今回は不動産コンサルティング技能試験・登録制度についてです。
不動産の購入や売却は、気軽に、簡単にできるものではありません。
購入や売却をする際には、調べたり誰かに相談したりするものと思います。
そんなときにアドバイスできる能力を、不動産コンサルティング技能試験で示すことができます。
Contents
適用する仕事
不動産コンサルタントの仕事の内容は、不動産に関わる問題について、解決策をアドバイスすることです。
専門家としてのアドバイスができるようになります。
アドバイスやサポートをするのは、不動産の購入や売却、マンションオーナーとして不動産の経営を考えられている人や、物件の活用方法で悩まれている人といった、不動産の管理方法や活用法についての悩みを抱える人に対してです。
不動産は基本的に高額です。さらに、複雑な権利関係が絡んでいる場合もあります。
不動産の購入や売却、管理方法、活用法といったことで悩まれている人は多いと思います。
そういった人に対して、客観的な立場から不動産についてのアドバイスやサポートをするのが、不動産コンサルタントの仕事です。
この試験を受験される目的を問うてみると、次の回答がありました。
以下は上位にのぼったものです。
- 自身の自己研鑽のため
- 不動産の売買等の媒介業務等を行う際に、顧客の信頼度をアップさせ、他社との競合に勝つため
- 媒介業務等から独立した「不動産コンサルティング業務」を行うため
おおよその年収とキャリアパス
不動産コンサルタントの平均年収は、おおよそ600万円から800万円です。
働く企業の大きさや、あるいは個人事務所かによって年収は変わってきます。
都心であるか、地方であるかも年収に影響があります。
年収は年齢によっても変わってきますが、一番多くなるのは40代後半から50代にかけてです。
40代後半から50代にかけての平均年収は、おおよそ700万円から900万円です。
認可団体
不動産コンサルティング技能試験・登録制度は、「公益財団法人 不動産流通推進センター」が実施している試験です。
受験条件
次のいずれかに該当していると、受験資格があります。
- 宅地建物取引士(主任者)資格登録者で、既に宅地建物取引業に従事している方、または今後従事しようとする方
- 不動産鑑定士資格登録者で、現に不動産鑑定業に従事している方、または今後従事しようとする方
- 一級建築士資格登録者で、現に建築設計業・工事監理業等に従事している方、または今後従事しようとする方
1.の場合は、宅地建物取引士(主任者)証の交付を受けていなくても、資格登録があれば受験可能です。
なお、試験合格後の技能登録のためには、上記の1.2.3.についての資格登録後、その業務(1.の場合は不動産業)に関して5年以上の実務経験を有していることが必要です。
あるいは(令和5年10月以降運用される要件ですが)3年以上の実務経験の証明後、センター指定の講習等を修了することが必要となります。
ただし、1.2.3.の業務の合計では5年以上や3年以上の実務経験とすることはできません。ご注意ください。
そして繰り返しますが、令和5年度から次の条件が追加になりました。
それは、技能登録の際に3年の実務経験と一定の講座受講が必要ということです。
一定の講座とは、不動産流通推進センターが指定する次の講座です。以下の講座は全て受講することが必要です。
- 不動産特定共同事業に関する講座
- 不動産コンサルティング実務に関する講座
- 相続や不動産プロデュースなどをテーマとする特別講座
合格率
令和4年度:42.7%
令和3年度:37.9%
令和2年度:43.3%
1年当たりの試験実施回数
試験は1年に1回です。例年、11月の第2日曜日に実施されています。
2023年は、試験は11月12日(日曜日)の予定です。
択一式試験が午前中に行われて、記述式試験が午後に行われます。
例年の開催地域は次の通りです。
札幌、仙台、東京、横浜、静岡、金沢、名古屋、大阪、広島、高松、福岡、沖縄
試験科目
試験には、択一式試験と記述式試験があります。
択一式試験
50問:2時間:100点満点
不動産コンサルティングをするのに必要な基礎知識、専門知識、一般知識について実施される試験です。
科目:事業、経済、金融、税制、建築、法律
記述式試験
必修科目4問・選択科目1問の計5問:2時間:100点満点
必須科目:実務(2問)、事業、経済
選択科目:金融、税制、建築、法律のうち1科目選択
択一式試験に必要な知識に加えて、総合能力と応用能力についての試験です。
一部の科目に計算問題があります。
電卓の使用が可能です。
語句や数値の記入の他に、一部科目では、知識や考え方を100字程度の簡潔な文章にして解答する問題もあります。
なお、選択科目の問題は試験会場で選びます。受験申込時ではありません。
採点方式と合格基準
択一式試験は四肢択一式です。
記述式試験は、穴埋め問題になっています。
合格基準は、択一式試験と記述式試験の、200点満点中の一定以上の得点をとることです。
参考までに、ここ最近の合格点数を以下に示させて頂きます。
令和3年度:110点以上
令和2年度:125点以上
令和元年度:120点以上
取得に必要な勉強などの費用
公式サイトには、勉強に役立つ講習が実施されています。
ライブ配信(アーカイブ配信有)で学ぶ―不動産コンサルティング基礎教育
受講料:3コースセット:21,000円(税込、テキスト代込み)
①事業・事務
②建築・法律
③税制・経済金融
不動産コンサルティング基本テキストに沿って、各科目の重要ポイントを解説します。
eラーニングで学ぶ-不動産コンサルティング入門研修-インターネット通信講座
受講料:27,000円(税込、テキスト代込み)
試験を実施している不動産流通推進センターのインターネット通信講座があります。
不動産コンサルティング業務の基礎を学ぶための通信講座となっています。
テキストとムービーで学べるようになっています。演習問題290+αです。
不動産の実務や、「事業・実務」「税制」「建築・公法」「私法」「経済・金融」といった分野について、学習することができます。
※令和4年度のときは、「令和4年度 不動産コンサルティング基本テキスト」第1分冊・第2部冊・第3部冊がついていました。
受験料
不動産コンサルティング技能試験の受験料は、31,500円(税込)です。
試験合格後に登録をすると「公認 不動産コンサルティングマスター」の認定を受けることができます。
その際に、登録料として16,000円(税込)の支払いが必要です。
受験申込方法
「公益財団法人 不動産流通推進センター」の不動産コンサルティング システムのホームページから、受験の申し込みをします。
1.
・申込みボタンを押して、メールアドレスを入力してパスワードを決めます。
・登録したメール宛に「事前登録完了のお知らせ」が届きます。
2.
・ユーザーIDと決めたパスワードを使用して、メール本文にある「申込み情報入力ログインページ」からログインします。
・申込み情報を入力します。
・メール宛に届く「受験仮申込受付のお知らせ」を確認します。
3.
・選択画面で、支払い方法を選択します。クレジット決済か、コンビニ決済です。
・画面の指示、およびメールの内容に従って決済手続きを行います。
4.
決済手続きが完了した後、マイページで入金完了を確認します。
決済完了データの反映には、時間がかかります。
これで本申込みが完了です。受験票発送までお待ちください。
まとめ
不動産コンサルティング技能試験・登録制度についてでした。
不動産の売買は、慎重にやりたいものだと思います。
誰にも相談せずに決めていくのは、どこかに見落としなどがないか不安になることと思います。
そんなときに相談する相手として十分な知識があるかを問う資格試験が、今回ご紹介した不動産コンサルティング技能試験です。
この資格を持つ人は、不動産にかかわる迷いや悩みを持つ人に対して、解決に役立つような客観的な案を出すことができる知識と能力があると証明されます。
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