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あらすじ
トリックの推理を得意とする不可能(HOW)担当、御殿場倒理と動機などの推理を得意とする不可解(WHY)担当、片無氷雨が共同経営する探偵事務所「ノッキンオンロックドドア」に、一人の女性が訪ねてくる。
その女性は、煌めきの画家の異名を持つ四ノ宮英夫の妻、四ノ宮由希子であった。「夫が亡くなったので謎を解いてほしい」という依頼を受け、現場に向かう二人であったが、違和感はあるものの、真相にはなかなかたどり着けない。加えて、密室殺人である動機も見当たらず、容疑者候補の3人に動機はあるもののアリバイがない。
「俺たちに解けない謎はない」そう断言する倒理たちに、この事件のトリックや動機を推理することができるのか!?
事件の謎
被害者は四ノ宮英夫(60)。生まれながらに視力障害があったが、17歳の時に受けた手術により奇跡的に回復。それから絵を描き始め、現在は光をモチーフにした抽象画を描く、煌めきの画家と呼ばれている。
とある日の朝、画商との打ち合わせがあるにもかかわらず居間に姿を見せないことから、呼びに行った画商の寺本と妻の由希子、息子の竜也が死体を発見し事件が発覚。
発見時、部屋は密室になっていたが、明らかに他殺と考えられる現場であるためわざわざ密室にした動機が謎となった。
また、妻の由紀子には夫の保険金2億円を受け取る権利があるという動機、美大生の息子の竜也には被害者の作風を踏襲するように強制されていたという動機、画商の寺本と被害者は20年以上ビジネス関係にあり、何らかの軋轢が生じていたかもしれないという動機がある。
それぞれに動機があるものの、その全員にアリバイがないことからも事件の謎は深まった。
謎ときのポイント
①「画家のストーリー」
画家の価値を裏付けるものは才能はもちろん、「画家の物語(ストーリー)」であると画商の寺本は語った。障害を乗り越えたというストーリーを持つ英夫は最高の価値があり、その家族であり遺志を受け継ぐものとして、妻の由希子、息子の竜也も最高のストーリーを手にした。しかし才能のあるなしが二人の明暗を分けた。
②「ノック」
ドラマのタイトルにもなっている「ノック」がトリックを解く鍵となった。性別や職業、家主との関係、状況などでノックをする強さや回数は変わってくる。今回はペンキの粉が落ちているはずなのに、床に落ちていないという違和感が事件を解決に導いた。
事件の真相
事件のトリックの鍵は、被害者が頻繁に塗り替えていたという白いドアから出る白い粉と、額縁から外されていた代表作の絵のうち、真っ赤に塗りつぶされた1枚の絵であった。
密室は意図的ではなく偶然作られたもので、犯人である息子の竜也が、父親の絵の一番の理解者である画商の寺本にその絵を踏ませる、いわゆる「踏み絵」を行うことで、父親の作品を汚す行為の副産物であった。
自身の作品を貶され続けた故に行った犯行だが、実は実行に至ったのは今回が初めてではない。
事件の3か月前にも、英夫をエスカレーターから突き落とすという犯行を犯していた。監視カメラの映像からは犯人は特定できなかったが、由希子は竜也が犯人であることを知っていながら、そのことをだまっていて、竜也の犯行を止めなかった。
実は英夫の死は由希子も望んでいたことで、息子を利用して自らの手は汚さず目的を果たし、自身は「非望な死を遂げた煌めきの画家の妻」という画家として最高のストーリーを手にし、画家として返り咲くことになった。
事件解決後
倒理と氷雨は銭湯に向かう。事件を振り返りつつ、倒理が動機の推理をしないのは6年前の事件が原因なのかと問い、倒理の首の傷に触れようとする。
更衣室で着替えていると、刑事で大学で同じゼミだった穿池から、「美影がまた人を殺した」とメッセージがあったところで1話は終了する。
みどころ
主人公である二人の探偵の正反対な見た目、立ち居振る舞いと、そのでこぼこでありながら見事に連携を取って事件を解決していく軽快なやり取りが見ていて心地いい。また、周りを取り巻く刑事や大学時代の教授などもキャラが濃く、今後物語が進行していくにつれどのような関係性の変化が起きるのか、注目したい。特に大学で同じ天川ゼミをとっていた、倒理、氷雨、刑事の穿池、美影、そして教授であった天川は重要人物となってくるであろう。
主な登場人物
御殿場倒理(ごてんば とおり)【松村北斗(SixTONES)】
くせ毛で、なぞを解く時にいじる癖がある。季節問わず黒のタートルネックを着ていて、首の傷を隠すためと思われる。
依頼人に対し失礼な態度をとるなど、感情のままにふるまう。
片無氷雨(かたなし ひさめ)【西畑大吾(なにわ男子)】
眼鏡にスーツ姿なことから、助手と間違われやすい。倒理とは大学のゼミが同じだった。
非常識で破天荒な相方に対し、常識的で礼儀正しい。
穿池決(うがち きまり)【石橋静河】
倒理と氷雨とは同ゼミだった。キャリア組だが自ら現場を志願している。
探偵二人に対し、かなり強気に接しているが、上司に内緒で現場を見せている。
仲が悪いように見えるが、お互い一目置いていることがうかがえる。
薬師寺薬子(やくしじ くすりこ)【畑芽育】
二人の探偵事務所で家政婦として働いている女子高校生。
かわいらしさと小悪魔的要素を併せ持っている。
倒理や氷雨とは対等な関係に見える。
神保瓢吉(じんぼう ひょうきち)【角田晃広】
二人の探偵に事件を斡旋する仲介屋。
飄々と明るい人物だが、二人の探偵の扱いがうまく、世渡り上手。
天川考四郎(あまかわ こうしろう)【渡部篤郎】
春望大学社会学部の教授。
倒理や氷雨、穿池の恩師であり、頭脳明晰な人物。推理において、「観察」と「推論」を重要視している。