陸上無線技術士とは無線従事者の一種です。無線設備の技術操作ができることを示します。
第一級陸上無線技術士と、第二級陸上無線技術士があります。
Contents
適用する仕事
陸上無線技術士は、主に陸上の無線局の無線設備の技術的な操作を行います。
無線設備とは
無線設備で、無線通信とは、電波(電磁波)、磁界、電界を使ったワイヤレスの電気通信や、光を利用した光通信のことです。
電気通信事業者が利用している無線媒体も、電波にあたります。
電波は様々なところで使われています。スマートフォンやTV、WiFiなどで利用されているものがそうです。
それだけではなく、飛行機や鉄道といった公共交通機関、警察や消防、防災無線といった社会や生活を支える基盤も、電波の利用なしでは維持できない社会になっているといっても過言ではないです。
陸上無線技術士とは
陸上無線技術士は、主に陸上の無線局の無線設備の技術的な操作を行いますが、1級と2級で操作範囲が異なります。
・第一級陸上無線技術士
放送局や電気通信業務用等の固定局、無線測位局など無線局全般の無線設備の技術的な操作ができます。
・第二級陸上無線技術士
この資格を持つ者は放送局、電気通信業務用等の固定局、無線測位局など無線局全般の無線設備の技術的な操作ができますが、第二級では無線設備の空中線電力による制限があります。
空中線電力とは、送信機が空中線(アンテナ)に供給する電波の強さです。
ここで制限とは、次のようなものです。
- テレビジョン放送局を除く無線局の空中線電力2kW以下のもの
- テレビジョン放送局の空中線電力500W以下のもの
この資格が活きる仕事には、放送関係、運輸省航空局、海上保安庁、気象庁、警察庁といったところなどがあります。
おおよその年収とキャリアパス
第一級陸上無線技術士のおおよその年収は、400万円から600万円ほどです。
第二級陸上無線技術士のおおよその年収は、300万円から500万円ほどです。
第一級陸上無線技術士の資格を活かせる仕事には、携帯会社や警備会社、基地局のメンテナンス会社などがあります。
基地局とは、携帯電話や無線通信などの電波を送受信している場所です。
認可団体
公益財団法人の「日本無線協会」が実施している試験です。
日本無線協会は、無線従事者国家試験や無線従事者の講習業務、養成課程業務を行うことで、日本の電波利用が発展することを目的として運営されています。
大きく分類すると、陸上無線技術士を含めて次の国家試験事務を行っています。
- 無線従事者(総合)
- 無線従事者(航空)
- 無線従事者(海上)
- 無線従事者(陸上)
- 無線従事者(アマチュア)
また、無線従事者(陸上)にも、次の資格があります。
- 第一級陸上無線技術士
- 第二級陸上無線技術士
- 第一級陸上特殊無線技士
- 第二級陸上特殊無線技士
- 第三級陸上特殊無線技士
- 国内電信級陸上特殊無線技士
この記事では、第一級陸上無線技術士と第二級陸上無線技術士について、取り上げています。
受験条件
無線従事者資格はすべて、受験資格が問われません。国家資格ですが、どなたでも受験することが出来ます。
合格率
・第一級
2022年:22.0%
2021年:25.3%
2020年:26.8%
・第二級
2022年:29.2%
2021年:32.4%
2020年:32.8%
1年当たりの試験実施回数
令和6年度までの1年当たりの試験実施回数は、それまでと変わらず年に3回の実施ですが、令和7年度からは年に2回の実施に変更されます。
令和6年度は4月、8月、12月の年3回の実施です。
令和7年度からは、5月、11月の年2回の実施となります。
試験科目
それぞれの試験科目と試験時間は次のようになっています。
第一級陸上無線技術士
無線工学の基礎:150分
法規:120分
無線工学A:150分
無線工学B:150分
第二級陸上無線技術士
無線工学の基礎:150分
法規:120分
無線工学A:150分
無線工学B:150分
採点方式と合格基準
採点方式は、マークシート形式なので正解がそのまま採点されます。
合格基準は、各科目ごとに60%以上の得点をすることです。基準は以下のとおりです。
科目 | 問題数 | 満点 | 合格点 |
無線工学の基礎 | 25問 | 125点 | 75点 |
法規 | 20問 | 100点 | 60点 |
無線工学A | 25問 | 125点 | 75点 |
無線工学B | 25問 | 125点 | 75点 |
この資格を受験するのが初回ではなく、以前の試験で合格点に達している試験科目がある人:
以前受験して試験が行われた月の翌月の初めから起算して3年以内は、今回該当する合格点を得ている試験科目は試験が免除されます。
取得に必要な勉強などの費用
試験のための勉強用の参考書を4点、紹介させて頂きます。
第一級陸上無線技術士試験 やさしく学ぶ 無線工学の基礎
出版社名:オーム社
商品名:第一級陸上無線技術士試験 やさしく学ぶ 無線工学の基礎
価格:3,300円(税込)
多くの図を取り入れ、初学者、独学者でも理解しやすいよう構成されています。
第一級陸上無線技術士試験 やさしく学ぶ 無線工学A
出版社名:オーム社
商品名:第一級陸上無線技術士試験 やさしく学ぶ 無線工学A
価格:3,300円(税込)
上記の『第一級陸上無線技術士試験 やさしく学ぶ 無線工学の基礎』と同じシリーズです。
ポイントを絞った丁寧な解説がされています。図が多く取り入れられているので、ひとりで初めて学ぶ時にも理解しやすいようになっています。
第一級陸上無線技術士試験 やさしく学ぶ 無線工学B
出版社名:オーム社
商品名:第一級陸上無線技術士試験 やさしく学ぶ 無線工学B
価格:3,300円(税込)
こちらも『第一級陸上無線技術士試験 やさしく学ぶ 無線工学の基礎』と同じシリーズです。
2017年以降の問題が新たに分析され、新しい傾向の問題も取り込まれています。
解き方、考え方、公式の使い方などの説明が充実しています。
第一級陸上無線技術士試験 やさしく学ぶ 法規
出版社名:オーム社
商品名:第一級陸上無線技術士試験 やさしく学ぶ 法規
価格:3,080円(税込)
こちらも『第一級陸上無線技術士試験 やさしく学ぶ 無線工学の基礎』と同じシリーズです。
受験料
受験料は16,500円です。
受験申込方法
試験申請の受付は、受付月の1日から20日までです。(令和6年7月試験の申請受付期間は、令和6年5月1日から20日でした。)
申し込み方
ブラウザ上部のアドレスバーにURL「https://www.nichimu.or.jp」を入力してWebページを表示するか、「日本無線協会」を検索して協会HPの「無線従事者国家試験の電子申請」からアクセスします。
そこで受験資格・受験希望地を選択して、必要事項を入力します。
入力の途中で、電子メールの受信確認があります。受信の有無を確認して、認証コードを入力します。「@nichimu.re.jp」からのメールが受信できるよう設定しておく必要があります。
ここで使用したメールアドレスは、登録確認だけでなく、受験票の送付や試験結果に関するお知らせにも使用されます。
顔写真の登録
次に、顔写真を登録します。写真が適正でない場合は、受験できなくなることがあるので注意が必要です。
写真は次の形式のものを使います。
- 縦横比30:24の縦長のもの。登録画面で拡大や縮小、トリミング(切取り)ができる。
- 無帽で正面を向いた鮮明なもの。背景に影や人物、その他映り込みがないもの。
- 写真の縦の長さに占める顔の大きさが50%~60%くらいのもので、頭頂部に余白があるもの。
- 申請の日において、撮影後4か月以内のもの。
ちなみに、不適当である写真には、次のようなものがあります。
- 上三分身(おおむね胸から上)より大きいもの
- 下三分身より小さいもの
- 目線が正面でないもの
- 顔が横向きのもの
- 顔が左右に寄っていたり、傾いたりしているもの
- 背景の色によって人物が特定できないもの
- 顔やその他に影があるもの
- 著しく変色しているもの
- 平常の顔貌と著しく異なるもの
- 前髪が目元にかかっているもの
- 幅の広いヘアバンドにより頭部が隠れているもの
- 照明が眼鏡に反射したもの
- サングラスをかけているもの
まとめ
陸上無線技術士は、主に陸上の無線局の無線設備の技術的な操作を行えることを示す資格です。
無線通信にも種類がありますが、電波の使用規模が大きいと思います。
この資格の1級と2級では、扱える電波の大きさが違います。
第一級陸上無線技術士の資格を持っていると、他の資格である電気通信主任技術者と工事担任者の資格試験を受験する時に、免除できる科目があります。
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アマチュア無線技士について
なので、陸上特殊無線技士では扱えない海岸地球局、航空局、無線航行局などの技術操作をすることができます。
一方、陸上特殊無線技士は、空中線電力500W以下の陸上無線局の多重無線設備、かつ30MHz以上の周波数の電波を使用する技術操作をすることができます。