コンクリート構造診断士について

コンクリート構造診断士について

皆様こんにちは。今日は「コンクリート構造診断士」についてお伝えします。

橋梁、高架橋、ダム、集合住宅、物流倉庫といった土木構造物、建築構造物の維持管理のために、「プレストレストコンクリート」に関する技術と知識を用いて工事、点検、診断をするのが、コンクリート構造診断士のミッションです。

日本の道路、ダムといったインフラを支えるプレストレストコンクリートの造詣(ぞうけい)を深めるコンクリート構造診断士について解説します。

適用する仕事

適用する仕事はさまざまあります。

橋梁工事、点検、診断

コンクリート構造診断士として、橋梁工事に携わる場合、橋梁の維持のためにメンテナンス、補修工事などを担うことがあります。

トンネル工事、点検、診断

コンクリート構造診断士として、トンネル点検に携わる場合、ひび割れがないか目視して丁寧に確認し、報告書と修繕計画を作ることがあります。

ダム工事、点検、診断

コンクリート構造診断士として、ダムの経年劣化の診断に携わる場合があります。
線状降水帯が問題視される現代において、既存するダムの延命措置をとることは重要といえます。

集合住宅のメンテナンス

プレストレストコンクリートの専門家であるコンクリート構造診断士として、集合住宅のメンテナンスに携わる場合があります。
プレストレストコンクリート構造のマンションが、昨今は増えています。

晴天の中マンションを建設しているところ話は長くなりますが、冒頭でもお伝えしたプレストレストコンクリートとはプレストレスと呼ばれる方法で加工されたコンクリートのことを呼びます。
プレストレスとは、コンクリートに「縮もうとする力(圧縮応力)」を付与する加工方法です。
コンクリートは引っ張られる力(引張応力)に弱いです。

ゴムのような弾力や竹のようなしなやかさを、当たり前ですがコンクリートは持ち合わせていません。
「建物の重さ(建造物の荷重)」によって、コンクリートが引っ張られてしまうとあっさり割れてしまいます。
その弱点を補うために、鉄筋を用いてプレストレス加工を施します。

コンクリートの中に鉄筋を入れて「引っ張った状態で固定」すると入れた鉄筋が元の長さに縮もうとするときコンクリートも一緒に縮もうとするのです。
縮もうとする力で、引っ張られる力に抵抗するイメージをしていただければわかりやすいかと思われます。
コンクリートが常に縮もうとしているので、建物の重さで引っ張られても大丈夫になるわけですね。

プレストレス加工が施されたコンクリートは、より密度が高くなり、丈夫になります。
一時的にひび割れが起こってしまっても、補修工事で塞ぐことができます。
表面に気泡が現れてしまうこともほとんどないため、美観も損ねません。

また、現場で型枠を組んだり、養生期間を置いたりする必要がないためコストダウンにもつながります。

おおよその年収とキャリアパス

キャリアパスはさまざまありますが
今回は一例として、会社所属コンクリート構造診断士としてのキャリアパスを紹介します。

会社所属コンクリート構造診断士としてのキャリアパス

青い作業着を着ている主任のような男性会社員現場で、先輩社員から直接、機材の用途、使用方法を学びます。
超音波探傷器、鉄筋探査機、鉄筋腐食検知機、透気試験機、弾性波レーダー、ポータブルX線蛍光装置など、さまざまな機材の使い方を覚えていきます。

また、スキルアップのための講習・講座費用、資格取得費用は、全額、会社が負担してくれる場合もあります。
コンクリート構造診断士として、成長、スキルアップできる環境の整ったキャリアパスが望める職場を探しましょう。

求人例として…

コンクリート構造診断士の資格を生かせる求人は、2021年9月30日現在このようになっています。

  • 月給40万の、会社所属のコンクリート構造診断士
  • 年収400万の、橋梁工事の診断
  • 月給20万の、トンネル点検
  • 月給20万の、風力発電の施工管理
  • 月給20万の、橋梁、トンネル工事における土壌・地質・地盤調査
  • 年収400万の、土木施工管理
  • 月給26万の、鉄道建設の技術補助

など、さまざまあります。

認可団体

公益社団法人 プレストレストコンクリート工学会のロゴマーク「公益社団法人 プレストレストコンクリート工学会」が運営しています。

受験条件

実務経験が必要な場合と、不要な場合とがあります。

実務経験が必要な場合

学歴によって、必要な実務経験の年数が異なります。

必要な実務経験
  • 大学卒業者は4年以上
  • 短期大学・高等専門学校卒業者は6年以上
  • 工業高等学校卒業者は8年以上
  • その他学歴・課程履修者は10年以上となります。

このうち、大学卒業者、短期大学・高等専門学校卒業者、工業高等学校卒業者の場合は、土木工学・建築学に関する課程、またはコンクリートに関する科目を履修している必要があります。

実務経験が不要な場合

次のうちいずれかの資格を有している方は、実務経験が不要となります。

資格
  • 技術士(建設部門)
  • 一級建築士
  • 博士号またはPhD
  • 土木学会特別上級土木技術者
  • PC技士
  • コンクリート主任技士
  • コンクリート診断士
  • 一級土木施工管理技士
  • 一級建築施工管理技士

また、受験資格、検定試験の両方に優遇措置が設けられているそうです。

博士号またはPhDについてですが、土木工学、建築学に関連する課程、コンクリートに関連する科目であると推測されます。

合格率

「SECRET」と置いてある木製の積み木公表されていません。

参考までに、2019年度の合格者数は72名でした。
2019年度の受験者数は公表されていません。

なお、2020年度のコンクリート構造診断士試験は、新型コロナウイルスの影響で中止となりました。

1年当たりの試験実施回数

1年当たりの試験実施回数は1回です。

試験科目

試験は択一問題と記述式問題の2つです。

択一問題

90分間のマークシート方式の択一問題があります。

試験内容
  • コンクリート構造診断の基本、調査・点検方法についての知識
  • 補修・補強技術についての知識
  • 耐震診断についての知識

こういった設問が出題されます。

記述式問題

記述式問題は120分間あります。
記述式問題では、コンクリート構造物の維持・管理方法について診断・補修・補強に関する総合的な技術力、考え方が問われます。

ここで技術力が問われますので、実務経験が必須な場合もあります。
実務経験が不要な場合は、この辺りが優遇されるかもしれません。

採点方式と合格基準

採点方式ですが、公表されていません。

合格基準
  • 択一問題は、正答率50%以上
  • 記述式問題は、同じく正答率50%以上

さらに、全体で正答率60%以上で合格となります。

仮に、択一問題、記述式問題、それぞれの正答率が100%で全体の正答率として100%になっていたとしても、片方の問題が半分の50%以上に届いていない場合は全体の正答率も半分の50%となりますので不合格となります。

取得に必要な勉強などの費用

フローリングにシャーペンと一緒に置かれた1冊のノート「コンクリート構造診断士」の公式サイトには検定試験問題が販売されています。

最新の2019年度版はもちろん、2015~2018年度版まで発行されています。
各年度の問題の価格は2,000円(税込)+送料300円

購入方法

購入方法は郵便局にて、備え付けの払い込み取扱票にて払い込んでください。

  • 口座番号:00100-5-779443
  • 加入者名:公益社団法人プレストレストコンクリート工学会

「通信欄」に「コンクリート構造診断士 ○○年度の試験問題・正解と解説 希望」と記入して下さい。

また、コンクリート構造診断技術講習(e-ラーニング)も設けてあります。
2021年度は終了してしまいましたが、受講料は16,500円(消費税込み)でした。

そうしたものを活用して、勉強してみてはいかがでしょうか。

受験料

16,500円(税込)となっております。

受験申込方法

駅の隅に置かれた証明写真機まずは願書を提出してください。

申込書類が届きますので、申込書と顔写真を添付しましょう。
顔写真は縦4.5cm、横3.5cmです。

先ほどお伝えしましたとおり、受験条件に実務経験が必要な場合と不要な場合があります。

  • 実務経験が必要な場合は、実務経歴書
  • 実務経験が不要の場合は、資格者証または登録証のコピー

それぞれ添付しましょう。

詳しくは「コンクリート構造診断士」の公式サイトをご一読ください。

まとめ

以上、コンクリート構造診断士についてでした。

近年では、ドローン、AIといった最新技術を駆使したプレストレストコンクリートの画像診断も導入されています。
劣化の程度、構造物としての耐震性能などを診断し、維持管理の方法、助言、判断を提案する能力が求められるコンクリート構造診断士を目指してみてはいかがでしょうか。

 

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