間(16~80時間)を満たしており、レベル1資格を所有していること

レベル3:レベル2の2次試験合格者、過去5年間において以下いずれかの条件を満たす者

レベル3の条件
  • NDT関連書籍による個人的学習をおこなった者
  • NDT関連の研究・論文発表者
  • NDT関連の書籍解説などの執筆者
  • NDT関連の学術講演会、またはセミナーへの出席者や発表者
  • NDT関連の訓練コース

合格率

レベル1で約40%、レベル2で約30%、レベル3で約10%です。
ただし、試験技法の種類によって、かなりバラツキがあります。
種類は6つあります。

1年当たりの試験実施回数

春と秋の年2回です。

試験科目

建物の下の方を点検しに行くドローンレベルごとにお伝えします。

レベル1、レベル2

一次試験(筆記)

四肢択一式:120分
・一般問題 – 基礎知識に関する問題
・専門試験 – NDT の適用に関する問題

二次試験(実技)

70~165分

・ひずみゲージ試験(ST)を除くNDT方法の場合
装置についての知識、NDT試験体への適用、不連続部の検出および報告により技術者としての知識ならびに技量の程度を判定します。

・ひずみゲージ試験(ST)の場合
装置についての知識、NDT試験体への適用、測定結果の整理および報告書の作成により技術者としての知識ならびに技量の程度を判定します。

レベル3

一次試験(筆記・基礎試験)

多項選択式:150分
・パートA(25問以上)材料科学、製造技術に関する技術的知識
・パートB(10問以上)認証システム(JIS Z 2305)に基づいた認証機関の資格および認証に関するスキームの知識
・パートC(60問以上)受験申請時に選択した4種類のNDT方法におけるレベル2の基礎知識

二次試験(筆記試験)

・パートD 多項選択式(30問以上)申請NDT方法に関連するレベル3の知識
・パートE 多項選択式(20問以上)関連する分野におけるNDT方法の適用等に関する問題
・パートF 記述式(手順書作成)関連する分野におけるNDT方法の手順書の作成問題

採点方式と合格基準

こちらもレベルごとに設定されています。

レベル1・レベル2

一次試験は、筆記試験(一般試験パートと専門試験パート)で、それぞれ70%以上の得点で合格です。
二次試験は、実技試験パートで、各試験体で各々70%以上の得点で合格となります。レベル2については、NDT指示書の作成でも70%以上の得点が必要です。

レベル3

一次試験は、筆記試験(基礎試験)の以下の試験パートで、それぞれ70%以上の得点で合格です。

・材料科学、製造技術に関する技術的知識
・認証スキーム (JIS Z 2305:2013)に基づいた認証機関の資格及び認証に関するスキームの知識
・四つの NDT 方法(RT 又は UT を含むこと)におけるレベル 2 の基礎知識

二次試験は、筆記試験(主要方法試験)の以下の試験パートで、それぞれ70%以上の得点で合格です。

・申請した NDT 方法に関連するレベル 3 の知識
・関連する分野における NDT 方法の適用等に関する問題
・関連する分野における NDT 方法の手順書の作成問題

取得に必要な勉強などの費用

試験会場になっている会議室この試験は独学では少し難しいので、日本非破壊検査協会の各種団体で行うNDIの認定試験用の講習会を受講することがオススメです。

例えば、日本非破壊検査協会においては、新規受験者を対象に「技術講習会」が、1次試験合格者、2次再試験受験者、再認証試験受験者を対象に「実技講習会」が実地されています。
詳しい受講料は公式サイトをご覧ください。

参考として「レベル3非破壊試験技術講習会 基礎コース」の費用は、非会員で36,300円です。
他にも講習があるので見てみてください。

受験料

1技術部門につき18,700円(税込)

受験申込方法

  1. 新規受験申請書[PDF]を HP よりダウンロードする
  2. 受験申請受付期間に、受験申請書類を簡易書留にて郵送する

まとめ

非破壊試験技術者試験は今後需要の高まりが予想されます。

なぜなら、装置・機器・受託業務などが、2017年度に2兆8,356億円と過去に見込まれていました。
それが、2025年には4兆2,592億円まで伸びると予想されているからです。
具体事例としては、例えば、首都高速道路の更新、老朽化したマンショントンネルなどの試験があります。

また、AI・IoT技術進化や工場の自動化は加速していることから、今後も非破壊試験をサポートする技術がますます世に出てくると予想されています。

そして冒頭に述べたように、物を長く使いたいというトレンドがあるので、その為の品質分析は求められてくるでしょう。

工場や病院などのインフラの老朽化このように日本においては、昭和の時代から建設されてきたインフラの更新時期や、また、技術の進化や物を長く使いたいというトレンドで、当資格のニーズは堅調かつ場合によっては今まで以上の需要があるでしょう。

 

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