木造建築物の組立て等作業主任者について

木造建築物の組立て等作業主任者について

木造建築物の組立て等作業主任者」とは軒の高さが5m以上の木造建築物組立て等で、労働災害を防ぐことを第一の目的で安全面等の監督や指導に当たる責任者のことです。

資格取得後、自動的に主任者の立場に選任されるわけではありません。事業者から選任されます。

労働安全衛生法で、その技能講習を終えている方がいないと木造建築物の工事は違法になります。

そんな「木造建築物の組立て作業主任者」について、紹介していきたいと思います。

適用する仕事

土木や建設業界等で、木造建築物の構造部材の組立て、及び屋根下地や外壁下地の取付けの作業の指揮をする業務に携わります。

おおよその年収とキャリアパス

大工

建築業界の求人を見ると年収は約400万~800万円程です。

見合った年収は業務成果によって変わりますので、最初から収入は多く得られません。

木造建築物の組立て等作業主任者の資格だけでも現場監督になることができますが、さらにキャリアを積むのにおすすめの資格をご紹介します。
それらを交えて、キャリアアップの展望を見てみましょう。

選択肢としては、2つあります。勤める場合と独立する場合とです。

勤める場合

1つ目は、中小企業の工務店や宮大工の現場監督として活躍する方法です。

現場監督になる手段としては、下記に2つの方法があります。

  1. 指定学科を学校を卒業後、最低でも3年以上の実務経験がある方。実務経験年数は、学歴によって差がありますので確認しておきましょう。
  2. 決められた資格を取得して現場監督になることです。決められた国家資格を取得することで、主任技術者か監理技術者に選ばれ現場監督になれます。

こちらに出てきた主任技術者と監理技術者について、説明していきます。

主任技術者とは

最初に主任技術者から細かく紹介していきます。

主任技術者は資格の名称ではなく、現場の役職名です。
工事を受注した建設会社が、社員から適格者を主任技術者として選任して現場に配置します。

主任技術者の適格者になるには、資格と実務経験が必要です。
資格としては、2級土木施工管理技士の資格取得が必要です。

2級土木施工管理技士には種別が3つあります。

  1. 建築
  2. 躯体
  3. 仕上げ

その3つのうち、1つでも取得していれば問題ありません。

実務経験としては、下記に実務年数に応じた学歴が要ります。

3年以上
  • 高等専門学校の指定学科卒業者
  • 専門学校(専門士または高度専門士)の指定学科卒業者
  • 短期大学の指定学科卒業者
  • 大学の指定学科卒業者
5年以上
  • 高校の指定学科卒業者
  • 専門学校の指定学科卒業者
10年以上
  • 上記以外の学歴の者(普通科の高卒者や文系学部の大卒者等)

現場監督

監理技術者とは

次に監理技術者について細かく紹介していきます。

監理技術者は主任技術者の上位の資格です。
規模が大きい建設工事現場は、主任技術者ではなく監理技術者を配置する決まりがあります。

  • 建築工事業等の業種で監理技術者になるには、1級建築士等の資格取得が必要です。
  • 大工や左官等の業種で監理技術者になるには、指導監督的実務経験も必要となってきます。
    (指導監督的実務経験とは、元請けの建設会社の社員として請負代金4,500万円以上の工事で現場監督のような立場で仕事をした経験のこと)

 

主任技術者と監理技術者の2つを比べてみてきましたが、さらに先に段階を踏むことを考えると、2級の施工管理技士の資格取得をおすすめします。

取得しておくと、現在の職場でも新たな場所でも待遇面で有利になることが多いです。
現場監督として従事できる工事の規模が大きくなり、仕事にやりがいや経験を積めます。

独立する場合

2つ目は、独立する方法です。

建設業で独立する際の選択肢は下記の3つです。

  1. 個人事業主及び一人親方として独立
  2. 法人として独立
  3. フランチャイズとして独立

それぞれの特徴について、紹介していきます。

個人事業主及び一人親方として独立する方法

一人親方は個人事業主の一種です。

請負会社と契約を結び、工事現場において作業員として働く方法です。
労働者を雇用せず自分自身だけ、もしくは家族だけで事業を行うことが多いです。

すぐに独立をして生計を立てたい人は、一人親方として働き始める人が多いです。
一人親方として独立する場合、最低限必要な手続きは開業届の提出のみです。

ただ、取り扱う工事の規模によっては、資格の取得や建設業許可を取得する必要があります。
建設業で一人親方として働く場所は、新築だけでなくリフォームの仕事でも需要があります。

挑戦する価値は十分にあるでしょう。

事業がうまくいったら、少しずつ人を雇っていくのもおすすめです。
最終的に法人化を目指すのも方法の1つです。

法人

法人として独立

ある程度の資金の貯蓄、人脈を確保している場合は法人を設立するのもおすすめです。
法人を設立することで、銀行等の融資が受けられるようになります。

法人を設立する際に必要な手続きは、定款認証法人設立登記です。
法人名義の銀行口座開設や法人設立届の提出が必要です。

他にも、従業員の社会保険や労働保険の手続き等といった様々な作業も必要です。
法人化すれば、職人の知識以外に経営者営業としての知識も必要です。

フランチャイズとして独立

個人事業主や法人として独立する手段の1つとして、フランチャイズもあります。
フランチャイズとは、本部と加盟店契約を結び、商標を利用する権利を得るシステムのことです。

フランチャイズは知名度があるため、集客しやすいです。
部材の一括仕入れによって、コストダウンも可能です。
会社経営のサポートが受けられる等のメリットがあります。

しかし、本部からのサポートはあるものの、本部の言うことに従わなければなりません。
加盟金やロイヤリティを払う必要もあります。

独立してみたい、経営や営業知識を教わりながら取り組んでみたい方におすすめです。

個人事業主としても、法人としてもフランチャイズに加盟することは可能です。

最初は法人化するのか、個人事業主として独立するかを決めた後、経営を進めるための手段としてフランチャイズ加盟を検討してみましょう。

 

以上、キャリアパスについて紹介させていただきました。
自分の現状に合った方で検討してみてください。

認可団体

厚生労働省

厚生労働省

受験条件

下記の条件のどれかに該当していれば、受験可能です。

  1. 18歳以上で、木造建築物の構造部材の組立て等の業務に3年以上従事した経験者
  2. 大学か高等学校等で土木建築の学科卒業後、2年以上の木造建築物の業務経験者
  3. その他で厚生労働大臣が定める者

合格率

合格率は、約100%です。

講習のときに修了試験に出題される問題を教えてくれますので、覚えておきましょう。

1年当たりの試験実施回数

1年に2回実施しています。

実施公示に関しては、3月上旬と9月上旬にあります。

数字の2

試験科目

講習科目の内容について説明していきます。

木造建築物の構造部材の組立て、屋根下地の取付け等に関する知識

造用合板とコンクリートパネル(コンパネ)の違いについて、知っておきましょう。
また、それらの取付け方法も覚えておきましょう。

工事用設備、機械、器具、作業環境等に関する知識

工事で扱う道具や機械のメンテナンス方法や作業環境について、覚えておきましょう。

作業者に対する教育等に関する知識

同じ工事現場で働く人に指示や道具の扱い方について、確認しておきましょう。

関係法令

冒頭でも紹介した労働安全衛生法についても触れていきます。
技能講習を終えている方がいないと工事ができない理由等について、覚えておきましょう。

修了試験

修了試験は講習の最後に行われます。
講習内容のチェックポイントの問題の意味について、調べておきましょう。

採点方式と合格基準

厚生労働省が定めた合格基準があります。

実技試験:60点以上で合格
学科試験:65点以上で合格

取得に必要な勉強などの費用

費用

講習の際のテキストだけで充分です。

講習用テキスト代:1606円(税込み)

受験料

受講料は講習場所や免除区分よって変わります。

受講料は、一般的に約6,000~16,000円程です。

  • とび技能士1級及び2級の資格取得者は、科目や受講料免除が適用されます。
  • 同じく、建築大工技能士1級及び2級の資格取得者も科目や受講料免除が適用されます。

免除科目や受講料の詳細については、各受講場所にお問い合わせください。

受験申込方法

受験申込み方法は各支部によって違います。

詳細については各支部のWEBサイトをご確認ください。

受験申込みは、毎年4月頃に行われています。
締切りは1週間です。1週間以内でも定員に達した場合も締切られます。

また、受験申込みの際に下記の物も必要ですので事前に準備してください。

  • 写真2枚
  • 本人確認書類の写し
  • 各種添付証明書(※学生の場合)

※建築か土木学校を卒業後、実務経験が2年以上3年未満で受講される方は卒業証明書か卒業証書の写しも添付してください。

まとめ

木材

木造建築物の組立て等作業主任者についてまとめました。

建築業界で業務で取り組んでいる方は、職場に当資格取得者が配属されていると思います。
資格取得の向けての詳しい情報を聞いてみると良いかもしれませんね。

 

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