労働衛生コンサルタントは、どの業種の事業所でも必要とされています。
特に、業務上健康被害が生じやすい、製造業で必要性が高いです。
Contents
適用する仕事
労働衛生コンサルタントの仕事は、労働環境の衛生状態を確認して、問題がある場合は責任者への指導や計画策定を行うことです。
仕事内容は、基本的には次のようになります。
1.労働衛生状況の把握
クリーニング機材や、その使い方に危険性がないか、計画、実行、改善の管理体制が構築されているかを把握します。
2.改善のための計画策定
改善が必要なときは、どんな機材がいいか、交換する個数の決定、機材を使う時のチェック体制などの計画の方針を決めます。
3.企業内の責任者への指導
計画実行のための責任者との話し合いや、安全に対する考え方などの指導を必要に応じてします。
4.労働環境全体の最適化(設備の設置や交換など)
計画に沿って、機材の交換などの指揮をします。
5.労働衛生に関する規則や点検基準の設定
機材の使い方の再確認をします。
6.規則や点検基準の実施や管理
策定した計画や規則に基づいて、工場を稼働させます。継続的に維持管理ができるように指導もします。
おおよその年収とキャリアパス
労働衛生コンサルタントの年収は、600万円から700万円ほどであることが多いです。
認可団体
この資格の認定団体は、厚生労働省です。
受験条件
受験条件や免除に該当する人を説明します。
受験資格
受験資格があるのは、次に示す者です。必要な衛生の実務の年数は次の通りです。
理系の大学卒業の場合 | 5年以上 |
理系の短大、高等専門学校卒業の場合 | 7年以上 |
理系の学科で高校を卒業した場合 | 10年以上 |
その他の受験資格の条件は、公式サイト(安全衛生技術試験協会のページ)をご覧ください。
免除に該当するのは
また、特定の資格などを有していると、科目の免除などを受けることができます。
・医師免許(厚生労働大臣が指定する者が行う講習を修了した者の場合)
免除科目:全科目
・医師免許(厚生労働大臣が指定する者が行う講習を修了していない者の場合)
免除科目:労働衛生一般、健康管理
・薬剤師
免除科目:労働衛生一般
・保健師として10年以上その業務に従事した者
免除科目:労働衛生一般
・技術士試験合格者で、衛生工学部門についての第二次試験に合格した者
免除科目:労働衛生工学
・衛生管理者または労働衛生専門官として、7年以上その職務に従事した者
免除科目:労働衛生一般
・労働衛生専門官として、7年以上その職務に従事した者
免除科目:労働衛生関係法令
・健康管理に係る中央労働衛生専門官または独立行政法人労働者健康安全機構(独立行政法人産業医学総合研究所及び独立行政法人労働安全衛生総合研究所を含む。以下この表において同じ)において、健康管理に関する研究に関する企画、指導等を行う者として5年以上その職務に従事した者
免除科目:健康管理
・労働衛生工学に係る中央労働衛生専門官または独立行政法人労働者健康安全機構において、労働衛生工学に関する研究に関する企画、指導等を行う者として5年以上その職務に従事した者
免除科目:労働衛生工学
・労働基準監督官(労働基準監督官採用試験のうち労働基準監督Bの区分試験に合格して採用された者、その他これに準ずる者に限る)として、10年以上その職務に従事した者
免除科目:労働衛生一般
・労働基準監督官として、10年以上その職務に従事した者
免除科目:労働衛生関係法令
・作業環境測定士
免除科目:労働衛生一般.労働衛生関係法令
合格率
・令和4年度の合格率
筆記試験の合格率:33.2%
口述試験の合格率:52.6%
・令和3年度の合格率
筆記試験の合格率:33.6%
口述試験の合格率:62.1%
・令和2年度の合格率
筆記試験の合格率:25.1%
口述試験の合格率:52.6%
1年当たりの試験実施回数
試験は1年に1回実施されています。
令和5年度だと、筆記試験が令和5年10月17日(火曜日)に行われて、口述試験が令和6年1月中旬から2月中旬に行われる予定になっています。
試験科目
労働衛生コンサルタント試験には、筆記試験と口述試験があります。
筆記試験
産業衛生一般:択一式
労働環境を確認するときのポイントが出題されます。
労働衛生関係法令:択一式
労働環境を確認するときの法律問題が出題されます。
選択科目:記述式
・労働衛生工学:労働環境を確認する観点や工場で使用される設備の知識などの問題が出題されます。
・健康管理:労働環境で、労働者の健康を守るための施策や、健康状態の確認方法などが出題されます。
口述試験
内容は筆記試験とあまり変わりません。口述で問われます。
これらの試験科目は他の資格を取得していたり、経験年数だったりによって免除される場合があります。
採点方式と合格基準
筆記試験と口述試験の採点方式は、明らかになっていません。
口述試験の合格で、最終合格者となります。
取得に必要な勉強などの費用
過去に実施された試験の問題が掲載されているものがあります。
問題集の価格は次のようになっています。
労働安全コンサルタント・労働衛生コンサルタント試験問題集 | |
令和5年度版(令和4,3年度試験問題集) | 4,900円(税込/送料無料) |
令和4年度版(令和3,2年度試験問題集) | 4,600円(税込/送料無料) |
令和3年度版(令和2,元年度試験問題集) | 4,600円(税込/送料無料) |
受験料
受験料は24,700円です。非課税です。
受験申込方法
受験申し込み書の用意
協会本部か各センター(以下に示す機関)で無料配布されています。
- 北海道安全衛生技術センター
- 東北安全衛生技術センター
- 関東安全衛生技術センター
- 中部安全衛生技術センター
- 近畿安全衛生技術センター
- 中国四国安全衛生技術センター
- 九州安全衛生技術センター
受験申請書類の作成
受験申請の際に添付書類もあります。
試験手数料 | 受験票発行後には、試験手数料の返還はできません。 払込方法は、基本的には郵便振替か銀行振り込みです。ただし、受験申請書を持参しているのであれば、現金で払い込むことができます。 |
証明写真 | 2.4cm×3.0cmのサイズ |
受験申請書の提出
提出先は各安全衛生技術センター(受験を希望するセンターへ提出)です。
次に、提出方法および受付期間をご説明します。
受験者が定員に達していたときは、受験日が第2希望日になります。
・センター窓口へ持参の場合は、直接提出先に第1受験希望日の2ヶ月前から2日前(センターの休業日を除く)までに持参が必要です。センター休業日を除くという点には注意してください。
例えば試験日が月曜日の場合は、2日前というのは前週の木曜日となります。
注意:出張特別試験は、提出先や受付期間が地区ごとに違います。
受験票の受取
センターで受験をする場合は、もし受験申請書郵送から10日過ぎても受験票が届かなかったら、受験希望日のうち早い方の2日前(センターの休業日を除く)までに試験実施のセンターに連絡が必要です。
注意:受験票の発行後は、試験日の変更と試験手数料の返還はできません。
まとめ
労働者の衛生の水準の向上のために、工場の衛生についての診断や指導を行う、労働衛生コンサルタントについてお伝えしました。
労働衛生コンサルタントは、職場の労働災害や職業性疾病の未然防止であったり、再発防止について具体的に事業者にアドバイスをする専門家です。
この仕事に就くためには、筆記試験と口述試験を受けて合格する必要があります。
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酸素欠乏危険作業主任者について
合格基準は、総得点のおおむね60%以上です。
ただし1科目でも、満点の40%未満の科目がある場合は不合格です。
・口述試験
4段階評価になっています。そのうち合格は上位2ランクです。