電気工事施工管理技士(2級)について

電気工事施工管理技士(2級)について

この資格は、建設工事現場で照明設備工事や変電・発電設備工事などの管理や監督が行える国家資格です。

適用する仕事

この資格を取得すると、次のような電気工事の施工管理を行うことが出来ます。

発電設備工事

電力会社の大型発電設備や、自家発電をして施設の電力源としている設備が含まれます。
自家発電設備というものには、常用発電設備と非常用発電設備があります。

常用発電設備は、自家発電した電力を設置している施設に使います。
非常用発電設備は、停電や火災などの非常事態で電源が止まってしまったときに備えて設置されるものです。
非常用発電設備は、不特定多数の人が出入りする延べ床面積1,000㎡以上の特定防火対象物には、消防法で設置が義務となっています。

発電設備を表現している模型

変電設備工事

ここで変電とは、発電所から電気を受け取り、その電気を施設で利用できる電圧まで下げることをいいます。
その変電のための装置を、変電設備といいます。

通常は、発電所から電気を送るときは高圧で送るので、そのまま使用はできません。
その電気を、施設内のキュービクルという変電設備で電圧を下げなければならないので、設置するときに工事が必要です。
変電設備工事は、その工事のことをいいます。

送配電線工事

発電所から電気を送るときの電線での工事です。
発電所から配電変電所までを送電線といい、配電変電所から、一般に電柱と呼ばれる柱上変圧器までの電線を配電線といいます。

送配電線を表している町の電線
それらの送電線と配電線の工事も、電気工事施工管理技士が管理をします。

照明設備工事

施設内の照明工事も、電気工事です。
ここで難しいのは、照明というものはレイアウトや美観なども大切なものなので、依頼書の要望に応じて作り上げる、技術以外の美的感覚なども必要になってきます。
キュービクルから送られてきた電気を分電盤に通して、各部屋に配線して照明器具へと繋げます。
設計図に適った配線がされているか、施工管理技士の確認が必要な仕事です。

構内電気設備工事

様々なスイッチやコンセントの配線、電話設備、誘導灯、非常用照明、館内放送設備、火災報知器などの防災設備が構内電気設備に該当します。

信号設備工事

これは、道路や電車に設置される信号設備の工事のことです。

線路の脇に設置されている信号設備それらは、鉄道電気設備専門の工事会社が担うことが多いです。
そういった会社の電気工事施工管理技士は、それらの仕事をすることが多いです。

電車線工事

電車の線路の上にある電線を、電車線といいます。
これは変電所から送られた電気を、電車のパンタグラフを通して電車に送るための電線です。
パンタグラフとは、電車などの屋根についている、架線の電流を取り込むための装置です。

おおよその年収とキャリアパス

おおよその年収は、400万円から600万円ほどのところが見られます。

500万円ある札束

電気工事施工管理技士は、電気設備に関わる仕事に必要です。
この資格を活かした仕事には、次のようなものがあります。

大手ゼネコン

建築の元受けという立場で、設備施工管理業務を担当できます。

設備工事(プラントエンジニア)

これは、生産設備である工場(プラント)を建設や管理、運用していく技術的業務です。
モノづくりには欠かせない、プラントの建設についての仕事です。
産業プラントなどの設備、工事の企画から設計、メンテナンスまで、総合的に広い範囲で業務を担当します。

再生可能エネルギー

これは、太陽光や風力、バイオマスなどの自然エネルギーを使った発電所の建設をして、発電した電力を電力会社に販売する業界です。
発電所の、設計、調達、建設の業務において、設計から施工管理、メンテナンスの業務を担当します。

認可団体

施工管理技術検定の指定試験機関は、一般財団法人の建設業振興基金です。

建設業振興基金とは、建築産業界を近代化・合理化させるために設立させた団体です。
公益法人制度改革で一般財団法人になりましたが、元々は国土交通省所管の財団法人です。

国土交通省
「建築/電気工事施工管理技術検定」、「建築業経理検定」を実施している国土交通大臣の指定する指定試験機関です。

受験条件

第一次検定と第二次検定の受験条件は、次のようになっています。

第一次検定

試験実施年度に、満17歳以上となる者。試験日に16歳であっても、年度内に17歳になるのであれば出願できます。

第二次検定

二次試験の出願には、実務経験が必要です。

  • 2級第一次検定に合格していれば、実務経験は3年以上(建設機械種目については2年以上)
  • 1級第一次検定に合格していれば、実務経験は1年以上

また、以下の方法もあります。
令和3年度より、施工管理技士補の制度ができました。
施工管理技士(2級)の第一次検定に合格すると、施工管理技士補となります。
施工管理技士補も国家資格で、これがあるだけで就職や転職でアピールできるポイントになります。

2級の電気工事施工管理技士補になるには、電気工事施工管理技士(2級)の第一次検定に合格しなければなりません。
2級電気工事施工管理技士補になると、電気工事施工管理技士(2級)は第二次検定から受験することができます。

合格率

令和3年度から令和5年度の合格率を次に示します。

合格祈願半ば途中のだるま

令和5年度

検定区分:受験者数:合格者数:合格率
第一次検定:7,777人:3,408人:43.8%
第二次検定:6,543人:2,816人:43.0%

令和4年度

検定区分:受験者数:合格者数:合格率
第一次検定:8,027人:4,466人:55.6%
第二次検定:4,768人:2,947人:61.8%

令和3年度

検定区分:受験者数:合格者数:合格率
第一次検定:8,359人:4,776人:57.1%
第二次検定:5,082人:3,493人:68.7%

1年当たりの試験実施回数

第一次試験:年2回
第二次試験:年1回

試験科目

マークシート方式
試験の出題形式は、第一次試験の「電気工学等」「法規」が四肢択一、「施工管理法」が四肢択一と五肢択一です。
第二次試験は四肢択一と記述の形式です。

試験科目と検定基準を下記に示します。

第一次検定

電気工学等

1.電気工事の施工の管理を適確に行うために必要な電気工学、電気通信工学、土木工学、機械工学および建築学に関する概略の知識を有すること。

2.電気工事の施工の管理を適確に行うために必要な発電設備、変電設備、送配電設備、構内電気設備等に関する概略の知識を有すること。

3.電気工事の施工の管理を的確に行うために必要な設計図書を、正確に読み取るための知識を有すること。

施工管理法

1.電気工事の施工の管理を的確に行うために必要な、施工計画の作成方法および工程管理、品質管理、安全管理等工事の施工の管理方法に関する基礎的な知識を有すること。

2.電気工事の施工の管理を的確に行うために必要な、基礎的な能力を有すること。

法規

建設工事の施工の管理を的確に行うために必要な、法令に関する概略の知識を有すること。

第二次検定

施工管理法

1.主任技術者として、電気工事の施工の管理を的確に行うために必要な知識を有すること。

2.主任技術者として、設計図書で要求される電気設備の性能を確保するために設計図書を正確に理解し、電気設備の施工図を適正に作成し、および必要な機材の選定、配置等を適切に行うことができる応用能力を有すること。

採点方式と合格基準

一次検定の試験はマークシート方式です。二次試験はマークシートと記述式です。

第一次検定と第二次検定の合格基準は、どちらも総得点の60%以上が必要です。

取得に必要な勉強などの費用

ここでは、学習に使う本を3点と、WEBで受講できる講座の費用を提示させていただきます。

2級電気工事施工管理技士 第一次検定 テキスト

2級電気工事施工管理技士 第一次検定 テキスト
created by Rinker

出版社:CIC日本建設情報センター
商品名:2級電気工事施工管理技士 第一次検定 テキスト
価格:3,300円(税込)

短期間学習で合格することを意識して制作されたテキストです。出題されるポイントに絞られています。

2級電気工事施工管理技士 第一次検定 過去問題集

2級電気工事施工管理技士 第一次検定 過去問題集
created by Rinker

出版社:CIC日本建設情報センター
商品名:2級電気工事施工管理技士 第一次検定 過去問題集
価格:3,080円(税込)

解説付きの過去問題集です。こちらも短期間学習で合格することが意識されています。
令和元年度から令和5年度の9回分の第一次検定試験の出題問題が収録されています。
分野別なので、苦手な箇所の勉強に適しています。

2級電気工事施工管理 第一次・第二次検定 問題解説集

2級電気工事施工管理 第一次・第二次検定 問題解説集
created by Rinker

出版社:一般財団法人 地域開発研究所
商品名:2級電気工事施工管理 第一次・第二次検定 問題解説集
価格:4,070円(税込)

第一次検定は過去5年間(令和元年から令和5年)、第二次試験は過去10年間(平成26年から令和5年)の過去の問題が全て収録されています。
全問について、詳細に解説されています。

WEB講座

WEB講座で第一次検定と第二次検定のどちらも講座がある所は、4万円ほど掛かる可能性があります。
一次試験の講座が13時間ほどで、二次試験の講座が7時間ほどとなっているところがあります。

一次試験だけの講座の場合は、3万円ほどです。
二次試験のみの講座の場合は、2万5000円ほどです。

受験料

第一次検定:6,600円(非課税)
第二次検定:6,600円(非課税)

第一次検定、第二次検定の同時申請をする場合は、13,200円を一括で支払います。

受験申込方法

個人で第一次検定のみへの申請をする受験者は、インターネットでの申込みが必要です。
また、平成15年から令和5年度に本試験を受験されたことがある場合、インターネットでの再受験申込ができます。

初めて第二次試験の受験、または一次と二次の同時申請する場合には、実務経験審査が必要です。
その際は、書面にて申請を行わなければなりません。願書を購入し、申請手続きをします。

顔写真を準備

駅の隅に置かれた証明写真機アップロードする顔写真を用意します。デジタルカメラか、携帯電話のカメラで受験申込者本人を撮影します。
ここで、インターネット申込時に提出する顔写真に不備があると、受験ができないケースが頻発しうるので注意が必要です。
提出する顔写真は、合格証明書に印刷されますので、鮮明な顔写真を提出しなければなりません。

インターネット申込の手順

  1. 申込判定入力:再受験申込の資格があるかないかを判定します。
  2. 申込規約:申込規約を確認してください。
  3. 顔写真選択:選択した顔写真のアップロードをします。ここは、JPEG形式の画像でなければなりません。(.jpgや.jpegのデータです。)
  4. 顔写真加工:アップロードした顔写真を、画像切取ツールで、縦531ピクセル×横413ピクセルの顔写真ファイルに加工します。こちらもJPEG形式です。このサイズは、パスポートサイズと同じです。
  5. 加工した顔写真が間違っていないか確認します。

顔写真として問題がないかは、次のことを確認してください。

  • 本人のみが正面を向いて写っている。
  • 無背景である。
  • 6ヵ月以内の撮影のもの。
  • 帽子やアクセサリーなどをしていない。
  • 明るさやコントラストが適切で、鮮明である。

ここで、ピントが合っていなかったり、顔に影が映り込んでいたりすると、相応しくない顔写真と判定されてしまいます。

まとめ

発電施設がある金網のところで、ガッツポーズをしている作業員

電気工事施工管理技士は照明設備工事や変電・発電設備工事などを、建設工事現場で管理や監督を行える国家資格です。
この資格は、合格率がその年によって変動するので、しっかりとした対策をしておいたほうがいいです。
一般的には、2級を取得して、次に1級の取得を目指す人が多いです。

 

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