溶接作業指導者試験について

溶接作業指導者試験について

溶接作業指導者とは、溶接に関わる作業の指導、監督等を行う資格です。
今回は建設現場や溶接作業を行う工場で、現場のリーダーとしての役割を求められる溶接作業指導者資格について説明していきます。

適用する仕事

溶接作業指導者資格の活用場面は、橋やビルの建設現場自動車工場金属部品を製造している工場です。
他にも、工業系の専門学校や大学の溶接作業の授業で扱う材料準備や道具点検、溶接に関わる学科及び実技指導の仕事で利用できる場合もあります。

おおよその年収とキャリアパス

一般的な年収は約250~400万です。
溶接作業指導者の資格保持の正社員では、工場勤務での月収は約23~25万です。

溶接対象の素材や作業環境、溶接の正確性によって年収は影響します。
高所で様々な種類を扱う配管溶接や造船所や、水中作業で行う溶接は非常に給料が高くなっています。

溶接作業指導者資格の取得後のキャリアパスについて、明確な情報はありません。
溶接管理技能者の資格等と合わせて取得して、職場内でキャリアを高めていくのが良いかもしれません。

認可団体

一般社団法人日本溶接協会のロゴマーク一般社団法人日本溶接協会(JWES)

受験条件

受験条件としては、2つあります。

  • 1つ目は、年齢が満25歳以上の方です。
  • 2つ目は、下記のJISや公的団体が認めている受験条件に必要な技能検定や資格で合格していて、3年以上溶接に関わる実務経験を有している・有していた方が対象です。

受験条件に必要な技能検定や資格

  • JIS Z 3801(手溶接)
  • JIS Z 3805(チタン)
  • JIS Z 3811(アルミニウム)
  • JIS Z 3821(ステンレス鋼)
  • JIS Z 3841(半自動)
  • ボイラー溶接士
  • 石油工業関係溶接士
  • NK溶接士技量資格
  • 建築鉄骨溶接技能者資格

など

該当条件(いずれかに該当してること)

  • 管の突合せ継手で裏当て金なしの資格保有期間が3年を超えていること
  • 板の突合せ継手で裏当て金なしの下向以外で、溶接姿勢(上向き、立向き、横向き姿勢)が2つ以上の資格保有期間がそれぞれ3年を超えていること
  • 上記以外の場合で、下向以外の姿勢の資格保有期間が通算9年を超えていること(2種目以上の資格が重なった期間は重複して加算されません)

該当条件の補足説明で、興味がある方は下記の説明も確認してください。

  • 管の突合せ継手とは、パイプや他の配管部材と突き合わせて溶接することです。
  • 板の突合せ継手とは、鉄板2枚を突き合わせて両側に目板を添えてリベット継手や溶接で締結したものです。
  • 裏当て金とは、溶接を行う際に裏面に取り付ける鉄板で固定材のことです。

合格率

約99%です。基本的に不合格はないです。

1年当たりの試験実施回数

1年当たりの試験実施回数は6回あります。
2023年度は5~6月に3回、10月に3回となっています。
10月の開催場所や日時についても、下記に記載しておきます。
「一般社団法人日本溶接協会」のホームページに記載してある情報と、併せてご確認ください。

福岡
日時:2023年10月11日~13日 9:00~16:30(お昼休憩は12:00~13:00)
場所:日本溶接協会 九州地区溶接技術検定委員会
住所:〒804-0054 北九州市戸畑区牧山新町 2-15
TEL:093-881-5610
東京
日時:2023年10月17日~19日 9:00~16:30(お昼休憩は12:00~13:00)
場所:日本溶接協会 溶接会館
住所:〒101-0025 東京都千代田区神田佐久間町 4-20
TEL:03-5823-6325
大阪
日時:2023年10月24日~26日 9:00~16:30(お昼休憩は12:00~13:00)
場所:CIVI研修センター新大阪東
住所:〒533-0033 大阪市東淀川区東中島 1-19-4
TEL:06-6160-5888

試験科目

溶接で使われる面や道具試験科目は、講習と筆記試験です。
3日間の講習の後、3日目の最後に筆記試験があります。
講習の内容については、下記の通りとなっています。

1日目 講習内容

  • 溶接指導の一般知識と非破壊試験
  • 被覆アーク溶接・厚板と高張力鋼の溶接及び切断

2日目 講習内容

3日目 講習内容

  • 溶接における品質管理と施工管理
  • 溶接構造物の強度と設計 / 安全衛生とその管理

採点方式と合格基準

3日間の講習会と筆記試験で、合格点に達することが条件です。
採点方式と合格基準点は非公開となっています。

取得に必要な勉強などの費用

講習会で使うテキストが必要です。

新版 溶接実務入門【増補3版】
created by Rinker

出版社名:産報出版
商品名:新版 溶接実務入門【増補3版】
価格:4,125円

テキストは産報出版(株)販売部にて購入可能です。
認可団体のホームページの「講習会用テキスト申込要領」の箇所から印刷し、必要事項を記入してください。

また、一般書店でも取り扱っているのでご購入ください。

受験料

2023年度10月の受験料を参考にしています。

  • 新規受験:54,050円
  • 溶接管理技術者資格保有の場合:23,600円
  • 再受験:13,200円

受験申込方法

受験申込方法としては、2つあります。

ホームページから申し込む方法

家に設置されているパソコンとプリンター1つ目は、一般社団法人日本溶接協会ホームページから申込書を印刷して申し込む方法です。

  1. まず、新版溶接実務入門【増補3版】のテキストを購入してください。
  2. 受講/受験申込書の2枚を印刷して、必要事項を記入し、下記の申し込み先を記入して送付してください。
  3. 申込書及び受験資格を確認後「受講・受験料確認書/郵便振替払込書」が送付されます。
  4. 送付された「受講・受験料確認書/郵便振替払込書」を持っていき、郵便局で提示して送金手続きをしてください。
  5. 受講・受験料確認書と振替払込請求書兼受領証のコピーを、下記の申し込み先にFAXで送信してください。

講習会開催日の約 2 週間前に、受講・受験票と演習問題集(改訂 2 版)が送付されます。
講習会当日に受講・受験票、『新版溶接実務入門【増補3版】』のテキスト、『演習問題集(改訂 2 版)』を持参することで受験できます。

申し込み先・FAX
住所:〒101-0025 東京都千代田区神田佐久間町 4-20
社名:一般社団法人日本溶接協会 事業部 溶接作業指導者資格認証 事務局
FAX:03-5823-5211

電話で申し込む方法

白い布団のような背景で、スマホを持つ左手2つ目は、電話で下記の連絡先に申し込む方法です。

  1. まず、電話で受験資格を確認してもらいます。受験資格がある場合は、新規受験のご案内と「受講・受験申込書」、「受講・受験料確認書/郵便振替払込書」が送付されます。
  2. 送付された郵便振替払込書を使って、郵便局に支払います。
  3. 受講・受験料確認書と振替払込請求書兼受領証のコピー、必要事項を記入した受講・受験申込書を下記の申し込み先に郵送します。

その後、1つ目の方法と同じく、講習会開催日の約 2 週間前に受講・受験票と演習問題集(改訂 2 版)が送付されます。
講習会当日に受講・受験票、『新版溶接実務入門【増補3版】』のテキスト、『演習問題集(改訂 2 版)』を持参することで受験できます。

申し込み先・TEL
住所:〒101-0025 東京都千代田区神田佐久間町 4-20
社名:一般社団法人日本溶接協会 事業部 溶接作業指導者資格認証 事務局
TEL:03-5823-6325

受験の申し込みは、原則として前期・後期とも開催日前30日までとなっていますので注意してください。
企業や専門学校等で団体で15人程度まとまった受講希望の場合は、事前に電話連絡が必要です。

まとめ

「溶接作業指導者試験」は受験条件に至るまでが大変です。
独学で取得を目指す方法は難しいかもしれませんが、日々の溶接作業に集中して正確性を意識して取り組むことが大事です。

受験当日は講義内容を復習して、テキストを何度も読み返して演習問題集を何度も解いて試験に臨んでください。
筆記試験の問題文章を最後まで読み、実際の溶接作業と同じようにゆっくりと解いていけば問題ないと思います。
不合格となった場合でも、受講の翌々年度までに1回だけ再試験を受けることができ、講習会の受講は免除となります。

詳しい情報は、一般社団法人日本溶接協会のホームページをご確認ください。

 

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