カトマンズは、どの国の都市かご存じでしょうか。
答えはネパールです。
近年日本にもネパール人労働者が急増しているものの、カトマンズ含めネパールのことをあまりご存じない方も多いかと思います。
実は筆者は、5年程前にカトマンズに長期滞在経験があります。
今回は経験に基づいて、日本人目線で見たカトマンズについて書かせていただきました。
Contents
特徴
カトマンズ(別名カンティプール:栄光の都という意味)はネパールの首都であり、人口150万~200万の国内最大都市です。
北にヒマラヤ山脈が連なっており、晴れていれば雪に覆われたその姿を仰ぎ見ることができます。
標高1100m~1400mに位置し、夏は冷房がいらず、冬でも日なたにいれば暖かいです。
ここからは、少しネパールの情報も交えてお伝えします。
民族
ネパールは多民族国家ですが、おおよそ二つのグループに大別されます。
それはインド・ヨーロッパ語系の人々と、チベット・ビルマ語系の人々です。
現在は各地から人口が都市に集中する中、調和して暮らしています。
また、異なる民族間の結婚も増えたことに比例して、混血の人も増えています。
カースト
インド同様、ネパールにもカースト制度が存在しました。
公にはカースト制度は既に廃止されていますが、結婚や職業において、いまだに影響があるのが現状です。
宗教
ネパールの宗教はヒンドゥー教徒が約80%、続いて仏教徒が約10%、その他イスラム教徒やキリスト教徒という構成です。
カトマンズは神々の住む街としても知られ、街中至る所に寺院が点在しています。
早朝からお香を焚いて鐘をならし、祈りをささげているのを見かけました。信仰心の篤い人が非常に多いです。
ヒンドゥー教に関連した祝祭もたくさんあります。
地域によっては一つの宗教のみを信仰していますが、少なくともカトマンズは他宗教が存在する中で共存し、平穏を保っています。
カトマンズの花
ネパールの国花は「シャクナゲ」ですが、カトマンズでは「ジャカランダ」という花が有名です。
4月の見頃になると、薄紫色に彩るその姿に、街行く人々は魅了されます。
また、市場にはマリーゴールドの花が売っています。
マリーゴールドは神様のお供えに使われるので、信仰心の篤い現地の人々にとっては、シャクナゲやジャカランダよりも身近に感じるかもしれません。
カトマンズを歩く際の注意点
中心部から外れると、まるで迷路のように路地が複雑に入り組んでおり、非常に分かりにくいです。
アプリ含め、地図はあまりあてになりません。
しかも残念ながら、地元の人に聞いてもあまり効果的な答えは返ってきません。
ですので、目立った建物や看板などの写真を撮りながら、実際に歩いて確かめるといった対策が必要です。
また、カトマンズは大気汚染が深刻です。
外務省から報告されているディーゼル発電機の排気や粉などに加え、道路が未舗装によって舞う土埃や、焚火の煙によっても息苦しさを感じます。
現地の方は暖をとる、家庭ごみを燃やすなどの理由から焚火をし、火を囲んで近所同士で語らい合う習慣があります。
かつて日本でも行っていたような光景です。
朝の通勤時間から夕方の帰宅時間にかけて、外を少し歩くだけでも全身埃にまみれ、黒い痰が出ることがしばしばありました。
マスクをすることで、喉や肺へのダメージを減少できます。
地元の人は老若男女問わず、歩きながらまたは車やバスに乗りながら、痰を道路に吐き捨てています。
やむを得ない状況ですが、見ている方はあまり気持ちの良いものではなかったです。
さらに、野良犬や猿などの動物に出くわすことも珍しくありません。
ネパールではこうした動物に嚙まれることで、狂犬病を発してしまう事例が発生しています。
見かけても不用意に近づかない、またはむやみに触らないのが得策です。
交通
カトマンズの主な交通機関は以下の通りです。
バス
一般のバスと、マイクロバスという15人乗り程度の車両が運行しています。
カトマンズだけでなく、ネパールでは今でも各バスに車掌さんがおり、お金の受け渡しを行っています。
夕方のラッシュ時には、まるで山手線のごとく人を詰め込みます。
あまりのラッシュに、若干体が車両からはみ出してしまう人もいます。
また、混み始めると小さな子供は、他人だろうが大人の膝の上に座っていたのをよく見かけました。
現地ではそれが当たり前のことなのだそうです。人と人との繋がりがとても密だと感じられます。
乗用車
裕福な家庭の人たちは、自家用車を所有しています。
バイク
通りを歩くと、車より断然台数が多いことが分かります。バイクの多さが交通渋滞の理由の一つです。
タクシー
ネパールのタクシーの車体は、ほぼ全て軽自動車です。
驚くことに、メーター式ではなく、事前交渉で金額が決まります。
現地の標準価格を知らないと、必要以上の高額料金を請求されます。
幾度となく、メーターよりも明らかに高い金額を支払った経験をしました。
メーターを見ると気持ちがもやもやしてしまうので、見ないようにしていました。
他にも場所によって、テンプーという10人程度の小型オート三輪や人力車も通っています。
ネパールには電車がありません。
そのせいかどうかは不明ですが、カトマンズではバスやバイク、車が毎日隙間なくひしめき合っています。
安全運転よりもスピードを重視しており、軽い接触事故は頻繁です。
また、クラクションの数も日本と比較になりません。
そうなれば通りを渡るのも命がけです。
現地の方は止まってくれという合図を出しながら平然と渡っているので、始めはそこについて行きました。
信号は1か所見かけましたが、たいてい壊れています。
そのためカトマンズの主要道路では、警察官が交差点に立って交通整理をします。まさに命懸けの仕事です。
産業や企業
主要産業は農業、観光業です。
近年では出稼ぎ労働者として、海外に出る人が増えています。
名所(観光地やレジャー、公共施設や商業施設など)
カトマンズは千年以上の歴史を誇る古い都で、1979年にはカトマンズにある7か所がユネスコ世界文化遺産に登録されました。
ユネスコ世界遺産
カトマンズのダルバール広場
ダルバールはネパール語で「宮廷」を意味します。
周辺には寺院や旧王宮などがあります。
中でも「クマリの館」は人気観光スポットです。
ネパールではクマリは幸運をもたらす生きた女神として、多くの人から信仰対象となっています。
運が良ければクマリが窓から顔を覗かせてくれます。
ボダナート
カトマンズ中心部から東に約6kmに位置する、高さ36mのチベット仏教の巨大仏塔(ストゥーパ)です。
白いストゥーパの上部には眼が描かれ、遠くからでもその姿が見えます。
チベット仏教の聖地ということもあり、信者が右回りにマニ車を回しながら祈りを捧げています。
ライトアップが施された姿はとても美しいです。
パタン
カトマンズ郊外にある、ネワールの民族が多く住む町です。
パタンにもダルバール広場があり、旧王宮や寺院が並んでいます。
スワヤンブナート
中心地より北西に2~3km離れた、丘の上にある仏教寺院です。
ボダナート同様、巡礼者が右回りにマニ車を回しながら歩いている様子が印象的です。
スワヤンブナートへは約400段の階段を登るので、運動を兼ねて訪れる人も多いです。
野生の猿が多いことから、別名「モンキーテンプル」と呼ばれています。
パシュパティナート
バグマティ川の川岸に建つ、シヴァ神を祭るネパール最大のヒンドゥー教寺院です。
ヒンドゥー教徒の遺体を焼いて灰にする、火葬場があります。
ヒンドゥー教徒にとっては聖地とされ、修行者であるサドゥーも多くこの地を訪れます。
バクタプル
カトマンズから東に12kmほど行った場所にある古都の町です。バクタプルにもダルバール広場があります。
バクタプールはヨーグルトの産地としても知られています。
チャング・ナラヤン
バクタプールから、さらに東に車で20分くらいの高台に位置するヒンドゥー教寺院です。
4世紀に建てられましたが、現在の建物は1702年に再建されたものです。
ヴィシュヌ神の化身ナラヤン神を祀っています。
その他の観光地
【タメル地区】
カトマンズの中心部にある、外国人観光客で賑わうエリアです。
観光客がまず訪れると言っても過言ではありません。
ホテルやレストラン、土産物店などが所狭しと並んでいます。
また、エベレストトレッキングへ出かける登山者にとっても重要な拠点です。
トレッキング必需品が手に入り、山岳ガイドの手配などが容易にできることから、休息の地として利用されています。
お祭り
宗教に根付いたネパールではお祭りがたくさんあります。
その中で外国人でも楽しめるお祭り行事を2つ、簡単にご紹介します。
ティハール
毎年10月末から11月の間に5日間開催されるヒンドゥー教のお祭りです。
豊穣と幸福の女神ラクシュミー(仏教の吉祥天)を迎え入れ、富と繁栄を祈ります。
日ごとにカラスや犬、牛に対してプジャ(儀式や供養)が、そして最終日に姉妹が兄弟の長寿と健康を祈る神聖な儀式が行われます。
普段は邪険に扱われる野良犬も、この日だけはご馳走がもらえるなどの手厚い振る舞いを受けます。
この時期夜間になると、各家庭でランプや電灯によるイルミネーションが施されるため、「光の祭り」と呼ばれています。
イルミネーションはもちろん、マリーゴールドの花輪や色粉の飾り絵もとても美しいです。
ホーリー祭
毎年3月頃に行われるヒンドゥー教のお祭りです。
元は豊作祈願のお祭りでしたが、現在は悪魔払いの伝説や春の訪れを祝うなど、様々な意味合いが込められています。
このホーリー祭りでは、「ハッピーホーリー!」と叫びながら、通りゆく人に誰かれ構わず色のついた粉を掛け合います。
タメル地区などの繁華街では、2階の窓からバケツの水をかけられることもあります。
そのようなことをされれば普段は喧嘩に発展しかねませんが、この日はご愛嬌。あまりの活気と楽しさに、参加者はテンションが上がること間違いありません!
参加するのであれば、当日は汚れても構わない服装をおすすめします。
今回ご紹介した2つのお祭りは、カトマンズだけでなくネパール全土で行われます。
食べ物やグルメ(有名店など)
カトマンズでは、インドや中国と似ている料理が多いです。
ここでは一部をご紹介します。
ダルバート
ダル(豆のスープ)とバート(ごはん)それに野菜やアチャール(漬物のようなもの)などを、大きな皿に盛りつけた料理です。
家庭料理でもあり、「ダルバートを作れないお母さんはいない!」と言えるほど、定番中の定番です。
- レストランでは、ダルが2~3種類、野菜やヨーグルトなどがついており、食べ応えがあります。
- 家庭版ダルバートは、ダル1種類とごはん、それに野菜や漬物が少し添えられる程度のシンプルなものになっています。
ダルにはひよこ豆やレンズ豆が入っています。比較的マイルドな味で、日本人でも食べやすいです。
タメル地区では、ダルバートを提供するレストランがたくさんあります。
モモ
ネパールの餃子です。最近ではインドレストランで食べたことがある方も多いかと思います。
揚げたモモも人気ですが、蒸したモモがまだまだスタンダードのようです。
チリソースにつけて食べるタイプ、またはスープとして食べるタイプが一般的です。
主に水牛、チキン、野菜の3種類が売られています。
モモ自体もスパイスが効いていますが、チリソースを付ければ、よりエスニックな味わいが楽しめます。
高級レストランからファーストフードまで、街中至る所でモモを食べることができます。テイクアウトも可能です。
油が合わないことや不衛生な環境で作られていることから、お腹を壊す日本人は多いです。
チャタマリ
ネパールのピザ、またはお好み焼きと言われる料理です。
米粉の生地の上にひき肉や豆、ジャガイモ、卵などを混ぜ合せた後焼きます。
パリパリとした生地の食感がくせになる一品です。
まとめ
以上、カトマンズについてご紹介いたしました。
カトマンズ含め、ネパールには貧困や交通渋滞、大気汚染など様々な問題を抱えています。
とはいえ相対的に、温暖な気候と穏やかな国民性から、筆者も安全に過ごせました。
2023年では、日本からカトマンズへの直行便が就航されています。
神々と人が同居する街カトマンズ。
もし機会があれば訪れてみてください。
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