自動ドア施工技能士について

自動ドア施工技能士について

様々な場所にある自動ドアですが、その自動ドアに関わる資格があるのをご存じでしょうか。
自動ドアに関わる資格には、「自動ドア保守・メンテナンス管理者」、「自動ドア施工技能士」があります。
この記事では、自動ドアに関わる資格である「自動ドア施工技能士」について解説します。

適用する仕事

自動ドアは、機械と電子機器などで構成されている高度なシステム製品であることから、定められた工事仕様書や施工指示書などを理解して、正しい施工をします。
さらに、適切な保守・点検を行うことで、安全に自動ドアが作動します。

ですので、「自動ドア施工技能士」の資格を持つ人にとっては重要な仕事です。

おおよその年収とキャリアパス

この仕事の年収は、40代で年収450万円~600万円と言われています。
自動ドアは年々複雑になっているため、信頼できる施工を行うには「自動ドア施工技能士」の資格は欠かせません。
自動ドア関連の会社では、この資格を取得することで重宝されることでしょう。

認可団体

全国自動ドア協会のロゴマーク

1986年に全国自動ドア協会(JADA)により施工技能士制度が発足しましたが、1992年に国家検定の技能士制度となり、厚生労働省認定の国家資格となりました。

厚生労働省

自動ドア施工技能士は、1級と2級があります。
1級は厚生労働大臣から、2級は都道府県知事からそれぞれ合格証が交付されます。

なお、都道府県職業能力開発協会が運営管理を行っています。

受験条件

受験資格として、1級は7年以上の実務経験(2級合格者は、2級取得後2年以上の実務経験)、2級は2年以上の実務経験が必要です。

合格率

国家資格の中では比較的、容易に取得できるようで、合格率は70%といわれています。

1年あたりの試験実施回数

赤い「2」の数字を持っている右手学科試験、実技試験ともに年2回実施されます。

  • 実技試験は、6月上旬から9月上旬、12月上旬から2月中旬に行われます。
  • 学科試験は、7月中旬から9月中旬、1月下旬から2月上旬に行われます。

詳しい試験日程は毎年3月ごろ、各都道府県の職業能力開発協会から発表されます。

試験科目

試験科目には、学科試験と実技試験があります。

1級

学科試験

1級学科試験は10科目があります。

学科試験
  • 自動ドア一般
  • 施工法
  • 材料
  • 保守点検
  • 建築構造
  • 機械要素
  • 関連基礎知識
  • 製図
  • 関連法規
  • 安全衛生

・自動ドア一般
「自動ドアの開閉方式による種類、動作および用途」、「自動ドアの駆動装置、制御装置および検出装置の種類、構造および機能」、「自動ドア用建具の性能」

・施工法
「自動ドア工事の施工計画」、「自動ドア工事に使用する器工具の種類、用途および使用方法」、「自動ドア工事の施工設備の種類および用途」、「自動ドア工事の施工方法」、「自動ドアの検査および調整」、「自動ドア工事の関連工事の種類および工程」

・材料
「自動ドア用材料の種類及び性質」、「自動ドア取り付け用材料の種類および用途」

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・保守点検
「自動ドアおよび自動ドア関連設備の保守点検の方法」

・建築構造
「建築物の自動ドア取り付け部分の構造および仕様」

・機械要素
「機械の主要構成要素の種類、形状および用途」

・関連基礎知識
「電気の基礎知識」、「力学の基礎知識」

・製図
「日本産業規格の製図通則に定める表示記号」、「建築設計図書に関する基礎知識」

・関連法規
「建築基準法関係法令」、「建設業法関係法令」、「消防法関係法令」、「高齢者身体障害者が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律関係法令」、「製造物責任法関係法令」のうち、自動ドアに関する部分

・安全衛生
「安全衛生に関する詳細な知識」

実技試験

・自動ドア施工作業
「自動ドア取り付け用材料の加工および組み立て」、「自動ドアの組み立ておよび取り付け」、「自動ドアの配線および接続」、「自動ドアの分解および調整」、「自動ドアの検査、故障の発見および修理」、「作業時間の見積り」

2級

学科試験

2級学科試験も10科目あります。

学科試験
  • 自動ドア一般
  • 施工法
  • 材料
  • 保守点検
  • 建築構造
  • 機械要素
  • 関連基礎知識
  • 製図
  • 関連法規
  • 安全衛生

・自動ドア一般
「自動ドアの開閉方式による種類、動作および用途」、「自動ドアの駆動装置、制御装置および検出装置の種類、構造および機能」、「自動ドア用建具の性能」

・施工法
「自動ドア工事の施工計画」、「自動ドア工事に使用する器工具の種類、用途および使用方法」、「自動ドア工事の施工設備の種類および用途」、「自動ドア工事の施工方法」、「自動ドアの検査および調整」、「自動ドア工事の関連工事の種類および工程」

・材料
「自動ドア用材料の種類及び性質」、「自動ドア取り付け用材料の種類および用途」

・保守点検
「自動ドアおよび自動ドア関連設備の保守点検の方法」

・建築構造
「建築物の自動ドア取り付け部分の構造および仕様」

・機械要素
「機械の主要構成要素の種類、形状および用途」

・関連基礎知識
「電気の基礎知識」、「力学の基礎知識」

・製図
「日本産業規格の製図通則に定める表示記号」、「建築設計図書に関する基礎知識」

・関連法規
「建築基準法関係法令」、「建設業法関係法令」、「消防法関係法令」、「高齢者、身体障害者が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律関係法令」、「製造物責任法関係法令」のうち、自動ドアに関する部分

・安全衛生
「安全衛生に関する詳細な知識」

実技試験

・自動ドア施工作業
「自動ドア取り付け用材料の加工および組み立て」、「自動ドアの組み立ておよび取り付け」、「自動ドアの分解および調整」、「自動ドアの検査、故障の発見および修理」

採点方法と合格基準

実技試験(製作等作業試験)の採点項目は、課題1と課題2で構成されています。

課題1と課題2
【課題1】
製品の寸法精度と出来栄え、測定機器の取り扱い、作業態度、作業時間
【課題2】
製品の寸法精度と出来栄え、作業態度、作業時間

技能士の採点は、原則として減点方式にて採点が行われます。
そして、学科試験、実技試験それぞれを100点満点として、学科試験は65点以上、実技試験は60点以上で合格となります。

取得に必要な勉強などの費用

残念ながらテキストは販売されておりません。
中央職業能力開発協会の技能検定試験問題公開サイトにて、過去問が公開されています。

青い画面が映っているノートパソコン

受験料

学科試験 3,100円
実技試験 16,500円(都道府県により異なります。)

受験申込方法

試験を運営しているのは都道府県職業能力開発協会です。

申し込み方
  1. 受験する都道府県の都道府県職業能力開発協会から受験申請書を取り寄せます。
  2. 受験申請書に必要事項を記入して、6か月以内の正面脱帽半身の写真を必要枚数分貼付けます。
  3. 受験手数料を所定の期日までに納付します。
  4. 受付期間内に都道府県職業開発協会へ郵送または、持ち込みにより提出します。

まとめ

様々な場所で目にする自動ドアは、定期的な検査や点検で日頃安全に使用されています。
この自動ドアを安全に使用するために、「自動ドア施工技能士」と呼ばれる資格があることを紹介しました。

この自動ドア施工技能士は、実務経験がないと取得は難しいですが、資格を取得することで、自動ドア関連の会社で信頼のできる人材になると思います。
自動ドアの設置や整備に興味のある方や、自動ドア関連の会社に興味のある方は、この資格の取得を目指してみてはいかがでしょうか。

 

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