簿記実務検定試験について

簿記実務検定試験について

簿記とは、企業で行われる取引をルールに従って帳簿に記録して、報告書にまとめて、利益の金額や会社の財産の状態などの情報を企業内や企業外に提出されるものです。

簿記を学習することで、企業の経理事務に必要な技術や知識が身につけられ、企業の経営状態などを理解・分析をすることができることで、経営管理能力がみにつきます。

この企業の経営に関わる簿記には検定試験として、日商簿記、全商簿記、全経簿記の3種類があるのをご存じでしょうか。

この記事では、簿記実務検定試験(全商簿記)について解説します。

適用する仕事

企業の大小や業種、業態を問わず、現金の収支、商品の売買有価証券報告書の作成税務申告、資金管理、決算書の作成などの仕事を行います。

おおよその年収とキャリアパス

この試験に合格することで、年収に直結するとは言いにくいですが、経理事務関係の職種に有利になります。

簿記の資格を取得していることで、企業の経営管理をすることができる証明ができるため、必要不可欠な資格といえます。

進学において、1級の取得を推薦入試の基準としている大学・短期大学が多いので、進学する時に有利になります。

さらに、日商簿記などの上級の試験を目指すことで、専門的職業として、税理士や公認会計士へのキャリアアップができるでしょう。

認可団体

簿記実務検定ロゴ

「公益財団法人 全国商業高等学校協会」が実施している検定試験です。

簿記実務検定試験の目的は、高校で使用されている教科書をもとに、基礎・基本を重視した試験内容で、学校で行われる日頃の学習成果を測る側面があります。
さらに、社会で求められる知識やスキルを身につけた人材の育成や、この検定の取得をきっかけとしたキャリアアップを目的としています。

問い合わせ先
公益財団法人 全国商業高等学校協会
〒160-0015
東京都新宿区大京町26
TEL 03-3357-7911

受験条件

資格合格
受験条件は、特に設けられておりません。
どなたでも受験することができます。
試験には、1級(会計、原価計算の2科目)、2級、3級があります。
各級や各科目に合格すると、その科目の合格証書が授与されます。

特に、1級に関しては、会計と原価計算の2科目があります。
そのどちらか一方の合格証書を取得していると、合格証書を取得してから、4回以内の検定試験で、合格した科目が免除されます。

合格率

近年での合格率は、
【1級(会計)】31.6%
【1級(原価計算)】54.2%
【2級】42.5%
【3級】48.9%

と言われています。

日商簿記や全経簿記と比較すると、合格率は高いようです。

1年当たりの試験実施回数

実施回数
年に2回、全国一斉に同じ問題で実施されます。
ちなみに、令和5年度の簿記実務検定試験規則によると、実施日は、毎年1月・6月の第4日曜日でした。

試験科目

筆記試験のみです。
検定試験には、会計・原価計算・2級・3級の4種類あります。
1級取得には、会計・原価計算の2科目に合格する必要があります。

以下にそれぞれの詳細を記載します。

1級(会計)

株式会社の会計処理を中心に、会計法規や企業の業績測定等に関する内容について

試験内容:「2級の範囲」「簿記の原理」「取引の記帳」「決算」「財務会計の概要」「資産,負債,純資産」「収益,費用」「連結財務諸表」「財務諸表分析の基礎」

1級(原価計算)

製造業で用いられる簿記で、製品の製造に要した金額(原価)の計算手続きについて

試験内容:「2級の範囲」「原価と原価計算」「費目別計算」「部門別計算と製品別計算」「製品の完成・販売と決算」「標準原価計算」「直接原価計算」

2級

商品売買業を営む個人企業の発展的な会計処理と、株式会社の基本的な会計処理について

試験内容:「3級の範囲」「簿記の原理」「取引の記帳」「決算」「本支店会計」「記帳の効率化」

3級

商品売買業を営む個人企業の基礎・基本となる会計処理について

試験内容:「簿記の原理」「取引の記帳」「決算」「記帳の効率化」

なお、各級や各科目に合格すると、その科目の合格証書が授与されます。
特に、1級に関しては、会計と原価計算の2科目に分かれています。
そのどちらか一方の合格証書を取得していると、合格証書を取得してから、4回以内の検定試験で、合格した科目が免除されます。

採点方式と合格基準

全ての教科で100点満点中70点以上で合格となります。
1級に関しては、会計・原価計算ともに、70点以上で1級合格となります。

また、各科目に合格するとその科目の合格証書が授与されます。
特に、1級に関しては、会計および原価計算のどちらか一方の合格証書を取得していると、合格証書を取得してから、4回以内の検定試験で、合格した科目が免除されます。

試験時間は、各級・各科目ともに1時間30分です。

取得に必要な勉強などの費用

商業高校で使用している教科書に沿った問題が出題されますので、教科書の内容をしっかり理解することが大切です。

以下に、教科書に準拠した問題集の一例を記載します。

令和6年度版 簿記実務検定模擬試験問題集 1級会計 新検定対応

令和6年度版 簿記実務検定模擬試験問題集 1級会計 新検定対応
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出版社名:実教出版
商品名:令和6年度版 簿記実務検定模擬試験問題集 1級会計 新検定対応
価格:480円(税込)

令和6年度版 簿記実務検定模擬試験問題集 1級原価計算 新検定対応

令和6年度版 簿記実務検定模擬試験問題集 1級原価計算 新検定対応
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出版社名:実教出版
商品名:令和6年度版 簿記実務検定模擬試験問題集 1級原価計算 新検定対応
価格:480円(税込)

令和6年度版 簿記実務検定模擬試験問題集 2級 新検定対応

令和6年度版 簿記実務検定模擬試験問題集 2級 新検定対応
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出版社名:実教出版
商品名:令和6年度版 簿記実務検定模擬試験問題集 2級 新検定対応
価格:480円(税込)

令和6年度版 簿記実務検定模擬試験問題集 3級 新検定対応

令和6年度版 簿記実務検定模擬試験問題集 3級 新検定対応
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出版社名:実教出版
商品名:令和6年度版 簿記実務検定模擬試験問題集 3級 新検定対応
価格:480円(税込)

受験料

各級受験料
1級会計:1,300円(税込)
1級原価計算:1,300円(税込)
2級:1,300円(税込)
3級:1,300円(税込)

複数の科目を同日に受験できます。
複数の科目を受験する際には、受験するそれぞれの受験料を納めてください。
(試験時間によっては、試験科目が重複することもありますのでご注意ください。)

受験申込方法

在籍している高校が試験会場校であるかで、申込方法が異なりますので以下を参考にしてください。

【1】在籍している高校が試験会場校の高校生

原則として在籍校で、受験票により申し込みます。

【2】上記【1】を除く一般の方

指定された最寄りの試験場校で、受験申込書(写真貼付)により申し込みます。(在籍校が試験場校でない場合の高校生も一般と同様です。)

1人で複数の級(1級では2科目)を受験できます。
複数の級を受験する際には、それぞれの受験料を納めてください。
(試験時間によっては、試験科目が重複することもありますのでご注意ください。)

合格発表と合格証書授与の日程については、試験当日に試験場校で発表されます。

まとめ

この記事では、簿記実務検定試験について解説しました。
簿記実務検定試験は、商業高校で使用している教科書にもとづいた試験で、経理や会計に関わる資格の登竜門となる検定です。
スキルアップ
経理・会計のプロフェッショナルを目指すためには、さらに上位の資格に挑戦するのが良いでしょう。
この試験に合格したら、日商簿記検定試験を受けたり、税理士や公認会計士へのキャリアアップを目指してみてはいかがでしょうか。

 

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