防錆管理士試験について

防錆管理士試験について

金属の天敵は錆です。

金属は経年劣化をすると、腐食してしまいます。

そうした錆が原因で建物や配管が劣化するのを防いだり、対処したりするのが防錆管理士の役割です。

錆に適切に対処すれば、金属でできている建物やインフラの品質向上に貢献することができます。

この資格を取得するには、防錆技術学校での通信制の講座を受けなければなりません。

学校や受講内容も併せて、お伝えしていきます。

適用する仕事

エンジニア

まず、資格名にもなっている「防錆」とは、サビ防止の技術のことを言います。

これはあらゆる企業における新技術の開発、品質の維持・向上、施設の維持などに欠かすことのできないものです。

海に囲まれた日本は錆が一因となる橋梁の落下や、建築物の倒壊などの深刻な事故が想定されます。

酸性雨といった公害により金属製品や建築物の腐食が懸念され、その想定被害額は年間で数兆円とも言われています。
そのため、錆を防止して、金属の腐食を抑える専門家が必要になってきます。

金属の腐食を抑えることは、建築物や装置・製品の安全性と寿命を延ばすことになりますから、企業にとってメリットが大きいです。

防錆管理士が活躍できる分野はたくさんあります。

具体的には、建築や土木をはじめ電力ガス通信、機械、自動車などです。

そうした分野の企業で、設計、施工、検査などの仕事を担当することになるでしょう。

防錆の技術者は不足しているので、上記のようなたくさんの分野で需要があります。

特に工業系の業界では必要になる資格です。

【防錆の例】
防錆とは、錆が発生する金属(鉄・銅・ステンレス・銀など、金以外のほとんどの金属)を錆から守るための技術のことです。
金属ごとの発錆因子とメカニズムが異なるため、防錆の方法もさまざまあります。

  • 錆の原因となる空気と水分に触れないように、材料をコーティングして錆を防いだり、防食電流を流す方法
  • 製品を防錆紙や防錆フィルムで包むことによって、製品周辺の環境を制御する方法など

おおよその年収とキャリアパス

給与所得

防錆管理士はさまざまな分野で活躍することができるので、収入もある程度期待できるかと思います。

経験を積んでいくことで、手当をもらったり、収入アップにつなげたりできます。

年収例
機械設備メンテナンス 350万~700万円(残業代込み)
化学メーカーの機械設備メンテナンス 400万~700万円
化学プラント装置監査系設備管理 450万~600万円
建設車両のサビ除去や防サビ塗装 246万~528万円

防錆管理士は認可団体である協会が主催している通信教育で規定の学科を修了して、防錆管理士の総合審査に合格すれば資格を取得できます。

繰り返しますが、防錆管理士が活躍できる分野はたくさんあります。

この資格は民間資格なので、「知る人ぞ知る資格」ともいわれています。

けれども、日本は海に囲まれていて、梅雨の時期もありますから、錆の課題は続きます。

ですので、この資格の需要は安定され、将来的¥も有望といえるでしょう。

認可団体

日本防錆技術協会

防錆管理士の資格の認可団体は「一般社団法人 日本防錆技術協会」というところです。

昭和32年に、通商産業省監督指導の認可法人として設立されました。

そして、平成24年に一般社団法人となりました。

現在では、愛知県工業技術センター内に中部支部、大阪府立産業技術総合研究所内に関西支部、沖縄支部がそれぞれ開設されています。

【所在地】
〒105-0011 東京都港区芝公園3-5-8 機械振興会館309
TEL:03-3434-0451
FAX:03-3434-0452

受験条件

この資格を得るには、認可団体が主催している「防錆技術学校」に入学して、講座を受けなければなりません。

受講条件は高等学校卒業程度の学力を有する方です。

合格率

約90%前後

詳細は実施団体にお問い合わせください。

1年当たりの試験実施回数

防錆技術学校で学ぶ期間は、4月上旬~翌3月上旬の1年です。

募集期間があるものの、実施回数としては年1回です。

数字の1

試験科目

学校では、共通課程と防錆防食専門分野別からなる専攻課程を学びます。

ですが、通信制ですから、いつでもどこでも学習することができます。

共通課程

  • 防錆防食を学ぶために知っておかなければならない腐食の定義
  • 金属の腐食と電気化学
  • 腐食の種類
  • 環境と腐食
  • 耐食材料
  • 防錆防食法

など

専攻課程

以下から、希望する学科を選んで受講します。

学科は受講申込時に選択します。

  1. 施設防食科
  2. 防錆塗装科
  3. 防錆塗装科別科
  4. めっき科
  5. 防錆包装科

各科はそれぞれ15の専門科目で編成され、詳しく記述された教科書を使って丁寧な通信指導を受けられます。

採点方式と合格基準

防錆管理士への資格取得は、このような順序となっています。

  1. 防錆技術学校での防錆管理士養成講座を受講する
  2. 全科目で防錆管理士認定基準に達する
  3. 面接講義に全日程出席する
  4. 筆記試験と防錆管理士認定論文審査に合格する
  5. 資格取得

筆記試験や認定論文審査の詳細は不明です。

基準

取得に必要な勉強などの費用

防錆技術学校に入学して学ぶので、そこでの受講費が必要になります。

受講費は次の項目でお伝えします。

こちらでは、参考になる書籍をご紹介します。

最新オールカラー図解錆・腐食・防食のすべてがわかる事典

最新オールカラー図解錆・腐食・防食のすべてがわかる事典
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出版社名:ナツメ社
商品名:最新オールカラー図解錆・腐食・防食のすべてがわかる事典
価格:¥1,980(税込)

こちらの書籍は、錆がどのような化学的反応によって発生するのかや、環境により腐食の違い、各種金属の腐食具合の違い、防食の方法などを、わかりやすいオールカラー図解で丁寧に解説しています。

図解入門 最新金属の基本がわかる事典[第2版]

図解入門 最新金属の基本がわかる事典[第2版]
created by Rinker

出版社名:秀和システム
商品名:図解入門 最新金属の基本がわかる事典[第2版]
価格:¥3,300(税込)

金属の全体像がこの一冊でつかめます。

学生からエンジニアまで幅広い層を対象に、金属の性質、加工、製造、表面処理など、総合的な基礎知識を図表を使ってわかりやすく解説しています。

特にこちらでは、金属素材編を全面的に刷新し、金属の持つ特徴とその用途を網羅的に取り上げています。

受験料

こちらは受講料です。消費税は含まれています。

受講区分 一般 当協会の正会員
新規 214,500円 193,600円
追加・既 113,300円 99,000円
  • 正会員とは:認可団体の協会会員の方が受講される場合
  • 追加とは:専攻科を同時に複数受講される場合
  • 既とは :すでに当学校を修業された方が他の専攻科を再度受講される場合

受験申込方法

受講するには、入学願書が要ります。

願書は認可団体の公式サイトから、ダウンロードすることができます。

本人が楷書で記入して、学校事務局へ郵送します。

他には、写真と受講費が要ります。

写真は縦3cm×横2.4cmを1枚用意します。

正面上半身、脱帽、無背景が条件で、3ヶ月以内に撮影したものにします。

裏面に氏名を記入して、入学願書の写真貼付欄に貼り付けます。

受講費は申込時に納入します。
納入されたものは返還できません。

受講費の納入方法は、下記の2種類があります。

1.銀行振込
三菱UFJ銀行 本店 当座7658372
ニホンボウセイギジュツキョウカイ
口座名:一般社団法人日本防錆技術協会

2.現金書留
〒105-0011
東京都港区芝公園3丁目5番8号 機械振興会館
一般社団法人日本防錆技術協会学校事務局宛
TEL:03-3434-0451

まとめ

技術者

今回は「防錆管理士」という資格の説明と、その取得方法をご紹介しました。

防錆管理士は民間資格ですので、認知度も一般的には低いです。

それでも、防錆管理士が活躍する分野は、電力や通信、ガスや機械、プラントや電子など、多岐にわたります。

また、防錆管理士が多く在籍している会社は、より信頼度が高くなるともいわれています。

取得するには、「防錆技術学校」に入学(通信制)して、講座を受けなければなりません。

資格を取得する順番は記載しましたが、試験の詳細についてはお伝えできませんでした。

もし、防錆・防食についてや、工業系の分野で手に職を付けたい人は、防錆技術学校へ入学して、筆記試験と防錆管理士認定論文審査をクリアできるように学んでくださいね!

 

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