病気ほどではないけれど、体の不調がよくならない。
そんな時にマッサージや指圧で体をほぐす方は多いと思います。
そこで今回は「あん摩マッサージ指圧師試験」について触れていきたいと思います。
Contents
適用する仕事
あん摩マッサージ指圧師は、あん摩・マッサージ・指圧を駆使して体に発生している異変を和らげるのが主な仕事です。
基本的には東洋医学をベースとして器具などを使うことなく、問診・検査などで体の調子が悪い原因を見つけ出してなでる・揉む・押す・さする等の行為を直に体に対して行い、血の巡りを改善して体の不調を緩和させます。
あん摩マッサージ指圧師は医療従事者とは違い、禁忌症・脱臼・骨折などの状態を除く体の不調にドクターの指導や判断がなくてもその方に治療を行うことができます。
そもそもあん摩とは、中国から日本に伝わってきた治療方法です。
中国で最も古い医学書である黄帝内経に伝わっている方法がもとになっていて、5・6世紀に中国から日本へと伝わったとされています。
日本であん摩が普及し出したのは江戸時代に入ってからで、ここから日本のあん摩手法が作られ始めました。
あん摩の技術を通じて人がもともと持っている恒常性に働きをかけて、体を健康な状態へと改善していきます。
あん摩マッサージ指圧師の施術は、あん摩のみではなく、体の異変を考えながらマッサージと指圧も行います。
あん摩は衣服の上から施術を行うのに対し、マッサージは皮膚に直接接して施術を行います。
そして、指圧はあん摩・導引・柔道の手法を取り入れて一点に圧力を加える独特な方法で、大正時代に体系化されました。
おおよその年収とキャリアパス
あん摩マッサージ指圧師の平均月収は20万円から25万円が大多数を占めていて、年収換算で300万円から400万円となっています。
その他に、数はあまり多くないですが何年か経験を積んでから開業した方もいて、そのような方の平均月収は30万円以上になります。
あん摩マッサージ指圧師の活躍する職場は、個人が経営する治療院などになります。
昔と比べるとあん摩マッサージ指圧師だけ行う施設は減ってきていますが、針灸を一緒に行う施設は増えてきています。
あん摩マッサージ指圧師の国家資格を得た後に施設への就職をする方は、同時に針灸の国家資格を取ることを考慮すると良いと思われます。
これらのような施設の他の就職先は病院や介護施設・スポーツ施設があります。
訪問マッサージなどの普及により、福祉関連であん摩マッサージ指圧師の必要性は増加しています。
あん摩マッサージ指圧師の実務経験を5年間積むと、介護支援専門員の受験資格も得ることができますので医療だけでなく福祉の分野にわたり活躍できます。
認可団体
許可団体は「公益財団法人 東洋療法研修試験財団」です。
国家試験の実施・免許登録などの実施・生涯研修の実施・研究の実施などを行なっています。
登録や手続きなどについて
新規登録申請には、試験に合格した者が登録の申請を行って名簿に登録されることで免許証が与えられます。
新規免許登録申請の者は、卒業する学校から配布される申請書を使うそうです。
万が一紛失したら、申請書の請求を行います。
診断書だけを紛失したら診断書用紙をダウンロードして使用してください。
婚姻などで本籍地または氏名が変更されたときは30日以内に名簿訂正を行ってください。
免許証に記載されている事に変更がある場合、免許証の書き換え交付申請ができます。
ただし、本籍地の変更がない場合の住所変更の場合は名簿の訂正や書き換えは不要です。
免許証が破れたり、汚れたり紛失した時は免許証の再交付の申請ができます。
申請手数料と登録免許税は、新規登録申請では手数料が5,600円、登録免許税は9,000円。
名簿訂正または、免許証の書き換え申請は手数料3,100円、登録免許税は1,000円。
免許証再交付の申請は手数料が3,300円かかります。
生涯研修
こちらの団体では生涯研修も行なっています。
生涯研修の目的は、あん摩マッサージ指圧師として携わる者が社会のニーズに答えて、自分の職に誇りをもって道を切り開いて、研鑽・努力を行い医学の進歩にも対応して資質向上を行い社会的な評価を高めるために一人一人が自分の意思で行うことです。
研修内容は医学教養で単位数が4、基礎医学で単位数6、臨床で単位数10、関係学会出席で5、スポーツボランティア活動で5、災害ボランティア活動で5です。
合計で25単位以上を取得した場合に研修修了書交付の申請・対象者となります。
医学教養・基礎医学・臨床の研修の課題は、今までの集合や対面式に加えて、オンラインでの実施(オンデマンド・ライブの両方)を行うことができます。
オンラインでの実施の場合には実施主体の責任の下で、受講者の出席の確認を確実に行うことが条件となります。
関係学会の出席は5単位を1回として合計2回まで、ボランティア活動はスポーツボランティア活動は5単位を1回として1回まで、災害ボランティア活動は5単位を1回として1回までとなります。
受験条件
受験資格は、高校卒業後に厚生労働大臣または文部科学大臣が認定している専門学校・大学・短大等の養成施設で3年以上の勉強が必要となります。
養成施設であん摩マッサージ指圧師になるために必須の専門科目を学んで、実習も交えて技術も習得していきます。
養成施設は全国で20校少ししかないので、各養成施設に定員があることで入学試験の時の倍率が高くなることがわかります。
合格率
合格率は2021年の合格発表では、受験者数が1295人で合格者数は1089人となっており、合格率は84.1%となっています。
1年当たりの試験実施回数
試験は1年で1回行われます。
試験科目
試験科目は医学をはじめとした臨床医学・公衆衛生学・解剖学・関係法規・病理学概論・生理学・リハビリテーション医学・臨床学各論・あん摩マッサージ指圧理論・経路経穴概論・東洋医学概論・東洋医学臨床論の12科目からなり、実技を除く筆記試験が主に行われています。
採点方式と合格基準
配点は1問1点で、合計で150点満点としており、90点以上を合格としています。
取得に必要な勉強などの費用
受験するのに学校で学ばないとならないのでその学費が掛かります。
平均で3年間で500万円程度必要になります。
受験料
令和3年に実施された試験では14,400円必要です。
受験申込方法
受験の申し込み方法は、通常毎年12月はじめから12月中旬程度までに「公益財団法人 東洋療法研修試験財団」に申込書を提出する必要があります。
- 受験願書
- 写真(出願前6ヶ月以内の縦6センチ×横4センチのもの)
- 修業証明書、修業見込証明書または卒業証明書、卒業見込証明書いずれかのもの
まとめ
試験に合格することももちろん大変ですが、まず全国でも少ない専門の養成施設に合格しなければならいことが第一関門となっています。
合格率はそこまで低くないので、しっかりと養成施設で勉強をすれば合格できる可能性は高いと思われます。
繰り返しますが「あん摩マッサージ指圧」だけでは限定的となってしまうので、鍼灸も併せて資格や勤務を考えてみてはいかがですか。
もちろん学費や受験料はそれに加算されますが、需要はあります。
より良い資格取得に向けて検討されてみてはいかがですか。
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申請書の請求に従って、財団から申請用の書類が送付されます。
財団から書類を受領したら、それぞれの申請書の手引きに従い書類を作成します。
財団の申請書提出封筒に、簡易書留により郵送か財団へ直接持参します。
申請書類を受け取った後、登録済み証明書は、不備がない場合は2週間程度で郵送します。
免許証は、不備がない場合1ヶ月と半分ほどで簡易書留で郵送されます。