クレーン運転士は、労働安全衛生法に規定された国家資格免許の一つです。
クレーン運転士とは、クレーン・デリック運転士免許試験の学科及び実技に合格して、免許の交付を受けた方のことです。
また、一定の規模以下のクレーンについては、技能講習又は特別教育を受けることで運転および操作が可能となっています。
これらの講習を受けた方を含めて考えることもありますが、ここでは主に荷重5トン以上のクレーン運転士としての資格、クレーン・デリック運転士免許を扱いたいと思います。
移動式クレーンは別免許となっていますので、ここでは扱いません。
教習所や専門学校もありますので、思っているよりも難易度は高くないかもしれません。
しかし、国家資格の一つでもあるので、油断せずに準備したいものです。
Contents
適用する仕事
どんな方に適任の仕事か、どんな仕事内容かなどをご紹介します。
どんな人に適した仕事か?
自己管理のできる人
注意して作業をしなくてはいけませんから、心身共に健全でなくてはなりません。
責任感の強い人
失敗の許されない作業ですので責任感が強く、精神的にも強い方が向いているようです。
コミュニケーション能力を有する人
万が一の作業ミスをしないためにも、ただ黙々と作業をするだけではなく、周囲に気を配れる人です。
関係者の皆さんと声を掛け合いながら確実に作業をしていく必要があります。
運転が好きな人
多くの場合、一日中クレーンを扱って作業をします。
そのため運転が好きであることが重要となってきます。
向上心のある人
どんな仕事も一緒かもしれませんが、クレーン運転士も努力次第で技術を向上させることができる仕事です。
運転できるクレーンの種類が増えれば、その分給料も良くなります。
クレーン・デリック運転士資格の種類
クレーン・デリック運転士(限定なし)
吊り上げ荷重5トン以上のすべてクレーン(天井クレーン、ジブクレーン、ガイデリック、橋形クレーン、ジンポール、スチフレッグデリックなど)とデリックを運転できます。
デリックとはクレーンの一種です。
本体とは別に設置された原動機付ウインチからケーブルを介して、本体のブームの旋回や上げ下げをする機械装置のことです。
クレーン・デリック運転士(クレーン限定)
クレーンのみ運転できます。
クレーン・デリック運転士(床上運転式クレーン限定)
床上運転式クレーンのみ運転できます。
床上運転式クレーンとは、床上で運転し運転者がクレーンの走行とともに移動するクレーンのことです。
仕事内容
荷物の釣り上げる機会の多い建築現場、工場、倉庫などで主に活躍しています。
クレーンを使って荷物の積み下ろしをするのが仕事です。
ただし、作業現場により扱う資材も異なるため、作業工程も様々です。
荷物の移動だけでなく部品を組み立てる工程の一部を任されることもあります。
おおよその年収とキャリアパス
お給料と将来性について述べていきます。
給与形態
クレーン・デリック運転士は高収入が期待できます。
特にクレーン・デリック運転士(限定なし)の収入は、各年代の平均年収と比べても若干高めです。
クレーン運転士の平均年収は約363万円です。
アルバイト・パートで1,002円、派遣社員で1,400円の平均時給となっています。
将来性
クレーンを必要とする仕事はたくさんあるのに対し、資格取得者が少ない傾向にあります。
運転できるクレーンの種類が増え経験が豊かになると年収はさらに増加し、定年まで仕事に困ることはないと思われます。
認可団体
免許試験は全国の「安全衛生技術試験協会」で行われます。
実技教習は「都道府県労働局長登録教習機関」で行われます。
試験は学科と実技があります
学科は安全衛生技術センター受験しなければなりません。
実技については同センターで実技試験を受けるコースもありますが、登録教習機関でクレーン運転実技教習を終了するという選択肢も認められています。
ポリテクセンター大阪港の湾港荷役科、及びポリテクセンター名古屋港の湾港荷役科、クレーン運転科を終了した方には学科・実技ともに免除されて、申請すれば免許が付与されます。
受験条件
本人確認書類が添付できれば、学歴、経験に関係なく誰でも受験可能です。
だだし、免許の交付は18歳以上となります。
合格率
クレーン・デリック運転士(限定なし)の場合です。
2020年度の合格率は、学科試験63.4%、実技試験48.4%です。
1年当たりの試験実施回数
年に4回以上試験が行われています。
試験科目
クレーン・デリック運転士(限定なし)の場合です。
学科試験
試験時間 13:30~16:00(2時間30分)
試験科目及び問題数 | 点数 |
クレーンおよびデリックに関する知識 10問 | 30点 |
関係法令 10問 | 20点 |
原動機および電気に関する知識 10問 | 30点 |
クレーン運転のために必要な力学に関する知識 10問 | 20点 |
実技試験
試験時間 午前、午後に分けて受験票に記載されます。
- クレーンの運転
- クレーンの運転のための合図
採点方式と合格基準
採点方式と合格の基準です。目安にして下さい。
クレーン関係の一部試験合格者、免許保持者、経験者などは学科試験が免除になったり一部免除になることから、お心当たりのある方はネットで安全衛生技術試験協会のホームページを検索してみるか問い合わせをしてください。
筆記試験
100点満点中、60点以上で合格となりますが、各科目ごとに40%以上の正解が必要になります。
実技試験
減点方式で、減点の合計が40点以下で合格です。
取得に必要な勉強などの費用
一番確実に取得する方法としては実技試験の免除になるクレーンの教習所や専門学校に通うことです。
特に実技試験はクレーンの実務経験がないと簡単には合格できない内容になっています。
クレーンの教習所では学科と実技講習とをセットで教えてくれるところもあります。
コマツ教習所センター
コマツ教習所神奈川センター
住所:神奈川県川崎市川崎区中瀬3-20-1
電話:044-287-2071
料金はコマツが運営している教習所ですが、場所により違ってきます。
こちらでは神奈川センターを参考にしています。
- 実技コース ¥136,000(税込)
- 実技と学科のコース ¥148,900(税込)
全国にセンターがあります。
ただし、クレーン・デリック運転士の教習は全国では行なっていません。
当センターの実技教習受講後修了試験合格者は、安全衛生技術センターでの学科試験合格後に免許が交付されます。
学科は独学で勉強されたい方もいらっしゃると思います。
クレーン・デリック運転士(限定なし)過去問題・解答解説集
- 出版社名:TAKARA license
- 書籍名:クレーン・デリック運転士(限定なし)過去問題・解答解説集
- 価格:¥3,300(税込)
クレーン・デリック運転士(限定なし)の問題集になっています。
過去問題は直近のものから過去10回分になり、解答と解説を加えてあります。
クレーン・デリック運転士(クレーン限定)過去問題・解答解説集も同出版社から販売されています。
クレーン・デリック運転士〈クレーン限定〉学科試験 令和3年版 図解テキスト&過去問6回
- 出版社名:公論出版
- 書籍名:クレーン・デリック運転士〈クレーン限定〉学科試験 令和3年版 図解テキスト&過去問6回
- 価格:¥2,420(税込)
クレーン・デリック運転士(クレーン限定)の試験対策本です。
前半が学科ごとの教本になっています。
後半は過去公表問題と解説になっています。
回り道せず合格できる一冊です。
受験料
- 学科試験8,800円
- 実技試験11,100円
※消費税法により全て非課税です。
受験申込方法
願書の受付は常時行われています。
免許試験受験申請書は安全衛生技術試験協会本部、各センター、または当協会ホームページの免許試験受験申請書取扱機関一覧に載っている団体で無料で配布しています。
郵送で請求もできますのでネットで検索してみて下さい。
ただし郵送料がかかります。
まとめ
クレーン・デリック運転士の資格を取得するには学科試験と実技試験に合格する必要があります。
特に、実技試験については独学で勉強するのは難しく、全国各地の教習所や専門学校で教わるのが、取得の一番の近道となると思います。
国家資格ですので安定収入を得る機会が、高まる資格だと思います。
実技試験を教習所で免除していただければ、学科の合格率は63.4%です。
簡単に取得できるとは考えませんが、狭き門ではないと思います。
興味を持たれた方、ネットで気軽に調べられるので本気で検討してみてもいいと思います。
この記事がお役に立てれば幸いです。
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