舗装診断士について

舗装診断士について

舗装診断士とは、コンクリートの舗装に関するスペシャリストといわれる職業です。

その舗装の診断に関する一連の作業ができる高い専門知識を保有しているかどうかを、認定するのが今回の資格です。

土木業界や建築業界への就職を目指している人におすすめです。

実は、この資格は2017年に創設されたばかりの新しい資格なのです。

土木関係や建築関係には、さまざまな資格があります。

舗装診断士はどのような資格なのでしょうか。

詳しく紹介していきます。

適用する仕事

冒頭にも述べましたとおり、この資格は2017年に作られたばかりです。

土木関係や建築関係の資格は他にもあります。

工事現場

資格創設の背景

現在の日本では今後急速に老朽化する高度経済成長期に整備された社会資本ストック(道路や河川など)の維持管理や更新、技術者の減少など、社会資本の品質確保について大きな課題を抱えていました。

公共工事の調査や設計などの業務では制度が運用されていましたが、道路関連の舗装に対しては対象外だったのです。

そのため、将来にわたりその担い手を中長期的に育成することになり、民間団体が運営する一定水準の技術力を有する資格について国や地方公共団体が活用できるように、「国土交通省登録資格」として登録する制度を導入しました。

この導入によって、「舗装診断士」も国土交通省民間資格に新たに登録されたというわけです。

舗装診断士の仕事内容

舗装診断士はその名のとおり、舗装したところを診断するのが主な仕事です。

舗装の診断には以下の4つの作業を行います。

  1. 既設舗装の評価や調査
  2. 既設舗装の維持
  3. 既設舗装の修繕工法の選定や設計
  4. 補習計画策定の支援

など

さらに、上記以外の業務としては、目視・路面性状調査・構造調査などによる

  • 破損実態の把握
  • 破損の程度の評価
  • 原因特定
  • 維持・修繕工法の選定
  • 設計条件の整理
  • 路面・構造設計

なども想定されています。

これらの仕事を行うことで、老朽化した道路などの危険の度合いが分かってきます。
舗装した道路を調査することで安全かどうかが分かりますので、事故を未然に防ぐことができます。

おおよその年収とキャリアパス

キャリアアップ
舗装診断士の資格を取得すると、土木業界建設業界への就職や転職が見込めます。

とはいえ、新しい資格のため、まだ舗装診断士自体の求人はそれほど多くないです。

しかし、下位資格である舗装施工管理技術者の求人は相当数ありますから、そうした求人から職場を探すことができます。

そうした求人から、いくつか年収例を挙げてみます。

年収例
土木施工管理技士の求人 年収520万~550万円(30代前半)
舗装作業、土木作業の施工管理 年収700万円(月給50万円×12か月+夏と冬の賞与2か月)
地元のお祭り等民間工事や公共工事の現場監督スタッフ 年収350万〜540万円

舗装診断士の資格の活かし方ですが、ある建設企業では入社10年~14年目の「工事長」の立場の人が目指す資格といわれています。
その会社では、4年~9年目の「現場所長」の立場になると“一人前”と呼ばれています。

つまり、舗装診断士の資格を取得するということは、現場代理人監理技術者などリーダーシップがとれるポジションにステップアップすることができます。
現場代理人(所長)や監理技術者は、年収が600万~800万円と高額になります。

一例でしたが、資格があるとこのように昇進や昇給が目指せます。

認可団体

日本道路建設業協会

一般社団法人 日本道路建設業協会」というところが、試験を実施しています。

〒104-0032
東京都中央区八丁堀2-5-1 東京建設会館3階
TEL:03-3537-3056
FAX:03-3537-3058

受験条件

受験条件は厳しいです。

まず「必要保有資格」があります。

必要保有資格

いずれかの資格を保有していること

  1. 1級舗装施工管理技術者
  2. 技術士(建設部門)
  3. 特別上級・上級等土木学会認定資格
  4. RCCM

ただし、2~4は「2級舗装施工管理技術者資格」も有していること

さらに、実務経験も受験条件です。

実務経験とは

上記のいずれかの必要資格保有者は、かつ7年以上の舗装関連業務(計画、調査、設計、監理・監督、工事、試験、評価、技術開発等)の業務経歴があること。

さらにその中で、舗装の計画、調査、評価に関する実務経験が、1年(または3件:期間は問わない)以上あること。

これら以外にも、舗装の工事等において、補修工事の施工前調査(機器を用いた調査の他、目視調査も含む)、舗装の調査・診断により補修工法提案を行なった業務や、補修工事の実施段階で調査等の提案・実施を行なって設計変更された業務など、あるいはこれらに類する業務(新設・改築も含む)も実務経験のうちに入ります。

実務経験については、原則として、公印を持っている受験者の上長に証明していただくのが条件です。

【その他の該当者】
それと上記とは別に、以下の方も受験条件に該当します。
それは「最後に前年度の舗装診断士の択一試験に合格し、今年度の択一試験免除申請を行なって、記述試験のみを受験をする者」です。

合格率

合格率

2022年度:27.6%
2021年度:16.6%
2019年度:23.9%

1年当たりの試験実施回数

年に1回、毎年6月の第4日曜日に行われます。

試験科目

試験には、択一試験と記述試験の2つがあります。

択一試験

  1. 舗装に関する基礎知識
  2. 舗装の管理
  3. 点検・評価
  4. 補修の計画・設計
  5. 補修工事に関する知識
  6. 倫理

記述試験

経験記述と専門記述があります。

経験記述

業務経歴から1業務を選定し、業務の概要、その中で果たした役割、技術的問題点や課題と解決策、その評価等を簡潔に記述できる能力を問う

専門記述

次の事柄を簡潔に記述できる能力を問う

  • 舗装の破損の写真、当該箇所の交通量、地域、気象地形等の条件から推定される破損原因と根拠
  • 実施すべき調査や試験、補修方法
  • 道路建設時のデータ、供用年数、交通量のデータなどからわかる破損の状況

文章読解・作成能力検定(文章検)について

採点方式と合格基準

択一試験はマークシート方式で、3時間実施されます。
記述試験は「経験記述」と「専門記述」両方で、3時間実施されます。

合格基準はおおむね60%以上の得点をとることです。

なお、択一試験のみ合格した人は、翌年度に限り択一試験を免除できます。

そして、この資格の有効期間は5年です。
5年経過した後は、更新する必要があります。

取得に必要な勉強などの費用

勉強には「一般社団法人 道路・舗装技術研究協会」が発行する参考書や、資格試験準備講習会があります。

参考書

VRで学ぶ舗装工学
created by Rinker

出版社名:フォーラムエイト パブリッシング
商品名:VRで学ぶ舗装工学
価格:¥4,180(税込)

資格試験準備講習会

講習会費用:14,000円/1名(テキスト代含む)
テキスト費用:4,000円/冊(税・送料込)

受験料

16,500円(消費税込み)
記述試験のみの場合は8,250円(消費税込み)

受験申込方法

受験を申し込むには、まず受験申込書を作成します。

認可団体である「一般社団法人 日本道路建設業協会」のホームページ上に、「舗装技術者資格 各種申込書類作成システム」が設定されます。

それを利用して、受験申込書を作成・印刷して下さい。紙による「受験申込書類」の販売は行いません。

受験料は、郵便局備え付けの「払込取扱票」を使用し、個人別に払い込みます。

郵便局の証明印が押されますので、「振替払込請求書兼受領証のコピー」を「振替払込受付証明書」の貼付欄に、剥がれないようにのり付けして下さい。

必要になる書類は、受験条件に該当するところによって異なります。

全員が提出する書類
  1. 受験申込書
  2. 振替払込請求書兼受領証のコピー
  3. 本籍地記載の住民票1通(コピーは不可)
  4. 証明用写真1枚(縦4.5cm×横3.5cmのもので、脱帽、正面、肩から上のもの)写真の裏面に氏名、受験希望地を記入すること
受験条件に応じて提出する書類
  • 実務経験証明書
  • 技術士、土木学会認定資格、RCCMの登録証明書・合格証明書等のコピー(婚姻等のため、住民票と技術士やRCCM等の登録証明書等の氏名が異なる場合は、戸籍抄本1通の提出が必要。ただしコピーは不可)
  • 令和4年度舗装診断士資格試験時、択一試験の免除申請書

提出は、個別に簡易書留郵便で送ります。

【提出先】
〒104-0032 東京都中央区八丁堀2-5-1 東京建設会館3階
(一社)日本道路建設業協会 舗装技術者資格試験委員会 事務局

まとめ

アスファルト

今回はコンクリートの舗装に関するスペシャリストと呼ばれる資格について、お伝えしました。

今の日本は建物やインフラの老朽化が問題になっていますが、舗装された道路も同じ課題を抱えています。

舗装された道路を診断できれば、安全性を証明することができます。

このような診断を行える人材も、将来的に確保していかなければなりません。

そのような背景から創設されたのが、「舗装診断士」です。

まだ新しい資格なので、それ自体の求人はそれほど多くありませんが、キャリアプランを考えていくうえで役に立つでしょう。

受験条件にあてはまる人は挑戦してみてはいかがでしょうか。

条件に該当するためには、実務経験をコツコツ積み重ねましょう!

 

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