揚貨装置運転士について

揚貨装置運転士について

揚貨装置運転士(ようかそうちうんてんし)は、労働安全衛生法に規定された国家資格です。

これから揚貨装置運転士ついて、詳しく述べていきたいと思います。

適用する仕事

船舶上のクレーンデリックを操作して5t以上の装置を運転する免許です。

船で運ばれた荷物を陸に移動する作業などに使われます。

この資格を持っていると、船舶関係の荷役作業についての知識・スキルを持っていることの証明になります。

5t以下

一定の学科と実技の特別教育を受けた方なら、どなたでも運転できます。

意義

船上でクレーンやデリックを運転するには、陸上と異なりバランスを崩す危険があります。

重く大きな荷物を取り扱うため、転覆などの大きな事故を起こすことも考えられます。

船舶の揺れなどにも対応した、高度な操作技術が必要になるからです。

バランス

おおよその年収とキャリアパス

これから詳しく見ていきたいと思います。

おすすめの方

集中力や注意力のある方です。

運転の好きな方、もしくは乗り物が好きな方です。

年収

平均年収は男性が約510万円、女性が約400万円になっています。

比較的収入は安定しています。

平均年齢は45歳です。

就職及び転職

どんな揚貨装置でも扱うことができますので、企業から重要視されるために、湾口関連業界の運送及び荷役業務関連の企業に就職もしくは転職にも有利になると思います。

また、将来的には独立も可能だと思います。

スキルアップ

5t以下の揚貨装置運転士をされている方にとっては、この資格は有利になるでしょう。

船舶関係の荷役作業を行う方にとっては、必要な資格となります。

さらなるスキルアップを目指すのならば、移動式クレーン・フォークリフトなどの陸上荷役作業の資格を持っていると業務の幅が広がります。

認可団体

安全衛生技術試験協会

揚貨装置運転士は「公益財団法人 安全衛生技術試験協会」が運営管理を実施しています。

この協会は、厚生労働大臣からの指定を受けて、労働安全衛生法及び作業環境測定法に定める試験を国に代わって実施している試験機関です。

産業現場がより安全・健康・快適になるように試験をし、産業安全・労働衛生の向上、労働災害の防止に貢献する協会です。

公益財団法人 安全衛生技術試験協会
〒101-0065 東京都千代田区西神田3-8-1
千代田ファーストビル 東館9階
TEL:03-5275-1088

受験条件

年齢を問わずだれでも受験できます。

本人確認証明書の添付が必要です。

但し、免許が交付されるのは18歳以上になってからになります。

以下は免除される人についてです。

クレーン・デリック運転士、移動式クレーン運転士免許等

下記項目が免除されます。

免除に必要な書類は、免許証の写しです。

学科
原動機及び電気に関する知識・力学に関する知識

実技
運転のための合図

床上操作式クレーン運転、小型移動式クレーンの玉掛けの講習を修了した方

下記項目が免除されます。

免除に必要な書類は、技能講習修了証の写しです。

実技
運転のための合図

数字の1

揚貨装置運転実技教習を修了した方

修了日から1年以内であれば実技が免除です。

免除に必要な書類は、実技教習修了証の原本もしくは写しです。

揚貨装置の学科試験に合格した方

合格日から1年以内であれば学科が免除です。

免除に必要な書類は、免許試験結果通知書の原本もしくは写しです。

合格率

2022年度で見ていきます。

  • 学科は受験者数が600人で合格者数が457人ですので、合格率は約76.2%です。
  • 実技は受験者数が336人で合格者数が303人ですので、合格率は約90.2%です。

この結果からみると、比較的やさしい資格と思われます。

1年当たりの試験実施回数

年に1回、もしくは2回実施されます。

試験は全国各地の安全衛生技術センターで実施されます。

各都道府県

試験科目

学科及び実技に分けて見ていきたいと思います。

学科試験

試験時間は2時間30分です。

学科試験、2科目免除となる方は1時間15分となります。

揚貨装置に関する知識            10問 30点
関係法令                  10問 20点
原動機及び電気に関する知識         10問 20点
揚貨装置運転のために必要な力学に関する知識 10問 30点

実技試験

揚貨装置の運転
揚貨装置の運転のための合図

採点方式と合格基準

学科と実技を見てみましょう

学科

総合計が満点の60%以上の正解率です。

各科目が満点の40%以上の正解率です。

この条件を満たせば合格です。

実技

合計が40点以下の減点までで合格です。

合格発表は、各地の安全衛生技術センターに問い合わせて下さい。

取得に必要な勉強などの費用

費用

揚貨装置の構造や原理・運転のために必要な力学・関係法令といった知識や、運転のための操作技術や能力・合図について、十分に理解している必要があります。

学科

数年間の過去問題集を何度も解くことを、おすすめします。

同じ問題が繰り返し出題される傾向があり、また類似の問題も出題されます。

計算問題も出題されますので、過去問題から答えの出し方を理解して、似たような問題に対処して下さい。

おすすめの過去問をご紹介します。

揚貨装置運転士 過去問題・解答解説集 2020年10月版
created by Rinker

出版社名‎:TAKARA license
書籍名:揚貨装置運転士 過去問題・解答解説集 2020年10月版
価格:¥4,400(税込価格)

資格試験の過去8回分の問題を掲載していて、解答解説も付いています。

労働安全衛生規則・労働安全衛生法・労働安全衛生法施行令等も掲載しています。

実技

運転講習は「一般社団法人 湾口労働安全協会」が実施しています。

湾口技能研修センター
兵庫県神戸市中央区港島9丁目1番
TEL:078-302-8250
FAX:078-381-6419

予約電話
TEL:078-381-6418

運転教習を受講することがおすすめです。

修了試験に合格すれば、実技試験は免除となります。

教習料金は5万円から10万円です。補習や追試験は別に料金がかかります。

  • 揚貨装置の基本運転    1回60分      計240分
  • 揚貨装置の応用運転    1回60分を1日2回  計240分
  • 揚貨装置の合図の基本作業 60分を1回

教習終了後に修了試験があり、その中で揚貨装置の運転及び運転のための合図の試験が実施されます。

この試験に不合格になっても再試験が受けられますが、60分の補習を受ける必要があります。

受験料

学科が¥6,800です。
実技が¥11,100です。

受験申込方法

試験日程、申請書、受験申請などをご説明します。

受付

試験日程

試験日程は、地域によって異なりますので、申込受付期間も異なります。

希望の試験実施地域に問い合わせて下さい。

申請書の請求

申込書は本部・各センター、もしくは免許受験申込書取扱機関一覧にある団体で無料配布しています。

郵送を希望する方は返信用封筒を同封して本部、受験を希望するセンターに申し込んで下さい。

免許受験申込書取扱機関一覧及び郵送の詳細は、公益財団法人安全衛生技術試験協会のホームページを参照して下さい。

受験の申請

申請書を記入して、添付書類試験手数料証明写真を用意して下さい。

下記に簡単に申請方法について書きましたが、詳しくは協会のホームページを参照して下さい。

  1. 簡易書留:希望するセンターに希望日の2ヶ月前から14日前までに郵送して下さい。消印有効です。
  2. 窓口:希望するセンターに希望日の2ヶ月前から2日前までに持参して下さい。休業日は除きます。

障害者の方

特別処置を希望する障害者の方は、申請前に安全衛生技術センターに相談してみて下さい。

まとめ

揚貨装置運転士

揚貨装置運転士の試験に合格した方は、所在地の都道府県労働局長に免許申請書記入の上、申請すると免許が交付されます。

免許申請書は厚生労働省ホームページをご確認ください。

今回の記事を読んで、興味が深まった方もいらっしゃると思います。

運転教習の価格は安くありませんが、独学でも比較的に取りやすい国家資格だと思います。

資格を取得して、視野を広げるのも良いでしょう。

最後まで読んで頂きありがとうございます。

 

関連する記事はこちら
玉掛作業者について

ショベルローダー等運転技能者について