旅行業務取扱管理者は、2005年4月に旅行業法が改正される前は、旅行業務取扱主任者と呼ばれていました。
観光業で働くのであれば、ぜひ取得しておきたい資格です。
旅行業務取扱管理者は取り扱える業務の範囲により、3種類あります。
その中の1つである「国内旅行業務取扱管理者」についてみていきます。
Contents
適用する仕事
国家資格である旅行業務取扱管理者は、旅行会社に必要な資格です。
国内旅行を販売するには、営業所に1名以上の旅行業務取扱管理者を配置することが旅行業法という法律で義務付けられています。
旅行業務取扱管理者の仕事は、次の業務についての管理や監督に関する業務を行います。
職務の全てを自身が行わなくてもいいですが、「取引条件の説明」および「書面の交付」の際に旅行者から依頼があったときは、旅行業務取扱管理者が最終的な説明をする必要があります。
- 旅行者に対して取引条件を説明する
- 旅行者に対して適切な書面を交付する
- 適切な広告を実施する
- 旅行に関する苦情を処理する
- 料金の提示
- 旅行に関する計画の作成
- 旅行業約款の提示及び据え置き
- 旅程管理措置
- 契約内容に関する明確な記録、または関係書類の保管
- 前述のほか、必要な事項として観光庁長官が定める事項
おおよその年収とキャリアパス
この資格を取った者は、旅行会社で働かれることが多いです。
大手の旅行会社の平均年収は、約450万円から約500万円ほどです。
キャリアパスというよりは、旅行の仕事に就くときに必要な資格といえます。
認可団体
国内旅行業務取扱管理者試験は、一般社団法人の全国旅行業協会が実施している試験です。
全国旅行業協会は、観光庁長官の試験事務代行機関としてこの試験を実施しています。
受験条件
特に受験条件は設けられていません。年齢や学歴に関係なく、どなたでも受験することができます。
ただし、旅行業法の規定により、旅行業務取扱管理者試験に関して不正な行為があった者で、観光庁長官が期間を定めて試験を受けさせないこととした場合は、その者は、その期間が経過するまで試験を受けることができません。
合格率
2022年:34.9%
2021年:42.6%
2020年:37.7%
1年当たりの試験実施回数
試験は年1回、9月上旬の日曜日に行われます。
試験地は、北海道、宮城県、埼玉県、東京都、愛知県、大阪府、広島県、福岡県、沖縄県です。
試験科目
試験時間は「3科目合計で120分」です。試験科目は次のようになっています。
旅行業法及びこれに基づく命令
旅行業法に関する登録や、取引内容の交付などについて出題されます。
旅行業法とは、旅行者に対して不利な条件が課せられないように、国と旅行業者の間で結ばれた法律です。
25問出題されます。
旅行業約款、運送約款及び宿泊約款
旅行者と旅行業者で結ばれた約束事を「旅行業約款」といいます。
この科目では、契約の締結や解除、旅行業者に与えられている権利などについてが設問されています。
こちらも25問出題されます。
国内旅行実務
ここでは「運送機関及び宿泊施設の利用料金その他の旅行業務に関連する料金」と「旅行業務の取扱いに関する実務処理」の2つの分野から出題されます。
つまり、問われるのは「国内運賃・料金」と「国内観光資源」の2つです。
「国内運賃・料金」の分野では、宿泊機関や運送にかかる運賃、料金などの計算問題が出題されます。
一方、「国内観光資源」の分野では、日本全国の芸能や行事、自然資源、観光施設などの内容から出題されることが多いです。
問題数は38問です。
採点方式と合格基準
試験は全て四肢択一式です。マークシートで解答してそのまま採点されます。
合格条件は「全ての科目で6割以上の得点を取る」ことです。
取得に必要な勉強などの費用
まず、一般社団法人 全国旅行業協会の公式ホームページに、過去5年分の問題と解答・合格基準が掲載されています。
研修
国内旅行業務取扱管理者試験を開催している、一般社団法人の全国旅行業協会が開催している研修があります。
その研修を受講して修了テストに合格すると、試験の際に科目一部免除を受けることができます。
おすすめの参考書
’23~’24年度版ユーキャンの旅行業務取扱管理者<観光資源(国内・海外)>ポケット問題&要点まとめ
出版社名:ユーキャン学び出版
商品名:’23~’24年度版ユーキャンの旅行業務取扱管理者<観光資源(国内・海外)>ポケット問題&要点まとめ
価格:1,980円(税込)
テキストの大きさが小さく、持ち運びが便利です。
外出先や移動中でも手軽に学習することができます。実際に旅行を試しながらの勉強もすることができます。
このテキストは、配点が高い「観光資源」を大きく取り上げています。
観光資源は学習範囲が広いので、ここに苦しむ受験者は多いです。
こちらは、問題ページ、MAPページ、まとめページといった構成になっています。
旅行業務取扱管理者試験 標準テキスト 1観光地理<国内・海外> 2023年対策
出版社名:大原出版
商品名:旅行業務取扱管理者試験 標準テキスト 1観光地理<国内・海外> 2023年対策
価格:1,760円(税込)
資格予備校で有名な大原からのテキストです。
それぞれの科目ごとの勉強法や、学習・復習プランが紹介されています。
テキストはA5サイズで、コンパクトで持ち運びしやすいです。暗記用の赤シートもついています。
国内旅行業務取扱管理者試験 過去問題集 2023年対策
出版社名:大原出版
商品名:国内旅行業務取扱管理者試験 過去問題集 2023年対策
価格:1,430円(税込)
過去3年分の試験問題が掲載されています。
解説も詳しく収録されているので、わからないところがそのままになってしまうことが少ないです。
こちらも持ち運びに便利なA5サイズです。
受験料
国内旅行業務取扱管理者試験の受験料は5,800円です。消費税非課税の料金です。
受験申込方法
願書提出は郵送となります。
郵便局から「簡易書留郵便」で発送してください。
封筒の表面に赤字で「受験願書在中〇名分」と記載してください。
発送手続きが済むと、郵便物受領証(願書を送ったことを証明するもの)を受け取ることができます。
受験票が届くまでは、しっかり保管しておく必要があります。
願書は、宛先となる「全国旅行業協会」に直接持参しても受け付けてもらえません。
締め切りに慌てないように早めに郵送しましょう。
試験申し込みには、願書、写真、手数料納付を証明する証書が必要です。
受験願書
受験願書は、6月上旬から全国旅行業界のホームページでダウンロードすることができます。
また、全国旅行業協会で直接受け取ることもできます。
願書には、黒のボールペンで受験者本人が楷書します。算用数字で丁寧に記載しましょう。
写真
縦4.5cm×横3.5cmの写真が1枚必要です。
サイズが違うものや、普通紙などにカラー印刷したものは受け付けてもらえません。
受験手数料の納付を証明する証書
締め切りまでの受付日付印のある振込金受取書か、郵便局の振替払込受付証明書を受験願書に添付します。
手続きが済むと、8月中旬くらいに普通郵便で、自宅宛てに受験票が届きます。
届かないときは、早めに協会まで問い合わせをしましょう。
まとめ
国内旅行業務取扱管理者についてでした。
こちらは旅行業務取扱管理者の一種です。
同種の資格には、総合旅行業務取扱管理者、地域限定旅行業務取扱管理者があります。
国内旅行業務取扱管理者は、旅行会社に必要な国家資格です。
ここのところ、旅行業界は人気が上がってきており、回復しているところもあります。
これは訪日外国人観光客が増えていますし、円安も理由の一つだと考えられています。
新型コロナウイルスも、以前よりは脅威が衰えてきていて、旅行をする人も増えました。
旅行会社で働いていると、自身で旅行へ行くときも得をすることがあります。
旅行会社内には様々な配置がありますが、ツアーコンダクターや添乗員であれば年中、仕事の中で旅行ができます。
旅行好きの人には良い職場であると思います。
関連する記事はこちら
コミュニケーション能力認定について
25,000円:地域限定旅行業務取扱管理者試験合格者(法令科目の研修講義が免除されます。)