舗装施工管理技術者について

舗装施工管理技術者について

舗装は道路を構成しているものの中で、歩行者や車両を直接載せる重要な部分です。
舗装施工の良し悪しは、耐久性や周辺環境への影響に関わります。
舗装施工管理技術者の資格は、技術進歩に対応するために5年に1度の更新が求められています。

適用する仕事

舗装施工管理技術者は、道路や駐車場などの舗装工事の施工管理を担当します。

舗装工事とは

舗装工事とは、道路などの地盤面にアスファルトやコンクリートを敷き固める工事です。
人や車などが安全に通れるようにしたり、上下水管を収納したりする工事で、街の景観を良く保てるように配慮して行われます。

道路を固めている舗装工事の作業

舗装工事は、ぬかるみを改善する必要がある土地などで行います。

舗装工事の種類
  • 強度を上げるためにアスファルトに骨材を敷均し(しきならし)、転圧するようなアスファルト舗装。(転圧とは、アスファルトなどに力を加えて空気を抜いて、粒子の密度を高めること)
  • コンクリート合材で表層を舗装するコンクリート舗装
  • アスファルト混合物に着色をして水たまりを防ぐ特殊舗装

など多様にあります。

施工管理というものには、建築現場や土木現場で作業の進行や管理業務といった指示役をしながら、業者とのやりとりをすることも仕事に含まれます。

舗装工事する場所

舗装工事が行われるのは、次のようなところです。

  • 公道:国道・都道府県道・市区町村道・高速道路
  • 私道:民有地内の道路
  • 駐車場:公共施設や民間施設、住宅の駐車場
  • 整備が必要な土地:ぬかるみ・水たまり・雑草を生えないようにする必要がある土地

仕事内容

舗装施工管理技術者の主な仕事内容には、次のようなものがあります。

原価管理

人件費や材料費などの、工事にかかる費用の計算をして、予算内に収めなければなりません。
日々の進捗をチェックして、予算超過を防ぎ、利益が出るように管理します。
何か問題や課題があるときは、原因分析をして計画を見直し、修正していきます。
原価管理は、収益に直結する管理業務です。

工程管理

工事全体のスケジュールの管理のことです。
作業員の配置や重機の手配、外注業者の手配などをして予定を組んでいきます。
施工開始から、完了までのスケジュールを組んで、工期を管理します。
工事の規模が大きいほど、人員や資材が増えていくので、スケジュールは複雑になっていきます。
知識や実務経験を活かすことが出来ます。

品質管理

成果物が設計図や仕様書通りの品質を達成できているかを管理することを、品質管理といいます。
材料の寸法や、強度などについて、仕上がりの程度を定めて施工します。
完成後や工事途中の成果物が、規定を満たしているかの確認や検査をするのも業務の一つです。

もし、自主検査や施主の立会検査の場合でも、資料の作成は施工管理の業務となります。

安全管理

工事現場では、作業員の身体は危険に晒されています。
作業員の安全確保も、施工管理の業務となっています。

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おおよその年収とキャリアパス

舗装施工監理技術者のおおよその年収は、500万円から600万円ほどのところが見られます。

舗装施工管理技術者の資格があると、土木工事会社や舗装専門会社への就職や転職がしやすくなります。
また、施工管理や指導を行える立場になるので、会社を替えずとも収入アップも見込めます。
独立して、土木工事会社や舗装専門会社を設立するときにも役に立ちます。

認可団体

日本道路建設業協会

「日本道路建設業協会」が資格試験を実施しています。
2010年度までは、国土交通省所管の「道路保全技術センター」が実施していましたが、2011年度以降は「日本道路建設業協会」が実施しています。

受験条件

1級と2級の受験条件は、それぞれ以下のようになっています。
ここでいわれる指定学科とは、土木、農業土木、森林土木、鉱山土木、砂防、治山、都市工学、衛生工学、交通工学、建築、緑地、造園に関する学科のことです。

1級

大学系

大学卒業者、または専門学校卒業者のうち、高度専門士と称する者。
:指定学科卒業の場合、卒業後3年以上の実務経験を有する者。
:指定学科以外を卒業の場合、卒業後4年6ヵ月以上の実務経験を有する者。
ただし、上記年数のうち1年以上の指導監督的実務経験年数が含まれること。

指導監督的実務経験とは、舗装工事で施工監督、工事主任、現場代理人、主任技術者などの立場で、部下などを指示・指導や監督し、工事の施工管理を実施した経験をいいます。

短期大学系

短期大学卒業者、5年制の高等専門学校卒業者、または専門学校卒業者のうち専門士と称する者。
:指定学科を卒業の場合、卒業後5年以上の実務経験を有する者。
:指定学科以外を卒業の場合、卒業後6年6ヵ月以上の実務経験を有する者。
ただし、上記年数のうち1年以上の指導監督的実務経験年数が含まれること。

高等学校系

高等学校卒業者
:指定学科を卒業の場合、卒業後8年以上の実務経験を有する者。
:指定学科以外を卒業の場合、卒業後11年6ヵ月以上の実務経験を有する者。
ただし、上記年数のうち1年以上の指導監督的実務経験年数が含まれること。

上記以外の学歴

上記以外の者:15年以上の実務経験を有する者。
ただし、上記年数のうち1年以上の指導監督的実務経験年数が含まれること。

技術士系

技術士(建設部門)二次試験合格者、1級土木施工管理技術検定合格者、または1級建設機械施工管理技術検定合格者。
:1年以上の指導監督的実務経験年数が含まれていること。(指導監督的実務経験は、資格取得以前のものも含まれます)

その他の資格では

  • 2級舗装施工管理技術者資格試験合格者
  • 2級土木施工管理技術検定合格者
  • 2級建設機械施工技術検定合格者

【大学合格者】
:指定学科を卒業の場合、3年以上の実務経験を有する者。ただし、1年以上の指導監督的実務経験年数を含む。
:指定学科以外を卒業の場合、4年6ヵ月以上の実務経験を有する者。ただし、1年以上の指導監督的実務経験年数を含む。

学歴と実務経験年数が重複する場合
大学や高等学校(夜間部)等の卒業者で、在学中の実務を経験年数に加えたい場合、その一つ前の学校(高等学校や中学校)を最終学歴としなければなりません。
また、夜間部卒業を最終学歴とする場合、その在学中の実務を経験年数に加えることはできません。

2級

2級の受験条件には、次のいずれかを満たしていなければなりません。

学歴

学歴 必要な実務経験年数
大学の指定学科卒業者 卒業後1年以上
大学の指定学科以外卒業者 卒業後1年6ヵ月以上
専門学校卒業者のうち「高度専門士」と称する者 卒業後1年以上
専門学校の指定学科以外卒業者のうち「高度専門士」と称する者 卒業後1年6ヵ月以上
短期大学の指定学科卒業者 卒業後2年以上
短期大学の指定学科以外卒業者 卒業後3年以上
高専(5年制)の指定学科卒業者 卒業後2年以上
高専(5年制)の指定学科以外卒業者 卒業後3年以上
専門学校の指定学科卒業者のうち「専門士」と称する者 2年以上
専門学校の指定学科以外卒業者のうち「専門士」と称する者 3年以上
高等学校の指定学科卒業者 3年以上
高等学校の指定学科以外卒業者 4年6ヵ月以上
学歴不問の場合 8年以上

所持資格

実務経験のある者(年数問わず)
  • 技術士(建設部門)二次試験合格者
  • 1級土木施工管理技術検定合格者
  • 1級建設機械施工技術検定合格者
  • 2級土木施工管理技術検定合格者
  • 2級建設機械施工技術検定合格者

2級舗装施工管理技術者資格試験関係

令和5年度の2級舗装施工管理技術者資格試験の一般試験に合格して、令和6年度の受験申込時に一般試験免除申請を行い、応用試験のみで受験する者。

合格率

令和3年度から令和5年度の受験者数、合格者数、合格率を示させていただきます。
[合計]の欄は、平成7年度から令和5年度までの受験者数や合格率の合計です。

2級

年度 受験者数 合格者数 合格率
合計 95,267人 38,497人 40.4%
令和5年度 1,615人 615人 38.1%
令和4年度 1,669人 764人 45.8%
令和3年度 1,028人 493人 48.0%

1級

年度 受験者数 合格者数 合格率
合計 208,456人 38,132人 18.3%
令和5年度 3,086人 392人 12.7%
令和4年度 3,145人 641人 20.4%
令和3年度 2,291人 461人 20.1%

1年当たりの試験実施回数

試験は1年に1回実施されています。

試験科目

試験科目は「法規」と「舗装全般」です。
試験は一般試験と応用試験に分かれています。一般試験が択一式で、応用試験が記述式です。

一般試験の科目には、法規と舗装全般があります。おおまかな内容は次のようになっています。

一般試験(択一式)

法規 舗装工事の施工に必要な法令に関する一般的な知識を問う。
舗装全般
  • 舗装工事の施工に必要な土木技術および設計図書等に関する一般的な知識を問う。
  • 舗装の設計、材料、施工および補修等に関する一般的な知識を問う。
  • 舗装工事の施工計画の作成方法および工程管理、品質管理、出来形管理、安全管理等に関する一般的な知識を問う。

応用試験(記述式)

舗装全般
  • 舗装の設計、材料、施工および補修等に関する専門的な知識を有し、これを技術的に記述できる能力を問う。
  • 舗装の施工現場において経験したことを基に、技術的な課題、実施した対策、結果を技術的に記述できる能力を問う。

 

採点方式と合格基準

一般試験の問題は選択問題です。正解がそのまま採点されます。
例年ですと、一般試験の合格基準は正答率60%以上です。60問中の36問以上の正答で合格となります。

応用試験の問題は記述式です。採点方式は公表されていません。
例年、応用試験の合格基準も正答率60%以上です。

取得に必要な勉強などの費用

勉強に役立つ参考書を、4点紹介させていただきます。

【2024年度版】1級舗装施工管理技術者 試験学習セット(スタディトライ1年分付き)

【2024年度版】1級舗装施工管理技術者 試験学習セット(スタディトライ1年分付き)
created by Rinker

出版社名:サザンソフト
商品名:【2024年度版】1級舗装施工管理技術者 試験学習セット(スタディトライ1年分付き)
価格:8,800円

PC専用ソフトとスタディトライ(スマホ学習サービス)により、効率よく試験対策ができます。PC専用ソフトも、ネット環境は不要です。
令和5年度のものを含み、過去10年分の一般試験問題と応用試験の解説が収録されています。
一問一答モードで勉強して、テストモードで身についたかどうかが確認できます。

令和6年度 年度別 問題解説集 1級舗装施工管理 一般試験

令和6年度 年度別 問題解説集 1級舗装施工管理 一般試験
created by Rinker

出版社名:丸善出版
商品名:令和6年度 年度別 問題解説集 1級舗装施工管理 一般試験
価格:4,950円(税込)

1級舗装施工管理技術者資格試験の一般試験に合格するために、必要なことが集約された試験対策本です。
最新問題解説と、動画講習を組み合わせた学習システムです。全648ページです。
分野別にまとめられていて、分野ごとに確認テストがついています。

令和6年度 年度別 問題解説集 1級舗装施工管理 応用試験

令和6年度 年度別 問題解説集 1級舗装施工管理 応用試験
created by Rinker

出版社名:丸善出版
商品名:令和6年度 年度別 問題解説集 1級舗装施工管理 応用試験
価格:4,950円(税込)

こちらは応用試験に合格するために、必要なことが集約されています。
応用試験で重要となる、経験記述の書き方についても、詳細な解説があります。
また、経験記述に不安がある受験者に向けて、経験記述添削講座を有料で提供しています。
1通につき4,000円です。

年度別 問題解説集 2級舗装施工管理 一般試験・応用試験

年度別 問題解説集 2級舗装施工管理 一般試験・応用試験
created by Rinker

出版社名:丸善出版
商品名:年度別 問題解説集 2級舗装施工管理 一般試験・応用試験
価格:3,300円(税込)

問題解説と無料動画講習が合わさった、学習システムです。
令和4年度以降の試験のために、経験記述添削講座を希望される方は、個別にお問い合わせが必要です。

受験料

1級:15,000円(税込)
応用試験のみの場合:7,500円(税込)

2級:8,000円(税込)
応用試験のみの場合:4,000円(税込)

受験申込方法

簡易書留郵便による申込となります。締切日の消印があるものまで有効です。

簡易書留のはんこが押された封筒満たしている受験条件ごとの、受験申込に必要な書類は次の通りです。

必要な書類

大学卒業者、専門学校卒業者のうち「高度専門士」と称する者、短期大学または高等専門学校卒業者、専門学校卒業者のうち「専門士」と称する者、高等学校卒業者
卒業証明書(コピーは不可)が必要

指定学科に準じると認める学科では、履修証明書が必要です。

令和6年度の受験では、「一般社団法人 日本道路建設業協会」のホームページ上に、受験申込書類の作成・印刷と受験の手引きがダウンロードできるシステムの「舗装技術者資格 各種申込書類作成システム」が設置されました。

受験希望の方、応用試験のみの受験の方は「舗装技術者資格 各種申込書類作成システム」で受験申込書類を作成、印刷してください。
そして、受験申込書類と証明写真、住民票などの必要書類を、「一般社団法人 日本道路建設業協会」に簡易書留で郵送することによって、受験申込の受付が完了となります。

まとめ

ガス溶接アイキャッチ

道路を構成する構造物の1つである、舗装に関する資格についてでした。
舗装とは、直接その上に歩行者や車両が行き交う重要な部分です。
舗装の施工は、環境に合うかどうかや、耐久性はどうかなどといったことが、舗装施工の良否に左右されます。

 

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